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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W33
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W33
管理番号 1293826 
審判番号 不服2013-21227 
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-10-31 
確定日 2014-11-07 
事件の表示 商願2012-81782拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ハンディパウチ」の文字を標準文字で表してなり、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」を指定商品として、平成24年10月10日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『ハンディパウチ』の文字を標準文字により表してなるが、商標全体からは、『大きさが手ごろで取り扱いやすいパウチタイプの包装容器』の意味合いを認識させ、そのような容器入りの商品が販売されている事実が窺える。そうとすると、本願商標をその指定商品中、例えば『大きさが手ごろで取り扱いやすいパウチタイプの包装容器に入った清酒』に使用しても、商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「ハンディパウチ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、前半部の「ハンディ」の語は、「大きさが手ごろで取り扱いやすいさま。」の意味を有するものとして、後半部の「パウチ」の語は、「食品やカードを密閉保護するプラスチック製などの袋やシート。」の意味を有するものとして(ともに広辞苑第六版)、ともに親しまれた語であるから、本願商標は、その構成全体として「大きさが手ごろで取り扱いやすいプラスチック製の袋(パウチ容器)」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
ところで、本願の指定商品の分野においては、別掲1のとおり、保管しやすさ、持ちやすさ、持ち運びやすさ等の観点から、小容量のパウチ容器入りの商品が販売されている実情がある。
さらに、食品を取り扱う業界においては、別掲2のとおり、上記意味合いの容器の形態を表すものとして「ハンディパウチ」「ハンディータイプのパウチ」の語が使用されている実情がある。
そうとすると、「ハンディパウチ」の語からなる本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「(保管や持ち運び等に適した)大きさが手ごろで取り扱いやすいパウチ容器入りの商品」であること、すなわち、商品の品質を表示したものとして認識するにとどまるといえるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当であり、また、前記商品以外の商品に使用するときは、該商品が「(保管や持ち運び等に適した)大きさが手ごろで取り扱いやすいパウチ容器入りの商品」であるかのように商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
なお、請求人は、「ハンディパウチ」の語は、パウチ容器の形状、サイズ等を具体的に特定できないものであって、パウチ容器の品質表示として普通に使用されている事実もないから、特定の品質表示とはいえない旨主張している。
しかしながら、上述のとおり、本願の指定商品の分野において、小容量のパウチ容器入りの商品が販売されている実情があり、加えて、食品を取り扱う業界において、「ハンディパウチ」「ハンディータイプのパウチ」の語が、使用されていることからすれば、たとえ「ハンディパウチ」の語からは、パウチ容器の形状、容量、大きさ等を具体的に特定できないとしても、これに接する取引者、需要者は、これを自他商品の識別標識として認識するというよりは、「(保管や持ち運び等に適した)大きさが手ごろで取り扱いやすいパウチ容器入りの商品」であるとの意味合いを表したもの、すなわち、商品の品質を表示したものとしてとして認識するというのが相当である。
してみれば、請求人の主張は、採用することができない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(下線は合議体が付加した。)
1 本願の指定商品の分野において、小容量のパウチ容器入りの商品が販売されている実情
(1)2014年7月8日付け京都新聞(朝刊)には、「◎夏だ『日本酒がうまい』 伏見の各社 新しい楽しみ方提案 若者にアピール 『シャーベット』でいかが」の見出しの下、「黄桜は、冷凍庫でシャーベット状にしてから食べる『お酒のシャーベット シャリッと』をこのほど夏季限定で発売した。パウチ入りで、容量は180ミリリットル。」及び「宝酒造は、冷蔵庫で冷やしやすい小型のパウチ入りで『松竹梅』を今春から販売している。200ミリリットル入りの飲みきりサイズで、瓶に比べ冷蔵庫で保管しやすい。」と記載されている。
(2)2014年6月30日付け中国新聞(夕刊)には、「『凍らせた酎ハイ』1都6県で販売 キリン、あすから」の見出しの下、「キリンビールは、酎ハイをパウチ容器に入れて凍らせた新商品『キリン 氷結アイススムージー』を発売すると発表した。7月1日から首都圏中心の1都6県のコンビニや東京ドームなどの球場で先行販売する。持ちやすい容器で野球観戦中でも手軽に楽しめるのが特徴。」と記載されている。
(3)2012年1月28日付け読売新聞(東京朝刊)には、「パウチパック入りの酒 続々 保管しやすく、持ち運びも便利」の見出しの下、「パウチパック入りのワインも人気が高まっている。JR東京駅と隣接した大丸東京店の酒類売り場『トラベルリカー』では昨年9月から、フランスワイン『プレタ・ボアール』の赤と白(250ミリ・リットル、378円)を販売している。『新幹線で行楽に行く人や出張帰りの人が購入するケースが多い。飲みきれなくても、小さくつぶして蓋ができるため、持ち運びしやすいことが人気につながっている。リピーターもいます』と同店の担当者。」と記載されている。
(4)株式会社東亜酒造のホームページにおいて、商品案内において、「【清酒】冷やしておいしい原酒200MLパウチ」の見出しの下、「アウトドアにも最適!小型パウチ・・・しっかり持てて注ぎやすい・・・保管に便利・・・軽くて便利・・・」と記載されている。
(http://www.toashuzo.com/hiya_gensyu200.htm)

2 食品を取り扱う業界において、容器の形態を表すものとして「ハンディパウチ」「ハンディータイプのパウチ」の語が使用されている実情
(1)2013年4月24日付け日本食糧新聞には、「デザート特集:常温デザートメーカー動向=たらみ」の見出しの下、「一方、新ブランド『Fruit&Fruit』やハンディータイプのパウチ『MOGFUL』は定着できず苦戦。ゼロカロリーシリーズや野菜入り商品も厳しかった。」と記載されている。
(2)2012年4月23日付け日本食糧新聞には、「デザート特集:常温デザートメーカー動向=マンナンライフ」の見出しの下、「既存ブランドでは、『蒟蒻畑』〈ピンクグレープフルーツ味〉〈パイナップル味〉を追加。ハンディパウチの『クラッシュタイプの蒟蒻畑ライト』は、〈オレンジ味〉を追加し4品体制に戻した。」と記載されている。
(3)2011年6月21日付け日本経済新聞(朝刊)には、「移動中やオフィスでも」の見出しの下、「ハンディータイプのパウチ容器を使い、時と場所を選ばず手軽に食べることができるプレーンヨーグルト。」と記載されている。
(4)2006年9月22日付け日本食糧新聞には、「ヨーグルト・乳酸菌飲料特集:各社の動向=森永乳業」の見出しの下、「ソフトは『アロエ』が2連を中心に苦戦。4ポットの『角切りんご』が純増したほか、新形態のハンディパウチタイプは品種を増やし3品体制を確立したことから1・5倍の伸びを示している。ハードは前年を割っているが、3連の新商品『森永クリーミィーヨーグルト』の上市で7、8月単月では2桁増を示現している。」と記載されている。


審理終結日 2014-08-27 
結審通知日 2014-09-03 
審決日 2014-09-26 
出願番号 商願2012-81782(T2012-81782) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W33)
T 1 8・ 272- Z (W33)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤平 良二 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 高野 和行
梶原 良子
商標の称呼 ハンディパウチ 
代理人 特許業務法人みのり特許事務所 

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