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審決分類 審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 登録しない X1825
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X1825
管理番号 1296260 
審判番号 不服2013-650059 
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-08-23 
確定日 2014-10-28 
事件の表示 国際登録第1094626号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第18類及び第25類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品を指定商品として、2011年(平成23年)3月30日にEuropean Unionにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年9月9日に国際商標登録出願されたものである。
その後、本願の指定商品については、2013年10月4日付けで国際登録簿に記録された限定の通報が当審においてあった結果、第18類「Bags,backpacks and wallets.」及び第25類「Clothing,footwear,headgear;belts (clothing).」とされた。
2 原査定における拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『3301』の数字を普通に用いられる方法で表してなるところ、数字は、製造業の分野において、商品の型番、品番を表すものとして一般に使用されているものであるから、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標にすぎないものと認める。また、出願人は、意見書において商標法第3条第2項(使用による識別性)を主張し、証拠として第1号証ないし第27号証を提出しているが、提出された各号証からは、本願商標が、需要者が出願人の業務に係る商品であることを認識することができるようになっている商標であるとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものであり、同条第2項の要件を具備するに至っているとは認められない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第5号該当性について
本願商標は、別掲のとおり、「3301」の数字を横書きしてなるところ、一般に数字は、商品の型番、品番、種別等を表すための記号、符号として広範かつ類型的に使用されていることからすれば、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなるものと認められる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。
(2)商標法第3条第2項に係る主張について
ア 請求人は、審判請求書において、本願商標が、我が国のみならず世界的に長年にわたって使用をされた結果、我が国の取引者、需要者にも広く認識されて自他商品の識別力を具備するようになっているため、本願商標は、商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができる旨主張するとともに、証拠方法として、第1号証ないし第52号証(枝番号を含む。ただし、枝番号のすべてを引用する場合は、その枝番号の記載を以下省略する。)を提出した。
イ そこで、請求人の提出に係る各証拠についてみるに、以下の事実が認められる。
(ア)第2号証ないし第21号証は、請求人の作成に係る資料であり、商品タグ及び店舗ディスプレイの写真(第2号証)並びにシャツや上着のデザイン画(第3号証)、商品カタログ(第4号証ないし第20号証)及び請求人のウェブサイト(第21号証)の写しである。
これらによれば、請求人は、1989年にアムステルダムでデニムブランドとして誕生し、現在では、G-STAR RAWブランド(以下「G-STARブランド」という。)として、世界80か国で2,200万アイテム以上の販売数量、10億ドルを超える売り上げがある(第21号証)。
G-STARブランドにおいては、シャツ、Tシャツ、セーター、上着、ズボン、帽子、ベルトについて、商品を取り扱っており、また、下着、スカーフ、手袋、靴、かばん、バックパック、財布等の取り扱いも一応認められる(第2号証ないし第20号証)。
そして、本願商標と構成態様が実質的に同一視できる「3301」の数字のみが付されている商品は、2010年の春夏の商品カタログ(第17号証)に散見されるのみであり、その他の証拠における商品に係る表示には、本願商標と同一又は近似した態様の「3301」を含むデザインがされているものも見受けられるが、そのほとんどは、請求人名称「G-Star Raw C.V.」を認識させる「G-STAR」等の文字とともに使用されているものであり、それ以外の場合においても、例えば、「GS 3301」(第5号証)や「RAW 3301」(第10号証)のように、「GS」や「RAW」等の語との結合して使用されているもの、「3301」の数字そのものをデザイン化したことにより、本願商標とは明らかに構成態様を異にするもの(第5号証、第6号証)、「G」をモチーフにしたと思しき図形等とともに用いられているもの(第17号証)など本願商標と同一の商標が使用されているとは認め難いものである。
(イ)第22号証の「FukuDB」のウェブサイトによれば、G-STARブランドの商品は、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府に所在する直営店や、Right-on(株式会社ライトオン)等の全国のカジュアルウェアの販売店等において販売されている。
