• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W12
管理番号 1296301 
異議申立番号 異議2014-900132 
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-02-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-05-01 
確定日 2015-01-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5648566号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5648566号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5648566号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成25年10月7日に登録出願、第12類「自走式大型キャンピングカー,キャンピングカー,その他の自動車並びにその部品及び附属品」を指定商品として、同26年1月20日登録査定、同年2月7日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 国際登録第806141号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2003年(平成15年)1月2日に、Franceにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、2003年(平成15年)5月19日に国際商標登録出願、第4類「Petroleum (crude or refined), petroleum jelly for industrial purposes; solid,liquid and gaseous fuels; carburants;gas and liquefied petroleum gas;lubricants; industrial oils and greases; paraffins and waxes; lighting fuel; non-chemical additives for carburants, fuels and lubricants.」のほか第1類、第5類、第17類、第19類、第35類ないし第37類、第39類、第40類、第42類及び第43類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成16年11月26日に設定登録され、その後、2013年(平成25年)5月19日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
2 国際登録第813234号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、2003年(平成15年)4月17日に、Franceにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、2003年(平成15年)9月2日に国際商標登録出願、第4類「Petroleum (crude or refined), petroleum jelly for industrial purposes; solid,liquid and gaseous fuels; carburants;gas and liquefied petroleum gas;lubricants; industrial oils and greases; paraffins and waxes; lighting fuel; non-chemical additives for carburants, fuels and lubricants.」のほか、第1類、第5類、第17類、第19類、第35類、第37類、第39類、第40類、第42類及び第43類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成17年8月12日に設定登録され、その後、2013年(平成25年)9月2日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
なお、引用商標1及び2をまとめていうときは、以下「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するから、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 申立人及び引用商標の周知性
(1)申立人は、フランスのパリに本部を置く民間の総合石油エネルギー企業であり、国際石油資本であって、スーパーメジャーと呼ばれる6社の内の一つであり、申立人を中心とするトタルグループのリーディングカンパニーである(甲4及び甲5)。
(2)トタルグループは、世界第5位の石油及び天然ガスの総合的国際的な企業グループであり、世界130か国以上で業務を行なっており、その従業員は9万7000人を超える。
(3)トタルグループは、多くの石油関連製品を製造し、販売しているが、なかでも、申立人が製造し、申立人のハウスマーク「図形十TOTAL」(引用商標2)及びプロダクトマーク「QUARTZ」の下に販売する潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)(以下「潤滑油等」という。)は、フランスの世界的な自動車メーカーであるプジョー社及びシトロエン社の指定するエンジンオイルであり、国際的な拡がりを有する潤滑油等であり、トタルグループは、我が国を含め、世界中でこれらの商標の下での販売促進のため極めて大きな努力をしてきている(甲6)。
また、引用商標2の下に販売する燃料添加剤(エンジンクリーナー)も、国際的な拡がりを有する燃料添加剤であり、トタルグループは、我が国を含め、世界中で引用商標2の下での販売促進のため極めて大きな努力をしてきている。
我が国においては、東京都港区赤坂4丁目に本店を有するトタル・ルブリカンツ・ジャパン株式会社(以下「トタルジャパン社」という。)が販売している(甲4、甲6及び甲7)。同社は、我が国において広く積極的に告知広告をしている。
