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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0925
審判 全部申立て  登録を維持 W0925
審判 全部申立て  登録を維持 W0925
管理番号 1296309 
異議申立番号 異議2014-900145 
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-02-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-05-16 
確定日 2015-01-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5649735号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5649735号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5649735号商標(以下「本件商標」という。)は、「MUSTANG」の欧文字を標準文字により表してなり、平成25年10月9日に登録出願され、第9類「スニーカータイプの安全靴」及び第25類「履物」を指定商品として、同26年1月23日に登録査定、同年2月14日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4393742号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成5年12月20日に登録出願され、第25類「被服」を指定商品として、平成12年6月23日に設定登録され、その後、同22年5月18日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号、同項第7号及び同項第8号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証(枝番を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の著名性
申立人は、引用商標の商標権者であって、1932年にルイス・ハーマンが創業し、米国以外で初めてジーンズを製造した欧州のジーンズメーカーとして知られ(甲第3号証の1ないし4)、世界的に著名である。
我が国では、引用商標を使用した多種の被服及び靴が販売されている(甲第5号証及び甲第6号証)。広告中の「秋冬のマストアイテム、コーデュロイのMUSTANG」の記載からわかるように、引用商標を使用したジーンズが必需品とまで評価されている(甲第7号証)。また、「MABO JEANSのブーツカットモデル【type MUSTANG】です。」と広告されている商品は、申立人とはまったく関係がない(甲第8号証)。【type MUSTANG】の語は、本物の「MUSTANG」ではなく、恰好だけ「MUSTANG」に似せた商品を意味するものである。取引者が引用商標に化体した信用・名声及び顧客吸引力に便乗するほどの著名性を、引用商標が有しているといえる。
(2)本件商標と引用商標との類似性の程度
本件商標と引用商標は、同一の文字列のうち、「M」と「G」の文字だけ書体を変えて表したものであるから、酷似するということができる。
(3)本件商標の指定商品と引用商標が使用されている商品との関連性
本件商標の指定商品中、第25類「履物」と、引用商標が使用されている「ジーンズ製被服」は、いずれもファッション関連の商品であり、需要者を共通とするものである(甲第9号証及び甲第10号証)。
本件商標の指定商品中、第9類「スニーカータイプの安全靴」も、引用商標が使用されている「ジーンズ製被服」と、需要者及び販売場所を共通とするものである(甲第11号証)。
このように、本件商標の指定商品は、いずれも、引用商標が使用されている商品と関連性の程度が極めて高いものである。
(4)取引の実情
本件商標が現実に使用されている商品は、「今までになかったカジュアル風の長網タイプのブーツタイプ安全靴」であり、「デザインはかなりカッコいい」、ファッション性の高いものである。しかも、この商品は、「普段履きでもイケちゃいますね。ジーンズにはよく合う」ものである(甲第12号証)。また、「EDWIN」、「Wrang1er」等のジーンズメーカーも、安全靴を販売している(甲第13号証)。
したがって、本件商標に接する取引者、需要者は、これが使用された商品も、ジーンズの「MUSTANG」と関係があるのではないかと誤認するおそれがある。
(5)混同を生ずるおそれ
以上を総合勘案すると、本件商標をその指定商品について使用する場合には、これに接する取引者、需要者は、ジーンズ製被服について周知著名となっている引用商標ないしは申立人を連想、想起することは必定であって、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべきである。
2 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件は、前述のとおり、申立人がジーンズ製被服のメーカーとして知られていること、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示する商標としで取引者・需要者に広く知られていること、本件商標の指定商品は、引用商標が使用されている商品と関連性の程度が極めて高い商品であること、本件商標が使用されている商品分野にはジーンズ製被服のメーカーが多数参入していることなどを併せ考慮すると、本件商標の商標権者が引用商標ないしは申立人の存在を知らなかったものとはいい難く、本件商標は、引用商標と同一の文字列を表すことにより、本件商標に接する取引者、需要者に引用商標を連想、想起せしめ、引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する不正な目的で採択・出願し登録を受けたものといわざるを得ない。
そして、本件商標をその指定商品に使用する場合には、引用商標の出所表示機能が希釈化(ダイリューション)され、引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力、ひいては申立人の業務上の信用を毀損させるおそれがあることから、本件商標は、商標を保護することにより、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護するという商標法の目的(商標法第1条)に反するものであり、公正な取引秩序を乱し、商道徳に反するものである。
以上のことから、本件商標は、引用商標が申立人の業務に係る商品を示すものとして周知著名であると承知の上で、引用商標に化体した信用・名声及び顧客吸引力に便乗し、不当な利益を得る等の目的をもって引用商標の特徴を模倣して出願し登録を受けたものといわざるを得ず、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、その登録を認めることは商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得るものではない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものというべきである。
3 商標法第4条第1項第8号該当性について
前記のとおり、ジーンズメーカーとして著名な「MUSTANG-Bekleidungswerke GmbH+Co.KG」は、「ムスタング社」と略称されており(甲第3号証)、「MUSTANG」も同社の略称として著名である。
そして、本件商標は、「MUSTANG-Bekleidungswerke GmbH+Co.KG」の著名な略称である「MUSTANG」を含むものであって、その登録について同社の承諾を得ていない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものというべきである。

第4 当審の判断
