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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服20139242 | 審決 | 商標 |
不服20146330 | 審決 | 商標 |
不服201413821 | 審決 | 商標 |
不服201325037 | 審決 | 商標 |
不服20143800 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W0103 |
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管理番号 | 1293796 |
審判番号 | 不服2014-1568 |
総通号数 | 180 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2014-12-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-01-29 |
確定日 | 2014-10-29 |
事件の表示 | 商願2013-24660拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,「pearl placenta」の欧文字と「パール プラセンタ」の片仮名を上下2段に横書きしてなり,第1類及び第3類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成25年4月4日に登録出願され,その後,指定商品については,同年8月19日受付の手続補正書により,第1類「プラセンタ成分入りの化学品」及び第3類「プラセンタ成分入りの化粧品,プラセンタ成分入りのせっけん類,プラセンタ成分入りの香料」に補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は,「本願商標は,『pearl placenta』の文字と,『パール プラセンタ』の文字とを上下二段に普通に用いられる方法で書してなるところ,その構成中,『pearl』及び『パール』の文字は,『真珠』を意味する語として,『placenta』及び『プラセンタ』の文字は,『胎盤。また,その抽出物』を意味する語として,いずれも広く使用されていることからすれば,本願商標は,全体として『真珠とプラセンタ』の意味合いを容易に理解させるものというのが相当である。そして,本願指定商品を取り扱う業界においては,真珠やプラセンタから抽出した成分が,美容に効果があるとされ,真珠及びプラセンタの成分を配合した化粧品やせっけん類が製造販売されている実情が確認できる。そうすると,本願商標をその指定商品中,真珠とプラセンタの成分を配合した商品に使用するときは,これに接する需要者,取引者は,単に商品の品質,原材料を表したものと認識するにとどまり,自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって,本願商標は,商標法3条1項3号に該当し,前記商品以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので,同法4条1項16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)本願商標が商標法3条1項3号に該当することについて 本願商標は,前記1のとおり,「pearl placenta」の欧文字と「パール プラセンタ」の片仮名を,普通に用いられる方法で上下2段に横書きしてなるところ,「pearl」と「placenta」との間及び「パール」と「プラセンタ」との間には,それぞれ半角程度のスペースが配されていることから,本願商標は,その上段が「pearl」の文字部分と「placenta」文字部分から,その下段が「パール」の文字部分と「プラセンタ」の文字部分から構成されていると一見して直ちに看取されるものである。 そして,「pearl」及び「パール」の文字は,「真珠」の意味(コンサイスカタカナ語辞典第4版)を有する親しまれたものであり,「placenta」及び「プラセンタ」の文字は,「胎盤.また,その抽出物.肝機能障害の治療に用いられるほか,美容にも効果があるとされている.」とされる(コンサイスカタカナ語辞典第4版)もので,それぞれ,化粧品やせっけん類の分野において,別掲1のとおり,原材料を表示するものとして使用されている。 