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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W30
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W30
審判 査定不服 観念類似 登録しない W30
管理番号 1293704 
審判番号 不服2013-19786 
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-09-25 
確定日 2014-10-20 
事件の表示 商願2012-99989拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成24年11月28日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、次の(1)の登録商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨判断し、本願を拒絶したものである。
(1)登録第4653820号商標(以下「引用商標」という。)
引用商標は、「日輪」の文字を標準文字で表してなり、平成14年7月1日に登録出願、第30類「茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン(「氷砂糖・水あめ」を除く。),香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」を指定商品として、同15年3月14日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、「BAUMKUCHEN」「MADE FROM RICE FLOUR」「NICHIRIN」「日輪」の文字を金色で四段に書し、その右側に円を重ね合わせたような幾何図形を配してなるものであるところ、構成中の文字部分と図形部分は、視覚上分離して看取され、文字部分を図形部分から分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものということもできないものである。
そうすると、本願商標は、その構成中の文字部分のみをもって取引に資する場合も決して少なくないと判断するのが相当であるといえるところ、その構成中の「NICHIRIN」及び「日輪」の文字は、「BAUMKUCHEN」及び「MADE FROM RICE FLOUR」の文字より顕著に表されているから、外観上、見る者の注意をより強く引くものであるといえる。
そして、「BAUMKUCHEN」の語は、「洋菓子の一種。バター・砂糖・卵・小麦粉・コーン‐スターチなどを混ぜ合わせて、切り口が木の年輪に似た層を表すように、太い棒に少しずつ塗り重ねながら焼いた菓子。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)を意味するものとして、一般に親しまれている語であり、本願指定商品との関係においては、商品の普通名称を表示するものと認識されるものであるから、自他商品の識別標識としての機能を有しない部分というのが相当である。
また、本願商標の構成中の「MADE FROM RICE FLOUR」の文字部分は、「米粉から作られた」程度の意味を容易に理解させるものであり、別掲2のとおり、米粉を使ったバウムクーヘンが一般に取引されている実情があることからすれば、商品の品質、原材料を表示したものと認識されるから、自他商品の識別標識としての機能を有しない部分というのが相当である。
そうとすれば、本願商標の構成中の「BAUMKUCHEN」及び「MADE FROM RICE FLOUR」の文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を有しないものであり、該文字部分からは出所識別標識としての称呼、観念が生じないものといえる。
してみれば、本願商標は、その構成中の「NICHIRIN」及び「日輪」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を有するといえ、該文字部分に相応して「ニチリン」の称呼をも生じ、「太陽」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)の観念を生じるものというべきである。
(2)引用商標
引用商標は、「日輪」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「ニチリン」の称呼及び「太陽」の観念を生じるものである。
(3)本願商標と引用商標の類否判断について
本願商標と引用商標の類否について検討するに、本願商標と引用商標の外観は、それぞれ上記(1)及び(2)のとおりであるから、その全体の外観は相違するが、本願商標の構成中、自他商品の識別標識としての機能を有すると認められる「日輪」の文字部分と引用商標は、その構成文字を同一にするから、一定の類似性を有するものといえる。
そして、本願商標と引用商標は、「ニチリン」の称呼及び「太陽」の観念を共通にするものである。
そうすると、本願商標と引用商標は、外観において一定の類似性を有し、称呼及び観念において共通するから、これらを総合的に勘案すれば、相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
また、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品中「菓子及びパン(「氷砂糖・水あめ」を除く。)」と、同一又は類似する商品である。
してみれば、本願商標と引用商標は、本願商標をその指定商品に使用した場合は、商品の出所について誤認混同を生じるおそがあるものと認められる。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)請求人の主張
ア 請求人は過去の判決(平成6年(行ケ)150号)を引用し、本願商標の構成中の図形部分と文字部分を切り離し、商標の類否を判断することは誤りである旨主張している。
しかしながら、本願商標は、その文字部分と図形部分が左右に明確に分かれている上、文字部分の語が辞書に掲載され、一般に親しまれている語であって、特定の称呼及び観念が生じるのに対し、図形部分は特定の称呼や観念が生じない幾何図形を認識させるものである。
そうとすれば、本願商標の文字部分と図形部分は、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものということはできず、本願商標においては、文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものと判断するのが相当である。
なお、請求人が引用する判決は、特定の観念を生じない文字部分と、特定の観念を生じる図形部分を組み合わせた商標に関する説示であるから、事案が異なる本件においてその説示をそのまま当てはめるのは、相当でない。
イ 請求人は過去の判決(平成20年(行ケ)10100号)を引用し、商標の構成部分の一部を抽出し、その部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは許されない旨主張している。
しかしながら、本願商標は、文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものと判断するのが相当であること、上述のとおりである。
そして、本願商標の文字部分中、「NICHIRIN」及び「日輪」の文字部分は、顕著に表されているから、外観上、見る者の注意をより強く引くものであるといえること、及び「BAUMKUCHEN」及び「MADE FROM RICE FLOUR」の文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を有さないものであり、該文字部分からは出所識別標識としての称呼、観念が生じないこと、上記(1)で認定したとおりである。
そうとすれば、本願商標の構成中、「NICHIRIN」及び「日輪」の文字部分が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえ、該文字部分のみを分離抽出し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。
ウ 請求人は、実際の取引の場で使用された場合の具体例とする仮定の資料を提出し、本願商標と引用商標をその指定商品に使用しても、取引者・需要者に出所の混同を生じない旨主張している。
しかしながら、使用する商標の大きさや商標を付す場所等、登録商標の使用方法は、商標権者の意思に委ねられるものであるから、仮定の資料に基づく主張は、採用の限りでない。
また、本願商標と引用商標は、外観上一定の類似性を有し、「ニチリン」の称呼及び「太陽」の観念を共通にするから、その外観、称呼及び観念等によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して判断すれば、上記(3)のとおり、類似の商標と判断するのが相当である。
したがって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
(5)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
したがって、本願商標が同号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本願商標(色彩は原本参照)


