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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
管理番号 1295103 
異議申立番号 異議2014-900115 
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-01-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-04-17 
確定日 2014-12-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第5643287号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5643287号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5643287号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年8月7日に登録出願、第18類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年11月28日に登録査定され、同26年1月17日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第7号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第51号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人が引用する商標
申立人が引用する商標は次のとおり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
ア 登録第2220803号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 昭和62年2月9日
設定登録日 平成2年4月23日
イ 登録第2233342号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第14類、第18類、第21類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 昭和62年2月9日
設定登録日 平成2年5月31日
ウ 登録第5576455号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 HILFIGER(標準文字)
指定商品 第3類、第9類、第14類、第18類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 平成23年12月7日
設定登録日 平成25年4月19日
エ 登録第4383452号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 HILFIGER ATHLETICS
指定商品 第3類、第18類、第20類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 平成11年11月10日
設定登録日 平成12年5月19日
オ 登録第5336666号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様 HILFIGER DENIM(標準文字)
指定商品 第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 平成21年4月28日
設定登録日 平成22年7月9日
カ 登録第2187365号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の態様 TOMMY HILFIGER
指定商品 第8類、第14類、第18類、第21類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 昭和62年2月2日
設定登録日 平成1年11月28日
キ 登録第2357619号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の態様 TOMMY HILFIGER
指定商品 第18類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 昭和62年2月2日
設定登録日 平成3年12月25日
(2)具体的な理由
ア 本件商標について
本件商標は、図形と「HbyFIGER」の文字との結合よりなるところ、図形部分は、横長長方形を太さの異なる青色の直線で大きさの異なる四つの長方形に区切ってあり、そのうち上段の二つの長方形は赤色、下段の二つの長方形は白色で表した構成よりなり、文字部分は、青色の「H」と「FIGER」の文字の間に赤色の「by」の文字を等間隔に書してなる。かかる構成の本件商標においては、図形の青色部分は、「H」と「F」の文字を合体させて図案化したものと容易に看取することができる。
なお、図形部分と文字部分は各々独立して出所識別標識として機能し得るものである。
イ 引用商標について
申立人のTOMMY HILFIGERブランドは、1985年の創立以来、引用商標1、2、6及び7を使用しており、アメリカンクラシックをベースにしたプレッピー・スタイルを中心に、約90か国において事業を展開し、ニューヨーク、パリ、東京、大阪等の大都市に大規模な旗艦店の出店を果たし、有名なファッションショーにおいても注目度の高い世界的に著名なブランドとなっている。
引用商標は長年の使用を通じて、我が国においても、本件商標の出願日前までに周知・著名なものとなっている(甲9?甲24)。
ウ 本件商標及び引用商標の類似性について
