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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201210340 審決 商標
異議2013900185 審決 商標
不服201413821 審決 商標
不服20146330 審決 商標
不服20139242 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W3541
管理番号 1293800 
審判番号 不服2014-6432 
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-07 
確定日 2014-11-06 
事件の表示 商願2013- 12907拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「新事業開発研究所」の文字を標準文字で表してなり、第35類に属する願書記載のとおりの役務及び第41類「知識又は技芸の教授,職業訓練,知識又は技芸の教授に関する助言・指導及び情報の提供,会議・セミナー・シンポジウム・研修会の企画又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興業及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)に関する情報の提供」を指定役務として、平成25年2月25日に登録出願され、その後、第35類の指定役務については、同年8月12日付けの手続補正書により、「経理事務の代行,他人の商品及びサービスのライセンスに関する事業の管理,商取引の受注管理,事業の管理に関する助言,事業に関する指導及び助言,事業の調査,商業又は工業の管理に関する助言,商業又は広告のための展示会の企画・運営,市場調査,経営の診断又は経営に関する助言,産業動向・企業動向・経済動向に関する調査及び分析,経済・金融・産業・企業・経営及び市場に関する講演会及びセミナーへの講師のあっせん,高齢者及び障害者の就職及び再就職のための職業の紹介及びあっせん,高齢者及び障害者の就職及び再就職希望者に対する求人情報の提供及びコンサルティング」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、『新事業開発研究所』の文字を標準文字で表示してなるところ、その構成中『新事業開発』の文字部分は、経営コンサルティング及び事業の経営に関するセミナー等において、『新規事業の開発(創出)』ほどの意味合いで、使用されている。また、近時、企業の事業基盤等の強化を目的とした新事業・新商品・新技術に関する研究開発が企業において広く行われており、『新事業開発部門』『新事業開発室』などと共に『新事業開発研究所』と称して『新事業・新商品・新技術の研究開発を目的とした部署(機関)』が設けられている。そうすると、本願商標をその指定役務について使用しても、これに接する取引者・需要者は、前記役務が単に『新規事業の開発(創出)に関する研究をする機関により提供される役務』であると認識するにとどまり、何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記照応する役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、前記1のとおり、「新事業開発研究所」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「新事業開発」の文字は、「新しい事業を開発すること」の意味を容易に理解させるものである。また、「研究所」の文字は、「研究を目的とする特設の施設・機関」程度の意味を表す語として広く一般に使用されていることから、本願商標は、その構成全体として、「新しい事業の開発のための研究を目的とする特設の施設・機関」の意味合いを直ちに理解させる。
そして、各企業は、その成長戦略の一環として新規事業への早期参入を目指して先端技術や経営方法等についての研究開発を行い、その特別な機関を設立するなど、発展性のある新規事業の開発・創出を積極的に推進しているところ、別掲1(1)のとおり(平成25年6月26日付け拒絶理由通知書及び同年12月25日付け拒絶査定において通知したもの除く。)、それらの研究開発についての業務を「新事業開発」又は「新規事業開発」と表示して、各分野において広く使用している実情が窺えるものである。また、本願の指定役務に係る「事業・経営に関するコンサルティング・知識の教授・セミナー」等に関連する役務を提供する企業においても、各企業は、「新(規)事業開発」について研究し、その解決手段やセミナー等を提供していることが認められる。
以上によれば、「新事業開発」の文字は、新規事業の研究開発・創出に係る事業や業務を表す用語として広く一般的に使用されているとみるのが相当である。
一方、「研究所」の文字は、本願の指定役務の分野に限らず、医療、化学等の広い分野において「研究を目的とする特設の施設・機関」であることを表すものとして、一般的に使用されている語である(別掲1(2))。
そうすると、事業の内容を表すものとして一般に広く使用されている「新事業開発」の語に、試験・研究開発等を行う施設・機関を表すものとして一般に採用されて使用される「研究所」の語を結合した本願商標は、「新規事業の研究開発を行っている研究所」を理解させるにすぎないものであって、これをその指定役務について使用しても、「新規事業の研究開発を特に行っているところ(施設・機関)が提供する役務」程度を理解させるものであり、これに接する需要者・取引者は、これをもって役務の出所識別標識とは認識し得ないものである。
したがって、本願商標は、その指定役務との関係において、構成全体として格別顕著なところはなく、単にそれのみでは、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり、「需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標」であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。

