• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201322062 審決 商標
不服201513171 審決 商標
不服201414533 審決 商標
不服201411133 審決 商標
不服201414229 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W05
管理番号 1298440 
審判番号 不服2013-19154 
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-10-02 
確定日 2015-03-06 
事件の表示 商願2012-77484拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第5類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成24年9月25日に登録出願されたものであり、その後、本願の指定商品については、原審における同25年4月9日受付の手続補正書をもって、第5類「花粉症用マスク,かぜ用マスク,その他の衛生マスク」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、本願の指定商品である『花粉症用マスク,かぜ用マスク,その他の衛生マスク』の装着時のイメージ図を、水色を背景に、白色で写実的に描いてなるものであり、彩色も含めたその表示態様は、本願の指定商品に使用しても、その商品の品質、形状を端的に表示した図柄として認識されるにとどまると認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ
本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、意見を申し立てる機会を与えるべく、相当の期間を指定して、平成26年5月1日付けで証拠調べの結果を通知した。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要点
(1)本願商標は、「着用時に人の口及び頬を覆う本体部の表面が蛇腹状になっている点」、「着用時に耳に掛ける掛止部が太帯のU字状である点」及び「マスクの外形を縁取り、かつ、外周をグラデーションでぼかしている点」の3点の特徴を有するものであるところ、証拠調べ通知書で示されたものは、上記特徴点のいずれか一つ又は二つを組み合わせたもののみであり、その三つすべてを備えたものはない。また、着用時に耳に掛ける掛止部分が太帯U字状である点について、近い形状を有しているものは、上記通知書で示されたもののうち、一社の製品のみである。
したがって、本願商標は、上記通知書で示されたマスクにはない特徴を有しており、かつ、一般的なマスクの形状を表示するものではない。
(2)本願商標は、マスクの形状をそのまま表したものではなく、請求人の意匠登録第1411778号に係る製品の独特な形状をモチーフとして、需要者への訴求のために架空の状態が描かれたイラスト(図形)であり、また、マスクの外形を縁取り、かつ、外周をグラデーションでぼかされている本願商標は、その態様により、商品形状をそのまま表したものと認識されることはないから、マスクの形状を直接、かつ、具体的に表示するものではない。
(3)請求人の商標「超立体」の著名性により、証拠調べ通知書で示されたように、衛生マスクの製品パッケージにマスクの写真や図形を表すことが一般に広く行われているため、この種商品の需要者は、該パッケージに見慣れており、そこに表されているマスクの形態における細部の相違を認識し、区別して商品を選択しているということができる。
したがって、衛生マスクの需要者は、本願商標と上記通知書で示されたマスクの形態との相違を十分認識することができ、本願商標を特徴的な図形として記憶するというべきである。
(4)以上のとおり、本願商標は、特定の商品の形状、品質等を具体的に表示するものではなく、自他商品識別力を有する商標であるから、登録されるべきものである。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなる図形であるところ、該図形は、その構成態様によれば、白色の「衛生マスク」を向かって右斜め上方の視点から捉えた形状として表したものであって、その周囲を水色のグラデーションをもって彩色してなるものとして、容易に看取、理解され得るものである。
ところで、商品「衛生マスク」を取り扱う業界においては、別掲2において示したとおり、商品の包装の表面に、その内容物である「衛生マスク」を向かっておおむね右斜め上方の視点から捉えた形状を表してなる図形を表示することが一般に広く行われており、さらに、その包装の地色等との関係から、該図形表示を際立たせるなどといった目的で、その周囲を彩色することもしばしば行われているというのが実情である。
