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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W32 審判 全部申立て 登録を維持 W32 審判 全部申立て 登録を維持 W32 審判 全部申立て 登録を維持 W32 |
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管理番号 | 1296284 |
異議申立番号 | 異議2014-900091 |
総通号数 | 182 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2015-02-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2014-03-28 |
確定日 | 2014-12-20 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5638317号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5638317号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5638317号商標(以下「本件商標」という。)は、「ZEOPLUS」の欧文字を標準文字で表してなり、平成25年8月11日に登録出願、第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」を指定商品として、同年11月15日に登録査定、同年12月20日に設定登録されたものである。 2 引用商標 本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)国際登録第1103801号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ZEO」の欧文字を横書きしてなり、2011年6月17日にBeneluxにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2011年(平成23年)10月20日に国際商標登録出願、第32類「Beers; mineral and aerated waters and other non-alcoholic drinks; fruit drinks and fruit juices; syrups and other preparations for making beverages.」(参考訳:ビール,ミネラルウォーター・炭酸水及びその他のアルコールを含有しない飲料,果実飲料及び果汁,シロップその他の飲料製造用調製品)及び第33類「Alcoholic beverages (except beers).」(参考訳:アルコール飲料(ビールを除く。))を指定商品として、平成24年8月24日に設定登録されたものである。 (2)国際登録第1132103号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2012年4月2日にBeneluxにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2012年(平成24年)8月30日に国際商標登録出願、第32類「Beers; mineral and aerated waters and other non-alcoholic beverages; fruit beverages and fruit juices; syrups and other preparations for making beverages.」(参考訳:ビール,ミネラルウォーター・炭酸水及びその他のアルコールを含有しない飲料,果実飲料及び果汁,シロップその他の飲料製造用調製品)及び第33類「Alcoholic beverages (except beers).」(参考訳:アルコール飲料(ビールを除く。))を指定商品として、平成25年5月2日に設定登録されたものである。 (以下、引用商標1及び2をまとめていうときは、「引用商標」という。) 3 登録異議申立ての理由 申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1項第1号により、取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。 (1)申立人の商品「ZEO」について 申立人の商標「ZEO」に係る飲料は、全ての原材料に植物性の天然素材(32種類の果実と天然ハーブ)を使用した飲料である(甲第4号証)。申立人は天然素材のみを使用していながら、カロリーを抑えると共に、アルコール飲料と代替できる味と口の中での刺激になることを目指し、8年をかけて当該飲料を開発した。そして、これまでにない商品を開発したことにより、飲料業界では非常に話題を呼んだ(甲第5号証ないし甲第12号証)。 申立人は、商標「ZEO」に係る清涼飲料を、2012年5月から、英国各地で先行販売を開始した。2013年8月より広域販売を開始すると共に、申立人は、これまでに、サンプルの配布キャンペーンに100万ポンド(1.7億円)、映画、テレビ、新聞、雑誌、デジタルキャンペーンを利用した広告宣伝に420万ポンド(7.1億円)、販売キャンペーンに200万ポンド(3.4億円)、合計720万ポンド(12.2億円)の巨費を投じて広告宣伝広報活動を行った(甲第4号証ないし甲第17号証及び甲第22号証)。 