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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W4244
審判 全部申立て  登録を維持 W4244
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審判 全部申立て  登録を維持 W4244
管理番号 1293860 
異議申立番号 異議2014-900151 
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-12-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-05-19 
確定日 2014-11-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第5656155号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5656155号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5656155号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「Dolphin Evolution」の文字を青色等で彩色されたイルカの図形に重ねるように配した構成からなり、平成25年9月10日に登録出願された商願2013-070525に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同年11月22日に登録出願、第42類「サーバの記憶領域の貸与,クラウドコンピューティングの形態によって行われるコンピュータウェブサイトのホスティング,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,クラウドコンピューティングネットワークのアクセス及び使用に用いるオペレーティングソフトウェアの設計・作成又は保守,医療データに関する電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,医学の分野で使用のためのコンピュータハードウエア及びソフトウエアの設計及び開発,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機・電子計算機用プログラム・インターネットの使用及び操作方法に関する紹介及び説明」及び第44類「医師・クリニック・病院・薬局における医療に関する情報の提供,患者の医療情報の提供」を指定役務として、平成26年2月26日に登録査定され、同年3月14日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標等は、次の1から3のとおりである。
1 登録第5660902号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:Dolphin
登録出願日:平成25年8月23日
設定登録日:平成26年4月4日
指定役務 :第42類「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機システムの設計・開発・運用又は電子計算機システムの導入に関する助言,電子計算機端末による通信を用いた電子計算機・医療機器その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法に関する紹介及び説明,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,インターネットサーバーの記憶領域の貸与」
2 登録第5446560号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:OpenDolphin
登録出願日:平成22年10月28日
設定登録日:平成23年10月28日
指定役務 :第42類「電子計算機のシステム設計・開発・運用又は保守,電子計算機のシステム導入に関する助言,電子計算機用プログラムの提供」
3 加えて、申立人は、別掲2のとおりの構成からなり、申立人の業務に係る電子カルテシステムの開発及び提供等について使用する標章(以下「引用商標3」という。)を引用している。
以下、上記引用商標1ないし3を一括して単に「引用商標」ということがある。

第3 登録異議の申立ての理由の要点
1 商標法第4条第1項第7号該当性
申立人は、引用商標は申立人の斬新な造語であって、申立人の業務に係る電子カルテシステムの提供という役務について長年使用継続された結果、商標「ドルフィン(Dolphin)」といえば、医療業界(診療所用電子カルテ)では商標「OpenDolphin」を意味し、引用商標は当業界では周知著名である。本件商標は、引用商標と類似するものであり、申立人と無関係の本件商標権者がこれを使用することは、引用商標の周知著名性にただ乗りすることにほかならず、本件商標権者は申立人との許諾契約を基に引用商標を使用してきた経緯もあり、不正の目的をもって本件商標を使用する強い意図が推認できる。かかる本件商標権者の行為は、社会公共の利益及び社会の一般的道徳観念に反するものであり公序良俗を害するおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
2 商標法第4条第1項第10号該当性
引用商標は、電子計算機用プログラムの提供とともに電子カルテシステムの提供という業務に付されて長年使用されている周知著名な商標である。
また、長年わが国で商標として使用された結果、遅くとも本件商標の出願時前、医療に従事する業界において広く認識されていて、「他人の業務を表示するものとして需要者間に広く認識され」るようになった商標であって、本件商標は、「Dolphin」の文字を要部とするものであることから、引用商標と本件商標とは高い程度で類似するものであり市場混同を惹起することは必須である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
