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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2014900136 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
管理番号 1292907 
異議申立番号 異議2014-900032 
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-11-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-02-03 
確定日 2014-10-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第5626319号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5626319号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5626319号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成25年6月19日に登録出願され、第18類「かばん類,袋物」を指定商品として、同年9月26日に登録査定、同年11月1日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 申立人が引用する商標
申立人が引用する商標は以下の2件(以下、2件の商標をまとめていうときは「引用商標」という。)であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4181148号商標(以下「引用商標1」という。)は、「TRETORN」の欧文字を横書きしてなり、平成6年12月16日に登録出願、第18類「皮革(「革ひも」を除く。),かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として、同10年8月28日に設定登録されたものである。
(2)登録第3264293号商標(以下「引用商標2」という。)は、「TRETORN」の欧文字を横書きしてなり、平成6年1月24日に登録出願、第25類「被服(和服を除く。),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同9年2月24日に設定登録されたものである。
2 具体的理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲のとおり「Teton Bros.」の欧文字の左方に、横からみたネコ科動物の顔を配してなるところ、その構成中の「Teton」の文字部分は、特定の意味合いを有しない造語であり、「Bros.」の文字部分は、「Brothers」の略であり、「ブロス」又は「ブラザーズ」と発音し、「兄弟」を意味する英語であるから、全体としては、「テトンブロス」又は「テトンブラザーズ」の称呼及び「テトン兄弟」の観念が生ずるものである。
しかしながら、本件商標は、「Teton」の文字と「Bros.」の文字とは、視覚上分離して認識し得るばかりでなく、「Bros.」の文字は、自他商品識別力が比較的弱い語であり、「Teton Bros.」全体として特定の者を表すものとして、取引者、需要者によく知られているという事情もないから、本件商標は、「Teton」の文字部分に相応して、「テトン」の称呼も生じるものである。
他方、引用商標1は、「TRETORN」の欧文字を書してなるところ、該文字は、特定の意味合いを有しない造語であり、「トレトン」の称呼を生ずるものである。
そこで、本件商標から生ずる「テトン」の称呼と、引用商標1から生ずる「トレトン」の称呼とを比較してみれば、両称呼は、3音ないし4音構成であるところ、語尾の「トン」の音を共通にし、語頭音の「テ」と「トレ」の音が相違するのみであり、相違する「テ」と「ト」の音は、いずれも、舌先を上前歯のもとに密着して破裂させて発生する音であって、「タ」行に属する近似音であるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調語感が近似し、彼此相紛らわしいものである。
また、観念については、本件商標が「テトン兄弟」を意味するのに対し、引用商標1は、特定の意味を有しない造語であるから比較することができない。
外観については、本件商標の構成にあって強く印象づけられるというべき「Teton」の欧文字と、引用商標1の「TRETORN」の欧文字とを比較すると、看者の注意を引く、語頭の「T」及び語尾の「N」の文字を同じくするほか、中間の「T」とその前後の「E」及び「T」(審判注:「T」は「O」の誤記と考えられる。)も共通にするものであり、本件商標を構成する文字は、全て引用商標1に含まれているから、取引者、需要者が時と処を異にして本件商標と引用商標1に接する場合には、外観上、誤認、混同するおそれがある。
以上のとおり、本件商標と引用商標1とは、観念において比較することはできないが、称呼において類似し、外観において共通するところがあるから、観念、称呼及び外観について総合してみれば、相紛らわしい類似の商標であり、かつ、本件商標の指定商品は、引用商標1の指定商品と同一である。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の周知著名性
引用商標の商標権者は、1891年に、スウェーデンのヘルシンボリで、ヘンリー・ダンカーによって設立された靴メーカーであり、品質確保とブランドイメージの維持を一貫して重視してきたことで、今日、実用性やライフスタイルを楽しむ人々から絶大な支持を受けるに至っている(甲4)。設立当時はレインブーツのメーカーとしてスタートした歴史あるブランド(甲5)であって、高品質の製品で定評があり、わが国では、2006年から引用商標を使用したラバーブーツが販売されている(甲6)。また、商品の通信販売のウェブサイトには、引用商標について、「1960年代に代表モデル『Nylite(ナイライト)』が好評を博し、欧米でもスニーカーブランドとして広く認知される。また、1980年代にアメリカ東海岸から生まれたプレッピーファッションの定番アイテムとして確固たる地位を確立。」(甲7)、「70年代には公式テニスシューズがウィンブルドン出場選手に使用され、80年代ではアメリカ中のプレップスクールキャンパスにTRETORNシューズが大流行」(甲8)の記載がある。
