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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W20
審判 全部申立て  登録を維持 W20
審判 全部申立て  登録を維持 W20
審判 全部申立て  登録を維持 W20
審判 全部申立て  登録を維持 W20
管理番号 1296306 
異議申立番号 異議2014-900204 
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-02-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-07-23 
確定日 2015-01-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5666133号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5666133号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5666133号商標(以下「本件商標」という。)は、「シルフィー」の片仮名と「Sylphy」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成25年10月29日に登録出願、第20類「家具,つい立て,ベンチ」を指定商品として、同26年3月12日に登録査定、同年4月25日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由として引用する登録第4948923号商標(以下「引用商標」という。)は、「Sylphide」の欧文字と「シルフィード」の片仮名とを二段に横書きしてなり、平成17年9月30日に登録出願、第20類「家具(寝台を除く。)」を指定商品として、同18年4月28日に設定登録されたものである。

3 登録異議申立ての理由
申立人は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号について
引用商標は、申立人の業務に係る商品「事務用椅子」(以下「申立人商品」という。)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている(甲3ないし甲8)。
また、本件商標は、その構成文字に相応して、「空気の精」の観念及び「シルフィー」の称呼を生ずるもの(甲9の1ないし3)である一方、引用商標は、その構成文字に相応して、「空気の精」の観念及び「シルフィード」の称呼を生ずるもの(甲9の3及び4)であるところ、両商標は、「空気の精」の観念を共通にし、称呼も類似するものであって、外観においても、その構成文字の相当程度が共通するものであるから、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標というべきである。
さらに、申立人商品と本件商標の指定商品とは、同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、類似の商標であり、また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものであるから、これと類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

