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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900402 審決 商標
異議2014900148 審決 商標
異議2013900096 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W30
管理番号 1295083 
異議申立番号 異議2013-900322 
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-01-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-09-24 
確定日 2014-11-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5592215号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5592215号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5592215号商標(以下「本件商標」という。)は、「大人の味わい」の文字を標準文字で表してなり、平成25年2月8日に登録出願、第30類「菓子及びパン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ」を指定商品として、同年5月16日に登録査定、同年6月21日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同第6号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番を含む)を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号について
本件商標を構成する「大人の味わい」の文字は、単に「大人に好まれる味」といった意味合いを容易に理解させ、かかる意味合いで本件商標の指定商品を含めた飲食分野において一般的に使用されており、取引者、需要者にも定着している。
してみれば、これを本件商標の指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「大人に好まれる味の菓子、パン、べんとう、ピザ等」であることを認識するにすぎないから、本件商標は、指定商品の品質等を表示したものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない。
また、「大人の味わい」の文字は、指定商品の取引分野において使用されている語であるから、特定人にその独占使用を認めることは公益上適当でない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第1項第6号について
本件商標は、これをその指定商品に使用した場合、本件商標に接する取引者、需要者は「大人の好みにあった味の菓子、パン、ピザ等」程の意味合いを把握し、認識するに止まり、一定の出所を特定する表示とは認識されないものである。
さらに、「大人の味わい」の語は、一般需要者をして「大人向けの」という商品であることを簡潔に伝える表現となっており、いわば商品の購買意欲をかき立てる宣伝文句程度にしか理解されない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

3 本件商標の取消理由(要旨)
商標権者に対して、平成26年6月24日付けで通知した本件商標の取消理由(要旨)は、別掲のとおりである。

4 商標権者の意見
商標権者は、前記3の取消理由に対し、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。

5 当審の判断
本件商標についてした前記3の取消理由は、妥当なものであるから、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第6号に違反してされたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲 本件商標の取消理由(要旨)
1 本件商標は、「大人の味わい」の文字を標準文字で表してなるところ、「大人」の語と、「食物の味。うまみ。」の意味を有する「味わい」の語(広辞苑 第六版)を助詞「の」で結合したものと容易に認識し得るから、全体として「大人向けの味」程度の意味合いを想起させるものである。
ところで、本件指定商品を含む食品を取り扱う業界において、以下の2(1)のとおり、大人をターゲットとした、大人向けに工夫を凝らした食品が販売されている事実が認められる。
そして、以下の2(2)のとおり、大人向けに工夫を凝らした味や風味、食感等の特徴を表すものとして「大人の味わい」の文字が広く一般に使用されている事実が認められる。
そうとすれば、本件商標をその指定商品に使用する場合には、これに接する取引者、需要者は、その商品が(具体的な味や風味等は曖昧であるものの、甘さを抑えたり、酒類を加えたり等の工夫を凝らした)大人向けの味や風味、食感等の特徴を有していることを表したものと認識するといえ、自他商品の識別標識として認識するとはいい難いと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、自他商品の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであって、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」といわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に違反して登録されたものと認める。