そうとすると、本願商標をその指定商品「花粉症用マスク,かぜ用マスク,その他の衛生マスク」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、商品の形状を普通に用いられる方法の域を脱しない方法をもって表してなるものとして認識するにとどまるとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標の特徴として、「着用時に人の口及び頬を覆う本体部の表面が蛇腹状になっている点」、「着用時に耳に掛ける掛止部が太帯のU字状である点」及び「マスクの外形を縁取り、かつ、外周をグラデーションでぼかしている点」の3点を挙げて、これらの3点の特徴のすべてを兼ね備えたものはないから、本願商標は、一般的なマスクの形状を表したものではない旨主張する。
しかしながら、請求人の挙げる特徴のうち、「着用時に人の口及び頬を覆う本体部の表面が蛇腹状になっている点」及び「着用時に耳に掛ける掛止部が太帯のU字状である点」については、「衛生マスク」という商品の用途等に照らせば、前者は顔への密着の度合いを高めるべく普通に採用し得るもの、後者は掛け心地を良くするべく普通に採用し得るものといえ、これらの特徴を備えた商品が一般に製造、販売されていることは、別掲2に示した例からも明らかであり、また、「マスクの外形を縁取り、かつ、外周をグラデーションでぼかしている点」との特徴についても、別掲2に示した例に照らせば、商品の包装の表面に内容物である「衛生マスク」の形状を表す際の表現方法として極めて特異なものとまではいい難い。
そうとすれば、仮に請求人の主張する3点の特徴のすべてを兼ね備えたものの使用例がないとしても、そのことをもって直ちに、取引者、需要者が本願商標を商品の形状を表したものと認識することはないとはいい難く、むしろ、本願商標の構成態様及び本願の指定商品に係る取引の実情を鑑みれば、上記(1)において述べたとおり、本願商標は、これに接する取引者、需要者をして、商品の形状を普通に用いられる方法の域を脱しない方法をもって表してなるものと認識されるというべきである。
なお、請求人は、自己の所有に係る意匠登録を挙げつつ、本願商標は、該意匠登録に係る製品(マスク)の独特な形状をモチーフとして、需要者への訴求のために架空の状態が描かれたイラスト(図形)であるから、マスクについての品質等を直接、かつ、具体的に表示するものではなく、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであるとも主張するが、意匠法に基づく登録要件には、その意匠が自他商品識別性を有することは含まれていないから、請求人が本願商標に関連する意匠登録を有しているとしても、そのことが、本願商標の自他商品識別性の有無の判断に影響することはなく、また、本願商標が該意匠登録に係る製品(マスク)の独特な形状をモチーフとするイラスト(図形)であるとしても、上記(1)のとおり、取引者、需要者がそれを商品の形状を表したものとして認識するものといえる以上、本願商標が自他商品識別性を有するものとはいい難い。
イ 請求人は、商品「衛生マスク」については、前記3の証拠調べ通知において示されたとおり、その商品の包装にマスクの写真又は図形を表すことが一般に広く行われているというのが実情であるから、需要者は、該写真等に表されたマスクの形態における細部の相違を認識し、その相違をもって商品を区別、選択している旨主張する。
しかしながら、商品「衛生マスク」の包装に表されている上記写真等は、多数の業者が、それぞれ自己の製造、販売に係る商品の包装において、その内容物たる商品の形状を表してなるものであるから、個別の商品ごとに、その商品の形状の細部において相違するとしても、これに接する需要者が、その表示全体をもって、商品の形状を表してなるものと認識し得ることに変わりはなく、また、請求人から、上記主張を裏付ける適確な証拠の提出もない。
ウ 請求人は、過去の登録例及び審決例を挙げて、本願商標は、自他商品の識別標識として機能する旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、該登録出願の査定時又は審決時において、該商標の構成態様と指定商品との関係や商品の取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願の指定商品である「衛生マスク」等に係る取引の実情を鑑みれば、本願商標は、これをその指定商品に使用した場合、取引者、需要者をして、商品の形状を表したものと認識されるにすぎないものであること、上記(1)において認定、判断したとおりであるから、該登録例及び審決例が存することをもってその判断が左右されることはない。
エ 小括
上記アないしウにおいて述べたとおり、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標(色彩は、原本を参照。)