(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「『新事業』という言葉は、比較対象がなければ何が『新』であるのか不明確になり、『新事業開発研究所』が実際に存在するとしても、それは、各企業それぞれの『新事業開発研究所』であるからこそ初めてその意味するところが明確になるものであるから、本願に係る『新事業開発研究所』は、本件出願人に依頼する各種のクライアント毎に『新事業』を定義してそれを開発する研究所である、という観念を生じるものであり、需要者・取引者は、本願商標を本件出願人の業務に係る役務であると明確に認識する。」と主張する。
しかしながら、各企業・各クライアントがそれぞれに「新事業」を明確に想定しているとしても、前記(1)のとおり、新規事業開発が普通に行われている実情のもとに一般的に使用されている「新事業開発」の文字と、研究施設・機関を表す一般的な語である「研究所」の文字からなる本願商標に接する取引者・需要者は、単なる「新事業開発研究所」の文字のみから、いずれの者が新規事業の開発について研究したものであるかを理解することができないものであり、結局、当該役務が一定の出所から提供されていることを認識し得ないというべきである。また、本願商標は、需要者・取引者が、これを審判請求人の業務に係る役務を表示するものとして明確に認識しているとすべき、取引の事情は見当たらない。
よって、本願商標は、一般的に、普通に使用される標章であると判断するのが相当であって、自他役務の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであり、特定人によるその独占使用を公益上認めるべきではない。
イ 請求人は、「近時、経営に関わる分野では、英語をカタカナにして表示するのが通常であり、この分野においては、漢字8文字からなる『新事業開発研究所』という商標は、十分に自他商品・役務の識別標識として機能し得る。」と主張する。
しかしながら、本願の指定役務の分野においても、企業等の施設・機関・業務内容等を記述する際に漢字で記載することは通常行われることであり、また、「新事業開発」の用語が広く使用されているといえる。
してみると、請求人の主張する取引の実情が一部に見受けられるとしても、別掲1(1)のとおりの実情を踏まえると、本願商標は、これに接する需要者・取引者に「新規事業の研究開発を行っているところ」の意味を直ちに理解させるものであり、その構成全体として、何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標といわざるを得ないことは、前記(1)のとおりである。
したがって、本願商標が、漢字8文字からなることにより、自他役務の識別標識としての機能を有するものであるということはできない。
なお、請求人は、過去の登録例を挙げて述べるところがあるが、それらは、本願商標と商標の構成態様が相違するものであり、本件とは事案を異にするものであるから、採用することができない。

(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲1)
(1)「新(規)事業開発」の使用について
ア 「ラボテック株式会社」のウェブサイトにおいて、「新事業開発室・・・新事業開発室では分析事業センター、LAセンター、その他大学、公的機関などと連携し、各種原理の実証、実験、プロトモデル製作、事業化検討などを行っております。これまですぐ火がつくお墓参り線香やダイオキシン分析廃液処理装置、病原菌検知などに取り組んでおります。」の記載(http://www.labotec.co.jp/company/outline/indexnew.html)。

イ 「株式会社クラレ」のウェブサイトにおいて、「新事業開発本部」の見出しの下に「事業概況 戦略領域と位置付けた『電子情報領域』『環境フレンドリー領域』『環境事業領域』『メディカル関連領域』のうち、『電子情報領域』と『環境事業領域』での枢要な役割を担うため、以下の各事業についてプロジェクトの推進・拡大を図っています。」の記載(http://www.kuraray.co.jp/company/business/newbusiness.html)。

ウ 「株式会社カネカ」のウェブサイトにおいて、「新規事業開発」の見出しの下「カネカは、グローバル企業として飛躍的に成長・発展するために、成長分野で競争力のある事業を次々に創出していきます。多様な技術シーズを組み合わせ、新しいビジネスフィールドにチャレンジします。」の記載(http://www.kaneka.co.jp/branch/nb_development/)。

エ 「旭化成株式会社」のウェブサイトにおいて、「『新事業開発棟』の運用開始について(2009年9月1日)」のプレスリリースにおいて「今般竣工し運用を開始する新事業開発棟は、ユーザーのニーズに的確に対応した革新技術の創出を通じて新しい事業・市場を創造する拠点とし、そのための『クリーン』・『微細』・『高純度』に対応する研究設備を備える新しい研究開発施設です。今後、当社グループ内のみならず社外との共同研究開発も含めて新事業開発を推進してまいります。」の記載(https://www.asahi-kasei.co.jp/asahi/jp/news/2009/ze090901.html)。

