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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20139242 審決 商標
不服20146330 審決 商標
不服201413821 審決 商標
不服20141568 審決 商標
不服20143800 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W24
管理番号 1293788 
審判番号 不服2014-4866 
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-03-13 
確定日 2014-10-30 
事件の表示 商願2013-41514拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「うるおい繊維」の文字を標準文字で表してなり、第24類「織物」を指定商品として、平成25年5月31日に登録出願されたものである。

2 当審における拒絶の理由
当審において、請求人に対し、平成26年5月28日付け拒絶理由通知書をもって、要旨次の理由を通知した。
本願商標は、「うるおい繊維」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「うるおい」の文字は、「水気を帯びること。しめり。」の意味を有し、「繊維」の文字は、「織物などの原料となる細かい糸状の物質。」の意味を有するものである。そして、別掲の各種情報のとおり、保湿効果を有する機能性繊維が繊維メーカー各社より提供されていることが認められ、また、各種衣料品の販売者等が商品の原材料として用いられた保湿効果を有する機能性繊維を説明するに当たり、「うるおい繊維」の文字が広く一般的に用いられていると認められる。
してみれば、本願商標をその指定商品「織物」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が「保湿効果を有する機能性繊維」であると理解するにとどまるから、本願商標は、単に商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認める。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

3 当審における拒絶の理由に対する意見
請求人は、前記2の「拒絶理由通知」に対して、平成26年7月11日付け意見書を提出し、要旨以下の主張をしている。
(1)本願商標は、不可分一体の造語としか認識し得ないものであって、かかる構成から一義的には「うるおった繊維」程の意味合いを想起させ、転じて、「しめりけのある繊維」、「ゆとりある(ぜいたくな)繊維」、「しっとりとした趣のある繊維」程の意味合いを暗示させるものである。
(2)日本化学繊維協会が業界に対して、製品の性能を表示する際に、身体への効能効果を記載することは薬事法違反となる場合がある旨指導しており、本願の指定商品の分野では、身体の一部である肌への保湿効果を繊維の機能説明として表すこと自体が一般的ではないから、「うるおい繊維」の文字が用いられている拒絶理由通知で示した7例をもって、該文字が保湿効果を有する機能性繊維を説明するに当たり、「広く一般的」に用いられているとはいい難く、本願商標は、本来的な出所表示機能を有するものである。
(3)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。

4 当審の判断
本願商標は、「うるおい繊維」の文字を標準文字で表してなるものである。
そして、本願商標をその指定商品「織物」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が「保湿効果を有する機能性繊維」であると理解するにとどまるから、前記2のとおり、本願商標は、単に商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
なお、請求人は、前記2の拒絶理由通知に対し、前記3のとおり意見を述べている。
