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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X12 |
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管理番号 | 1298292 |
審判番号 | 取消2013-300793 |
総通号数 | 184 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2015-04-24 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2013-09-17 |
確定日 | 2015-02-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5274193号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5274193号商標の指定商品中、「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,その他の陸上の乗物用の機械要素(動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置を除く。)」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5274193号商標(以下「本件商標」という。)は、「WPC」の欧文字を表してなり、平成21年6月19日に登録出願され、第12類「レーシングカー・その他の自動車並びにその部品及び附属品,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置,その他の陸上の乗物用の機械要素,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」を指定商品として、同21年10月16日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録は、平成25年10月7日にされたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を、要旨次のように述べ、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品中、第12類「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,その他の陸上の乗物用の機械要素(動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置を除く。)」(以下「取消に係る商品」ということがある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、取消に係る商品について商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 被請求人は、本件商標をその指定商品中の「軸」、「軸受」及び「その他の陸上の乗物(自動車)用の機械要素」(すべり軸受)について使用している旨主張し、乙第1号証ないし乙第8号証を提出しているが、これら書証を子細に検討するもその事実は見受けられない。 (1)乙第1号証について 乙第1号証は被請求人の業務に係る広告であることは認められるが、その広告内容は、被請求人が「WPC処理」と称する金属表面処理技術を使用し、ギヤーなどの強度アップや耐摩耗性を向上させる加工を役務として提供する事業を行っていることを広告宣伝するものであって、そのどこを見ても被請求人が商品「軸」の製造販売等を業として行っていることを示すような記載はない。 そして、この広告に記載されている種々の機械部品は、一見恰も被請求人の製造販売等に係る商品のように見受けられるが、当該広告内容が、受託による金属の表面加工に関するものであることからすれば、この広告に接する取引者・需要者は、被請求人が業務として提供する金属表面処理の可能な商品の例として記載しているものであると容易に想起し認識するところである。 (2)乙第2号証について 乙第2号証の「『新製品情報』2013年9月号」は、乙第1号証と同様に、被請求人が「WPC処理」と称し業として提供する役務である金属表面処理(金属加工)に係る広告であって、商品「軸」の製造販売等に関するものではない。 そして、この広告に記載されている商品は、前記乙第1号証と同様に、被請求人の金属表面処理技術を以って表面処理を行うことのできる商品の例として記載されているに過ぎないものであることは、取引者・需要者がこの広告から容易に読み取れるところである。 (3)乙第3号証について 乙第3号証の「『mst 隔月誌 メカニカル・サーフェス・テック』2011年6月号」には、第5面に広告を掲載しているが、前記乙第1号証及び乙第2号証と同様に、被請求人が「WPC処理」と称して業として提供する役務としての金属表面処理に係る広告であって、商品「軸」の製造販売等に関するものではない。 (4)乙第4号証及び乙第5号証について 乙第4号証は、被請求人が、「WPC処理」と称する表面加工の特許技術を紹介する記事であり、また、乙第5号証は、「TECH Biz EXPO 2011」に出展することを知らせるものであって、その「出展内容」の記載内容も金属成品の表面加工に関する技術に終始するものである。 (5)乙第6号証について 乙第6号証「被請求人の売上伝票(商品納品書)」は、その「品名」欄に「WPC」の記載があるので恰も商品「軸」に商標「WPC」を使用しているように思わせるものであるが、この伝票の「品名」欄の記載は、被請求人が委託を受けて行った金属表面処理とその対象物などを表したものであることは、当該伝票と被請求人の事業内容「ブラスト装置の販売・修理、各種研磨材の販売及び開発、WPC・PIP処理の受託加工、自然触媒『PIP製品』の製造と販売、知的財産の実施許諾」(甲1)を照らし合わせれば明らかであるから、伝票の「品名」欄に「軸」等の記載があったとしても、そのことをもって被請求人が本件商標を商品「軸」に使用していることを証することはできない。 (6)乙第7号証及び乙第8号証について 乙第7号証「実施許諾契約書(一部)」は、特許の実施許諾に関する契約書であって、製品の製造において被請求人の「生産技術、ノウハウ」等を使用してよいというものであり、本件商標の使用に関する記載は一切ない。 また、乙第8号証は、前記乙第7号証の特許の実施許諾先のホームページであるとするが、被請求人が本件商標の使用であると指摘する「私たちの技術」の「F1先端技術の採用」の欄に記載されている内容は、使用された既存のエンジンを再生して使用するために前記実施許諾契約により許諾された表面処理の技術を使用し、エンジン部品の表面処理を行っている旨を説明するものであり、本件商標を商品「軸」に使用している証左とはならない。 (7)被請求人の事業内容と商品・役務の関係 乙第1号証ないし乙第8号証及び甲第1号証(被請求人のホームページ抜粋)に照らせば、被請求人の事業内容は、「ブラスト装置の販売・修理、各種研磨材の販売及び開発、WPC・PIP処理の受託加工、自然触媒『PIP製品』の製造と販売、知的財産の実施許諾」であって、本件商標の指定商品中、取消に係る商品の製造販売等の事業を行っていないことは容易に確認でき、認定できるところである。 (8)まとめ 以上のとおりであるから、本件商標は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが継続して3年以上日本国内において、その指定商品中の「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,その他の陸上の乗物用の機械要素(動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置を除く。)」について使用していないことは明らかである。 第3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を提出した。 1 答弁の理由 (1)乙第1号証(「『新製品情報』2013年10月号」)における使用 ア 日刊工業新聞社発行の「新製品情報」の2013年10月号の第4面(以下「本件広告1」という。)には、被請求人会社の広告が掲載されており、これは本件商標を付した商品に関する広告(商標法第2条第3項第8号)に該当する。 イ 使用商標について 本件広告1には、紙面中央上方に「WPC処理で自動車、工作機械部品の寿命を延ばす。」との記載があり、その下方には黒地に白抜き文字で大きく「WPC処理」と表記されている。 そして、商品の写真の下方には、「WPC処理によって金属成品の表面に急熱・急冷が瞬時に繰り返され、熱処理効果・鍛錬効果を得られ、金属表面層の残留オーステナイトのマルテンサイト化や再結晶、微細化をもたらすことで緻密な高硬度で靭性に富む組織の形成が可能です。また、通常のWPC処理は表面に均一マイクロディンプルができ、摺動部品の摺動性アップに多く利用されていますが、ディスクブレーキの場合は摩擦抵抗を付けながら、表面の耐摩耗性を向上させて、スムーズな動きを保つことが出来ます。」との記載がある。 また、本件広告1の紙面中央下方には、黒地に白抜き文字で「WPC・PIP・ピーニング・ブラストのテスト加工や賃加工もご用命下さい。」と記載され、さらに、連絡先に「WPC工場」として、その電話番号及びFAX番号を掲載している。 ウ 使用商品について 本件広告1の紙面中央には、商品写真として、ギヤーやスプリング、コンロッドとともに「軸」が掲載されている。 エ 使用年月日について 本件広告1が掲載された「新製品情報 2013年10月号」の発行日は、2013年10月1日である。 (2)乙第2号証(「新製品情報」2013年9月号)における使用 ア 被請求人は、「新製品情報」の2013年9月号にも広告を掲載している(以下「本件広告2」という。)。これは本件商標を付した商品に関する広告(商標法第2条第3項第8号)に該当する。 イ 使用商標について 本件広告2には、最上部には黒地に白抜き文字で「日本のものづくりを支えるWPC処理」との記載がある。 そして、商品写真の右側には、「WPC処理の効果」として、「1.疲労強度の向上、2.耐衝撃性の向上、3.摺動性の向上、4.表面強度の向上、5.各種被膜との密着性向上、6.低温脆性の防止、7.各種腐食の防止」の記載がある。 また、前記写真の下方には、「精密ショットピーニングWPC処理は処理の目的や被処理品の材質や熱処理状況などによって処理条件を決め、現在100以上の処理方法に達しています。」