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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20162573 審決 商標
不服201615915 審決 商標
不服201414528 審決 商標
不服201512197 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 取り消して登録 W41
管理番号 1297276 
審判番号 不服2013-18073 
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-09-19 
確定日 2015-02-16 
事件の表示 商願2012- 45887拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「龍馬よさこい」の文字を標準文字で表してなり、第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成24年6月7日に登録出願され、その後、指定役務については、原審における同25年1月22日付けの手続補正書により、第41類「神社の供覧,庭園の供覧,神社・庭園の供覧に関する情報の提供,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,記念イベントの企画・運営又は開催,日本の伝統文化紹介に関するイベントの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,美術品の展示,書籍の制作」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『龍馬よさこい』の文字を標準文字で書してなるところ、その構成中『龍馬』の文字は、幕末の武士として著名な『坂本龍馬』を直ちに想起させるものである。そして、龍馬の出身地である高知県やそのゆかりの地では地方公共団体・商工会議所等の公益的な機関によって、その名が観光振興や地域おこしの施策に利用されていることが確認され、地元住民等において敬愛の念をもって親しまれているものといえる。また、本願指定役務との関係においては、龍馬を記念した各種イベントが各地で催されている実情が認められ、日本の多くの人々に親しまれていることが伺えるところ、このような著名な歴史上の人物名を含む本願商標について、『坂本龍馬』との関係が認められない一私人である出願人が、独占的権利である商標権を取得し、その指定役務について使用することは、公正な取引秩序を害するおそれがあり、また、地域の振興を妨げることにもなりかねず、社会公共の利益に反するというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「龍馬よさこい」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「龍馬」の文字は、「坂本龍馬」が幕末に大政奉還に尽力した幕末の志士であり、「龍馬」と略称される場合も少なからずあるから、当該志士を想起するものといえる。
また、その構成中「よさこい」の文字は、高知県発祥の「よさこい祭り」に類する、踊りを主体とする祭りの略称であると認められる。
ところで、歴史上の著名な人物について、それを地域共有の財産として、その名称を使用して公益的な施策等を行う場合があり、その場合にその名称を指定役務等について、その人物と無関係の者等が独占的に使用することは、その公益的な施策の遂行を阻害し、公共的利益を損なう結果になりうるが、商標の一部にその人物名を使用する場合は、直ちにその指定役務について、その人物名を独占的に使用することにならず、その施策を阻害するものとはいうことはできない。
そこで、本願商標についてみると、本願商標は、前記のとおり、「龍馬」の文字を有してなるものの、「龍馬よさこい」の文字は同書・同大で外観上まとまりよく一体に構成され「坂本龍馬のよさこい祭り」程の意味合いを認識させるものであって、単に当該人物を認識させるものということはできないから、直ちにその指定役務について、その人物名を独占的に使用することにならず、その施策を阻害するものとはいうことはできない。
さらに、「龍馬よさこい」の文字は、新聞記事情報によると以下の(1)ないし(5)のとおり、本願商標が請求人の主催するイベントの名称として、2008年(平成20年)より使用されている事実がある。

<新聞記事情報>
(1)「志士へ届け郷里の舞 霊山護国神社の龍馬祭/京都府」(2008年11月16日 朝日新聞)の見出しのもと、「幕末に活躍した坂本龍馬の命日の15日、龍馬と中岡慎太郎2人の墓所がある京都霊山護国神社(東山区)で『龍馬祭』があった。今年は初めて約320人の大学生が華やかな『よさこい踊り』を奉納し、…『龍馬よさこい』は、…関西一円から16組が参加することになった。」との記載がある。
(2)「『龍馬よさこい』全国から1700人 きょうから3日間 京都/京都府」(2010年11月13日 朝日新聞)の見出しのもと、「坂本龍馬の命日である11月15日に合わせ、大学生らが舞を披露する『龍馬よさこい10』が13日、京都3条会商店街(中京区)などで始まる。15日までの3日間、全国から約1700人が参加する。全国の大学などから43チームが参加。…龍馬の墓がある京都霊山護国神社(東山区)で15日にある『龍馬祭』の奉納演舞と位置づける。会場は、同神社(14、15日)のほか、JR2条駅前(13日)、JR京都駅前(14日)など。…」との記載がある。
(3)「[京の深層]駆け抜けた龍馬ブーム にぎわい持続 知恵絞ろう=京都」(2010年12月20日 読売新聞)の見出しのもと、「龍馬の墓がある京都霊山護国神社。11月15日の命日祭に訪れるファンらは、以前は多くても1000人ほどだったが、ブームが起こり始めた昨年は約3000人に増加。今年も昨年と同じ約3000人だったが、…命日に合わせては、同神社などで、大学生らが2年前から『龍馬よさこい』というイベントを開催しており、…」との記載がある。
(4)「よさこい踊り:2条城で大学生が披露 龍馬祭を前に/京都」(2012年11月11日 毎日新聞)の見出しのもと、「幕末の志士、坂本龍馬の命日の15日を前に、京都市中京区の世界遺産・2条城などで10日、関西の大学生らが『よさこい踊り』を披露した。11日は龍馬の墓と盟友、中岡慎太郎の墓がある東山区の霊山護国神社などで行われる。京都の大学生らでつくる『龍馬よさこい12実行委員会』主催。…2日間で全国48団体約4000人が出場する。」との記載がある。
(5)「息ぴったり『龍馬よさこい』きょうまで/京都府」(2013年11月10日 朝日新聞)の見出しのもと、「幕末の志士・坂本龍馬の命日を前に大学生らが舞を披露する『龍馬よさこい』が9日、京都市内で始まった。市内各地で10日まで、府内外から集まったのべ約4千人が、…龍馬の墓がある京都霊山(りょうぜん)護国神社(東山区)では毎年、命日の11月15日に「龍馬祭」が開かれる。故郷・土佐(高知県)ゆかりの踊りで若者のエネルギーを示そうと始まった『龍馬よさこい』は5年前から奉納演舞と位置づけられている。同神社では正午から、約30組が披露。…10日は京都霊山護国神社や新風館(中京区)、京都3条会商店街(同区)、JR京都駅前広場(下京区)で演舞がある。」との記載がある。

以上を総合して判断すると、本願商標は、請求人がこれをその指定役務に使用しても、「坂本龍馬」に係る公益的な施策の遂行を阻害することにはならないし、請求人主催のイベントの名称として親しまれているものというべきである。
したがって、本願商標をその指定役務に使用することが、社会の公共の利益に反し、かつ、公正な競業秩序を害するものであるとして、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとした原査定は妥当ではなく、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2015-02-03 
出願番号 商願2012-45887(T2012-45887) 
審決分類 T 1 8・ 22- WY (W41)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大澤 恒介山本 敦子 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 網谷 麻里子
前山 るり子
商標の称呼 リョーマヨサコイ、リューマヨサコイ、リョーマ、リューマ、ヨサコイ 
代理人 辻本 一義 

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