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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z25
管理番号 1298392 
審判番号 取消2013-300884 
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-10-17 
確定日 2015-02-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第4418209号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4418209号商標(以下「本件商標」という。)は、「SEAGULL」の欧文字と「シーガル」の片仮名を二段に横書きしてなり、平成11年8月25日に登録出願、第25類「被服,仮装用衣服」を指定商品として、同12年9月22日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成25年11月6日にされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標を、その指定商品中、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,キャミソール,ティーシャツ,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子」について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実は存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである旨主張した。
なお、請求人は、被請求人の答弁に対し何ら弁駁するところがない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標の使用の事実の要点
本件商標の商標権者である「株式会社アルタモーダ」は、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という。)に我が国において、その請求に係る指定商品中「洋服」について、本件商標を使用している。
(2)本件商標の使用者
ア 被請求人は、被服などの衣類について企画、製造、輸出、輸入を業として行う法人である。
イ 乙第1号証の「ブランドマスタ一覧表」は、被請求人が商品及び売上管理を行う端末機から、被請求人の取り扱うブランドの一覧を出力したものである。同号証の左欄のコード「0015」には、ブランド名が「シーガル」と記載されている。
ウ 乙第2号証の1及び2の「納品書」は、被請求人が本件商標を付した吊り下げ札(乙3の1ないし乙3の4)の印刷を、訴外株式会社HIA’s企画に発注した際の納品書である。
(3)本件商標の使用に係る商品
ア 本件商標を使用した商品は洋服であり、具体的には女性用ジャケットである。本件商標を使用した洋服には、色や模様違いで5種類のモデルがあり、それぞれ「07P51529」、「07P51532」、「07P61534」、「07P61535」及び「07P71536」の商品番号を付している。
イ 乙第3号証の1ないし4の「吊り下げ札」には、その両面に欧文字で「SEAGULL」と記載し、裏面には、上述の各商品番号を記載している。そして、乙第4号証の1ないし8は、該吊り下げ札を上述の商品番号に係る洋服(女性用ジャケット)に、取り付けたことを表すものである。
(4)使用に係る商標
乙第4号証の2、4、6及び8は、乙第3号証の1ないし4の吊り下げ札を洋服に取り付けた状態を表すものであり、この吊り下げ札の表面及び裏面には欧文字で「SEAGULL」と記載している。
そして、吊り下げ札に使用した欧文字「SEAGULL」からは、「シーガル」の称呼及び「かもめ」の観念が生じ、二段併記の本件商標「SEAGULL/シーガル」からも、「シーガル」の称呼及び「かもめ」の観念が生じる。したがって、使用に係る商標と本件商標から生ずる称呼及び観念は同一であり、使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と考えるべきである。
(5)本件商標の使用時期
乙第5号証の1ないし10の「商品管理累計報」は、被請求人が商品及び売り上げの管理を行う端末機から、平成24年(2012年)11月ないし平成25年(2013年)8月の間の本件商標を付した商品の取引実績に関する情報を印字したものである。その最上段には、「ブランドコード 0015?0015」とコード番号を記載している。これは、「ブランドマスタ一覧表」(乙1)と対応したコード番号であって、「0015」は本件商標を意味する。また、上段中央部には、西暦と月を記載しており、これは、当該年月における取引実績を表すものであり、左端には「シーガル」と記載し、その下には乙第4号証の1ないし8に係る洋服の商品番号を記載し、その右には、入荷数、売上数などの情報を記載している。
(6)その他の本件商標の使用の事実
ア 被請求人は、少なくとも10年前から、本件商標を付した洋服を株式会社三喜(以下「三喜」という。)に納品し、三喜は、自社の店舗において、本件商標を付した商品を小売している。
イ 乙第6号証は、三喜が自社のホームページで公開している会社案内であり、三喜のグループ店舗数が206店舗であること、及び店舗一覧が記載されている。