との記載がある。 また、「クラブを進化させるWPC処理」の記載の他、10月号と同様に「WPC・PIP・ピーニング・ブラストのテスト加工や賃加工もご用命下さい。」との記載、及び、連絡先に「WPC工場」として、その電話番号及びFAX番号を掲載している。 これらは、本件商標と同一の商標を使用しているものといえる。 ウ 使用商品について 本件広告2の紙面中央には、商品の写真として、ギヤーやコンロッドとともに「軸」が掲載されている。 エ 使用年月日について 「新製品情報 2013年9月号」の発行日は、2013年9月1日である。 (3)乙第3号証(「mst 隔月誌 メカニカル・サーフェス・テック」2011年6月号)における使用 ア メカニカル・テック社発行の「mst 隔月誌 メカニカル・サーフェス・テック」2011年6月号の第5面(以下「本件広告3」という。)には、被請求人会社の広告が掲載されており、これは、本件商標を付した商品に関する広告(商標法第2条第3項第8号)に該当する。 イ 使用商標について 本件広告3の紙面右方は黒地に白抜き文字で大きく「WPC処理」と表記されている。 そして、その下には、「1978年にWPC処理を開発し、130社以上にライセンスを許諾、イノベーションWPC処理として、日々進化し、年平均3件の特許を取得し、保有特許50件、手法は100以上に達している。」との記載がある。 また、この広告の中央下方には、灰地に白抜き文字で「WPC・PIP・ピーニング・ブラスト・テスト加工・賃加工をご用命下さい。」と記載され、さらに、その下の被請求人の名称の右には、連絡先に「WPC工場」として、その電話番号及びFAX番号を掲載している。 ウ 使用商品について 前記のとおり、本件広告の中央には、商品写真として、ギヤーやスプリング、コンロッドとともに「軸」が掲載されている。 エ 使用年月日について 広告が掲載されたのは、「mst 隔月誌 メカニカル・サーフェス・テック」の2011年6月号であるから、本件商標は、本件審判請求の登録日(平成25年(2013)10月3日)前3年以内に日本国内において使用されていることは明らかである。 (4)乙第4号証(「TECH Biz EXPO 2011」)における使用 ア 名古屋市港区の市国際展示場(ポートメッセなごや)で催された「次世代ものづくり基盤技術産業展-テックビズエキスポ2011(TECH Biz EXPO 2011)」に出展する企業についての平成23年(2011)10月19日付けの中日新聞第13面の記事(以下「本件記事」という。)である。 同展への出展行為は、被請求人が同産業展において、本件商標を付したものを譲渡若しくは引渡しのために展示する行為(商標法第2条第3項第2号)に該当する。 イ 使用商標について 本件記事には、被請求人の代表者写真の右側に「WPC処理(不二機販)」と記載され、当該写真の下には、「サンドブラストを使ったWPC処理技術について説明する宮坂四志男社長=名古屋市北区の不二機販で」と記載されている。 さらに、当該写真左の本件記事本文には、「『WPC処理』と呼ばれる表面加工の特許技術を持つ。」との記載の他、「WPC(ワンダー・プロセス・クラフト)との名称は、大手自動車メーカーの提案で命名。『驚くべき、工程の特殊技術』という意味を込めた。技術のライセンス使用は大手部品メーカーなど百三十社に上る。」などの記載がある。 さらに、被請求人のホームページ(乙5)には、同「TECH Biz EXPO 2011」における被請求人の出展内容として「金属成品の表面加工熱処理法の特許(WPC処理)を取得してから研究開発は更に進化し、現在その手法は100以上にも手法に達している。」との記載がある。 したがって、被請求人は、同「TECH Biz EXPO 2011」において、本件商標と同一の商標を使用しているものといえる。 ウ 使用商品について 本件記事にあるように、「WPC」処理は、車のピストンや自動車メーカーのエンジン部品を始めとする多くの自動車用の機械部品に施されており、これは、本件商標の指定商品「軸」や「その他の陸上の乗物(自動車)用の機械要素」についての使用である。 エ 使用年月日について 「TECH Biz EXPO 2011」は、平成23年(2011)10月19日から22日まで開催されたものである。 (5)乙第6号証-1ないし3(被請求人の売上伝票(商品納品書))について ア 乙第6号証-1ないし3は、被請求人の売上伝票(商品納品書)である(以下「本件売上伝票」という。)。本件売上伝票は、被請求人が取引先に本件商標を付した商品を納品したことを証明するものであり、これは、本件商標を付した商品を譲渡する行為(商標法第2条第3項第2号)に該当する。 イ 使用商標について 本件売上伝票の「品名」の欄には、全ての伝票に、本件商標と同一の「WPC」の文字が記載されている。 したがって、被請求人は、これらの商品について、本件商標と同一の商標を使用しているといえる。 ウ 使用商品について 本件審判の請求に係る商品である第12類「軸」に該当する商品として、本件売上伝票(乙6-1)の「品名」の欄には、「WPC」の文字と共に、「シャフト 小」や「シャフト 大」の記載があり、(乙6-2)及び(乙6-3)には、同様に「クランクシャフト」の記載がある。 