さらに,別掲2のとおり,同分野において,真珠及びプラセンタを共に原材料として配合した商品が製造,販売されており,これらの商品の原材料を表示するものとして,「pearl」及び「パール」並びに「placenta」及び「プラセンタ」の語が共に使用されていることが認められる。 そうすると,「pearl」及び「パール」並びに「placenta」及び「プラセンタ」の語は,化粧品やせっけん類の分野において,商品の原材料を表示するものとして親しまれているものであり,また,真珠及びプラセンタを原材料として配合した商品についても,これらの語が原材料を表示するものとして共に使用されることも多いことからすると,前記1のとおりの構成からなる本願商標を,その指定商品中,「プラセンタ成分入りの化粧品,プラセンタ成分入りのせっけん類」に使用しても,これに接する取引者,需要者は,単に原材料名を並べたものと認識するものであって,真珠及びプラセンタを原材料として配合する商品であることを容易に認識するにとどまるというべきである。 してみれば,本願商標は,その指定商品中「プラセンタ成分入りの化粧品,プラセンタ成分入りのせっけん類」との関係において,商品の原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというのが相当であるから,商標法3条1項3号に該当する。 (2)請求人の主張について 請求人は,「プラセンタ」の意味には植物の胎座も含まれ,化粧品原料としても利用されており,「プラセンタ」という文字は,胎盤だけでなく,植物の胎座,さらには「プラセンタ」の本来持つ意味を越えて,「プラセンタ」に近い効果を有するものにも「プラセンタ」という文字が利用されているから,「真珠プラセンタ」であれば,「真珠とプラセンタの成分を配合した商品」…との概念を生ずる可能性が高くなるが,「pearl」あるいは「パール」には,「真珠」や「真珠由来の」の意味のほかに,「貴重な」「すばらしい」「美しい」「精粋」「精華」「典型」「真珠貝色」などの概念を生じる上,「pearl placenta」あるいは「パール プラセンタ」の文字が普通に使用されている事実はないから,本願商標は,商品の品質,原材料を直接的かつ具体的に表示するものとはいえない旨主張する。 しかしながら,「pearl」の語が,請求人が記述するとおり,複数の意味を有するものとして,「小学館ランダムハウス英和大辞典」に載録されていることは認められるとしても(平成26年1月29日受付の審判請求書に係る参考3),それをもって,「pearl」の文字が「真珠」と認識されないとはいえない上,本願商標は,「pearl」の下段に「パール」の片仮名が書されているところ,「パール」については,「【pearl】真珠」(広辞苑 第六版),「【pearl】真珠,また,真珠色」(大辞泉 増補・新装版),「【pearl】真珠」(大辞林 第三版)及び「(pearl)真珠」(新明解国語辞典 第七版)と記載されていることからすると,「pearl」や「パール」の文字の一義的な意味は「真珠」といえるものであって,「貴重な」「すばらしい」「美しい」「精粋」「精華」「典型」などの意味が一般に認識されているとはいい難い。 さらに,登録出願に係る商標が商標法3条1項3号に該当するか否かは,当該商標が指定商品に使用された場合に,当該商標に接した取引者,需要者がどのような認識をするかによって判断されるべきものであるところ,上記(1)のとおり,化粧品及びせっけん類の分野において,「pearl」「パール」の文字は商品の原材料を表示するものとして普通に使用されているものであるから,前記1のとおりの構成からなる本願商標を,その指定商品中の「プラセンタ成分入りの化粧品,プラセンタ成分入りのせっけん類」に使用するときは,これに接する取引者,需要者は,本願商標の構成中の「pearl」「パール」の文字部分を商品の原材料を表示したものと認識するというべきである。 また,別掲2に示すとおり,真珠とプラセンタが配合された化粧品,せっけん類が実際に製造,販売され,さらに,(1)及び(4)のように「プラセンタパール…クリーム」あるいは「パールプラセンタクリーム」と称している化粧品も見受けられるところ,そもそも商標法3条1項3号は,取引者,需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき,登録を受けることができないとしたものであって,該表示態様が,商品の品質を表すものとして,現実に使用されている事実は,同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(東京高裁平成12年(行ケ)第76号)。 したがって,上記請求人の主張は採用できない。 (3)むすび 以上のとおり,本願商標は,商標法3条1項3号に該当するものであって,登録することができない。 