このように、引用商標は、履物に長年使用された結果、商標権者の業務に係る商品を表示する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時には既に、取引者、需要者の間に広く認識されていたものである。
イ 本件商標と引用商標の類似性
本件商標と引用商標とは、称呼において類似し、かつ、外観において共通するところがあるから、上記(1)のとおり類似性が高いものである。
ウ 本件商標の指定商品と引用商標の使用商品との関連性
本件商標の指定商品である「かばん類、袋物」と、引用商標が使用されている「履物」(以下「使用商品」という。)は、いずれもファッション関連の商品であり、その主たる需要者は、身につける物や帯同する物を購買する一般消費者であるから、本件商標の指定商品と引用商標の使用商品は、需要者を共通にするものである。
エ 取引の実情
申立人は、引用商標の商標権者の親会社であり(甲6)、スポーツ用品・スポーツウェア等を製造販売する世界的に知られた企業である。申立人は、1949年から、アメリカライオンのピューマから命名した「PUMA」の文字及びピューマの図形を申立人のブランドとしてスポーツシューズ、スポーツバッグ等に長年盛大に使用してきた。その結果、ピューマの図形よりなる商標は、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、既に、取引者、需要者の間に広く認識されていたものである。本件商標も、その構成中、申立人の商標と同様、横からみたライオン、トラと思しきネコ科動物の図形を有するところ、「Bros.」の文字があることとあいまって、これに接する取引者、需要者は、引用商標の商標権者の兄弟会社ではないかと誤認するおそれがある。
混同を生ずるおそれ
以上を総合勘案すると、本件商標をその指定商品について使用する場合には、これに接する取引者、需要者は、履物に使用し周知著名となっている引用商標又はその商標権者及び親会社である申立人を連想、想起することは必定であって、該商品が引用商標の商標権者又は同社と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべきである。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきである。

第3 当審の判断
1 引用商標の周知・著名性 について
申立人は、引用商標が、申立人の子会社である引用商標の商標権者により、「履物」に使用された結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、取引者、需要者の間に広く知られている商標である旨主張し、その証拠方法として甲第4号証ないし甲第8号証を提出しているので、該証拠方法について検討する。
(1)申立人提出の甲第4号証ないし甲第8号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 「2006年版スポーツ産業白書」(株式会社矢野経済研究所)(甲6)によれば、「プーマジャパン」の表題において、「【独プーマの新5カ年計画】の見出しのもと「多ブランド化では、傘下の『トレトン』をはじめ、厳選したプーマ以外のブランドの導入を行う。」及び「【『トレトン』ラバーブーツを発売】」の見出しのもと、「2006年2月からスウェーデンの『トレトン』ブランドのラバーブーツを発売。・・高品質の製品づくりで定評のあるトレトンのラバーブーツを日本にも紹介することとなった。」の記載がある。
イ ウェブページ抜粋の写し(甲4及び甲5並びに甲7及び甲8)について
(ア)「Lifetime Botanical Equipment」のウェブサイトにおいて「スウェーデンTretorn(トレトン)ラバーブーツ|バレーナW(ブラック)」の見出しの下、「【Tretorn(トレトン)】について」として、「トレトンは1891年スウェーデンのヘルシンボリでヘンリー・ダンカーによって設立され、・・・シュー(靴)メーカーです。」と記載されており、ラバーブーツ(レインブーツ)の画像が掲載されている(甲4)。
(イ)「レインブーツまとめサイト」のウェブサイトにおいて、「Tretorn(トレトン)レインブーツ人気ランキング」の見出しの下、「現在ではスニーカーのブランドとして人気のある【Tretorn(トレトン)】ですが、1891年の設立当時はレインブーツのメーカーとしてスタートした歴史あるブランドです。」と記載されており、レインブーツの画像が掲載されている(甲5)。
(ウ)「Tretorn アキレスウェブショップ」のウェブサイトにおいて、「Tretorn(トレトン)」の見出しの下、「1891年にスウェーデンのヘンシンボリでラバーゴム製品メーカーとして、ヘンリー・ダッカーによって創業。・・1950年からスニーカーの生産販売を開始。・・2011年には創立120周年を迎えNYのソーホー地区に旗艦店をオープン。」と記載されており、商品一覧にスニーカーの画像が掲載されている(甲7)。
(エ)「トレトン(Tretorn)|商品一覧|ファッション通販 マルイウェブチャンネル」のウェブサイトにおいて、「Tretorn トレトン」として「1891年創立、70年代には公式テニスシューズがウィンブルドン出場選手に使用され、80年代ではアメリカ中のプレップスクールキャンパスにTRETORNシューズが大流行」と記載されており、レディスブーツ、メンズスニーカー等の画像が掲載されている(甲8)。
(2)上記(1)で認定した事実によれば、引用商標の商標権者は、1891年にスウェーデンで設立され、1950年からスニーカーの製造販売を開始し、2006年2月から、日本においてTretorn(トレトン)ブランドのラバーブーツを発売したこと等が認められる。
しかしながら、これら提出された証拠によっては、引用商標の使用地域、使用範囲、宣伝広告の期間、手段、規模等や引用商標を使用する商品の売上高、市場占有率等が必ずしも明らかになっていない。
また、職権をもって調査するも、引用商標が我が国で周知著名となっているとすべき事情を見出すこともできない。
したがって、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標の商標権者の取り扱いに係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、別掲のとおり、「Teton Bros.」の欧文字を横書きし、その左側に、動物の顔と思しき図形を配した構成からなるところ、図形部分と文字部分は、それぞれの構成及び態様に照らすならば、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえないから、それぞれが分離して看取されるものといえるものである。