(ア)本件商標の指定商品のうち、「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘」は引用商標1、2、5、6及び7の指定商品と同一又は類似する。また、本件商標の全指定商品は引用商標3及び4の指定商品と同一又は類似する。
(イ)本件商標の図形部分は、申立人のブランドロゴ(引用商標1及び2)と同色の赤、白、青の三色が使用された幾何図形よりなり、該図形を右へ90度回転させると、引用商標1及び2と構成がほぼ一致し、申立人のブランドロゴを殆どそのまま、構成中に取り込んだものと看取できる。赤、白、青は申立人のブランドカラーとして1985年の使用開始から需要者に広く知られているものであることも相まって、同一色で表された本件商標は、外観上、引用商標1及び2を連想させるものであり、出所の混同を生じさせるおそれがある。
さらに、本件商標の「HbyFIGER」の文字部分は、引用商標3「HILFIGER」の2及び3文字目の「IL」の文字を小文字の「by」に置き換えたにすぎず、8文字のうち、語頭の「H」を含む6文字を共通にするものであり、しかも、申立人のブランドカラーである赤、青で書してなることから、取引者・需要者に広く認識されている引用商標3と外観上、相紛らわしく、混同を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標の図形部分が申立人のブランドロゴである赤、青、白の三色よりなる図形(引用商標1及び2)をその構成中に包含すると看取できるものであり、かつ、本件商標の文学部分が引用商標3ないし7の「HILFIGER」の文字のうち「IL」の二文字を「by」に変更したにすぎないと需要者に容易に認識されるものであることから、本件商標は全体として、我が国で周知・著名な引用商標1ないし7を連想・想起させる類似の商標といえる。
エ 需要者の共通性
本件商標を付した商品の対象世代は、10代後半から30代の男性及び女性と考えられ(甲25)、他方、引用商標はカジュアルウェアやゴルフウェアからビジネス仕様までバラエティーに富んだ商品に使用されている(甲26?甲36)ことから、本件商標及び引用商標に係る商品の需要者層は共通するものといえる。
オ 出所の混同のおそれ
前記のように、本件商標は全体として、取引者・需要者に、申立人の周知・著名な引用商標を連想・想起させるものといえる。
特に、ファッション関連商品は消費財であり、医薬品や精密機械のように購入時に十分な注意力を持って商品の出所を確認するようなものではなく、雑誌、広告、口コミなどから得た情報をもとに、購入を決めることも多い。そうとすれば申立人の周知・著名な引用商標と多くの共通点を有する本件商標に接した需要者は、申立人の商品と出所を混同し、又は申立人と関係があるように誤認を生じるおそれがある。
インターネットで検索したところ、本件商標権者の商品の説明及び宣伝において、複数の異なる販売者が、本件商標権者があたかもTOMMY HILFIGERと関係があるかのような説明をしている(甲37?甲44)が、これは、各々販売者が独自の判断でかかる商品説明及び宣伝を行ったものとは考えにくく、本件商標権者が、取引者にあたかもTOMMY HILFIGERと関係があるかのような商品説明及び宣伝を行った可能性が高いと考えられる。
さらに、本件商標は申立人「TOMMY HILFIGER」との兄弟ブランドであると需要者が誤認し、実際に出所の混同が生じていることを示す記述がある(甲45?甲48)。
以上より、本件商標はその構成より、引用商標を連想、想起させるものであるだけでなく、あたかも申立人と関係があるかのような宣伝が行われたことにより、需要者に出所の混同を生じさせたものといえる。
カ 商標法第4条第1項第11号該当性について
前記ウのとおり、本件商標は、引用商標と商品が類似し、本件商標の図形部分は引用商標1及び2と、文字部分は引用商標3と類似する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
キ 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、創業以来の長年の使用を通じて周知・著名になっていることから、本件商標の出願時及び査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として我が国において広く認識されていたものといえる。
仮に本件商標が引用商標と類似しないとしても、前記したとおり、本件商標と引用商標は、商標の類似性が極めて高く、同一又は類似の指定商品に使用されるものであり、かつ需要者層を共通にするものである。加えて、前記オに記載のとおり、本件商標を付した商品の販売において、複数の販売者により、TOMMY HILFIGERと関連するかのような説明や宣伝が、申立人の承諾のないところで行われていることから、本件商標に接した取引者・需要者は、「TOMMY HILFIGER」ブランドを連想・想起し、本件商標の付された商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の商品であると誤認し、商品の出所について混同を生じるおそれがある。
過去の判決においても、引用商標の一部を構成文字に取り入れたり、引用商標の構成の軌を一にしたりする商標について、引用商標を連想、想起させるものと認め、混同を生じると認定している(甲49?甲51)。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
ク 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、前記のとおり、該図形部分に引用商標1及び2を包含したものと看取できるものであり、該文字部分は引用商標3の構成文字のうち二文字を別の文字に置き換えたにすぎないことから、我が国の需要者に広く認識されている引用商標1ないし7に由来し、これを剽窃してなされたものといわざるをえない。
加えて、申立人の承諾もなく、本件商標に係る商品が複数のショッピングサイトにおいて、申立人と関係がある者の商品であると異なる販売者によって宣伝されている(甲38?甲44)。
