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審判番号(事件番号) データベース 権利
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不服201411133 審決 商標
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不服201413821 審決 商標
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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W03
管理番号 1298412 
審判番号 不服2013-18220 
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-09-20 
確定日 2015-03-02 
事件の表示 商願2012-72679拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第3類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成24年9月7日に登録出願、その後、本願の指定商品については、原審における同25年3月5日付け手続補正書により、第3類「洗濯用漂白剤,洗濯用蛍光増白剤,洗濯用柔軟剤,しみ抜き剤,工業用香料(食品香料を除く。),香料,薫料,洗濯用洗剤,洗浄剤(煙突用化学洗浄剤を除く。),つや出し剤,クレンザー,研磨剤,せっけん類」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、上段に『Sawayaka Soap & Floral no kaori』、下段に『さわやかソープ&フローラルの香り』の文字を併記してなるものであるところ、下段部分は『さわやか』が『すがすがしく快いさま、気分のはればれしいさま』、『ソープ』が『石鹸』、『フローラル』が『花の、花のような』の意を表し、いずれもよく知られる語であって、そのつながりから全体として『さわやかな石鹸と花の香り』程の意味合いが容易に認識され、その指定商品との関係では商品の品質(香調)を表す語として看取されるにとどまるものであり、また、上段部分はこれを一部原語を交えてローマ字表記したとみられるものであるから、本願商標をその指定商品に使用しても、単に商品の品質(香調)を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2に示す事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成26年4月15日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、平成26年7月18日付け意見書において、要旨以下のように述べ、証拠として甲第32号証ないし甲第35号証を提出した。
(1)本願商標は、外観上一体性の高い構成であり、かつ、観念上も特定の語のみが強く認識されることのないように軽重の差なく結合されたものであって、商標全体で一体不可分の造語商標として取引者、需要者に認識されるべきものであるから、上記3の証拠調べの事実が本願商標の自他商品識別力を否定する理由にはならない。
(2)本願商標の構成を「さわやか」「ソープ」「&」「フローラル」「香り」の各語に分解すれば、それぞれの語が本願の指定商品の分野で複数の事業者に使用されていることは認めるが、これらの語が他の語と結合して、全体として漠然とした香りのイメージを強調することが盛んに行われている本願の指定商品における最近の取引の実情を鑑みれば、本願商標も暗示的な商標の一種であると認識するのが自然であり、本願商標は全体として自他商品識別力を発揮するものと考えるのが妥当である(甲第32号証ないし甲第35号証)。
(3)以上を踏まえれば、本願商標は、その指定商品に使用された場合、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、登録されるべきものである。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、上段に「Sawayaka Soap & Floral no kaori」の文字を、下段に「さわやかソープ&フローラルの香り」の文字を書してなるところ、該構成文字中の「ソープ/Soap」は「石けん」、「フローラル/Floral」は「花の」の意味を有するいずれも広く親しまれた語であり、また、「&」の記号は、「・・・と・・・」の意味を表し複数の語を結合する際に広く用いられているものである。
そうすると、本願商標は、構成文字全体として「さわやかな石けんと花の香り」の意味合いを容易に理解、認識されるものである。