したがって,本願商標が同号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,取り消すことができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 「pearl」「パール」及び「placenta」「プラセンタ」が原材料を表示するものとして使用されていることについて(下線は当合議体が付加。以下同じ。) (1)「株式会社わかさ生活」に係るウェブサイト 「成分名 真珠 pearl」の見出しにて,「真珠は,その95%がカルシウムで構成されており,他にはコンキオリンという17種類のアミノ酸から成るたんぱく質でつくられています。コンキオリンは真珠のカルシウムとカルシウムをつなぐ働きをしており,抗酸化作用や細胞分裂の活性化作用,保湿作用に優れており,美容成分として化粧品にも多く利用されています。」と記載されている(http://www.wakasanohimitsu.jp/seibun/pearl/)。 (2)「セブンエステ」に係るウェブサイト 「エステ通販HOME > 配合成分別 > パール(真珠)」の見出しにて,「パール(真珠) 業務用エステ化粧品の一覧/パール(真珠)成分配合の業務用エステ化粧品の一覧です。」と記載されており,化粧品の画像が掲載されている(http://www.7esthe.com/categories/index/31600000000000)。 (3)「冨栄パール彩」に係るウェブサイト 「サイレントパール化粧品」の見出しにて,「パールと大分の温泉鉱泥がツルツルしっとり真珠肌に」「パールをたっぷり,贅沢に/サイレントパール化粧品」「サイレントパールパック ツルツルしっとり真珠肌の秘密 秘密1 パールエキスが,真珠の輝きを/パールの輝き成分が,肌の奥にまで届くことで,あなたの肌を,すべすべ,キラキラと輝いた真珠肌にしていきます。」と記載されている(http://www.perlcosme.com/index.html)。 (4)「株式会社地域法人無茶々園」に係るウェブサイト 「洗顔石鹸」についての「主原料の効果・効能」の見出しにて,「パール」として「目の前に広がる美しい宇和海でとれた『真珠貝』はお肌を活性化。生産日本一を誇る愛媛県・宇和海で育まれた真珠貝は,保湿効果が期待できるといわれています。」と記載されている(http://yaetoco.jp/goods/goods06.html)。 (5)「株式会社わかさ生活」に係るウェブサイト 「成分名 プラセンタ Placenta」の見出しにて,「プラセンタとは,哺乳類の胎児を成長させるための胎盤のことです。馬や豚などの動物由来のプラセンタは,美肌効果や肌の若返りへの効果が期待され,サプリメントや化粧品に配合されています。最近では,植物の胎座から抽出される植物由来のプラセンタも広く知られるようになりました。」と記載されている(http://www.wakasanohimitsu.jp/seibun/placenta/)。 (6)「厳選!プラセンタ化粧品ランキング完全版」と題するウェブサイト 「美白・保湿・アンチエイジング,すべてのお肌悩みに効果的といわれる美肌成分『プラセンタ』。このサイトでは,そんなプラセンタを配合した化粧品を徹底調査。アイテム別にBEST3を発表しています。」と記載され,「化粧水編」「美容液編」「乳液&クリーム編」「石鹸&洗顔料編」などのカテゴリーと共に,それぞれに対応する化粧品及びせっけん類の画像が掲載されている(http://www.placenta-item.com/)。 (7)「育毛効果あり!頭皮と髪の質がUPするプラセンタシャンプー4選」と題するウェブサイト 「アンチエイジング効果ばかりが注目されているプラセンタ。実はヘアケア成分としても,高い効果を発揮してくれます。毎日使い続けることにより,頭皮と髪の毛の質がアップするプラセンタ配合シャンプーを選り抜き紹介。」と記載され,「ノンシリコンなのに髪がギシギシしないプラセンタ配合のシャンプーです。」「髪にも頭皮にも優しい,プラセンタとアミノ酸入りのノンシリコンシャンプーです。」などの記載と共に,シャンプーの画像が掲載されている(http://placentaism.com/4placenta-shampoo.html)。 別掲2 真珠及びプラセンタを共に原材料として配合した商品が製造,販売され,これらの商品の原材料表示として「pearl」及び「パール」並びに「placenta」及び「プラセンタ」の語が共に使用されていることについて (1)「FC2ショッピングモール」に係るウェブサイト 「プラセンタパールリフレッシングデイクリーム【Placenta Pearl Refreshing Day Cream】」の見出しにて,「肌を保護して元気に育むプラセンタ&真珠配合のプレミアム級リフレッシングデイクリームです。