そうとすれば、本件商標は、引用商標の周知・著名性にフリーライドする目的をもって登録出願されたものといわざるをえない。本件商標からは、申立人の周知・著名な商標の名声を僭用して不正な利益を得ようとする不正の意図が推認されるものであり、本件商標をその指定商品に使用することは、商取引の秩序を乱すものである。
過去の判決においても、商標の採択において引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗りする不正な目的がある商標は、商標法第4条第1項第7号に該当すると認定されている(甲51)。
また、前記オのように本件商標を付した商品が、「TOMMY HILFIGERの兄弟ブランド」等の虚偽の説明とともに販売されていたことから、需要者の間では、申立人の店舗において問い合わせをする等、出所の混同が実際に生じている(甲45)。
そうとすれば、本件商標をその指定商品に使用すれば、引用商標の出所表示機能が希釈化され、引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力、ひいては申立人の業務上の信用を毀損させるおそれがあるというべきである。本件商標の採択・登録出願の経緯には社会的相当性を欠くものがあり、商取引の秩序を乱し、ひいては社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

3 当審の判断
(1) 申立人が使用する商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
(ア)申立人のファッションブランド「TOMMY HILFIGER(トミーヒルフィガー)」(以下「トミーヒルフィガーブランド」という。)は、1985年(昭和60年)に米国ニューヨークで誕生し、以来、男性用、女性用、子供用被服の他、履物、かばん類など多岐にわたる商品に引用商標1、2、6及び7を使用し、2014年(平成26年)現在、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋地域など90か国以上で事業を展開している(申立人主張、甲9、甲10、ほか)。
(イ)「トミーヒルフィガーブランド」は、我が国においては遅くとも2000年に事業を展開しており、2003年度の売上は110億円、店舗数は118であった。
また、2008年秋に東京に自由が丘店を、2012年4月に東京原宿にアジア最大級の旗艦店、及び大阪心斎橋に心斎橋店をオープンし、自由が丘店及び心斎橋店の店頭には、「TOMMY HILFIGER」の文字(引用商標6及び7と同一の態様と認められる。以下「使用商標1」という。)及び青色の長方形を上下に配しその間に白色の長方形と赤色の長方形を配した図形(引用商標1及び2と同一の態様と認められる。以下「使用商標2」という。)が表示されている(甲17?甲19、甲22、ほか)。
(ウ)「トミーヒルフィガーブランド」は、2010年11月28日付け朝日新聞に25周年を記念する広告を掲載した。当該広告には使用商標1及び使用商標2が表示されている。そして、雑誌やウェブサイトにおける「トミーヒルフィガーブランド」の商品の紹介や広告には、使用商標1や使用商標2が表示され、かつ、掲載された商品自体に使用商標1や使用商標2が付されたものが多数確認できる(甲28?甲36)。
(エ)「HILFIGER」(引用商標3)が表示されたバッグ、スポーツウェア及び帽子が散見される(甲29、甲31、甲35)ものの、「HILFIGER ATHLETICS」(引用商標4)及び「HILFIGER DENIM」(引用商標5)の表示は見受けられない。
イ 上記アの事実によれば、使用商標1(引用商標6、7)及び使用商標2(引用商標1、2)は、本件商標の登録出願日前から、申立人の業務に係る商品(被服など)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標であって、その状況は本件商標の登録査定日はもとより、現在においても継続しているものと判断するのが相当である。
しかしながら、引用商標3ないし引用商標5は、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定日はもとより現在においても、他人(申立人)の業務に係る商品であることを表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり青色、赤色及び白色の長方形の図形と「HbyFIGER」の文字(「H」「FIGER」は青色で、「by」は赤色で表されている。)からなり、その構成から図形部分と文字部分はそれぞれ自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
そして、図形部分は特定の称呼及び観念を生じず、文字部分はその構成文字に相応し「エイチバイフィガー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものとみるのが自然であり、かつ、本件商標全体として他の称呼、観念が生じるものとはいえないから、本件商標は、「エイチバイフィガー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというべきである。
イ 引用商標について
引用商標1及び2は、別掲2のとおり青色、赤色及び白色の長方形の図形からなるものであるから、特定の称呼は生じないものの、上記(1)イのとおり、需要者の間に広く認識されている使用商標2と同一の構成からなるものといえるから、「(ブランドとしての)トミーヒルフィガーのマーク」の観念を生じるものである。
引用商標3は、上記2(1)ウのとおり「HILFIGER」の文字からなるものであるから、該文字に相応し「ヒルフィガー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