しかしながら、繊維メーカー各社から提供されている機能性繊維を用いた商品の販売において、前記2で示した使用例に加え、例えば「しっとり繊維」(http://www.felissimo.co.jp/kraso/pot/v2/cfm/products_detail001.cfm?gcd=I82701&gwk=786)、「ひんやり繊維」(https://www.dinos.co.jp/p/1260100620/)、「ぽかぽか繊維」(http://store.shopping.yahoo.co.jp/benkyoudou/cs-4571114462641.html)、「あったか繊維」(http://www.ponparemall.com/item/4990911030899/)等、その商品の特徴を表す語と「繊維」の語とを結合させたものが多数使用されている状況にあることからすれば、これらと同様の構成からなる「うるおい繊維」の文字に接した需要者は、「うるおい」の文字から「水気を帯びている(しめりがある)」という状態を認識し、そのような状態となる繊維であること、すなわち「保湿効果を有する機能性繊維」程の意味合いを容易に理解するとみるのが自然である。
また、商品の特徴を表す際に、身体への効能効果を記載することが薬事法違反になる場合があるとしても、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かは、指定商品等の取引の実情に基づき、取引者、需要者の認識を基準として、個別具体的に判断されるべきものであり、本願商標については上記のとおり判断するのが相当である。
したがって、上記意見書における請求人の主張は、採用することができない。
以上によれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 保湿効果を有する機能性繊維について
(1)1994年10月21日付け「毎日新聞」大阪朝刊(12頁)に、「コラーゲン、スクワランなど天然成分を衣類に利用 肌あれ防止に繊維メーカー」の見出しの下、「コラーゲン、キトサン、スクワラン、ヒアルロン酸--一見、化粧品の配合成分のようだが、実は繊維に特殊加工されている天然成分。このような天然原料から抽出された抗菌・保湿成分を特殊加工した機能性繊維が最近、次々と開発され、肌着や衣類用として売り出されている。安全性や肌に敏感な消費者のニーズに合わせたものだが、各メーカーは『肌にやさしく』『うるおいを保つ』というキャッチフレーズで、シェア拡大を狙っている。コラーゲンは保湿効果を持つたんぱく質で、アレルギー抑制効果や抗菌防臭効果のあるキトサンはカニなど甲殻類からの抽出成分。また、深海ザメの肝臓エキスであるスクワランは保湿性、サメの皮やニワトリのとさかに含まれているヒアルロン酸は保湿性と抗菌性があることで知られる。東レは来年秋冬物の婦人インナーウエア用に、スクワランをナイロン、ポリエステルなどに固着させた『ファルスティック』をアパレル向けに売り出した。この繊維を使ったインナーウエアを着ると、スクワランが繊維表面から皮膚に移り、うるおいのある肌を保つという仕組みだ。(略)鐘紡は今春から、キトサンとコラーゲンを綿やポリエステル繊維に付着させた『キトコラα(アルファ)』を売り出している。(略)ユニチカは、ヒアルロン酸とキトサンを合わせて加工した『イオシー』を開発。(略)このほか、東洋紡、帝人、クラボウ、富士紡なども、天然系の抗菌成分、保湿成分を加工した繊維を開発している。」との記載がある。
(2)1995年3月7日付け「日本工業新聞」(1頁)に、「富士紡績 アトピーをシャットアウト、素肌にやさしい機能性繊維」の見出しの下、「富士紡績は、アトピー性皮膚炎や肌荒れ症などに悩む人を対象に、薬草や魚類から抽出した成分を繊維素材に付着させた素肌にやさしい機能性繊維を開発した。(略)新開発した特殊繊維は『ケアトリ ナチュレ』。薬草から抽出した『グリチルリチン酸ジカリウム』や深海サメの肝油など天然成分を、独自の付着技術(特許申請中)により綿一〇〇%素材や混紡に付着させることに成功。(略)これまでの試験によると、抗菌防臭効果に加え、肌に適度なうるおいを与えることが明らかになった。」との記載がある。
(3)2001年1月25日付け「日本工業新聞」(29頁)に、「進化してます繊維技術 活性化へ相次ぎ織り込む新機能 肌にうるおい効果」の見出しの下、「こうしたなか素肌にうるおいを与える効果を狙った肌着も登場、注目を集めている。肌着大手のグンゼはスキンケア感覚の肌着『ピュアケア』を開発、十三日から売り出した。着るだけで素肌と肌着の間の水分量を調整、素肌にとって理想的な環境をつくりだすという。『ピュアケア』の従来にない特徴は、化粧品の原料として用いられる天然の保湿成分を綿などの繊維素材に加工したこと。絹から抽出される天然タンパク質の『セリシン』、動物性タンパク質の『コラーゲン』、さらに、カニの甲羅などに含まれる天然多糖質類『キトサン』をバインダーとして繊維に付着させる技術を確立。これによって衣服と肌の間の湿度を一定に保とうとする機能を向上、うるおい肌環境をつくりだせるようにした。」との記載がある。