ウ 乙第7号証の1及び2の「アパレル繁盛」は、三喜が商品及び売上管理を行う端末機から、本件商標を付した商品について、三喜における商品番号の一覧を出力したものである。乙第7号証の1によると、三喜は、乙第4号証の1及び2に表した被請求人の商品番号「07P51529」の洋服について、「4510708005581」、「4510708005598」、「4510708005604」、「4510708041541」及び「4510708005574」の商品番号を付して、サイズごとに管理している。また、乙第7号証の2によると、三喜は、乙第4号証の7及び8に表した被請求人の商品番号「07P71536」の洋服について、「4510708053599」、「4510708053605」、「4510708053612」、「4510708053629」及び「4510708053582」の商品番号を付してサイズごとに管理している。
エ 乙第8号証は、被請求人が本件商標を付した洋服について、三喜の店舗に納品した納品数を集計した納品明細書集計書である。被請求人は、平成25年(2013年)1月から4月の間に、三喜のグループ店舗に、乙第4号証の1及び2に表した商品番号「07P51529」並びに乙第4号証の7及び8に表した商品番号「07P71536」に係る洋服を合計95着納品した。
オ 乙第9号証の1ないし49は、乙第8号証の基礎となった納品明細書であり、これらには、仕入先に被請求人が記載してあり、被請求人が納品した店舗番号及び店舗名、三喜の商品番号、納品数、日付が記載してある。
カ 乙第10号証の「写真」は、三喜のグループ店舗において、本件商標を使用した洋服が陳列されている状態を表すものである。
キ 乙第11号証は、本件商標、使用にかかる商品、商標の使用者、使用時期を証明する三喜の「陳述書」である。
(7)乙第9号証に記載した商品と、乙第4号証に表示されている商品とが同一のものであることについて
ア アパレル業界においては、商品の在庫や販売の管理はコンピュータで行われ、このコンピュータによる管理において商品は、商品に付された商標によって管理されることは稀であり、英数字の組み合わせなどによって管理されるのが一般的である。そして、この英数字の組み合わせなどは、企業毎の独自のルールにより付されているのが取引の実情である、
本件についても、被請求人及び三喜は、本件商標を付した商品の管理を商標によって行っておらず、各々が独自に付与した英数字などの組み合わせによって管理している。
被請求人は、本件商標を付した商品に「07P」から始まる8桁の英数字を組み合わせた番号(以下「商品コード」という。)を付与し、色や模様又はサイズの違いによって、この商品コードの下5桁の数字を変化させて付与している。
一方、三喜は、本件商標を付した商品の管理において、被請求人が付与した商品コードを用いておらず、三喜が独自に付与した数字のみからなる番号を付与して管理している。三喜は、本件商標を付した商品に、「45107080」から始まる13桁の数字からなるJANコードという番号(以下「JANコード」という。)を付し、色や模様又はサイズの違いによって、この番号の下5桁の数字を変化させて付与している。
例えば、乙第3号証の1に示した吊り下げ札の上段には、被請求人の付与した商品コード「07P51529」と、サイズ「17AR」が記載され、下段に三喜が付与したJANコード「4510708041541」が記載され、該吊り下げ札は、乙第4号証の1及び2に示した女性用ジャケットに吊り下げられていることを示す。
乙第7号証の1の4行目には、左から品番「07P51529」、品名「ケミカルレースJK(JKはジャケットの意味。)」、カラー「ベージュ」,サイズ「17AR」、JANコード「4510708041541」が記載されている。これらの記載のうち、品番、サイズ、JANコード、の記載は、乙第3号証の1及び乙第4号証の2に示した吊り下げ札の記載と一致し、カラーについては、乙第4号証の1及び2に示した女性用ジャケットの色と一致する。
そうすると、乙第4号証の1に示した女性用ジャケットは、商品コードが「07P51529」であって、JANコードが「4510708041541」であることは、明らかである。
また、納品明細書(乙第9号証の8、13、16等)には、JANコード「4510708041541」と納品数が記載されており、被請求人が、三喜に対して女性用ジャケット(乙4の1)を譲渡したことは明らかである。
イ 乙第12号証は、「品番別JANコードマスタ」であり、被請求人が付与した「商品コード」と、三喜が付与した「JANコード」が、同一の商品を指していることを証明する書面である。
ウ 乙第13号証は、三喜の代表取締役による、三喜の小絹ファッション館において、本件商標を付した女性用ジャケットが陳列されていることを証明する書面であり、これにより、被請求人が、三喜の店舗において本件商標を使用した商品を販売していることが、乙第10号証により明らかになる。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標は、要証期間内に日本国内において、商標権者が請求に係る指定商品中「洋服」について使用していることが明らかであるから、本件審判の請求は、成り立たない。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る乙号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第3号証の3は、商品の吊り下げ札であるところ、黒地のものには「SEAGULL」の文字が記載されている。また、白地のものには、最上部に「SEAGULL」の文字、その下には「No.07P61535-7」及び「07P61535-7」の文字、さらに、サイズや素材に関する記載があり、下部にはバーコード及びその直下に「4510708030132」の文字が記載されている。