1 本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「MUSTANG」の欧文字を標準文字により表してなるところ、該欧文字は、「ムスタング(米国南西部の平原にいる小形の野生馬)」の意味を有する英語であると認められる。
そうすると、本件商標は、構成文字に相応して「ムスタング」の称呼及び観念を生じるものである。
2 引用商標について
引用商標は、前記第2のとおり、語頭の「M」と語尾の「G」を太字で表した「MUSTANG」の欧文字を横書きしてなるところ、該欧文字は、「ムスタング(米国南西部の平原にいる小形の野生馬)」の意味を有する英語であると認められる。
そうすると、引用商標は、構成文字に相応して「ムスタング」の称呼及び観念を生じるものである。
3 申立人及び引用商標について
申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)甲第3号証の1ないし4は、繊研新聞の記事であるところ、1997年6月16日付けには、「独ムスタング社 日本で会社設立へ、『ムスタング』など販売」の見出しの下、「ドイツ最大のジーンズメーカーであるムスタング社(ハイナー・セフラネック社長)は対日戦略を強化する。九九年までに日本にマーケティング会社を設立するとともに、すでに日本で販売しているデザイナーブランド『W&LT』に続いて、デザイナー系の『ヨープ・ジーンズ』と基幹ジーンズブランド『ムスタング』の日本での販売も計画している。」との記載、1998年7月31日付けには、「独ジーンズメーカ・ムスタンググループ『ムスタング』日本進出に意欲」の見出しの下、「ドイツの有力ジーンズメーカー、ムスタンググループは、基幹ブランド『ムスタング』のヨーロッパ及びアジア諸国での販売を広げ、国際ブランドとして育成していく。日本についても、『最良のパートナーと組んでより効果的な進出を計画している』・・・」との記載、2000年8月25日付けには、「【独『国際メンズ・ファッション・ウィーク』『インタージーンズ』】」の見出しの下、「・・・欧州メンズやジーンズ市場が今年に入って全体として回復傾向にあることも反映し、商談は全般に活発だった。・・・ドイツの大手メーカー、ムスタングのハイナー・ゼフラネック社長は『過去三年間減収が続いていたが、今年は上向いている。現時点の受注も良好で、今秋から来年にかけては増収が期待できる』とし・・・」との記載、1999年1月11日付けには、「メンズファッション、ジーンズ国際見本市 欧州50カ国から有力ブランド参加」の見出しの下、「主な出展企業はVFコーポレーション(「ラングラー」「リー」)、マルゾット、リプレイ、ムスタング、エドウィン、エスプリ、ペペ、ディーゼル、Gスターなど。」との記載がある。
また、2014年8月18日紙出力の楽天市場、同年8月15日紙出力のファブフォー、同年8月11日紙出力のマーボインターナショナルのウェブページにおいて、ジーンズ製ズボンやジーンズ製被服に引用商標や「ムスタング」の商標を使用しており(甲第5号証、甲第7号証及び甲第8号証)、さらに、2014年8月18日紙出力のSHOP ZIGExNのウェブページにおいて、靴・ブーツ・サンダルを取り扱っている(甲第6号証)。
(2)以上からすると、申立人は、ドイツのジーンズメーカーとして欧州においては相当程度知られ、日本において、1999年のジーンズ国際見本市に出展して商談をしジーンズ製被服を販売していることが認められるものの、1997年から2000年の間における年1回の新聞記事掲載内容は、主に日本進出を考えているジーンズメーカーの一としての紹介にとどまっている。
そうとすると、これらの各号証によっては、引用商標が使用されたジーンズ製被服等が本件商標の登録出願前に、我が国において、どの程度の取引量や売上高があったのかを把握することはできず、また、上記以外に、どのような手段でどの程度の宣伝広告がされたのかも把握することはできないものである。
ほかに、当審における職権に基づく調査によっても、引用商標が、本件商標の登録出願前に広く知られていたと認め得る事実を見いだすことはできない。
してみれば、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間で広く知られていたと認めることはできない。
4 商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用商標とは、その構成文字の態様が相違するとしても、「MUSTANG」の文字綴りを同一にする類似の商標といい得る。
しかしながら、前記3のとおり、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間で広く知られていたと認めることができない。
そして、本件商標の指定商品である、第9類「スニーカータイプの安全靴」及び第25類「履物」と、引用商標が使用されている「ジーンズ製被服」とは、ファッション関連の商品として需要者層及び販売場所等を一部共通にすることがあるとしても、その用途及び品質を異にする商品というべきである。
以上からすると、本件商標と引用商標とが互いに類似するとしても、引用商標が広く知られていないことからすれば、本件商標が使用された指定商品に接する取引者、需要者は、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第7号について
前記したように、引用商標は広く知られていたということはできないから、本件商標は、引用商標の信用、名声及び顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する不正な目的で採択・出願し登録を受けたものということはできないものである。
ほかに、本件商標が、国際信義に反し、あるいは、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合などに該当するということはできず、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ということはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
6 商標法第4条第1項第8号について
申立人は、ジーンズメーカーとして著名な「MUSTANG-Bekleidungswerke GmbH+Co.KG」が「ムスタング社」及び「MUSTANG」と略称され著名な略称である旨述べているが、前記3のとおり、申立人が使用する「MUSTANG」が著名でないことからすれば、本件商標が申立人の略称と認識し得ない。
そして、当審において職権をもって調査するも、「MUSTANG」が申立人の著名な略称であることを認め得る事実は発見できないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
7 まとめ
以上、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号、同項第7号及び同項第8号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標)



異議決定日 2014-12-24 
出願番号 商願2013-78858(T2013-78858) 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (W0925)
T 1 651・ 271- Y (W0925)
T 1 651・ 22- Y (W0925)
最終処分 維持 
前審関与審査官 平澤 芳行 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 前山 るり子
寺光 幸子
登録日 2014-02-14 
登録番号 商標登録第5649735号(T5649735) 
権利者 株式会社丸五
商標の称呼 ムスタング、マスタング 
代理人 岡田 稔 
代理人 曾我 道治 
代理人 堤 健郎 
代理人 鈴木 昇 
代理人 坂上 正明 
代理人 野田 雅士 
代理人 杉本 修司 
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