引用商標4及び5は、上記2(1)エ及びオのとおり「HILFIGER ATHLETICS」及び「HILFIGER DENIM」の文字からなるものであるから、それぞれの文字に相応し「ヒルフィガーアスレチックス」及び「ヒルフィガーデニム」の称呼を生じ、かつ、いずれも「HILFIGER」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たす場合があることから、「ヒルフィガー」の称呼をも生じるものといえる。また、両商標は特定の観念を生じないものである。
引用商標6及び7は、上記2(1)カ及びキのとおり「TOMMY HILFIGER」の文字からなるものであるから、該文字に相応し「トミーヒルフィガー」の称呼を生じ、上記(1)イのとおり、需要者の間に広く認識されている使用商標1と同一の構成からなるものであるから、「(ブランドとしての)トミーヒルフィガー」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
(ア)まず、本件商標の図形部分と引用商標1及び2とを比較すると、両者は外観において、いずれも青色、赤色及び白色で構成される長方形であるが、前者が赤色と白色の各2つの長方形を太さの異なる青色の線で囲んだような構成であるのに対し、後者が上下の青色の長方形の間に赤色と白色各1つの長方形を配した構成であるから、両者は明確に区別できるものと判断するのが相当である。また、両者は称呼、観念においても相紛れるおそれのないこと明らかである。
してみると、本件商標の図形部分と引用商標1及び2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似のものであって、別異のものというべきである。
(イ)次に、本件商標の文字部分と引用商標3とを比較すると、両者は外観において2文字目と3文字目に「by」と「IL」の差異があるばかりでなく、「by」の文字が赤色で他の文字は青色で表され、後者は黒色のみで表されていることから、両者は明確に区別できるものと判断するのが相当である。
また、称呼においては後半の「フィガー」を共通にするものの、前半に「エイチバイ」と「ヒル」との明らかな差異を有するから、両者は相紛れるおそれがない。さらに、観念においても相紛れるおそれのないものである。
してみると、本件商標の文字部分と引用商標3とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似のものであって、別異のものというべきである。
(ウ)上記(ア)(イ)からすれば、それら以外の、本件商標の全体、図形部分及び文字部分と引用商標との比較においては、いずれも相紛れるおそれのないこと明らかであるから、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
さらに、本件商標は、引用商標との関係において出所の混同を生じるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)イのとおり、使用商標1及び2(引用商標1、2、6及び7)は申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標であって、本件商標の指定商品が申立人の業務に係る商品と共通するとしても、上記(2)ウのとおり、本件商標と引用商標とは別異の商標というべきものである。
してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その商品の出所について混同を生じるおそれはないものといわなければならない。
なお、本件商標は構成中に引用商標を含むものでなく、また商標の構成が共通する程度などが異なるものであるから、申立人が挙げた判決例は、本件とは事案を異にするものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。
(4)商標法第4条第1項第7号について
商標権者が、需要者の間に広く認識されている使用商標1及び2(引用商標1、2、6及び7)の存在を知り、かつ、本件商標の指定商品が申立人の業務に係る商品と共通するものであるとしても、上記(2)ウのとおり、本件商標と引用商標とは別異の商標というべきものである。
してみれば、本件商標の採択・登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、商取引の秩序を乱し、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものであるということはできない。
さらに、他に本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものとはいえない。
(5)まとめ
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)(色彩は原本参照)


別掲2(引用商標1及び2)(色彩は原本参照)



異議決定日 2014-11-27 
出願番号 商願2013-61465(T2013-61465) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W18)
T 1 651・ 263- Y (W18)
T 1 651・ 262- Y (W18)
T 1 651・ 271- Y (W18)
T 1 651・ 261- Y (W18)
最終処分 維持  
前審関与審査官 今田 尊恵 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 渡邉 健司
大森 健司
登録日 2014-01-17 
登録番号 商標登録第5643287号(T5643287) 
権利者 岸本 公雄
商標の称呼 エイチバイフィガー、エッチバイフィガー、バイフィガー、フィガー 
代理人 特許業務法人 小笠原特許事務所 

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