また、本件審判の請求に係る商品である第12類「軸受」に該当する商品として、(乙6-2)の「品名」の欄には、「WPC」の文字と共に「メタル」の記載がある。 そして、「その他の陸上の乗物(自動車)用の機械要素」(すべり軸受)に該当する商品として、(乙6-2)の「品名」の欄には、「WPC」の文字と共に「クランクメタル」の記載があり、(乙6-3)には同様に、「クランクメタル」及び「スラストメタル」の記載がある。 したがって、このような乙6-1?3の記載によれば、被請求人が、本件商標を本件審判の請求に係る商品である「軸」、「軸受」及び「その他の陸上の乗物(自動車)用の機械要素」(すべり軸受)について使用していることは明らかである。 エ 使用年月日について 本件売上伝票の発行日付は、それぞれ、2012年11月15日(乙6-1)、同年4月25日(乙6-2)及び2013年3月19日(乙6-3)である。 そして、愛知県東海市加木屋町栗見坂26-4の「有限会社ブイレヴオート」宛て(乙6-1)、愛知県名古屋市緑区相原郷2-2002の「TOOL BOX」宛て(乙6-2及び3)のものである。 (6)乙第7号証(実施許諾契約書(一部))及び乙第8号証(通常実施権者のホームページ)について ア 乙第7号証及び乙第8号証は、通常実施権者である株式会社リンクスジャパン(以下「リンクスジャパン」という。)が、本件商標を使用した商品を販売していることを証明するものであり、これは、通常実施権者による、本件商標を付した商品を譲渡する行為(商標法第2条第3項第2号)に該当する。 イ 使用商標について リンクスジャパンは、実施許諾契約書(乙7)における記載のとおり、「金属成品の摺動部の摩耗防止方法」(登録第3212433号)等につき実施許諾を受けている。 そして、同社ホームページ(乙8)の「私たちの技術」のページ中央「F1先端技術の採用」の欄には「機種固有のウィークポイントをWPC処理の自社導入などの最先端技術を採用して克服します。」との記載がある。 したがって、通常実施権者であるリンクスジャパンは、本件商標と同一の商標を使用しているものである。 ウ 使用商品について 前記ホームページ(乙8)の記載によれば、通常実施権者である株式会社リンクスジャパンが、本件商標を本件審判の請求に係る商品である「軸」について使用していることは明らかである。 (エ)使用年月日について リンクスジャパンとの実施許諾契約書の日付は、2006年7月13日となっており、第11条には、本契約の有効期間は、契約締結の日から3年間とする旨の記載があるが、同上ただし書きの規定により、本契約は、1年間自動更新されるものとし、爾後も同様に更新される。 被請求人とリンクスジャパンは、本契約書に基づく契約を未だ締結しており、これは、基本特許である前記「金属成品の摺動部の摩耗防止方法」(登録第3212433号)の存続期間満了日(2013年12月27日)まで継続し、EP0731181及びUSP5,592,840についてもそれぞれ、前者については2015年3月10日、後者については同年3月22日まで有効である。 (7)以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の予告登録(平成25年10月7日)前3年以内に、日本国内において、取消請求に係る指定商品について登録商標を使用しているから、その商標登録を取り消すことはできない。 第4 当審の判断 1 被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に、商標権者(被請求人)及び通常使用権者(リンクスジャパン)が、商品「軸」、「軸受」及び「その他の陸上の乗物(自動車)用の機械要素」(すべり軸受)(以下、これらをあわせて「軸等」という。)について、本件商標を使用している旨主張するので、以下提出された証拠を検討する。 (1)乙第1号証は、日刊工業新聞社発行の「『新製品情報』2013年10月号(2013年(平成25年)10月1日発行)」に被請求人の広告が掲載されたことを示すものであり、これには、「WPC処理で自動車、工作機械部品の寿命を延ばす。」との記載とともに、「WPC処理」、「WPC処理によって金属成品の表面に急熱・急冷が瞬時に繰り返され、熱処理効果・鍛錬効果を得られ、・・・通常のWPC処理は表面に均一マイクロディンプルができ、・・・表面の耐摩耗性を向上させて、スムーズな動きを保つことが出来ます。」などの記載がある。 これは、被請求人の業務に係る広告であることは認められるが、その広告内容は、被請求人が「WPC処理」と称する「金属製品の瞬間熱処理法」に関する特許を保有しており、その技術を以って機械部品、切削工具、金型等の受託加工を行っていること、そして、当該加工処理を行うことにより機械部品等の表面の耐摩耗特性を向上させることなどを宣伝広告するものであって、商品「軸等」の広告に使用していることを証明するものではない。 さらに、これからは、「WPC」の文字が、自他商品の識別機能を発揮し得る態様で使用されていることも確認できない。 (2)乙第2号証は、日刊工業新聞社発行の「新製品情報 2013年9月号」に被請求人の広告が掲載されたことを示すものでありであり、これには、「日本のものづくりを支えるWPC処理」、「WPC処理の効果」などの記載がある。 これは、乙第1号証と同様に被請求人が行う「WPC処理」と称する金属表面処理技術に関する広告であって、商品「軸等」の広告に使用していることを証明するものではない。 