(4)2002年7月17日付け「毎日新聞」大阪朝刊(8頁)に、「[ビジネス情報]ミズノと味の素 アミノ酸吸着の布地『アミノヴェール』を共同開発」の見出しの下、「ミズノと味の素は16日、繊維にアミノ酸を吸着させた布地『アミノヴェール』を共同開発した。アミノ酸の一種で肌の保湿効果が高いとされるアルギニンを繊維内部に化学結合させているのが特徴で、着用すると、汗に反応してアルギニンが溶け出し、肌の角質層に浸透。肌のうるおいを整えることができるという。」との記載がある。
(5)2004年2月16日付け「産経新聞」大阪朝刊(28頁)に、「シルクから生まれた多機能タンパク質 セリシン 保湿作用など発揮 肌に優しく」の見出しの下、「繭からつむぎだされる絹糸は、太さがおよそ十?二〇ミクロン。絹糸の芯(しん)となる『フィブロイン』と、その周囲を取り巻き、保護膜の役目を果たす『セリシン』という、性質が異なる二種類のタンパク質で構成される。(略)『人間の皮膚の角質層には、素肌をしっとりとさせる天然保湿因子(NMF)が存在しています。このNMFに含まれているアミノ酸と、セリシンの組成はよく似ています。そのおかげで、セリシンには、保湿性に優れ、人の肌にうるおいを与える作用があるのです』と、開発研究にあたる佐々木真宏さんは説明する。(略)セリシンを定着させた繊維は、刺激性が少なく、保湿性、吸水性、放熱性に優れ、生地がさらっとして、静電気が起きにくいなどの特徴がある。(略)これまでに、インナーウエアや寝装・寝具、スイムウエア、パンティーストッキング、車のシート、カツラなど、肌に直接触れる商品を中心にセリシンを使った数多くの製品が、十社以上から誕生している。」との記載がある。
(6)2004年6月17日付け「FujiSankei Business i.」(25頁)に、「繊維商社のヤギ、天然成分配合の肌着 かゆみや乾燥を防止」の見出しの下、「繊維専門商社のヤギ(大阪市中央区)は十六日、東京・大手町のサンケイプラザで会見し、肌にうるおいを与える天然成分を配合した女性向け肌着などの新シリーズ『デリキュア』を九月から販売すると発表した。深海ざめの肝臓から抽出した『スクワラン』やタラに含まれる『コラーゲン・シルクプロテイン』などの天然成分を繊維に分子結合させ、肌の乾燥やかゆみを防ぐ機能をもたせた。」との記載がある。
(7)2006年4月19日付け「日刊工業新聞」(23頁)に、「ハーバー研究所、繊維にうるおい成分を施したインナーウエア発売」の見出しの下、「ハーバー研究所は、肌のうるおい成分であるスクワランを繊維に施し、女性の体と肌へのやさしさにこだわったインナーウエアシリーズ『スクワランズ』を発売した。」との記載がある。
(8)2012年1月7日付け「朝日新聞」東京朝刊(2頁)に、「(売れ筋拝見)タオル 『速乾』『消臭』、機能さまざま」の見出しの下、「〈4〉白雪スクワランうるおいたおる/垣谷繊維(略)もともと蚊帳を作っていた奈良県のメーカーが手がける〈4〉は『一度使うとやめられない心地よさ』と女性の間で支持が高い。保湿成分が練り込まれた繊維で、ふんわりやわらか。」との記載がある。
(9)2013年2月19日付け「朝日新聞」大阪夕刊(3頁)に、「(おつかいもの玉手箱)白雪スクワランうるおいたおる ふんわり、蚊帳の技術【大阪】」の見出しの下、「やわらかさと保湿性に優れるレーヨンの繊維に、サメから採るスクワランオイルを練り込む。その糸で織った薄い布を多層に重ねてタオルにした。」との記載がある。

2 「うるおい繊維」の文字について
(1)「☆アカボシレポート☆」のウェブサイトにおいて、2006年1月30日に更新された「フェリシモ到着?♪」の見出しのブログ記事中に、「こちらは同じくフェリシモの『うるおい繊維パポリスのレッグウォーマー』保湿成分のスクワランが繊維に配合されているそうです。」との記載及びその商品の写真がある(http://yaplog.jp/akaboshi88/archive/90)。
(2)「everyday!」のウェブサイトにおいて、2008年1月31日に更新された「うるおい繊維 エニワイズ」の見出しのブログ記事中に、「エニワイズの機能的な繊維を知りました。エニワイズは直接肌につけるだけで、3つの天然美肌成分が浸透、50から100回洗濯しても効果持続。」との記載がある(http://plaza.rakuten.co.jp/everyday21/diary/200801310001/)。
