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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 |
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管理番号 | 1291778 |
異議申立番号 | 異議2014-900071 |
総通号数 | 178 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2014-10-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2014-03-13 |
確定日 | 2014-09-06 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5634816号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5634816号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5634816号商標(以下「本件商標」という。)は、「MacLab.」の文字を標準文字で表してなり、平成25年7月2日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年11月18日に登録査定、同年12月6日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を満たさず、同法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。 (1)商標法第3条第1項柱書 本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)が、本件商標の指定商品の業務を行っている事実は発見されなかった。また、ヤフオクで同姓同名があったが、住所が一致しておらず、同サイトでは、実際の指定商品販売は行われていない(甲17)。 したがって、本件商標は、商標法第3条柱書の要件を具備しない。 (2)商標法第4条第1項第11号 ア 本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、申立人の引用する登録商標は、以下のとおりである。 「MATLAB」の文字を肉太の活字体で横書きしてなり、平成3年10月31日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同6年4月28日に設定登録され、その後、同16年4月20日に商標権存続期間の更新登録がされ、さらに、同17年11月9日に、指定商品を第7類ないし第12類、第16類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換の登録がされたものであり、その後、同26年7月8日に、上記指定商品中の第9類及び第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品について、商標権存続期間の更新登録がされた登録第2651418号商標(以下「引用商標」という。)である。 イ 本件商標と引用商標の類似性 本件商標と引用商標は、わずかに「c」と「T」の相違があるにすぎないから、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合は、外観上相紛らわしい。また、本件商標より生ずる「マックラボ」又は「マクラボ」と引用商標より生ずる「マットラボ」又は「マトラボ」は、中間音における「ク」と「ト」の違いのみであるから、これらを全体として称呼した場合は、称呼上相紛らわしい。 したがって、本件商標と引用商標は、外観及び称呼において類似するものであり、両商標が特定の観念を有せず、観念上の違いないことから、全体として類似する商標である。 また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号 引用商標は、申立人の業務に係るソフトウェアについて使用され、1988年よりサイバネットシステム株式会社により日本において販売が開始され、2009年より申立人の日本支社が取り扱っている(甲2)。引用商標を付したソフトウェアの2013年度の世界の売上高は7億5000万ドルである(甲3)。引用商標又はこれを含む商標は、米国、カナダ、韓国、欧州共同体商標意匠庁等で登録されており(甲5、甲6)、また、引用商標を付したソフトウェアは、雑誌に頻繁に紹介され、かつ、広告されている(甲7?甲12)。 したがって、引用商標は、本件商標の出願日前より、コンピュータソフトウェアの分野において著名となっていた。 前記(2)のとおり、本件商標は、引用商標に類似する商標であるから、これをその指定商品について使用するときは、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項柱書に違反し、同法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、取り消されるべきである。 3 当審の判断 (1)商標法第3条第1項柱書について 商標法第3条第1項柱書にいう「自己の業務に係る商品又は役務について使用する」とは、現に行っている業務に係る商品又は役務について、現に使用している場合に限らず、将来行う意思がある業務に係る商品又は役務について将来使用する意思を有する場合も含むと解されるところ、本件商標の登録査定時に、本件商標権者が本件請求に係る指定商品について、現に行っているか又は行う予定があるかについて、格別に合理的疑義があったものと認めることはできない。