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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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異議2014900218 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 |
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管理番号 | 1296300 |
異議申立番号 | 異議2014-900128 |
総通号数 | 182 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2015-02-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2014-05-07 |
確定日 | 2015-01-08 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5646036号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5646036号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5646036号商標(以下「本件商標」という。)は、「Chrome Clay Mask」の欧文字を標準文字により表してなり、平成25年9月5日に登録出願、第3類「美容用のクレイを配合したパック用化粧品,せっけん類,歯磨き,香料,薫料」を指定商品として、同26年1月14日に登録査定、同月31日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録第4215299号商標(以下、「引用商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、1996年2月26日にベネルクス国においてした商標の登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、平成8年8月23日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品」を指定商品として、同10年11月27日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号並びに同法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号該当性 (1)本件商標及び引用商標において、「Chrome」の文字部分及び「CHROME」の文字部分は、それぞれ要部である。 ア 「Clay Mask」とは、美容成分を含むClay(=粘土)状の化粧品であって、顔などにMask(=仮面)のようにパックすることのできる化粧品の意味である(甲3及び甲4)。いわゆるパック用化粧品の一種である。 「Clay Mask」及び「クレイマスク」が需要者の間に広く知られていることは、明らかである(甲5ないし甲8)。 すなわち、「Clay Mask」は、パック用化粧品の一種であることを示す用語であり、商品の品質を示すものであるから、識別力を欠くものである。 よって、本件商標においては、「Chrome」の文字部分が要部である。 イ 引用商標は、別掲のとおり、四角の図形の中に、上端に「CHROME」の文字を配し、下端に「AZZARO」の文字を配したものであるが(甲1)、「CHROME」の文字と「AZZARO」の文字とは、大きな間隔を置いて配してあるから、引用商標において、「CHROME」の文字部分も「AZZARO」の文字部分も要部である。 (2)本件商標は、引用商標と類似する。 ア 本件商標の要部「Chrome」と引用商標の要部「CHROME」とを対比すると、両者は、同一のアルファベットの文字であり、外観において類似する。 そして、「クローム」の称呼を生じ、「クローム」の観念を生ずる 両者は、英語の「CHROME」からなる商標である。よって、本件商標の要部「Chrome」と引用商標の要部「CHROME」とは、称呼及び観念においても、類似する。 よって、本件商標は、引用商標と類似する。 イ 引用商標中の「CHROME」の文字部分は、強い識別力を有する。 すなわち、引用商標中の「AZZARO」の文字部分は、フランス人のデザイナーLorisAZZAROが起ち上げた香水、オードトワレ、オーデコロン等の化粧品及び衣類のブランドであり(甲9及び甲10)、「CHROME」は、「AZZARO」のオードトワレの商標として、周知であり、強い識別力を有する(甲10ないし甲18)。 したがって、本件商標は、引用商標と類似する。 (3)本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と類似する。 本件商標の指定商品中、「美容用のクレイを配合したパック用化粧品」、「せっけん類」及び「香料」は、引用商標の指定商品「せっけん類」、「香料類」及び「化粧品」と類似する。 (4)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第3条第1項第3号該当性 (1)本件商標は、その構成中、「Clay Mask」の文字部分が商品の品質を示すものであり、識別力を欠くものであることは、上述したとおりである。 (2)また、その構成中、「Chrome」の文字部分は、英語の「chrome」の語であり、「クロム」を意味する(甲19)。 そして、「クロム」は、原子番号24の金属を意味し(甲20)、かかる意味の英語「chrome」及び日本語「クロム」は、我が国において周知である。 また、「クロム」は、「クロム」の化合物である「酸化クロム」として化粧品に色付けをするために広く用いられており(甲21)、同じく「クロム」の化合物である「水酸化クロム」は、顔料として用いられ、水酸化クロムを配合する化粧品が238件も数えるほど広く用いられている(甲22)。 (3)すなわち、クロムを成分とする化合物は、化粧品に広く用いられており、「クロム」は、化粧品についてその成分を表示する語である。 (4)よって、本件商標は、「クロムを成分とする美容用のクレイを配合したパック用化粧品」を意味する標章であり、本件商標の指定商品中「美容用のクレイを配合したパック用化粧品」の品質を表すものである。 (5)よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 3 商標法第4条第1項第16号該当性 (1)上記2のとおり、本件商標の構成中の「Clay Mask」は、パック用化粧品の一種を示す品質表示語として、広く知られている。 (2)したがって、本件商標を、その指定商品中「せっけん類,歯磨き,香料,薫料」について使用するときは、化粧品の一種を示す標章を化粧品以外の商品に使用することになるから、商品の品質を誤認させるおそれがある。 (3)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。 第4 当審の判断 申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号、同法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであると主張しているので、以下、検討する。 1 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標について 本件商標は、前記第1のとおり、「Chrome Clay Mask」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「Chrome」の文字は「クロム、鉄族の金属元素の一」の意味を有し(広辞苑第六版)、「Clay」の文字は「粘土」の意味を有し、「Mask」の文字は「覆面、面」の意味を有する(いずれもランダムハウス英和大辞典)ものであるところ、化粧品を取り扱う業界においては、Clay(=粘土)状の化粧品であって、顔などにMask(=仮面)のようにパックする化粧品を意味する語として「Clay Mask」の文字が使用されていることが認められ(甲3)、その表音文字である「クレイ マスク」の文字も、「Clay(クレイ)を配合したパック用化粧品」を意味する語として使用されていることが認められる(甲5ないし甲8)。 してみれば、本件商標は、その構成文字全体としては、「クロムクレイマスク」の称呼が生じ、たとえ、構成する各文字が上記の意味を有するとしても、その構成全体としては特定の意味合いが生じるとはいえないものである。また、本件商標は、その構成中の「Clay Mask」の文字部分が本件商標の指定商品である「美容用のクレイを配合したパック用化粧品」との関係において、自他商品の識別機能を果たすことができないものであるから、その構成中の「Chrome」の文字部分が独立して自他商品の識別機能を果たす場合もあるところ、その場合には、該文字部分に相応して「クロム」の称呼、及び「鉄族の金属元素の一種であるクロム」(甲19及び甲20)の観念を生じるものである。 (2)引用商標について 引用商標は、別掲のとおり、角に丸みを帯びた矩形輪郭図形内の上辺に沿うように「CHROME」の欧文字を、下辺に沿うように「AZZARO」の欧文字をそれぞれ横書きで表してなるものである。そして、両欧文字とも該矩形輪郭図形内に軽重の差なく配置されており、両欧文字の一方が、引用商標の指定商品の出所を示す識別標識として強く支配的な印象を与えるとみるべき態様のものということはできず、また、一方が、その指定商品との関係で要部とみるべき理由や事情も見当たらない。 そうであれば、引用商標は、一体的に把握され、構成文字全体から「クロムアザロ」と一連に称呼され、「AZZARO」の文字部分は辞書等に掲載されることのない造語とみられることから、引用商標全体としては特定の観念は生じないものである。 この点に関して、申立人は、引用商標は四角の図形の中に、上端に「CHROME」の文字を配し、下端に「AZZARO」の文字を配し、両文字は、大きな間隔を置いて配してあるから、引用商標において、「CHROME」の文字部分も「AZZARO」の文字部分も要部である旨主張している。 しかしながら、商標は、特段の理由や事情がない限り全体として観察され、把握されるというのが相当であり(平成20年9月8日 最高裁第二小法廷判決 平成19年(行ヒ)第223号 最高裁ホームページ)、両文字が矩形輪郭図形内に、上下に間隔を空けて配置されていることのみをもって、それぞれの語が全体から分離されるとの主張は採用することはできない。 さらに、申立人は、「『CHROME』は、『AZZARO』のオードトワレの商標として、周知であり、強い識別力を有する。」と主張し、甲第10号証ないし甲第17号証を提出している。 しかして、提出された甲各号証によれば、インターネットのウェブサイトにおいて、「アザロ(AZZARO)」、「アザロ クローム オーデトワレ」若しくは「クロム EDT」との商品の情報とともに、オードトワレの商品と引用商標が付された包装箱が掲載されている。 そして、これらの甲各号証において、引用商標が、商品「オードトワレ」の商標として使用されていることは認められるものの、「CHROME」の文字のみをもって、商品「オードトワレ」の商標として使用されている事実を認めることはできないものであるから、「CHROME」の文字が使用された結果、周知となっているということはできないものである。 また、甲第18号証(和訳文)には、「1.日本国における“CHROME”商品の販売開始年」として「2010年12月」の記載、「2.過去5年間における“CHROME&Azzaro”の売上高」として、「2010年 1,248,000円、2011年 7,806,000円、2012年 35,675,000円及び2013年 18,921,000円」の記載、「3.Azzaro商品の日本国での販売店舗数」として「約300店舗」等の記載がされているものであるが、この号証からは、ここにおける取引が、「CHROME」の文字のみをもってなされたことを確認することはできない。 