申立人のこれらの営業努力と資本投資の結果、販売開始から2年前後と比較的短いにもかかわらず、「ZEO」は現在、広く知られており、大変人気を得ている。 なお、引用商標は、アルジェリア等の22か国・地域を指定して国際商標登録出願を行っており、今後も販売国・地域は増えていく予定である。 (2)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、「ZEOPLUS」の欧文字からなるものであり、「ZEO」と「PLUS」の文字の間に空間(スペース)がなく一連に記載されているとはいえ、「PLUS」の文字部分は、「・・・をプラスした、・・・を加えて、有利な特質」を意味する英単語で、一般的な日本人に容易にその観念を想起し得るなじみの深い言葉である。 したがって、本件商標や引用商標に係る「清涼飲料」においては、「PLUS」が商標中にある場合は、需要者に要部の商標に係る商品に何らかの良い効果や原材料などを加えたと容易に連想させ、要部の商標の関連商品であるとの印象を強く与えるものである。 それに対し、「ZEO」の文字部分は、本件商標の指定商品に係る第32類においては、特定の観念を看取し得ない語であり、一種の造語商標として自他商品識別力が高いと思料される。 以上より、清涼飲料類に係る需要者は、本件商標に接した場合、「ZEO」部分を商標と看取し、「ZEOPLUS」は「ZEO」に何らかの昧、材料などが加えられた「ZEO」の関連商品であると認識するとされるのが相当である。 したがって、第32類に係る本件商標は、その構成中の要部「ZEO」の文字から「ゼオ」のみの称呼が生じ得る。 これに対し、引用商標1も欧文字「ZEO」からなるものであり、「ゼオ」の称呼を生じるものである。引用商標2もロゴ化しているとはいえ、「ZEO」の文字を認識し得る態様であるため、「ゼオ」の称呼を生じるものである。 上記のとおりであるから、本件商標と引用商標は、「ゼオ」の称呼を共通にする類似の商標である。 また、本件商標と引用商標は、その指定商品も同一又は類似のものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 (3)商標法第4条第1項第15号について 上記(1)で述べたように、申立人は、飲料に係る商標「ZEO」を広く使用しているので、本件商標の指定商品に係る第32類の分野の需要者は、「ZEOPLUS」からなる本件商標が、その指定商品について使用された場合には、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知・著名性について 申立人は、引用商標が申立人の商標として、広く一般に知られている証拠として、「引用商標に係る商品の紹介及びマスコミ報道資料」(甲第4号証ないし甲第17号証及び甲第22号証)を提出している。 これらは、全て外国で発行されたインターネット情報や雑誌の記事であるところ、本件商標の登録出願日(平成25年8月11日)前のものは、甲第5号証(2012.5.23)、甲第6号証(2012.11.3)、甲第7号証(2013.2.20)及び甲第8号証(2013.5.4)であり、登録出願日後かつ登録査定日(平成25年11月15日)前のものは、甲第9号証(2013.8.13)、甲第10号証(2013.11.9)、甲第12号証(2013.4.25)、甲第13号証(2013.11.8)、甲第14号証(2013.11.8)及び甲第22号証(2013.8.15?2013.9.12)である。また、登録査定日後のものは、甲第11号証(2014.1.19)及び甲第15号証(2014.2.17?2014.4.15)であり、甲第4号証(2014.4.7印刷)、甲第16号証(2014.4.22印刷)及び甲第17号証(2014.4.22印刷)については、掲載日が明らかではない。 そして、これらの証拠のうち、本件商標の登録査定日前に発行又は情報が提供されたと認められる証拠によれば、申立人は、英国において、2012年(平成24年)5月30日に引用商標2を付したノンアルコール飲料の販売を開始したこと(甲第5号証)、2012年及び2013年において、引用商標2を付した申立人の商品がインターネットや雑誌等において宣伝・広告したこと(甲第4号証ないし第8号証及び第12号証)、2013年に英国のネットボールのタイトルスポンサーになったこと(甲第13号証及び第14号証)が認められる。 しかしながら、これらの証拠は、全て外国語によるものであり、また、雑誌等は英国において発行又は情報が提供されたものであるから、これらをもって、引用商標が我が国の需要者に周知となっているということはできない。 また、ネットボールのスポーツ記事(甲第15号証)は、スポーツに関する内容が中心であり、申立人の商品や引用商標が強調されているわけではないから、これをもって、引用商標が需要者に広く認識されているともいえない。 そして、引用商標を付した申立人商品が、本件商標の登録査定日前に我が国において、販売が開始された事実ないし広告等がされた事実を明らかにする証拠は見いだせない。 さらに、職権をもって調査するも、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国において、格別に周知性を獲得したことをうかがわせる事情も見いだすことができない。 