3 商標法第4条第1項第11号該当性
本件商標と引用商標の称呼は、「ドルフィン」を中核として相互に混同するものであり、全体として称呼上類似する商標であり、これらの各商標は全体として類似商標である。しかも、本件商標の指定役務は、引用商標の指定役務と相互に同一若しくは類似するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 商標法第4条第1項第15号該当性
周知著名な引用商標と類似する本件商標がその指定役務について使用された場合、該役務が申立人又は申立人と何らかの関連を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
5 商標法第4条第1項第19号該当性
本件商標は、引用商標と類似するものであり、引用商標の著名性にただ乗りし、不正の目的をもって使用するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知著名性について
(1)申立人は、引用商標は申立人の斬新な造語であって、申立人の業務に係る電子カルテシステムの提供という役務について長年使用継続された結果、商標「ドルフィン(Dolphin)」といえば、医療業界(診療所用電子カルテ)では商標「OpenDolphin」を意味し、引用商標は当業界では周知著名である旨主張し、証拠を提出している。
(2)そこで提出に係る証拠について検討するに、本件商標の登録出願後に掲載又は発行されたもの(甲6、甲7一部、甲11)、掲載日や発行日が不明なもの(甲7の1一部及び2、甲8の1?5及び7、甲9)が多く、しかも、引用商標が一切表示されていないもの(甲8の5?7、甲10)や、引用商標ではなく本件商標について記述したもの(甲9、甲11?甲14)が混在しており、確実に本件商標の登録出願前における引用商標の使用の事実を示すといえるものは少ない(甲15一部・覚書、市場で認知されている証拠集)。
もっとも、本件商標の登録出願後にプリントアウトされたウェブサイトにあっても、甲第6号証の一枚目には、その冒頭にイルカの図形と「OpenDolphin Lab」の文字とが一連に大きく表示され、「OpenDolphinはオープンソースの電子カルテです。・・・」、及び「プロフィール」の項には、「2001年?2002年経済産業省の公募事業で採択された案件、名称ドルフィンプロジェクトで開発しました。・・・2004年6月15日オープンソース化し、名称をOpenDolphinにしました。」等の記載がされているほか、同号証10枚目からの、「Dolphin Project 熊本地域での展開」と題する論文中において「患者さん(6000名以上:2002年12月現在)」、「クリニック用電子カルテeDolphin」等の記載がある。
同じく甲第7号証の1の1枚目には、ページの中程にイルカの図形と「OpenDolphin Pro」の文字とが一連に大きく表示され、3枚目には、「・OpenDolphinは2000年より経済産業省の公募事業で次世代電子カルテとして開発した日本初のオープンソース電子カルテです。・・・/・2007年ASPサービス開始、2009年iPhone/iPodTouch対応、2010年iPad対応・・・/・平成22年度経済産業省の公募事業に医療クラウドの電子カルテとして採用されました。」等の記載があり、23枚目には、「トピックス」の項において、「11/01/29 LSC電子カルテDolphinProの評価版ソフトがバージョンアップいたしました。」、「11/02/28 LSC電子カルテDolphinProのSaaS版サービス提供会社『エス・アンド・アイ株式会社』より、・・・」等の記載がある。
そして、甲第15号証における平成22年7月26日付けの申立人と本件商標権者との連名によるプレスリリースには、「iPad対応の診療所・クリニック向け電子カルテをSaaSモデルで提供 ライフサイエンスコンピューティングとエス・アンド・アイが医療クラウドで提携」との表題下に、「・・医療クラウドビジネスで提携を行い、LSCが開発した診療所やクリニック向け電子カルテシステム『DolphinPro』および『DolphinPro for SaaS』・・・を9月より順次販売を開始いたします。」、「DolphinProの特徴は以下のとおりです。/・・・DolphinProは、経済産業省の公募プロジェクトである地域医療連携事業で開発されたオープンソースの電子カルテOpenDolphinをベースに開発されました。」等の記載がある。
また、同号証の平成25年1月10日付けの申立人のプレスリリースでは、「ライフサイエンスコンピューティング、コニカミノルタエムジーに電子カルテクラウド・サービス『OpenDolphinクラウド』を提供」との表題下に、「電子カルテOpenDolphin概要」として、「OpenDolphinは2000年より経済産業省の公募事業で次世代電子カルテとして開発した日本初のオープンソース電子カルテです。・・・2007年ASPサービス開始・・・」等の記載がある。
さらに、同号証の平成25年4月24日付けのプレスリリースでも、「ライフサイエンスコンピューティングとサイバーリンクス、医療クラウド事業で業務提携」との表題下に、略同様の内容が記載され、雲形の輪郭内に、「LSC電子カルテ」及び「クラウド」の文字と共に、イルカの図形と「OpenDolphin」の文字とを一連に表示した構成からなる標章が表示されている。そして、同様の標章は、同号証の2013年9月17日付け「株式会社サイバーリンクス」の「クラウドORCA新システム説明会のご案内」に添付された「事例/LSC社のOpenDolphinクラウドとの連携」の資料にも表示されている。