よって、引用商標の構成中の「CHROME」の文字が「AZZARO」のオードトワレの商標として周知であり強い識別力を有するとの、上記の申立人の主張は採用することはできない。 (3)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について 本件商標と引用商標とは、それぞれの構成及び態様に照らせば、明らかな差異を有するものであるから、外観においては明確に区別し得るものである。 次に、称呼においては、本件商標から生じる「クロムクレイマスク」又は「クロム」の称呼と、引用商標から生じる「クロムアザレ」の称呼を比較すると、その構成音及びその音数に明らかな差異があることから、両商標は明確に聴別し得るものといえる。 さらに、観念においては、引用商標が特定の観念を生じないものであるから、本件商標の構成文字全体及び要部と認められる「Chrome」の文字部分と引用商標とは相紛れるおそれがあるということはできないものである。 そうとすれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、類似する商標ということはできないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 2 商標法第3条第1項第3号について 本件商標の構成中の「Clay Mask」の文字は、前記1(1)のとおり、指定商品との関係において「Clay(クレイ)を配合したパック用化粧品」を意味する語として認識されるものである。 次に、本件商標の構成中の「Chrome」の文字は、「1[化学]a(特に各種顔料に用いられる)クロム.bクロム化合物。」をいい、「鉄族の金属元素の一種であるクロム」を意味するものである(甲19及び甲20)。 そして、甲第21号証には、「酸化クロム」として、酸化クロムが化粧品に色を付けるために用いられる緑色の無機物の粉体であり、化学的に安定している顔料であるとの記載があり、また、甲第22号証には、「水酸化クロム」が化粧品の顔料として使用されているとの記載があるものの、これら証拠には、金属である「Chrome(クロム)」そのものが化粧品の顔料として使用されるとの記載は認められない。 加えて、当審において職権をもって調査したところ、「クロム」は、その酸化物である、「酸化クロム」(INCI(化粧品成分の国際的表示名称):CHROMIUM OXIDE GREENS)及び「水酸化クロム」(INCI(化粧品成分の国際的表示名称):CHROMIUM HYDROXIDE GREEN)として、化粧品の成分に使用されていることが認められるが(日本化粧品工業連合会による「化粧品の成分表示名称リスト」http://www.jcia.org/n/biz/ln/b/?word=%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%A0)、金属である「Chrome(クロム)」そのものが化粧品の顔料として使用されている証拠は見当たらない。 してみれば、「Chrome(クロム)」は、そのままで化粧品の成分(原材料)として使用されるものではなく、「酸化クロム」や「水酸化クロム」といった化合物として、化粧品に使用され、その場合、英語の表記も「Chrome」ではなく、「CHROMIUM ・・・」の文字が使用されているといえるものである。 そうとすれば、本件商標の構成中の「Chrome」及びそれに通じる「クロム」は、そのままでは化粧品の成分(原材料)として使用されるとまではいうことができないから、本件商標は、その指定商品中「美容用のクレイを配合したパック用化粧品」の品質・原材料を表示する語ということはできないものである。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第16号について 本件商標は、その構成中の「Clay Mask」の文字が、商品「化粧品」との関係で、クレイを配合した化粧品であってパックすることができる化粧品を意味するものであるとしても、化粧品の分野の指定商品は「美容用のクレイを配合したパック用化粧品」とされていることから、化粧品との関係で品質の誤認を生じるおそれはないといえる。 また、該「Clay Mask」の文字は、化粧品以外の商品との関係においては、各語が有する本来の意味に沿った「粘土製のマスク(仮面)」ほどの意味合いを認識させるとみるのが相当であるから、本件商標が、その指定商品中の「せっけん類,歯磨き,香料,薫料」に使用されたとしても、あたかも「クレイを配合したパック用化粧品」であるかの如く品質の誤認を生じさせるおそれはないといえる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。 4 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも該当するとは認められないから、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(引用商標) |
異議決定日 | 2014-12-26 |
出願番号 | 商願2013-69675(T2013-69675) |
審決分類 |
T
1
651・
13-
Y
(W03)
T 1 651・ 262- Y (W03) T 1 651・ 263- Y (W03) T 1 651・ 261- Y (W03) T 1 651・ 272- Y (W03) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 平松 和雄 |
特許庁審判長 |
林 栄二 |
特許庁審判官 |
中束 としえ 梶原 良子 |
登録日 | 2014-01-31 |
登録番号 | 商標登録第5646036号(T5646036) |
権利者 | 株式会社 MTG |
商標の称呼 | クロームクレーマスク、クロームクレー |
代理人 | 古木 睦美 |
代理人 | 佐藤 雅巳 |