(ウ)第23号証ないし第25号証は、第三者のウェブサイトであるAmazon(第23号証)、楽天市場(第24号証)及びYAHOO!Japan(第25号証)において、G-STARブランドの商品が通信販売されている例であり、ジーンズ製ズボンや半ズボンの写真とともに、商品名として「G-Star Raw 3301・・・」、「3301 by G-STAR RAW」、商品紹介として「ジースター定番の3301シリーズ・・・」、「・・・G-STARの中でもトップクラスの人気を誇る”3301”シリーズ・・・」等の記載がある。
(エ)第26号証ないし第47号証は、G-STARブランドのうち、請求人が「3301」シリーズとして展開している商品の販売数量に係るものである。
これによれば、該シリーズにおいて人気のあるジーンズ上位20アイテムの全世界における2007年から2013年(2013年分は2013年8月14日までのもの)までの販売数量は、計11,673,888枚であるところ(第26号証)、我が国における該シリーズの商品の販売数量は、2007年度に2,770枚、2008年度に17,572枚、2009年度に19,362枚、2010年度に17,751枚、2011年度に29,818枚であって、2007年度から2011年度までの5年間の累計は87,273枚であり、その後、2012年度は単年度で91,004枚、2013年度は8月14日までで116,276枚であり(第47号証)、販売量が増加している。しかしながら、これらの証拠における請求人が撮影したと思しき各アイテムの写真をみるに、それらはすべてジーンズ製ズボンであるが、上記(ア)と同様に、本願商標と構成態様が実質的に同一視できる「3301」の数字のみが付されている商品は見当たらない(第27号証ないし第46号証)。
ウ 以上からすれば、請求人は、G-STARブランドのうち、「3301」シリーズとして展開している商品について、その商品自体や商品タグ等に「3301」の数字を付していることが認められるものの、そのほとんどは、請求人名称を認識させる「G-STAR」等の文字や図形といった自他商品識別標識としての機能を有する標章とともに使用されているか、「3301」の数字自体がデザイン化されている等により本願商標と構成態様が異なるものであるから、本願商標と構成態様が実質的に同一視できる「3301」の数字のみで商品の出所を表す識別標識として使用されている例は、極めて少ないものといわざるを得ない。
また、本願の指定商品中、下着、スカーフ、手袋、靴、かばん、バックパック、財布等についての本願商標の使用に係る資料の提出は、商品カタログ等の一部に散見されるにすぎないから、これをもって、全ての指定商品について、本願商標が長年にわたって使用されてきたものということはできない。
さらに、我が国における「3301」シリーズの商品の販売数量は、2012年度と2013年度に増加しているものの、その商品の内訳も不明であり、かつ、増加してからの期間はわずか2年弱であるから、該シリーズの商品が、我が国において、本願の指定商品について、長年にわたって高い販売実績を有しているものと直ちにいうことはできない。
そして、仮に、「3301」シリーズの商品が諸外国においては高い販売実績を有しており、また、我が国のG-STARブランドの直営店等において、該シリーズの商品が取り扱われていたとしても、請求人により提出された本願商標の使用例は、第23号証ないし第25号証におけるジーンズ製ズボンと半ズボンの3件の例を除けば、請求人の作成した商品デザイン画や請求人の撮影した商品の写真等であり、これら提出された証拠からは、該シリーズの商品の広告宣伝の方法、回数及び内容、新聞、雑誌等における記事掲載の回数及び内容等も明らかではないことからすれば、本願商標が我が国の需要者に周知となっているということはできない。
したがって、本願商標がその指定商品に使用された結果、取引者、需要者が何人の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったとは認めることはできないから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
(3)過去の登録例に係る主張について
請求人は、過去の登録例(審決例、判決例)及び数字のみからなる商標の使用例を挙げて(第48号証ないし第52号証)、本願商標も登録されるべきと主張しているが、登録出願に係る商標が商標法所定の登録要件に該当するか否かは、その商標の査定時又は審決時において、指定商品の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであるところ、「3301」の数字のみからなる本願商標についてみれば、上記のとおり判断するのが相当であり、また、請求人が挙げる上記登録例等は、本願商標と商標の構成態様等を異にするものであって、事案を異にするものであるから、その判断が本件についての上記判断を左右するものとはいえない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものであって、かつ、同条第2項の要件を具備しないものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審理終結日 2014-05-29 
結審通知日 2014-06-06 
審決日 2014-06-17 
国際登録番号 1094626 
審決分類 T 1 8・ 15- Z (X1825)
T 1 8・ 17- Z (X1825)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 恵美 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 根岸 克弘
浦辺 淑絵
商標の称呼 サンゼンサンビャクイチ、サンサンゼロイチ 
代理人 特許業務法人小笠原特許事務所 

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