(2)乙第4号証の5及び6は、洋服の写真及び洋服に下げ札を付した写真であり、そのうちの、乙第4号証の5には「7P51529」、「7P61534」、「7P61535」及び「7P51536」の数字の表示とともに、洋服が吊り下げられている状態が表されている。そして、乙第4号証の6は、洋服に付された下げ札を拡大した写真であり、黒地のものには「SEAGULL」の文字が記載されている。また、白地のものには、最上部に「SEAGULL」の文字、その下には「No.07P61535-7」及び「07P61535-7」の文字、さらに、サイズや素材に関する記載があり、下部にはバーコード及びその直下に「4510708030132」の文字が記載されている。
(3)乙第9号証の32、33及び41は、「小売企業名」の欄に「(株)三喜」、「仕入先」の欄に「株式会社アルタモーダ」の記載がある「納品明細書」である。 乙第9号証の32には、「伝票日付(出荷日):2013/03/25」、「商品コード/商品名」及び「納品数」の欄の5行目には「4510708030132」、「レースジャケット」及び「1」の記載、同号証の33には、「伝票日付(出荷日):2013/02/04」、「商品コード/商品名」及び「納品数」の欄の5行目には「4510708030132」、「レースジャケット」及び「1」の記載並びに同号証の41には、「伝票日付(出荷日):2013/03/19」、「商品コード/商品名」及び「納品数」の欄の14行目には「4510708030132」、「レースジャケット」及び「1」の記載がある。なお、上記「株式会社アルタモーダ」が商標権者であることに争いはない。
(4)乙第11号証は、三喜の代表取締役から被請求人に宛てた書面であり、少なくとも10年前から、平成25年12月3日まで、SEAGULL/シーガルブランドの婦人服(フォーマルウェア)を被請求人から購入したことが陳述されている。
(5)乙第13号証は、三喜の代表取締役から被請求人に宛てた書面であり、乙第10号証3枚の写真は、三喜の小絹ファッション館で撮影した写真であること、当該写真に写っているレースジャケットは、被請求人から購入した商品であり、下げ札はSEAGULLブランドのNO.07P61535等であることなどが陳述されている。
2 上記(1)ないし(5)で認定した事実により、商標法第50条第2項で規定する被請求人が証明すべき事項について、以下のとおり判断することができる。
(1)商標権者は、「SEAGULL」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)を表示した下げ札が付されたレースジャケットを三喜に販売した。また、該商品は2013年(平成25年)2月4日、同年3月19日及び同年3月25日に商標権者から三喜に出荷された。
(2)上記(1)において出荷した日とした2013年(平成25年)2月4日、同年3月19日及び同年3月25日は、いずれも要証期間内のものである。
(3)「レースジャケット」は、本件審判の取消請求に係る指定商品中「洋服」の範ちゅうに属する商品といえるものである。
(4)本件商標は、「SEAGULL」及び「シーガル」の文字を二段に書してなるところ、それぞれの文字から「シーガル」の称呼が生じるものである。
他方、使用商標は、「SEAGULL」の文字からなり、これより「シーガル」の称呼を生じるものである。
してみれば、本件商標と使用商標とは、片仮名の有無が異なるものの、その欧文字部分においては、その綴りを同じくし、外観上同視し得るものである。
また、本件商標と使用商標は、共に「シーガル」の称呼を生じ、「カモメ」の観念を有する語であるから、称呼及び観念が同一といえるものである。 そうすると、本件商標と使用商標とは、欧文字部分において、外観上同視し得るものであり、称呼及び観念を共通にするものであるから、本件商標と使用商標とは社会通念上同一の商標と認め得るものである。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば、商標権者は、要証期間内に本件審判の請求に係る指定商品中「洋服」の範ちゅうに属する「レースジャケット」に、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を付して、譲渡したということができる。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者がその取消請求に係る指定商品に含まれる商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標含む。)の使用をしていることを証明したとものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2014-12-15 
結審通知日 2014-12-17 
審決日 2015-01-13 
出願番号 商願平11-76690 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z25)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 中束 としえ
梶原 良子
登録日 2000-09-22 
登録番号 商標登録第4418209号(T4418209) 
商標の称呼 シーガル 
代理人 岡▲崎▼ 信太郎 
代理人 新井 全 
代理人 吉澤 敬夫 
代理人 特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所 
代理人 野口 和孝 

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