そして、その構成中「Teton Bros.」の文字部分は、「Teton」の文字部分中、2文字目の「e」の文字がやや図案化され、続く「Bros.」の文字部分との間に一文字程度の空白があるとしても、その全体の構成は、外観上まとまりよく一体的に表されているものであり、その構成文字全体から生ずる「テトンブロス」又は「ティートンブロス」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。
また、文字部分の観念についてみるに、「Teton」の文字は「ティートン族」(小学館ランダムハウス英和大事典)、「Bros.」の文字は、「brothers」、すなわち「兄弟」(同前)の意味を有する語であり、その全体として「ティートンの兄弟」程度の意味合いを想起させるものといえる。
そうすると、本件商標は、文字部分と図形部分が分離して看取されるとしても、その文字部分については、殊更に、「Bros.」の文字部分が捨象され、「Teton」の文字部分が、本件商標の指定商品の取引者や需要者に対し、強く支配的な印象を与えるということもできないものである。
してみれば、本件商標の文字部分は、その構成文字全体をもって一体のものとして認識されるというべきものであって、その構成文字に相応した「テトンブロス」又は「ティートンブロス」の称呼を生ずるものであり、観念においては、「ティートンの兄弟」程の意味合いを想起させ得るものといえる。
(2)引用商標1
引用商標1は、「TRETORN」の欧文字を横書きしてなるものであるところ、その構成文字に相応し「トレトーン」又は「トレトン」の称呼を生じ、該構成文字が、辞書等に掲載されていないものであることから、特定の観念を生じるとはいえないものである。
(3)本件商標と引用商標1の対比
本件商標と引用商標1の類否について検討してみるに、本件商標と引用商標1とは、それぞれの構成態様の相違に照らせば、外観上明確に区別し得るものである。
次に、両商標の称呼をみるに、本件商標から生ずる「テトンブロス」又は「ティートンブロス」の称呼と引用商標1から生ずる「トレトーン」又は「トレトン」の称呼とは、音構成の差等により明らかに区別することができるものである。
さらに、両商標は、観念においては、引用商標1が特定の観念を想起し得ないものであるから、両商標を観念において比較することはできないものである。
そうすると、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標ということができる。
なお、引用商標2は、引用商標1と同じ綴りの欧文字からなるものであって、引用商標1と同様に、本件商標とは非類似の商標であり、しかも、その指定商品も本件商標の指定商品とは非類似のものであるから、引用商標2をもって、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するということもできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するということができないものである。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と引用商標とは、上記2のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標である。
また、引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されている商標と認めることができないものである。
そうすると、本件商標は、その指定商品に使用しても、取引者、需要者が引用商標を連想又は想起するものとはいえず、当該商品を引用商標の商標権者、あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるということはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するということができないものである。
なお、申立人は、引用商標の商標権者の親会社である申立人が、スポーツシューズ、スポーツバッグ等に使用するピューマの図形からなる商標は、広く取引者、需要者に認識されているから、その構成中にネコ科動物の図形と「Bros.」の文字を有する本件商標に接する取引者、需要者は、引用商標の商標権者の兄弟会社と誤認するおそれがあり、また、取引者、需要者は、履物に使用し周知著名となっている引用商標2又はその商標権者や親会社である申立人を連想、想起することは必定である旨主張している。
しかしながら、申立人は、申立人が使用しているとするピューマの図形からなる商標を具体的に提示していないのであって、仮に、本件商標の図形部分がネコ科の動物と思しき図形といえるものであったとしても、直ちにそれをもって、本件商標に接する取引者、需要者が引用商標の商標権者や親会社である申立人を連想、想起するとまではいえないものである。
その他、職権をもって調査するも、本件商標が申立人との関係で出所の混同を生じるおそれがあるものとすべき理由を見出すこともできない。そうすると、申立人のかかる主張は採用することはできない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(本件商標)

異議決定日 2014-10-09 
出願番号 商願2013-50743(T2013-50743) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W18)
T 1 651・ 262- Y (W18)
T 1 651・ 263- Y (W18)
T 1 651・ 261- Y (W18)
最終処分 維持  
前審関与審査官 浦崎 直之 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 梶原 良子
中束 としえ
登録日 2013-11-01 
登録番号 商標登録第5626319号(T5626319) 
権利者 株式会社Teton Bros.
商標の称呼 ティートンブロス、テトンブロス、ティートン、テトン、ブロス 
代理人 岡田 稔 
代理人 坂上 正明 
代理人 鈴木 昇 
代理人 曾我 道治 

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