オ 「株式会社博報堂コンサルティング」のウェブサイトにおいて、「新規事業開発」の見出しの下「博報堂コンサルティングならではのアプローチ 新規事業開発の障害は3つあります。個々人の狭い知識の集積ではアイデアの質を担保できないこと、良いアイデアを経営陣が判断することが難しいこと、メンバーのモチベーションが続かないこと、です。リアルな事業成功に向けて、アイデア公募やブレストといった手法にとらわれず、全ての障害を踏まえ、現実的に事業化を進めるソリューションを提供します。」の記載(http://www.hakuhodo-consulting.co.jp/service/new.shtml)。

カ 「株式会社日本総合研究所」のウェブサイトにおいて、「新規事業開発」の見出しの下「新規事業による企業の成長戦略を支援?テーマ創造、戦略立案から実践まで? 日本総研は、創立以来、国内外の企業とのコンソーシアムなどを通して、自らが主体者となり新規事業開発に自ら積極的に取り組んでまいりました。・・・日本総研は、お客様と共に新たな企業価値を生み出すパートナーとして、企業の潜在力を引き出し、新規事業の成功による成長を支援していきます。」として、「サービスメニュー」には、「新規事業創造マネジメント」「新規事業戦略・計画」「事業開発人材育成」等との記載(http://www.jri.co.jp/service/business6/)。

キ 「株式会社 セプテム総研」のウェブサイトにおいて「研究・開発拠点」の見出しの下「生産部・新規事業開発室」として「新規事業開発室では、お客様の声やさまざまな情報を収集、解析し、また、大学・医家などと連携し、研究開発のノウハウを活かした新製品の提案、企画、新規事業の探索、推進をおこなっています。」の記載(http://www.septem-so.com/laboratories/labo04.html)。

ク 「一般社団法人日本能率協会 JMAマネジメントスクール」のウェブサイトにおいて、「新需要・新市場創造に向けた 新事業開発・新商品開発の進め方セミナー[基礎編]」の見出しの下「開催概要」について「特長【1】新事業・新商品開発の定石である基本要素と進め方を学びます【2】新事業・新商品開発の特性を理解し、簡単な演習を通じて成功のポイントを学びます【3】演習を通じた経験交流により、多様なものの見方、感じ方を体感し、新事業開発・新商品開発のための視野を広げます。」の記載(http://school.jma.or.jp/search/detail.php?seminer_no=1194)。

(2)「研究所」の使用について
ア 「独立行政法人国立がん研究センター」のウェブサイトにおいて、「組織図」の見出しの下「研究所」の記載(http://www.ncc.go.jp/jp/about/org.html http://www.ncc.go.jp/jp/nccri/)。

イ 「凸版印刷株式会社」のウェブサイトにおいて、「研究開発」の見出しの下「1986年 各地に分散していた研究部門を1ヵ所に集中させ、基礎研究から応用研究、生産技術に至るまでの研究活動が一貫してできる環境として埼玉県北葛飾郡杉戸町に『総合研究所』を設立。」の記載(http://www.toppan.co.jp/r_and_d/index.html)。

ウ 「北海道学園大学」のウェブサイトにおいて、「教育・研究」の見出しの下「開発研究所」として「調査研究活動 理系と文系の学部を有する北海学園大学の特色を生かした学際的ネットワークによる総合研究、研究部会や特定課題による個別研究などを実施しています。」の記載(https://hgu.jp/laboratory/laboratory06/)。

エ 「株式会社JSP」のウェブサイトにおいて、「数々の実績を誇る研究所」の見出しの下「国内外から寄せられた幅広いテーマに取組むJSPの研究機関の中枢、それが『鹿沼研究所』です。」の記載(http://www.co-jsp.co.jp/company/development/index.html)。

審理終結日 2014-09-08 
結審通知日 2014-09-09 
審決日 2014-09-25 
出願番号 商願2013-12907(T2013-12907) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W3541)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 真鍋 伸行 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 堀内 仁子
高野 和行
商標の称呼 シンジギョーカイハツケンキューショ、シンジギョーカイハツケンキュージョ、シンジギョーカイハツ 
代理人 井関 勝守 

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