…パールが,紫外線から肌を保護します。プラセンタが,過剰なメラニン色素の生成を抑えて澄んだ透明肌を創ります。」と記載されている(http://mall.fc2.com/item/gracetrading/389/)。 (2)「株式会社央笙」に係るウェブサイト 洗顔料について,「…贅沢に配合したバラプラセンタとパールがくすんだ古い角質を取り除き,透明感のあるお肌へと導きます。」,「バラプラセンタ/ダマスク・ローズの種子から受粉後の数週間の最も胎座が活性化している幻のゾーンから採取した細胞組織を最新技術により培養した純粋なバラプラセンタです。…植物由来なのでホルモン等が含まれるなどのリスクは全くありません。バラの生命力を凝縮した注目の美容成分です。」及び「パール(真珠粉)/パール(真珠粉)には特有のたんぱく質『真珠コンキオリン』が含まれています。これは真珠の独特の輝きをもたらす成分です。」と記載され,「主な配合成分」として,「整肌保湿成分 バラプラセンタ」「整肌成分 パール」と記載されている(http://ousho.jp/cosme/fp/bara_wash.html)。 (3)「ゴーセレクトショップ」に係るウェブサイト 保湿クリームについて,「[CHARIS Placenta Moisturising Cream with Pearl Powder]プラセンタ クリーム パールパウダー」の見出しにて,「若返り効果のプラセンタと/ハリと潤い,ツヤを与え美肌効果をもたらすパールパウダーと/保湿効果のラノリンを使用した/高機能クリーム/大人気の『パールパウダープラセンタクリーム』が生まれ変わって帰ってきました!」と記載されている(http://www.goselectshop.com/shopdetail/006000000032/)。 (4)「現地info」に係るウェブサイト 美容クリームについて,「パールプラセンタクリーム」の見出しにて,「話題のアンチエイジング成分 プラセンタ に中国コスメの王道 真珠 を合わせました。塗った瞬間に肌に潤いを与え,みずみずしい肌を保ちます。」と記載されている(https://www.genchi.info/shop/HongKong/product/mailorder/view/88)。 (5)「スキンケア大学」に係るウェブサイト 洗顔料について,「フラーレン・プラセンタ・スクワラン・コラーゲン・パール等,美容成分をたっぷり配合したクリーム形状の洗顔料。」と記載されている(http://www.skincare-univ.com/t/facewashing/placenta.html)。 (6)「株式会社フェイス」に係るウェブサイト 洗顔せっけんについて,「近年,パール原料は化粧品として,その有効成分が注目されています。『真珠で洗う洗顔ソープ』は栄養分の豊富な宇和海で取れたアコヤ貝の真珠層のみを贅沢に使用した,お肌に優しい洗顔石鹸です。」と記載され,「『真珠で洗う洗顔ソープ』はお肌の事を第一に考え,パール以外の美容成分を贅沢に配合しました。」として「プラセンタ/プラセンタは美白効果が高く,肌のたるみやシワの改善,新陳代謝促進で肌の若返りの効果が期待できます。」と記載されている(http://faith-i.jp/pearl_soap.html)。 (7)「サイエン・サイト」に係るウェブサイト 美容液について,「保湿成分」として「パールエキス・・真珠の輝きの主成分であるコンキオリンを小さな分子にした成分。保湿効果が高い。」と記載され,「ハリ・弾力成分」として「プラセンタエキス・・生体にエネルギーを与える様々な成長因子・ペプチド・アミノ酸が含まれたエキス。馬由来。」と記載されている(http://www.scien-sight.com/scisigh_toto_3.html)。 |
審理終結日 | 2014-07-18 |
結審通知日 | 2014-07-25 |
審決日 | 2014-09-05 |
出願番号 | 商願2013-24660(T2013-24660) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W0103)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小林 裕子 |
特許庁審判長 |
野口 美代子 |
特許庁審判官 |
中束 としえ 守屋 友宏 |
商標の称呼 | パールプラセンタ、パール、プラセンタ |