さらに、これからは、「WPC」の文字が、自他商品の識別機能を発揮し得る態様で使用されていることも確認できない。 (3)乙第3号証は、「表面改質&表面試験・評価の技術情報誌 mst 2011年6月号」に被請求人の広告が掲載されたことを示すものであり、これには、黒地に白抜き文字で大きく「WPC処理」と表記され「1987年にWPC処理を開発し・・・」、「WPC・PIP・ピーニング・ブラスト・テスト加工・賃加工をご用命下さい。・・・」などの記載がある。 これは、乙第1号証及び乙第2号証と同様に、被請求人が行う「WPC処理」と称する金属加工処理に関するものであって、商品「軸等」の広告に使用していることを証明するものではない。 さらに、これからは、「WPC」の文字が、自他商品の識別機能を発揮し得る態様で使用されていることも確認できない。 (4)乙第4号証は、「次世代ものづくり基盤技術産業展-テックビズエキスポ2011」と題する2011年(平成23年)10月19日付け中日新聞に被請求人が掲載されたことを示すものである。 これは、被請求人が行う「WPC処理」という、部品の摩擦度を下げる表面加工の紹介記事であって、商品「軸等」を譲渡又は引渡しのために展示する行為として使用していることを証明するものではない。 さらに、これからは、「WPC」の文字が、自他商品の識別機能を発揮し得る態様で使用されていることも確認できない。 (5)乙第5号証は、2011年10月19日から22日の間に開催された「TECH Biz EXPO2011 出展の案内」に被請求人が出展したことを示すものである。 これは、出展内容として、被請求人の行う「WPC処理」という、金属成品の表面加工熱処理法を紹介しているものであって、商品「軸等」を譲渡又は引渡しのために展示する行為として使用していることを証明するものではない。 さらに、これからは、「WPC」の文字が、自他商品の識別機能を発揮し得る態様で使用されていることも確認できない。 (6)乙第6号証は、発行日付を12-11-15、12-4-25、13-3-19とする被請求人作成の有限会社ブレイヴオート及びTOOL BOX宛の3通の売上伝票(商品納品書)であり、これには、「WPC+MoS2処理 シャフト」などの記載がある。 これは、被請求人が行う「シャフト」の加工処理に関する取引を示すものであって、商品「軸等」に標章を付したものを譲渡する行為に使用していることを証明するものではない。 (7)乙第7号証は、被請求人とリンクスジャパンとの間にされた実施許諾契約書である。 これは、被請求人の開発に係る特許及び又は特許出願及びノウハウを含む技術情報の実施許諾を内容とするものであって、本件商標の使用許諾に関する契約条項はない。 そうすると、被請求人が、商品「軸等」に標章を付したものを譲渡する行為に使用していることを証明するものではない。 (8)乙第8号証は、リンクスジャパンのホームページである。 これは、リンクスジャパンの業務内容(作業工程)を説明するものであり、被請求人の取り扱うものではない。 そうすると、被請求人が、商品「軸等」に標章を付したものを譲渡する行為に使用していることを証明するものではない。 (9)小活 以上のとおり、被請求人の提出したいずれの証拠をみても、被請求人が、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。以下同じ。)を本件審判の請求に係る指定商品「軸」、「軸受」及び「その他の陸上の乗物(自動車)用の機械要素」(すべり軸受)について使用している事実を確認することができないから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商品「軸」、「軸受」及び「その他の陸上の乗物(自動車)用の機械要素」(すべり軸受)について本件商標を使用していたということはできない。 2 むすび 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、取消請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標の使用をしていることを証明したものと認めることができない。 また、被請求人は、取消請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の「結論掲記の商品」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2014-09-18 |
結審通知日 | 2014-09-24 |
審決日 | 2014-12-26 |
出願番号 | 商願2009-46343(T2009-46343) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(X12)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
小林 由美子 |
特許庁審判官 |
大森 健司 前山 るり子 |
登録日 | 2009-10-16 |
登録番号 | 商標登録第5274193号(T5274193) |
商標の称呼 | ダブリュウピイシイ |
代理人 | 小倉 正明 |
代理人 | 佐久間 洋子 |
代理人 | 江崎 光史 |
代理人 | 田崎 恵美子 |