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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201310115 審決 商標
不服201315489 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 W19
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 W19
管理番号 1293824 
審判番号 不服2014-10738 
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-06-06 
確定日 2014-11-28 
事件の表示 商願2012-94821拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第19類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成24年11月22日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同25年5月8日付け及び当審における同26年6月6日付けの手続補正書により、最終的に、第19類「しっくい」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『うま?くヌレール』の文字を普通に用いられる方法で表してなるところ、本来の語意を強調するために長音符号を挿入して記述する等の表現が一般に用いられていることからすると、本願商標をその指定商品、例えば、『しっくい』に使用するときは、『上手く塗れること』を意味するものとして容易に認識されるにすぎないから、単に商品の品質を表示するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、出願人は、意見書において『出願人は本願商標を数年前から市場において使用し続けている』旨の主張をしているが、出願人の提出に係る証拠によっては、本願商標が本願指定商品に使用された結果、取引者・需要者に広く認識されていたものであるとは認められない。」 旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲のとおり、「うま?くヌレール」の文字をゴシック体で表してなるところ、本願の指定商品「しっくい」との関係においては、「上手く塗れる」の語の意味合いを強調するための波形及び通常の長音符号を用いて、平仮名及び片仮名で表示したものと容易に認識されるものである。
そうしてみると、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「上手く塗れる」という意味合いを理解するにすぎず、その商品の品質を表示したものと理解するにとどまるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項について
ア 請求人は、本願商標は、商標法第3条第2項の規定により、商標登録を受けることができる旨主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出している。
イ そこで、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて検討するに、請求人の提出に係る証拠及び当審の職権調査によれば、以下の事実が認められる。
(ア)出願人(請求人)は、1929年2月に設立され、建築壁材の製造及び販売を行っている企業であるところ、初心者でも簡単に塗れ、購入後すぐに使用できるペーストタイプの「しっくい」を開発し、その商品(以下「当該商品」という。)に本願商標を付して2003年5月に発売をした(甲第8号証及び甲第11号証)。その後、当該商品は、2006年2月に全国のホームセンターで販売されるようになり、2014年5月時点において、全国742店舗で取り扱われている(甲第14号証)。
(イ)出願人は、日本全国のホームセンターにおいて、年250回以上、当該商品を使用した実演・お試し塗り会を開催するとともに、2014年3月31日には東京都台東区に当該商品を使用して壁塗り体験ができるショールーム「うま?くヌレールLABO」を開設している(甲第8号証及び甲第12号証)。また、当該商品は、販売店内の陳列棚の1列全てを占有したり、販売店内の主通路に面した棚に陳列されるなど、購入者の目に付きやすい場所に配置されていることも認められる(甲第13号証)。その他、出願人は、平成19年から同25年まで、年に1又は2回、当該商品を使用した作品賞を募集し、累計12回にわたり入選作品を出願人のホームページで公表している(平成26年開催の第13回は、現在募集期間中である。)。
(ウ)当該商品の広告が、DIYを好む者を対象とする雑誌「NHK 住まい自分流 DIY入門 8・9月号」(2006年8月1日日本放送出版協会発行)、「週末DIY・手作りライフマガジン ドゥーパ! No.100 2014 June」(2014年5月8日株式会社学研パブリッシング発行)及び「PaKoMa 11月号」(2011年10月10日株式会社ハル・プロデュースセンター発行)並びに女性向けインテリア雑誌「私のカントリー別冊 Come home! vol.20」(2010年6日4日株式会社主婦と生活社発行)に掲載されている(甲第6号証、甲第9号証、甲第11号証及び甲第12号証)。
また、日本経済新聞(2005年(平成17年)1日14日及び2009年(同21年)5月13日)、日経MJ(2007年(平成19年)10月3日)、上述の雑誌「NHK 住まい自分流 DIY入門 12・1月号」(2006年12月1日日本放送出版協会発行)、「NHK 住まい自分流 DIY入門 DIYの素材と道具図鑑 わかる!できる!かわる!」(2007年8月15日日本放送出版協会発行)及び「NHK 住まい自分流 12月号」(2010年11月20日日本放送出版協会発行)の記事並びに書籍「アコさんのシンプルだけどちょっと乙女なお家づくり」(2011年3月30日祥伝社発行)において、当該商品が紹介されており、これらの記事には、本願商標を付した商品の写真の掲載又は「うま?くヌレール」の文字の使用が見受けられる(甲第5号証及び甲第11号証)。
(エ)出願人は、当該商品を含む優れた製品を開発し、他の模範となる活動を実践していることが認められ、平成20年6月13日に栃木県知事から栃木県フロンティア企業として認証を受けており、その認証状に、当該商品の商標として「うま?くヌレール」の文字の記載が認められる(甲第10号証)。
(オ)出願人及びその関係者以外に、「うま?くヌレール」の文字を使用している事実は発見できない。
ウ 上記イで認定した事実によれば、出願人は、本願の指定商品について、2003年5月から本願商標の使用を開始し、現在に至るまでの10年以上の間、該商標の使用を継続するとともに、その販売取引は日本全国のホームセンターにわたり、年250回以上、当該商品を使用した実演・お試し塗り会を開催しており、また、当該商品が優れた製品であると栃木県知事から認証され、さらに、本願商標を付した当該商品の広告及び紹介記事が各種DIY関連の雑誌及び新聞に複数回にわたり掲載されていることが認められることから、本願の指定商品の分野の需要者においては全国的に知られているとみるのが相当である。
そうしてみると、本願商標は、その指定商品について出願人により使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至ったものと判断するのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しているものというべきである。
(3)むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものであるから、原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標)



審決日 2014-11-18 
出願番号 商願2012-94821(T2012-94821) 
審決分類 T 1 8・ 17- WY (W19)
T 1 8・ 13- WY (W19)
最終処分 成立  
前審関与審査官 堀内 真一下山 月菜矢澤 一幸 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 藤田 和美
酒井 福造
商標の称呼 ウマークヌレール 
代理人 辻本 一義 

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