(4)引用商標2に至るトタルグループの商標の変遷は、2003年、広く周知となっている商標の名称に戻るべく、同年5月、トタルグループはその名称を“TOTAL”に変更し、その新しい門出と未来を表現する新しいビジュアル・アイデンティティとして、引用商標2を採用した。
明るくオープンな新シンボルは、エネルギーは単にこの地球のエネルギーを意味するものではなく、人類の叡智と相互交換の賜物である、とのコンセプトを表現している。以後、引用商標は、トタルグループにより世界中で使用され、世界中で周知となった。
(5)申立人は、我が国をはじめ全世界で「図形」からなる引用商標1、引用商標2及び引用商標1に酷似した商標を第1類ないし第45類に、961件登録している(甲8の1及び2)。
(6)したがって、「TOTAL」は、我が国において、「TOTAL」の社章として、及び申立人の潤滑油を含む様々な石油製品及び関連する役務の商標として本件商標の登録出願前より周知である。
また、引用商標1及び引用商標2は、特に引用商標2の図形は、我が国において、申立人が製造し我が国においてトタルジャパン社が販売する潤滑油等の商標として本件商標の登録出願前より周知である。
また、引用商標2及びその構成要素である「TOTAL」及び「図形」は、申立人が製造し、我が国においてトタルジャパン社が販売する燃料添加剤の商標として、周知である。
(7)引用商標1及び引用商標2が申立人の製造する潤滑油等に使用する商標として我が国において本件商標の登録出願前より周知であることは、以下の事からも明白である。
ア Yahoo!JAPANで「QUARTZTOTAL」で日本語の頁のみで検索した結果であるが、約369,000ものヒットがある(甲8及び甲9)。
「TOTAL」の社標(引用商標2)、と「QUARTZ」の商標(プロダクトマーク)を付した潤滑油等が表示され、紹介されている(甲10の1ないし9)。
イ トタルジャパン社の2005年から2014年にかけての申立人の潤滑油等や燃料添加剤の自動車愛好家向けの雑誌などへの広告には、引用商標2が表示されている(甲11の1ないし61)。
ウ 引用商標2を使用したTOTAL製の潤滑油等は、1985年以来日本に輸入販売されており、最近4年間の売上高は、以下のとおり大きなものである。
2009年 1億4415万円
2010年 1億7680万円
2011年 2億1294万円
2012年 2億1952万円
引用商標2を使用した申立人の潤滑油等は、日本において850もの店で取扱われている(甲7)。
エ 以上のとおり、申立人の引用商標(特に引用商標2の図形)は、潤滑油等に使用する商標として我が国において需要者の間に本件商標の登録出願前から周知である。
2 本件商標と引用商標との類似性
(1)本件商標は、その構成態様から、図形部分の黒地の楕円の中に楕円の周を這うように配した白抜きの細長い帯状の図形は、見る者の注意を強く惹く部分であり、図形部分が本件商標の要部であることは、明白である。
(2)引用商標1は図形からなる。引用商標2は、図形とToTALとからなるが、図形は、看者の注意を強く惹き、引用商標2の要部である。
(3)本件商標の図形部分においても、引用商標1及び引用商標2の図形部分においても、横に走る帯状の図形が二つづつある。
本件商標においては、かかる帯状の図形は、黒地に白抜きであり、非常に目立ち、見る者の注意を強く惹く。
また、引用商標1においても、帯状の図形は、濃度を異にし、目立つように配されている。
引用商標2においては、帯状の図形は、白地に赤、青、橙色に着色してあり、非常に目立ち、見る者の注意を強く惹く。
そして、本件商標の図形部分においても、引用商標1においても、引用商標2の図形部分においても、縦に走る帯状の図形が一本づつある。
しかも、横に走る二本の帯状の部分及び縦に走る一本の帯状の図形において、いずれも、先端が尖っている。
(4)本件商標の要部である図形部分と引用商標1及び引用商標2の要部である図形部分とを対比すると、上述のように図形のデザインとして具体的な部分において共通し、両者は類似する。
本件商標の図形部分において、縦に走る帯状の図形が左向き(左寄り)であり、引用商標1及び引用商標2の図形部分において、縦に走る帯状の図形が右向き(右寄り)である等、微細な点における相違はあるが、上述の共通する要素が見る者に与える影響力を比べると取るに足らないものである。
(5)本件商標の図形部分並びに引用商標1及び引用商標2の図形部分の上述のような構成上の共通点は、偶然に生じ得るものではない。
申立人は、引用商標1及び引用商標2の図形部分に構成上酷似した商標を、OHIMに第1類ないし第5類、第9類、第11類、第16類、第17類、第19類及び第35類ないし第43類に、登録しているが、本件商標は、申立人の上記商標の構成上の特徴及び無彩色からなるという特徴をそっくり備えており、意図的に真似なければ、かかる類似は、生じ得ないものである。
他方、上述の、縦に走る帯状の図形の左向き(左寄り)(本件商標中の図形部分)及び右向き(右寄り)(引用商標1及び引用商標2の図形部分)の差異及びその他の微細な差異は、逆に、「そっくり真似した」と指摘されるのを恐れて、敢えて少しづつ構成を「いじった」と解する外ない。
(6)要するに、引用商標1又は引用商標2にある時ある場所で接した者が本件商標に別の時別の場所で接したときに、自然に引用商標1又は引用商標2を想起連想するものであり、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、相互に類似する商標である。
3 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との密接関連性
引用商標の指定商品中「潤滑油」は、自動車の整備用の商品であり、「メーカー→流通業者→サービスステーション及び自動車の愛好家」の経路で流通するものであり、自動車と密接に関連するものである。
そして、本件商標の指定商品は、「自走式大型キャンピングカー,キヤンピングカー,その他の自動車並びにその部品及び附属品」であるから、本件商標の指定商品は、引用商標1及び引用商標2の指定商品中「潤滑油」と密接に関連するものである。
4 まとめ
以上からすると、引用商標は、我が国において、申立人の製造に係る潤滑油に使用する商標として周知である。