2 米粉を使ったバウムクーヘンが一般に取引されている実情
(1)2006年5月12日付け日本農業新聞には、「米粉の商品開発盛ん/パンから菓子まで多種多様 女性中心に固定客も」の見出しの下、「米粉を使った商品開発が盛んだ。パンだけでなく、ロールケーキやバウムクーヘンなどのスイーツ(菓子)までに広がり、女性たちの注目を集めている。」と記載されている。
(2)2007年1月10日付け読売新聞(西部朝刊)には、「米粉普及へ動き活発 ケーキ、パンなどに使用 消費量の拡大図る=鹿児島」の見出しの下、「米粉は、主に和菓子用に生産しているが、最近では、米粉を使ったロールケーキやバウムクーヘンを作るなど、普及に力を入れている。」と記載されている。
(3)2013年1月26日付け読売新聞(西部朝刊)には、「米粉の食品 紹介セミナー 山口、市民ら120人=山口」の見出しの下、「会場では、県内外の菓子店など12団体が、米粉を使ったバウムクーヘン、パン、うどんなどを販売し、来場者が品定めしていた。」と記載されている。
(4)2014年2月10日付け日本食糧新聞には、「穀粉・製菓原材料特集:『バウムハウス樹凛』 大切な人に届けたい米粉のバウムクーヘン」の見出しの下、「栃木県大田原市のバウムクーヘン専門店『バウムハウス樹凛』は、昨年11月に開催された『米粉米級グルメ王座決定戦inかんとう』に出場し、米粉を使ったバウムクーヘンが初代王座に輝いた。」と記載されている。


審理終結日 2014-08-12 
結審通知日 2014-08-15 
審決日 2014-09-01 
出願番号 商願2012-99989(T2012-99989) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W30)
T 1 8・ 263- Z (W30)
T 1 8・ 262- Z (W30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山根 まり子 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 梶原 良子
高野 和行
商標の称呼 バームクーヘンメードフロムライスフラワーニチリン、バームクーヘンメードフロムライスフラワー、メードフロムライスフラワー、メードフロムライスフラウアー、ニチリン、ニチワ 

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