2 登録異議申立人の提出に係る証拠及び当審における職権調査により認められる事実について(下線は合議体が付記。)
(1)大人をターゲットとした、大人向けに工夫を凝らした食品が販売されている事実について
ア 「Walker plus」と称するウェブサイトにおいて、「甘すぎない大人の美味しさが特徴の人気菓子が続々」の見出しの下、「・・・ミルクホイップチョコと、ビターチョコをブレンドした大人向けの味わいで、かみ応えのあるナッツの食感と、甘さを抑えたマイルドビターチョコのハーモニーが楽しめる。・・・いずれの商品も甘さを抑え、大人のくつろぎの時間にふさわしい商品となっている。・・・」との記載がある。(甲第7号証の2)
イ 2010年7月14日付け日本食糧新聞において、「江崎グリコ、今秋『ポッキー』を活性化 ターゲットを“大人”に」の見出しの下、「江崎グリコは、今秋期『ポッキー』の活性化に乗り出す。ターゲットの中心層を、これまでの若年層から“大人”に拡大し、ポッキーが持つ、高品質で大人が食べてもおいしいチョコレートという価値を再度提案する。」との記載がある。
ウ 2014年2月8日付け中国新聞(朝刊)において、「新商品 大人向けのチョコ菓子」の見出しの下、「カバヤ食品(岡山市北区)はチョコレート菓子『カレーム クアトロ 漆黒ビター』を11日からコンビニで販売する。大人向けの商品として、キレのある苦みと洋酒風味を楽しめるようにした。」との記載がある。
エ 2007年7月29日付け産経新聞(大阪朝刊)において、「中高年ターゲット 大人のコンビニ弁当 続々 厳選素材、栄養バランス」の見出しの下、「コンビニエンスストア各社が中高年向け弁当を強化している。・・・『心にしみる和風弁当』は、健康を気にする中高年向けにご飯の量を抑え、野菜や魚介類をふんだんに使用した。・・・特Aの会津産コシヒカリなど食材も厳選し、こだわりを持つ中高年を意識した。・・・」との記載がある。
オ 2009年10月2日付け北海道新聞(夕刊)において、「<オホーツ食う>ベーコンチーズバーガー=Knuckle(ナックル)*「大人向け」香り高く」の見出しの下、「岩塩でかりっと焼いたベーコンにマヨネーズベースのソースをかけ、ブラックペッパーなどをブレンドしたスパイスを効かせている。『大人向け』の香り高い一品だ。」との記載がある。
カ 2013年2月1日付け琉球新報(朝刊)において、「第2弾は大人向けの味/「海人自慢のもずく丼」/読谷村、漁協など共同開発」の見出しの下、「31日、県庁で会見した読谷村の石嶺伝実村長は『前回よりもバージョンアップし、大人向けの味になった』とPRした。」との記載がある。
(2)大人向けに工夫を凝らした味や風味、食感等の特徴を表すものとして「大人の味わい」の文字が広く一般に使用されている事実について
ア 大人向けに工夫を凝らした味や風味、食感等の特徴を表すものとして、商品のパッケージに「大人の味わい」の文字が多数使用されている。(甲第8号証の1ないし4)
イ 2009年2月5日付け読売新聞(東京夕刊)において、「[永峰好美のGINZA通信]女心とバレンタイン」の見出しの下、「プレミアム焼酎を練り込んだ大人の味わいのパティスリー・アンファンス「焼酎ショコラ 森伊蔵」・・・。」との記載がある。(甲第9号証の2)
ウ 2009年2月7日付け読売新聞(大阪朝刊)において、「チョコ多彩 どうする?今年のバレンタイン=京都」の見出しの下、「ガナッシュクリームにしょうゆを混ぜたボンボンショコラなどのセット、日本酒『八海山』を利用したショコラなどのセットは、甘みだけにとどまらない複雑な大人の味わいが口の中に広がる。」との記載がある。(甲第9号証の3)
エ 2009年2月11日付け読売新聞(西部朝刊)において、「ひと味違ったバレンタイン 色っぽい唇チョコ、カカオ香る石けん=福岡」の見出しの下、「型枠にあらかじめ色づけし、2層のチョコレートを流し込んだ。それぞれフランボワーズ、キャラメルオレンジ、ラベンダーの風味。柔らかな舌触りに、フルーツの酸味や苦みを生かした大人の味わいだ。」との記載がある。(甲第9号証の4)
オ 2010年2月12日付け毎日新聞(地方版/愛知)において、「ミッドランド情報:上品でぜいたくなチョコレート」の見出しの下、「フォートナム・アンド・メイソン(地下1階)は、日本オリジナルのシャンパントリュフを用意し、大人の味わいを提供する。」との記載がある。(甲第9号証の5)
カ 1992年2月19日付け日本食糧新聞において、「平和食品、業務用レトルトパウチ「カレーうどん」3月5日から全国一斉発売」の見出しの下、「・・・抽出した伝統の風味『うどんだし』に、牛肉と新鮮な野菜を用いて、香り豊かでスパイシーな大人の味わいを持った数十種類の香辛料で、じっくり煮込んだカレールウとドッキングさせ、手作りの味として一袋でユーザーが求めるグルメ感を出したという自信作だ。」との記載がある。
キ 2008年10月6日付け外食レストラン新聞において、「ヒットメニュー列伝近代メニューに名を残す逸品(55)『ホールドバゲット』あらびきソーセージ」の見出しの下、「歯応えのあるフランスパンを使っているから、かみしめる楽しみもある。パクパクとあごを使わず食べ進めるアメリカ的とは、これまた違った大人の味わい。」との記載がある。
ク 2010年5月8日付け読売新聞(東京夕刊)において、「アサリしぐれ煮弁当 しっかり 大人の味」の見出しの下、「今が旬のアサリを、自家製のしぐれ煮にしてみてはいかが。白いご飯にたっぷり載せ、おかずを添えた豪華なお弁当を、日本料理店店主の山崎美香さんが提案してくれた。ショウガの風味も効いた大人の味わいだ。」との記載がある。(甲第9号証の6)
ケ 2013年1月14日付け日本食糧新聞において、「ビッグマックで『誠』の大人に 日本マクドナルドが成人式開催」の見出しの下、「『ビッグマック』はボリュームがある大人向けのハンバーガーとして1967年に米マクドナルドで誕生。成人の日に大人の味わいを楽しんでもらおうと、各店舗で新成人に『ビッグマック』1個を無料提供した。」との記載がある。


異議決定日 2014-09-29 
出願番号 商願2013-8514(T2013-8514) 
審決分類 T 1 651・ 16- Z (W30)
最終処分 取消  
前審関与審査官 齋藤 貴博 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 高野 和行
梶原 良子
登録日 2013-06-21 
登録番号 商標登録第5592215号(T5592215) 
権利者 敷島製パン株式会社
商標の称呼 オトナノアジワイ、オトナノ、オトナ 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 工藤 莞司 
代理人 小暮 君平 
代理人 浜田 廣士 

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