なお、発行日が不明ではあるが、甲第15号証中における申立人の作成に係る冊子「会社概要」には、「沿革」の項に、「医療情報システム開発22年の経験と実績」として、「2001年電子カルテOpenDolphin開発(デジタルグローブ)」、「2010年電子カルテOpenDolphinProを発表」、「2013年1月『OpenDolphinクラウド』発表」等と記載され、「電子カルテ概要」の項には、「OpenDolphin」及び「OpenDolphinPro」について、その内容が記載されている。
加えて、甲第15号証中における平成25年8月発行の「株式会社富士経済」の作成に係る冊子の「地域医療連携・電子カルテシステム関連技術・市場の現状と将来展望2013」(122頁)には、電子カルテシステムの2012年業界シェアが掲載され、セコム医療システムが53.6%、申立人が25.0%であることが示され、「シェア2位のライフサイエンスコンピューティングは、2010年より質を落とさず低価格なサービスを提供することに注力し、近年シェアを拡大させている。」等の記載がある。
(3)以上によれば、本件商標の登録出願前から電子カルテシステムについて「OpenDolphin」又は「OpenDolphinPro」の標章が申立人によって使用されていたことが窺えるのであり、該標章及び申立人の存在は、電子カルテシステムの業界においてはある程度知られていたものといえる。
しかしながら、申立人が電子カルテシステムについて使用する標章の多くは「OpenDolphin」(又はこれに「Pro」若しくは「クラウド」の文字を付したもの)であり、「Dolphin」の文字のみからなる標章の使用はないし、イルカの図形にあっては常に「OpenDolphin」の文字と共に使用され、単独で使用されているものは見当たらない。また、「Dolphin」が商標「OpenDolphin」を意味するものとして広く知られていることを具体的に示す証左はない。
そして、引用商標1及び引用商標2の構成中の「Dolphin」の語は、「イルカ」の意味を有する英語として親しまれているものであって、申立人の造語といえるものではない。
そうすると、「OpenDolphin」の文字からなる引用商標2は、本件商標の登録出願時には、申立人の業務に係る電子カルテシステムについて使用する商標としてこの種業界においてはある程度知られていたものといえるとしても、「Dolphin」の文字からなる引用商標1やイルカの図形からなる引用商標3が独立して取引者、需要者の間に広く認識されていたものとまでは認めることはできない。
2 本件商標と引用商標との類否について
(1)本件商標は、別掲1のとおり、「Dolphin Evolution」の文字とイルカの図形からなるところ、該文字部分と図形部分との直接的、観念的な関連性はなく、読み易い文字部分を捉え、これより生ずる称呼をもって取引に資されるものというべきである。しかして、「Dolphin Evolution」の文字部分は、同書同大で一体的に表示されており、これより生ずると認められる「ドルフィンエボリューション」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであって、殊更これを「Dolphin」と「Evolution」とに分離分断して観察すべき格別の理由も見出し難いから、全体をもって、親しまれた既成の観念を有しない一種の造語として認識し把握されるとみるのが自然である。
この点につき、申立人は「Dolphin」の文字からなる引用商標1が周知著名であるから、本件商標は「Dolphin」の文字部分より「ドルフィン」の称呼をも生ずる旨主張するが、引用商標1が周知性を欠くものであることは前示のとおりであるから、申立人の主張は前提を欠き採用することはできない。
そうすると、本件商標は、「Dolphin Evolution」の文字とイルカの図形の組合せからなるものとして認識し把握されると共に、「Dolphin Evolution」の文字部分から「ドルフィンエボリューション」の称呼のみを生ずるものというべきである。
(2)他方、引用商標1は、「Dolphin」の文字からなり、「ドルフィン」の称呼及び「イルカ」の観念を生ずるものである。引用商標2は、「OpenDolphin」の文字からなるところ、「Open」と「Dolphin」とに分離分断して観察すべき格別の理由は見出し難く、全体として親しまれた既成の観念を有しない一種の造語として認識し把握されるとみるのが自然であるから、「オープンドルフィン」の一連の称呼のみを生ずるものである。引用商標3は、イルカの図形とはいうものの、イルカを写実的に緻密に描いた図形ではなく、かなり抽象的であり、イルカをモチーフとした図形として看取される場合があるとしても、一見して直ちに「イルカ」の称呼及び観念を生ずるものとまではいえない。
(3)そこで本件商標と引用商標とを対比するに、本件商標と引用商標1及び2とは、それぞれの構成に照らし、外観上、判然と区別し得る差異を有するものである。
また、本件商標から生ずる「ドルフィンエボリューション」の称呼と、引用商標1又は2から生ずる「ドルフィン」又は「オープンドルフィン」の称呼とは、構成音数が異なるばかりでなく、「エボリューション」の音の有無という顕著な差異又は「エボリューション」と「オープン」との音の相違により、称呼上、容易に区別することができるものである。
さらに、本件商標は、親しまれた既成の観念を有するものとはいえないから、観念上、引用商標1及び2と比較することはできない。
そして、本件商標のイルカの図形部分は、引用商標3のイルカの図形とは表現方法が明らかに異なり、別異の図形として認識し把握されるものである。
結局、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれない非類似の商標というべきである。
3 以上を前提として、以下、本件商標が商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるか否かについて検討する。
(1)商標法第4条第1項第7号該当性について