さらに、上記3の証拠調べ通知において示した事実のとおり、本願商標の構成中の「フローラル」は香りの種類を示す香調の一である。また、「さわやかな香り」、「ソープ(せっけん)の香り」及び「フローラル(花)の香り」の文字は、本願の指定商品中、「洗濯用柔軟剤,香料,薫料,洗濯用洗剤,洗浄剤,せっけん類」等の香りを有する商品を取り扱う業界において、商品の香りを表す際に広く用いられており、「&」の記号は、香りを複合した商品について一般的に用いられているものである。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「さわやかな石けんと花の香りを有する商品」であること、すなわち、商品の品質を表示したものと理解、認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は全体で一体不可分の造語商標として認識されるべきものであるから、前記3の証拠調べ通知で示した事実が本願商標の自他商品識別力を否定する理由にはならない旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号の商品の品質に該当するというには、我が国の取引者、需要者が商品の品質を表示するものとして認識するものであれば足りるといえるものであり、実際に商品の品質を表示するものとして使用されていることまでは必要としないと解されるところ、本願商標については、その構成中の各文字等の意味及び該文字の使用に係る実情を踏まえれば、これに接する取引者、需要者をして、全体として商品の品質(香り)を表示するものとして認識されること、上記(1)のとおりである。
イ 請求人は、甲第32号証ないし甲第35号証に示すとおり、本願商標の指定商品の分野においては、複数の語が結合して、全体として漠然とした香りのイメージを強調することが盛んに行われているから、本願商標も全体として漠然としたイメージを暗示するにすぎず、自他商品識別力を発揮するものである旨主張する。
しかしながら、複数の語を結合した「・・・の香り」の文字が、本願商標の指定商品との関係において単に商品の香りを表示するものと理解、認識される場合には、これに接する取引者、需要者は、該表示を商品の品質と表したものと理解するといえるところ、本願商標は、上記(1)のとおり、商品の品質(香り)を表したものというのが相当であるから、自他商品の識別標識として機能し得るものとはいえない。
ウ 請求人は、インターネットの検索において、請求人の使用する「さわやかソープ&はじけるフローラルの香り」の語が上位を占めているから、これに近似する「さわやかソープ&フローラルの香り」からなる本願商標に接する需要者は、本願商標を請求人の出所にかかる商品を表すものであると充分に識別することができる旨主張する。
しかしながら、本願商標については、上記(1)のとおり、商品の品質(香り)を表したものと理解、認識されるものというのが相当であり、インターネットの検索において、本願商標と異なる請求人の商品名が多数見受けられることをもって、本願商標についてした上記判断が左右されるものではない。
エ したがって、上記アないしウの請求人の主張はいずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本願商標



2 平成26年4月15日付け証拠調べ通知をもって開示した事実
(1)辞典等における記載(下線は、当合議体が付加。以下同じ)
ア 「大きな字のカタカナ新語辞典 第2版」(2009年1月19日 株式会社学習研究社発行)の「フローラル[floral]」の項に、「花の。」との記載がある。
イ 「新化粧品学」(1997年8月20日 株式会社南山堂発行)の「4-5 調合香料」の項に、「4-5-1.基本的なベース香料 1)フローラル 花の香りは、香料の歴史上常にその中心にある重要な香りのグループで、古今東西の人々に受け入れられている。またベース香料の中でももっとも重要な素材で、ローズ,ジャスミン,ミューゲ,リラ,・・・などがある。これらのフローラルの中で三大花香といわれているローズ,ジャスミン,ミューゲについて述べる。」との記載がある。
ウ 「化粧品事典」(平成15年(2003年)12月15日 丸善株式会社発行)における「フローラル調[floral tone]」の項に、「花の香りを主題とした香調。」との記載がある。
(2)本願の指定商品を取り扱う分野における「さわやか」、「さわやかな香り」、「ソープ(せっけん)の香り」又は「フローラル(花)の香り」の文字の用例
ア 1999年3月13日付け「日経流通新聞」(4頁)に、「ビタミン入り液体せっけん、日本ランウエル(新製品)」の見出しの下、「肌の健康を守るビタミンを透明カプセル化し、ピンクやブルーなどカラフルな液剤の中に浮かべた。・・・女性を意識し、ローズやフリージアなどさわやかな花の香りで5種類ある。」との記載がある。
イ 2006年12月17日付け「朝日新聞」(東京朝刊5頁)に、「(とれんどサーチ)消臭芳香剤 せっけんの香り、ラベンダー抜く」の見出しの下、「部屋のいやなにおいを消し、いい香りを楽しむ消臭芳香剤。これまで一番人気はラベンダーで、『香りの女王』とも呼ばれてきた。ところが最近、『せっけんの香り』がトップに躍り出た。・・・小林製薬は、消臭芳香剤『洗いたて消臭シャボン』を9月下旬に発売・・・配合したせっけんの香料で、部屋を満たす。・・・エステー化学も、昨年8月に発売した消臭芳香剤『置くタイプのエアウォッシュ』の6種類のうち、主力は『せっけんの香り』。発売から1年間の出荷総数は701万個。その4分の1を『せっけんの香り』が占めている。・・・エステー化学によると、せっけんの香りの登場は02年頃。ここ数年、徐々に人気が出て、ラベンダーをかわしてトップに立ったのは05年だ。」との記載がある。
ウ 2007年6月12日付け「日本経済新聞」(朝刊37頁)に、「衣類の『くすみ』解消??ライオン(ニューフェース)」の見出しの下、「さわやかで清潔感のある『アクアソープの香り』を新たに採用。」との記載がある。
エ 2009年8月16日付け「毎日新聞」(東京朝刊10頁)に、「どっちWhich:花王VSライオン 柔軟剤」の見出しの下、「ライオンは、05年に香りを前面に打ち出した『香りとデオドラントのソフラン』2種類(ピンクフローラルの香り・グリーンシトラスの香り)を発売した。その後、『清潔なせっけんの香り』を追加し、3種類とも改良した。今年2月には、4種類目の『ブルーローズアロマの香り』を加え、多彩な香りから選べるようにした。香りは社内研究機関『調香技術センター』で作る。最新の『ブルーローズアロマの香り』では、ローズを基調に、ジンジャーやカモミールなどのハーブでさわやかな香りを表現した。」との記載がある。