また、本件商標の図形部分は、引用商標の図形部分とは、その構成において酷似するものである。
さらに、本件商標の指定商品と「潤滑油」とは、密接に関連する商品である。
したがって、本件商標が上記指定商品に使用されたときは、該商品が申立人又は申立人と経済的に関連する者が提供する商品であるとの誤認混同を生じさせるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 本件商標と引用商標に類似性について
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、黒地の横長楕円図形の中に、白抜きで、帯様の図形を縦横に交差しつつ配し、その帯様図形中央の隙間部分に、白抜きで「TIFFIN」の欧文字と「MOTORHOMES」の欧文字を上下二段に表してなる構成からなるところ、かかる構成全体から、看者に視覚上まとまりよく一体的に表された印象を与えるものである。
そして、該図形部分は、特定の称呼及び観念を生ずるとはいい難く、これに対し、欧文字部分は、図形部分より印象に残り注目しやすいことから、「TIFFIN」「MOTORHOMES」の欧文字部分を捉え、これより生ずる「ティフィンモーターホームズ」の称呼をもって取引にあたる場合も決して少なくないと認められるものである。
してみれば、本件商標は、該構成文字に相応して「ティフィンモーターホームズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないとみるのが相当である。
(2)引用商標について
引用商標1は、別掲2のとおり、先端が細く尖った濃淡の差を有する3色の灰色の帯様の図形を縦横に交差しつつ、中心軸がやや斜めになった円になるように全体が丸みを帯びた構成からなるところ、該図形部分からは、特定の称呼及び観念は生じないものというべきである。
引用商標2は、別掲3のとおり、引用商標1の図形に紺色、青色、赤色などで配色し、その下に「TOTAL」の欧文字を赤書きで表した構成からなるところ、図形部分と欧文字部分は視覚上分離して看取され、また、図形部分と欧文字部分とが常に一体不可分のものとして把握されるというべき特段の事情も見いだすことができないものであるから、引用商標2は、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものと判断するのが相当である。
そうとすると、引用商標2は、その構成中の「TOTAL」の欧文字部分を自他商品の識別標識と捉え、これより生ずる「トータル」の称呼をもって取引にあたる場合も決して少なくないものと認められる。
してみれば、引用商標2は、「トータル」の称呼を生じ、「全体的」の観念を生じるというのが相当である。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標の図形部分と引用商標1及び2の図形部分とを比較すると、両者は、前記したとおり、その構成において明らかな違いがあり、外観上相紛れるおそれのない別異の図形といえるものである。
してみれば、上記図形を構成とする本件商標と引用の各商標とは、十分に区別することができる非類似の商標である。
2 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性
申立人の主張及び同人の提出に係る証拠方法によれば、引用商標は、プジョー社やシトロエン社などのヨーロッパ車向けの高性能のエンジンオイルであることが唱われ(甲6)、潤滑油等に関する広告(甲11)が認められるとしても、それらは主に自動車愛好家やモータースポーツファン向けの雑誌であって、限られた範囲の需要者とみるのが相当である。さらに、引用商標が使用されている潤滑油等についてみれば、これは、自動車の保守・管理に使用されるものであり、一般の需要者は、その交換や補充を、自動車のサービスステーションやディーラーに依頼し、その事業者により、引用商標の商品が使用されることが主であって、一般の需要者が、自家用車の保守・管理のためにプジョー社やシトロエン社などのヨーロッパ車向けの高性能のエンジンオイルを自ら当該商品を購入して使用することは少ないというのが相当である。
そして、引用商標が使用された潤滑油等の売上高についても、他の同種商品との比較やランキングにおいて上位に位置していることを確認できる証拠の提出はなく、職権をもって調査しても、引用商標が使用された潤滑油等の売上高が上位を占めていると推認し得る事実を把握することはできない。
そうとすれば、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が自動車愛好家やモータースポーツファンの間においては一定程度知られているとしても、本件商品の需要者の間にまで、その周知度が及んでいるとはいえないとみるのが相当である。
これに加え、本件商標と引用商標とは、前記1(3)のとおり、十分に区別し得る別異の商標というべきものであって、ほかに商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき特段の事情も見いだせないものである。
してみれば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起することはなく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標1)


別掲3(引用商標2)

(色彩については、原本参照。)


異議決定日 2014-12-26 
出願番号 商願2013-77987(T2013-77987) 
審決分類 T 1 652・ 262- Y (W12)
最終処分 維持  
前審関与審査官 波方 美奈子 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 寺光 幸子
前山 るり子
登録日 2014-02-07 
登録番号 商標登録第5648566号(T5648566) 
権利者 ティフィン モーターホームズ インク.
商標の称呼 ティフィンモーターホームズ、ティフィン、モーターホームズ、ホームズ 
代理人 古木 睦美 
代理人 若林 擴 
代理人 佐藤 雅巳 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