してみれば、引用商標は、本件商標の登録出願日及び登録査定日において、申立人の商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、「ZEOPLUS」の欧文字を標準文字で表してなるものであるところ、該文字は、同一の書体、同一の大きさ、同一の間隔をもって外観上まとまりよく一体的に表されているばかりでなく、これより生じると認められる「ゼオプラス」の一連の称呼も、無理なく一気に称呼し得るものである。 しかも、上記(1)のとおり、「ZEO」の欧文字が申立人の商品を表すものとして我が国の取引者、需要者に広く認識されていると認めることもできない。 そうすると、本件商標は、外観及び称呼上の一体性からすると、これに接する取引者、需要者が、「ZEO」の文字部分と「PLUS」の文字部分とに分離して、「ZEO」の文字部分のみを捉えて、商品の取引に当たるものとは考え難いといわざるを得ない。その他、本件商標中の「ZEO」の文字部分が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとみるべき特段の事情も見いだすことはできない。 してみれば、本件商標は、構成全体をもって、一体不可分の商標を表したと認識されるというべきものであるから、その構成文字に相応して、「ゼオプラス」の一連の称呼のみが生じ、また、全体として、特定の意味を有しない造語を表したものと認識されものであるから、特定の観念は生じないものといえる。 イ 引用商標 引用商標1は、「ZEO」の欧文字を書してなり、引用商標2は、別掲のとおり、長方形内に図案化した「ZEO」と思しき文字を書してなるものであるところ、両者は、その構成文字に相応して、「ゼオ」又は「ゼットイイオー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものといえる。 ウ 本件商標と引用商標の類否 本願商標と引用商標とを比較するに、両商標は、外観においては、それぞれ一見して判然と区別し得る顕著な差異を有するから、両者は外観上、相紛れるおそれはないものである。 次に、称呼においては、本件商標から生じる「ゼオプラス」と引用商標から生じる「ゼオ」又は「ゼットイイオー」の称呼は、その音構成及び構成音数が明らかに異なるから、明瞭に聴別できるものである。 さらに、観念においては、本願商標と引用商標は、共に特定の観念を生じないから、観念上、相紛れるおそれはないものである。 そうすると、本願商標と引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するということはできないものである。 エ 申立人の主張 申立人は、本件商標の構成中の「PLUS」の文字に関して、清涼飲料に係る商標中の「PLUS(プラス)」の文字は、商標としての識別力を有しないか、あるいは、極めて低い旨主張し、甲第18号証ないし甲第21号証を提出する。 しかしながら、他の文字(語)に「PLUS」又は「プラス」の文字が付加された商標において、「PLUS」又は「プラス」の文字から称呼、観念が生ずるか否かは、商標の構成態様、他の文字(語)部分が他人の著名商標であるか否か等を考慮し、かつ、当該商標が使用される指定商品等の分野における取引の実情を総合的に考察して、個別具体的に判断すべきものであるから、申立人の示す3件の事例(甲第18号証ないし甲第20号証)及び欧州共同体商標を始めとした他国の事例(甲第21号証)をもって、清涼飲料の分野において、「PLUS」又は「プラス」の語が、直ちに自他商品の識別機能を有しない部分であると認めることはできない。そして、本件商標は、前記のとおり、その構成全体をもって、一体不可分のものと認識されるものである。 したがって、上記申立人の主張は採用することができない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 引用商標は、上記(1)のとおり、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできない。 また、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。 そうすると、本件商標をその指定商品について使用しても、本件商標に接する取引者、需要者が、引用商標又は申立人の商品を想起又は連想することはないというべきであるから、該商品が申立人又はこれと組織的又は業務上何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれのあるものということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 (引用商標2) |
異議決定日 | 2014-12-08 |
出願番号 | 商願2013-62728(T2013-62728) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Y
(W32)
T 1 651・ 263- Y (W32) T 1 651・ 261- Y (W32) T 1 651・ 271- Y (W32) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 高橋 厚子 |
特許庁審判長 |
林 栄二 |
特許庁審判官 |
原田 信彦 土井 敬子 |
登録日 | 2013-12-20 |
登録番号 | 商標登録第5638317号(T5638317) |
権利者 | 保坂 惣尚 |
商標の称呼 | ゼオプラス |
代理人 | 名古屋国際特許業務法人 |