オ 2011年7月19日付け「朝日新聞」(名古屋地方版/愛知31頁)に、「蒲郡産みかんでさわやかソープ 東洋発酵などが商品化 /愛知県」の見出しの下、「蒲郡市特産のみかんを使ったボディーソープを、化粧品原料製造の東洋発酵(大府市)や蒲郡商工会議所、JA蒲郡市などが商品化した。形や色が悪い規格外のみかんから抽出したエキスを配合している。蒲郡商工会議所の担当者は『さわやかな香りを楽しんで』と話している。」との記載がある。
カ 2011年12月19日付け「日経産業新聞」(20頁)に、「衣料用洗剤、濃縮型で威力、すすぎ1回、臭いも抑制、花王、ライオン(市場リポート)」の見出しの下、「花王 官民エコ活動と連携 ライオン さわやかな香り 花王やライオンなど衣料用洗剤各社が小型で持ち運びしやすい濃縮型の液体洗剤で販売攻勢をかけている。・・・衣料用洗剤で10年に花王に次いでシェア2位のライオンは10月、濃縮型洗剤『トップ ナノックス ホワイトソープの香り』の数量限定で販売を始めた。ナノックスで初の香りを強調。すっきりとさわやかで清潔感のある香りを付け、快適に洗濯できるようにした。」との記載がある。
キ 2013年11月4日付け「日刊工業新聞」(13頁)に、「ライオン/ベッキーさんパッケージデザインの液体洗剤」の見出しの下、「ライオン タレントのベッキーさんが描いたパッケージデザインを採用した衣料用液体洗剤『トップNANOX(ナノックス)』を数量限定で発売した。すっきり爽やかなホワイトソープの香りが特徴。」との記載がある。
ク 「ライオン株式会社」のウェブサイトにおいて「製品詳細」の見出しの下、「香りとデオドラントのソフラン アロマナチュラル イヤなニオイを消臭し、ナチュラルな香りが楽しめるアロマ柔軟剤」として、「特長」の欄に「<香りライン>●フローラルアロマの香り:ベリーやピーチなどの明るいレッドフルーツをアクセントにしたフローラルブーケの華やかな香り●フレッシュフルーツアロマの香り:フレッシュ感のあるフローラルの香りに、グレープルーツとグリーンアップルのみずみずしさを盛り込んだ、爽やかな香り●アロマソープの香り:ベビーパウダーのような甘い香りに、ラベンダーやピンクペッパーをブレンドした、清潔感のある『せっけん』の香り」との記載がある。
(https://www.lion.co.jp/ja/seihin/brand/020/01.htm)
(3)本願の指定商品を取り扱う分野における「&」の文字を用いて複数の香りを表した用例
ア 「花王株式会社」のウェブサイトにおいて、「フレア フレグランス FLAIR Fragrance」の見出しの下、「フレア フレグランス 製品一覧」の「柔軟仕上げ剤」について、「フレア フレグランス フローラル&スウィート」の記載がある。
(http://www.kao.com/jp/flairfragrance/index.html)
イ 「オリーブオンライン」のウェブサイトにおいて、「ナチュラルマインド ボディーシャンプー」の見出しの下、「天然保湿成分オリーブオイル配合のボディーシャンプー肌に必要な皮脂はとりすぎず、マイルドに洗うことができます。皮膚を清浄にし、あせもやにきびを防ぎます。フレッシュシトラス&フローラルの香り。」との記載がある。
(http://www.pnc.or.jp/olive/products/detail.php?product_id=48)
ウ 「太陽油脂株式会社」のウェブサイトにおいて、「スキンケア」の見出しの下、「オリーボディーソープ ■やわらかなフローラル&ハーバルの香りです。」との記載がある。
(http://www.taiyo-yushi.co.jp/soap/products/skin/)
エ 「ライオン株式会社」のウェブサイトにおいて「製品詳細」の見出しの下、「植物物語ハーブブレンド シャンプー&コンディショナー」について、「香り」として、「さっぱりサラサラヨーロピアンブレンド:リーフ&フローラルハーブの香り」、「しっとりなめらかオリエンタルブレンド:フルーツ&フローラルハーブの香り」との記載がある。
(http://www.lion.co.jp/ja/seihin/brand/017/01.htm)
オ 「ViVi公式コスメ通販サイト/Dresser Room」のウェブサイトにおいて、「NOL CORPORATION マイメロディ ルームフレグランス」の見出しの下、「【香り】甘酸っぱいベリーをブレンドしたフルーティー&フローラルの香り。」との記載がある。
(http://www.dresser-room.jp/vivi/products/detail.php?product_id=1127)


審理終結日 2014-10-02 
結審通知日 2014-10-03 
審決日 2014-10-20 
出願番号 商願2012-72679(T2012-72679) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 津金 純子 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 浦辺 淑絵
手塚 義明
商標の称呼 サワヤカソープアンドフローラルノカオリ、サワヤカソープアンドフローラル、サワヤカソープ、サワヤカ、ソープアンドフローラルノカオリ 
代理人 勝沼 宏仁 
代理人 塩谷 信 
代理人 宇梶 暁貴 

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