(3)「Belluna Shop」のウェブサイトにおける「2008年春夏物カタログ」中に、「リヨセル混潤い2タックパンツ(股下65cm)(略)【うるおい繊維でお肌をやさしくサポート/LENZINGlyocell(R)<美肌時代>】●肌にやさしいソフトなリヨセル混素材。●保湿成分を付着させ、お肌の潤いをキープ。」との記載がある(http://belluna.benri-shop.com/shopping+index.page+355+mode+kt+kt+0803+sort+.htm)。
(4)「ポイ捨て禁止」のウェブサイトにおいて、2012年5月5日に更新された「あったか足冷え対策カイロinポカポカおやすみWソック」の見出しのブログ記事中に、「その名も『あったか足冷え対策カイロinポカポカおやすみWソックス』です。(略)かかととつま先部分にコラーゲンうるおい繊維を使用してるから、寝ている間に乾燥を防ぎ、うるおいをキープしてくれるとか、女の子には超いいもの」との記載及びその商品の写真がある(http://vcrmodfnorn123.blog.shinobi.jp/%E6%97%A5%E8%A8%98/)。
(5)「YAHOO! JAPAN ショッピング」内の「MALIANI 大人可愛いマリアーニ byイムネット」のウェブサイト中に、「マリアーニ ハイテンションパンツ 商品コード:30037721(略)販売期間:2013年11月27日10時00分から(略)天然成分を配合した『うるおい繊維』を使用(略)大手素材メーカーの生地に“うるおい加工”を施した、“うるおい繊維”を使用しています。皮脂成分にきわめて近いと言われる椿オイル、抗酸化作用が高いと言われている薔薇オイル、肌のかさつき防止に優れているシルクアミノ酸を配合。」との記載がある(http://store.shopping.yahoo.co.jp/imu/30037721.html)。
(6)「株式会社ポーラ」のウェブサイトにおいて、2013年12月17日に掲載された「『スキンディ(R)+シルク』素材が手指をうるおいで包む保湿手袋『しっとりコラーゲンシルク混手袋』発売」の見出しのプレスリリース中に、「株式会社ポーラ(本社:東京都品川区、社長:鈴木弘樹)は、うるおい繊維『スキンディ(R)』と保湿・調湿性の高い『シルク』混紡の素材で手指を包む保湿手袋『しっとりコラーゲンシルク混手袋』(¥2,300<税込¥2,415>)を2014年1月7日に発売します。『しっとりコラーゲンシルク混手袋』は、保湿成分コラーゲン・アミノ酸を繊維に化学結合させた『スキンディ(R)」と保湿・調湿性の高い天然『シルク』の混紡素材を使用。しなやかな肌触りで乾燥を防ぎ、『スキンディ(R)』+『シルク』の優れた保湿効果により、手指をしっとりなめらかに保ちます。」との記載及びその商品の写真がある(http://www.pola.co.jp/company/pressrelease/pdf/2013/po20131217.pdf)。
(7)「こだわり安眠館本店」のウェブサイト中に、「キトコラα素材の布団カバー なめらか&うるおい繊維アトピーにも安心です。保湿性 アクアバランス効果が繊維の乾燥を防ぎます。(略)やさしい肌ざわり 吸水・吸湿性に富み皮膚への刺激を抑えたソフトな肌ざわりです。」との記載及びその商品の写真がある(http://www.mandala.ne.jp/takahashi/COVER3.htm)。

審理終結日 2014-08-26 
結審通知日 2014-09-02 
審決日 2014-09-17 
出願番号 商願2013-41514(T2013-41514) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W24)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩崎 安子 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 根岸 克弘
山田 和彦
商標の称呼 ウルオイセンイ、ウルオイ 
代理人 鈴木 昇 
代理人 坂上 正明 
代理人 岡田 稔 
代理人 曾我 道治 

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