別掲2 平成26年5月1日付け証拠調べ通知をもって開示した事実
(1)日本バイリーン株式会社 キッズマスク及びフェイスマスクふつうサイズ
(http://www.vilene.co.jp/news/list/n703.htm)


(2)日本バイリーン株式会社 フルシャットマスク
(http://www.vilene.co.jp/news/list/n719.htm)


(3)興和株式会社 クリーンラインコーワ三次元マスク
(http://hc.kowa.co.jp/lifesupport/1563)


(4)興和株式会社 三次元花粉ダブルブロックマスク ふつうサイズ
(http://hc.kowa.co.jp/lifesupport/1632)


(5)オオサキメディカル株式会社 CNフィット&ガードマスク レギュラー
(http://store.osakimedical.co.jp/shop/g/g00005007-1/)


(6)ERA Japan株式会社 iガードマスク
(http://www.era-japan.jp/products/002.html)


(7)日進医療器(衛生用品) カットマスク レギュラーサイズ3枚入
(http://www.kenko.com/product/item/itm_6916196172.html)


(8)アイリスオーヤマ株式会社 立体型マスク NRK-7RM・NRK-30RM・NRN-50RM ふつう【7枚入】【30枚入】【50枚入】
(http://www.irisplaza.co.jp/Index.asp?KB=SHOSAI&SID=H264715F)


(9)アイリスオーヤマ株式会社 【7枚入】【30枚入】【50枚入】Vフィット立体マスク NVK-7RM・NVK-30RM・NVK-50RM ふつう
(http://www.irisplaza.co.jp/Index.asp?KB=SHOSAI&SID=H264812F)


(10)アイリスオーヤマ株式会社 プリーツ型マスク NRK-7PL・NRK-30PL・NRN-60PL 大きめ【7枚入】【30枚入】【60枚入】
(http://www.irisplaza.co.jp/Index.asp?KB=SHOSAI&SID=H264730F)


(11)アイリスオーヤマ株式会社 【単品】【5個セット】【10個セット】N95マスク ANK-3
(http://www.irisplaza.co.jp/Index.asp?KB=SHOSAI&SID=H527017F)


(12)HADARIKI株式会社 使い捨て 不織布マスク 大人用 マスクを付けると立体 50枚
(http://item.rakuten.co.jp/auc-avel/1340464533/)


(13)住友スリーエム ネクスケアマスク保湿タイプふつうサイズ NMW3 1パック(3枚入)
(http://www.askul.co.jp/p/8023781/)


(14)住友スリーエム ネクスケア マスク プロ仕様 ふつうサイズ NM5 1パック(5枚入)
(http://www.askul.co.jp/p/442906/)


(15)東京企画販売 トプラン 超立体設計 Wワイヤーマスク 大人用サイズ お得用 120枚入
(http://www.7netshopping.jp/beauty/detail/-/accd/2110396202/subno/1)


(16)株式会社ヨコヤマコーポレーション レギュラーサイズ 三層フェイスマスク 7枚入
(http://item.rakuten.co.jp/sokunou/4944929009699/)


(17)玉川衛材株式会社 フィッティ(R) 通気性が良いマスク
(http://www.tamagawa-eizai.co.jp/product/spec/tuukisei.html)


(18)玉川衛材株式会社 フィッティ(R) 7DAYSマスク シルキータッチ
(http://www.tamagawa-eizai.co.jp/product/spec/silky.html)


(19)玉川衛材株式会社 フィッティ(R) 7DAYSマスク立体DX
(http://www.tamagawa-eizai.co.jp/product/spec/7days_dx.html)


(20)ピップ株式会社 快適使いきりマスクプリーツガード 小さめサイズ
(http://www.pip-club.com/products/detail/203)


(21)宇都宮製作株式会社 シンガー立体型電石マスク
(http://www.u-seisaku.co.jp/products/p00094.phtml)


(22)株式会社白元 サニーク 快適さわやかマスク レギュラーサイズ
(http://www.hakugen.co.jp/mask/lineup/sawayaka_01.html)


(23)株式会社白元 ウイルストッパー プリーツタイプ レギュラーサイズ30枚入
(http://www.hakugen.co.jp/mask/lineup/stopper_01.html)


(上記イメージ図の色彩等は、それぞれ記載したURLを参照のこと。)

審理終結日 2014-12-24 
結審通知日 2015-01-07 
審決日 2015-01-22 
出願番号 商願2012-77484(T2012-77484) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 津金 純子 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 敬規
大井手 正雄
代理人 高柴 忠夫 
代理人 五十嵐 光永 
代理人 棚井 澄雄 
代理人 大槻 真紀子 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