前示のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であって、別異のものであること、引用商標2はある程度知られているとしても、引用商標1及び3は取引者、需要者間に広く認識されているものとはいえないこと、からすると、本件商標は、引用商標の周知著名性にただ乗りするものとはいえず、引用商標に化体した価値を希釈化させるおそれもないというべきである。
申立人は、本件商標権者は引用商標につき申立人との許諾契約を基に、申立人の提供する役務と同一又は密接に関連する役務「電子計算機用プログラムの提供、電子カルテシステムの提供」に使用してきた経緯があるから、不正の目的をもって本件商標を使用し引用商標の顧客吸引力にただ乗りしようとする確信的な強い意図が推認できる旨主張する。
確かに、甲第15号証によれば、本件商標権者は、平成22年7月23日付けで申立人と販売代理店基本契約を締結したことが認められるから、本件商標の登録出願時には申立人及び引用商標の存在を知悉していたものといえる。しかしながら、そのことのみを以て直ちに本件商標が引用商標の周知著名性にただ乗りするものであるとか、不正の目的をもって使用するものであるとまではいえない。
なお、申立人は、引用商標の周知著名性を立証する証拠として本件商標の使用に係る資料(甲9、甲11?甲14)を提出していることなどからすると、本件商標及び引用商標の使用については必ずしも当事者間で整理がされていないといえるのであって、かかる事情の下における商標の使用をめぐる問題は、あくまでも当事者間同士の私的な問題として解決すべきであり、商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡張解釈して適用すべきではない。
もとより、本件商標は、その構成自体が矯激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形からなるものではないし、その指定役務について使用することが社会公共の利益に反し又は社会の一般的道徳観念に反するようなものでもなく、他の法律によって禁止されているものでもない。
してみれば、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべきものではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第11号該当性について
引用商標の周知性については、上記1のとおり、引用商標2がある程度知られているとしても、引用商標1及び3は取引者、需要者間に広く認識されているものとはいえないものである。
そして、本件商標と引用商標とが類似するものでないことは、上記2のとおりであるから、たとえ、本件商標の指定役務と引用商標1及び2の指定役務並びに引用商標3の使用に係る役務とが同一又は類似のものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と引用商標とは非類似の商標であって、別異のものであること、引用商標2はある程度知られているとしても、引用商標1及び3は取引者、需要者間に広く認識されているものとはいえないことは前示のとおりである。また、引用商標1は独創的なものではなく、特に識別力が強いというものでもない。
かかる事情の下において、本件商標をその指定役務について使用した場合には、本件商標の指定役務と引用商標の使用に係る役務との関係を考慮したとしても、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該役務が申立人ないしは申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について誤認を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
前示のとおり、引用商標2はある程度知られているとしても、本件商標と引用商標とが非類似の商標である以上、本件商標は商標法第4条第1項第19号に定める要件を欠くものであるばかりでなく、本件商標権者が申立人との許諾契約を基に引用商標を使用してきた経緯があるとしても、他に本件商標が不正の利益を得る目的、申立人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものであることを具体的に示す証左は見当たらない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標:色彩については、原本参照。)

別掲2(引用商標3:色彩については、甲第6号証参照。)



異議決定日 2014-10-30 
出願番号 商願2013-91898(T2013-91898) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W4244)
T 1 651・ 253- Y (W4244)
T 1 651・ 251- Y (W4244)
T 1 651・ 222- Y (W4244)
T 1 651・ 252- Y (W4244)
T 1 651・ 271- Y (W4244)
T 1 651・ 22- Y (W4244)
T 1 651・ 262- Y (W4244)
T 1 651・ 263- Y (W4244)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山本 敦子大澤 恒介小出 浩子 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 井出 英一郎
田中 亨子
登録日 2014-03-14 
登録番号 商標登録第5656155号(T5656155) 
権利者 エス・アンド・アイ株式会社
商標の称呼 ドルフィンエボリューション、ドルフィン、エボリューション 
代理人 下山 冨士男 
代理人 前田 和男 
代理人 岡本 敏夫 

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