4 当審の判断
申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当するとするところ、その判断をするに当たり、便宜上、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かについてから検討する。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「シルフィー」の片仮名と「Sylphy」の欧文字とを二段に横書きしてなるものであるところ、甲第9号証の1及び2によれば、「sylph」の欧文字について、「空気の精、ほっそりした優美な女性(少女)」などを意味する英語(名詞)であり、その派生語である旨の「sylph・ish【形】sylph・y【形】」の記載があることが認められる(なお、「研究社 新英和大辞典」(第6版 2002年3月株式会社研究社発行)の「sylphy」の項目によれば、形容詞である旨の記載とともに、「sylphy=sylphlike」との記載があり、同じく、「sylphlike」の項目によれば、形容詞である旨の記載とともに、「空気の精(sylph)のような」との記載があり、同じく、「sylphish」の項目には、形容詞である旨の記載とともに、「sylphish=sylphlike」との記載がある。)ことからすれば、本件商標の構成中の「Sylphy」の欧文字部分は、既成の英語「sylph」の形容詞形といい得るものではあるが、これが、我が国において、家具の分野における取引者、需要者を始め、一般の需要者の間でよく知られたものとは認め難い。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成態様からして、上段に位置する「シルフィー」の片仮名部分を下段に位置する「Sylphy」の欧文字部分の読みを表したものとして看取、理解するものの、いずれの文字も特定の意味を有することのない一種の造語として認識するとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成文字に相応する「シルフィー」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を生ずることのないものである。
イ 引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「Sylphide」の欧文字と「シルフィード」の片仮名とを二段に横書きしてなるものであるところ、甲第9号証の4によれば、「sylphide」の欧文字について、「(女性の)空気の精」を意味するフランス語(名詞)であることが認められることからすれば、引用商標の構成中の「Sylphide」の欧文字部分は、既成のフランス語といい得るものであるではあるが、これが、我が国において、家具の分野における取引者、需要者を始め、一般の需要者の間でよく知られたものとは認め難い。
そうすると、引用商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成態様からして、下段に位置する「シルフィード」の片仮名部分を上段に位置する「Sylphide」の欧文字部分の読みを表したものとして看取、理解するものの、いずれの文字も特定の意味を有することのない一種の造語として認識するとみるのが相当である。
してみれば、引用商標は、その構成文字に相応する「シルフィード」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を生ずることのないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とは、それぞれ上記ア及びイにおいて述べたとおりの構成からなるところ、両商標は、その構成中の片仮名部分において、「ド」の文字の有無という差異がある上、その構成中の欧文字部分においては、「Sylph」の文字の後の綴りを「y」と「ide」と大きく異にするものであるから、外観上、十分に区別し得るものといえる。
また、本件商標から生ずる「シルフィー」の称呼と引用商標から生ずる「シルフィード」の称呼とを比較すると、両称呼は、末尾における「ド」の音の有無という差異があるところ、該差異音「ド」は、有声の破裂音であって、響きの強い音である上、長音に続くことにより、明瞭に発音されるといえることからすれば、その差異が称呼全体に及ぼす影響は少なくなく、それぞれを一連に称呼するときは、語感、語調が相違し、互いに聴き誤るおそれはないとみるのが相当である。
さらに、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生ずることのないものであるから、観念上、両商標が相紛れるおそれがあるということはできない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 小括
上記したことによれば、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について
ア 引用商標の周知著名性
(ア)申立人の主張並びに甲第3号証ないし甲第5号証の2及び甲第8号証を総合すると、引用商標を付した申立人の製造、販売に係る事務用椅子(申立人商品)は、2006年(平成18年)1月に発売されたこと(甲3)、申立人は、2006年(平成18年)から2014年(平成26年)に至るまで、申立人の取扱いに係る商品の総合カタログを発行し、該総合カタログには、申立人商品も掲載されていたこと(甲4の1ないし9)、また、申立人商品は、2011年(平成23年)及び2012年(平成24年)に、申立人以外の者が発行するオフィス用品の総合カタログにおいて、事務用椅子の一つとして掲載されたこと(甲5の1及び2)、申立人商品の販売台数及び売上金額は、例えば、2012年度(2012年4月から2013年3月まで)が7,353台及び約8,566万円、2013年度(2013年4月から2014年3月まで)が6,444台及び約7,830万円であり、発売開始から2014年3月までの約8年間における累計では、それぞれ74,492台及び約8億2,230万円であったことが認められる。
なお、申立人は、申立人以外の者が、インターネットを通じて、申立人商品を通信販売又は紹介している事実を示す証拠(甲6の1ないし5)及び申立人の公式会員サイトにおいて申立人商品を紹介している事実を示す証拠(甲7)を提出しているが、これらのうち、甲第6号証の4(2009年(平成21年)10月23日に取扱いを開始した旨の記載あり。)を除き、その掲載時期が明らかでない(甲6の1ないし5は、いずれも2013年(平成25年)12月17日に紙出力されたものである。)から、これら(甲6の4を除く。)が、本件商標の登録出願日(平成25年10月29日)前に掲載された証拠であると認めることができない。
(イ)上記(ア)で認定した事実によれば、申立人が、本件商標の登録出願前において、申立人商品について広告をしたと認められる証拠は、主として申立人の取扱いに係る商品を掲載した総合カタログのみであり、しかも、同カタログは、申立人商品が掲載されているページ数に照らせば、申立人の取扱いに係る多数の商品が掲載されていると推認されるところ、申立人商品は、そのような多数の掲載商品のうちの一つとして掲載されていたにすぎないものである。
また、申立人以外の者が発行するオフィス用品のカタログにおいても、申立人商品は、事務用椅子の一つとして、同業他社の商品と一緒に掲載されたにすぎないものである。
その他、申立人が、申立人商品について、新聞や雑誌等を介して盛大に宣伝広告をしたなどと認めるに足りる証拠の提出はない。
してみると、申立人の提出した証拠方法をもってしては、引用商標が、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の家具の分野における取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標との類似性
本件商標と引用商標とは、上記(1)において認定したとおり、非類似の商標であって、十分に区別し得る別異の商標というべきものである。
そして、申立人の主張及びその提出に係る証拠方法を総合してみても、本件商標をその指定商品に使用した場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき特段の事情は見いだせない。
ウ 小括
引用商標は、上記アのとおり、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の家具の分野における取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものであり、また、本件商標と引用商標とは、上記イのとおり、非類似の商標であるから、本件商標は、その指定商品が引用商標の使用に係る商品と同一又は類似するものであるとしても、商標法第4条第1項第10号に該当するものとはいえない。
さらに、上記したことによれば、本件商標に接する取引者、需要者が、引用商標を想起又は連想することはないというべきであるから、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれのある商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2014-12-25 
出願番号 商願2013-84792(T2013-84792) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W20)
T 1 651・ 263- Y (W20)
T 1 651・ 262- Y (W20)
T 1 651・ 25- Y (W20)
T 1 651・ 271- Y (W20)
最終処分 維持  
前審関与審査官 岩崎 安子 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 手塚 義明
田中 敬規
登録日 2014-04-25 
登録番号 商標登録第5666133号(T5666133) 
権利者 株式会社岡村製作所
商標の称呼 シルフィー、シルフィ 
代理人 特許業務法人創成国際特許事務所 
代理人 松沼 泰史 
代理人 志賀 正武 
代理人 高柴 忠夫 

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