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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W33
審判 査定不服 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 登録しない W33
管理番号 1294913 
審判番号 不服2014-13469 
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-07-10 
確定日 2014-11-26 
事件の表示 商願2013-73661拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「KUBOTA」の文字を標準文字で表してなり,第33類「清酒」を指定商品として,平成25年9月20日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は,「本願商標は,『KUBOTA』の文字を標準文字で表してなるところ,これは,ありふれた氏である『久保田』に通じるものであり,日常の商取引において氏を表す場合,必ずしも漢字のみに限らず平仮名又は欧文字で表示する場合も少なくないのが実情であるから,本願商標は,ありふれた氏普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。したがって,本願商標は,商標法3条1項4号に該当する。また,本人所有の登録商標と常に一緒に使用されていることをもって,ありふれた氏と認められる本願商標を登録しなければならない理由は存せず,提出された物件によっては,本願商標『KUBOTA』が,周知・著名なものとはいい難い。」旨認定,判断して,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法3条1項4号について
本願商標は,前記1のとおり,「KUBOTA」の文字を標準文字で表してなり,姓氏の一つとして広辞苑(株式会社岩波書店)にも掲載されている「久保田」の読みを欧文字で表したものと理解されるものであるところ,「姓名分布&ランキング」のウェブサイト(http://www2.nipponsoft.co.jp/bldoko/index.asp)によれば,「久保田」の氏は,全国で約28,680件存在し,122番目に多い氏であることが認められる。 また,「全国の苗字(名字)11万種掲載」のウェブサイト(http://www2s.biglobe.ne.jp/~suzakihp/index40.html)によれば,「久保田」は37,355世帯存し,126番目に多い氏であることが認められる。
そうすると,「久保田」の氏は,我が国においてありふれた氏の一つであるというべきである。
そして,氏を表す場合,必ずしも漢字のみに限らず,例えば別掲に示すように,欧文字で表すことが普通に行われていることからすれば,本願商標に接する取引者,需要者は,これをありふれた氏である「久保田」を欧文字で表したものと理解するというのが相当である。
したがって,本願商標は,ありふれた氏普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから,商標法3条1項4号に該当する。
なお,請求人は,他の審決例,登録例を挙げ,これらの商標が登録されている以上,本願商標も登録されるべきである旨主張するが,登録出願に係る商標が商標登録の要件を具備しているか否かは,当該商標の構成態様と,指定商品の取引の実情等に基づいて,個別具体的に判断されるものであり,本願商標については,上記のとおり判断すべきであるから,請求人の上記主張については,採用することができない。
(2)商標法3条2項について
請求人は,著名性を獲得している登録第5621851号商標「久保田」と本願商標「KUBOTA」は並記され使用されているから,本願商標「KUBOTA」は,「久保田」同様,周知商標であることは明らかであり,商標法3条2項の適用により,登録されるべきである旨主張し,甲第12号証ないし甲第19号証を提出している。
商標登録出願された商標が,商標法3条2項所定の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの」に該当するか否かは,出願に係る商標と外観において同一と見られる標章が指定商品とされる商品に使用されたことを原則として,その使用開始時期,使用期間,使用地域,使用態様,当該商品の生産・販売数量又は売上高,広告宣伝の方法・回数等などの事情を総合考慮して判断されるべきである。
そこで請求人が提出した証拠をみるに,請求人に係るホームページにおいて,「商品のご案内」の見出しにて,筆書き風に書された「久保田」の文字と,同文字が記載された清酒(瓶)の画像が掲載され,その画像の下部に小さく「KUBOTA」の文字が記載されている(甲12)。
請求人作成に係る「会社案内」においては,「製品のご紹介」の見出しで「久保田」の文字と,そのすぐ右に「Kubota」の文字が小さく記載されている(甲13)。
請求人の製造に係る清酒のラベルには,「久保田 生原酒」「萬寿 久保田」「碧寿 久保田」「紅寿 久保田」などの表示の上部に,それぞれ,「KUBOTA NAMAGENSHU」「MANJYU KUBOTA」「HEKIJYU KUBOTA」「KOUJYU KUBOTA」の文字が小さく書されている(甲17)。
以上のことからすると,「KUBOTA」の文字は,「久保田」の文字と共に使用され,かつ,「久保田」の文字よりも小さく記載されており,目立つ態様では使用されていないから,請求人が認めるように,「KUBOTA」の標章は,「久保田」の文字と並記して使用されているにすぎないものであって,単体で使用されているものということはできない。
また,請求人からは,「『久保田シリーズ』銘柄別出荷容量及び売上金額表 2005年?2013年」(甲18)も提出されているものの,この資料に係る清酒については,標章の使用状況が明らかではなく,甲第17号証の使用状況からすれば,「KUBOTA」の標章は,「久保田」の文字と並記して使用されていると推認し得るものであり,このほか,「KUBOTA」の標章が単体で使用されているものと認められる資料の提出はなく,「KUBOTA」の標章に係る清酒の出荷容量や売上金額,「KUBOTA」の標章の使用開始時期,使用期間,使用地域,使用態様,当該商品の生産・販売数量又は売上高,広告宣伝の方法・回数等を把握することができない。
そうすると,「KUBOTA」の文字のみからなる本願商標については,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものということができない。
したがって,本願商標は,商標法3条2項の要件を具備するものではない。
(3)結語
以上のとおりであるから,本願商標は,商標法3条1項4号に該当し,かつ,同条2項の要件を具備するものではないから,これを登録することはできない。
したがって,本願商標が商標法3条1項4号に該当するものとして本願を拒絶した原査定を取り消すことはできない
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(氏である「久保田」を「KUBOTA」と表す例)
(1)「表札・看板ショップ:ネームプラザ」に係るウェブサイト
「表札施工例 No.712 久保田様」の見出しにて,「久保田」と「KUBOTA」の文字が上下2段に横書きされた表札の画像が掲載されている(http://www.nameplaza.net/Sekou/Detail/712.php)。
(2)「表札・看板ショップ:ネームプラザ」に係るウェブサイト
「表札施工例 No.880 久保田様」の見出しにて,「KUBOTA」の文字が横書きされた表札の画像が掲載されている(http://www.nameplaza.net/Sekou/Detail/Detail.php?ID=880&Mode=Type&wall_type=W58)。
(3)「表札専門館あいる」に係るウェブサイト(「Kubota」の例)
「アイアン表札:久保田様」の見出しにて,「Kubota」の文字をかたどった表札の画像が掲載されている(http://www.airu-hyosatsu.com/web/ex/entry_000044.html)。




審理終結日 2014-09-26 
結審通知日 2014-09-29 
審決日 2014-10-15 
出願番号 商願2013-73661(T2013-73661) 
審決分類 T 1 8・ 14- Z (W33)
T 1 8・ 17- Z (W33)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 雅也 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 中束 としえ
守屋 友宏
商標の称呼 クボタ 
代理人 吉井 剛 
代理人 吉井 雅栄 

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