さらに、申立人の提出した「ヤフオク」(甲17)に記載された会社の代表者が本件商標権者と同姓同名であり、本件商標の指定商品に関する記載が認められないとしても、当該代表者が本件商標権者であるという的確な証拠の提出がない上に、この証拠のみによって、本件商標権者が将来自己の業務に係る第9類に属する商品について使用する意思が全くないとみることはできず、また、他にこれを認めるに足りる証拠の提出もない。 したがって、本件商標が商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないということはできない。 (2)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標 本件商標は、前記1のとおり、「MacLab.」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、該文字は、我が国で親しまれた成語を表したものとはいえないから、本件商標に接する取引者、需要者は、「Mac」の文字部分を英語読みにして「マック」と、また、「Lab.」の文字部分を「laboratory」の略語を表したと理解して「ラボ」と、それぞれ発音し、全体として「マックラボ」と称呼して商品の取引に当たる場合が多いとみるのが相当である。 そうすると、本件商標より生ずる自然な称呼は、「マックラボ」ということができる。 また、本件商標は、特定の観念を有しない造語よりなるものと認められる。 イ 引用商標 引用商標は、前記2(2)アのとおり、「MATLAB」の文字を肉太の活字体で横書きしてなるものであるところ、引用商標を付したソフトウェアを紹介するWikipedia(甲2)によれば、「MATLAB(マトラボ)は、アメリカ合衆国のMathWorks社が開発している数値解析ソフトウェアであり、その中で使うプログラミング言語の名称でもある。」と記載され、その「概要」欄には、「MATLABは、MATrix LABoratoryを略したものであり、行列計算、ベクトル演算、グラフ化や3次元表示などの豊富なライブラリを持った、インタプリタ形式の高性能なテクニカルコンピューティング言語、環境としての機能を持つ。」と記載されており、後記(3)認定のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願日には既に、「マトラボ」と称呼されて、我が国のコンピュータソフトウェアの分野の取引者、需要者の間には、広く知られていたものと認められる。 そうすると、引用商標より生ずる自然の称呼は、「マトラボ」というのが相当である。 また、引用商標からは、申立人の業務に係る数値解析ソフトウェアの観念が生ずるものといえる。 ウ 本件商標と引用商標との対比 (ア)外観 本件商標と引用商標は、文字の線が細く表されているか又は太く表されているかの相違があるばかりか、本件商標は、語頭の「M」と中間の「L」が大文字で表され、他の文字は小文字で表されているのに対し、引用商標は、すべての文字が大文字で表されており、また、引用商標には、本件商標の末尾にある「.」(ピリオド)が存在しない。そして、上記相違点に加え、簡潔な構成よりなる両商標中の中間において「c」の文字と「T」の文字の相違をも有するものであり、該相違文字を含む「Mac」及び「MAT」の語は、いずれも我が国においても親しまれた英単語といえるから、両商標を時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、通常の注意力をもってすれば、相紛れるおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標と引用商標は、外観上類似する商標とはいえない。 (イ)称呼 本件商標より生ずる「マックラボ」の称呼と引用商標より生ずる「マトラボ」の称呼は、語頭の「マ」の音と末尾部の「ラボ」の音を共通にするとしても、促音の有無の差異に加え、「ク」の音と「ト」の音の差異を有するものであるから、これらの差異音が両称呼全体に及ぼす影響は大きく、それぞれの称呼を一連に称呼した場合には、その語調、語感が著しく相違したものとなり、両者は、称呼上相紛れるおそれはない。 また、仮に引用商標より「マットラボ」の称呼をも生ずるとした場合においても、本件商標より生ずる「マックラボ」の称呼と引用商標より生ずる「マットラボ」の称呼は、中間部において「ク」の音と「ト」の音の差異を有するものであって、該差異音は、前者が後舌と軟口蓋を接し破裂させて発する無声子音「k」と母音「u」とを結合した音節であるのに対し、後者は、舌端と上前歯を接し破裂させて発する無声子音「t」と母音「o」とを結合した音節であるから、その発音方法において異なるばかりでなく、いずれも比較的強く発音される音といえる。してみると、該差異音が比較的短い音構成よりなる両称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず、それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても、その語調、語感が相違したものとなり、両者は、称呼上相紛れるおそれはないといえる。 したがって、本件商標と引用商標は、称呼上類似する商標とはいえない。 (ウ)観念 本件商標は、特定の観念を有しない造語よりなるものであるのに対し、引用商標からは、申立人の業務に係る数値解析ソフトウェアの観念が生ずるものであるから、両商標は、観念上大きく相違するものである。 エ 以上によれば、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する商標と認めることはできない。 (3)商標法第4条第1項第15号について 申立人の提出した甲第2号証ないし甲第4号証及び甲第7号証ないし甲第12号証によれば、申立人は、1984年に米国で設立された数学的計算ソフトウェアの開発会社であり、その業務に係るソフトウェアの一つに「MATLAB」(引用商標)を付した商品があること、「MATLAB」は、アルゴリズム開発、データ解析、視覚化、数値計算のためのプログラミング環境であり、そのユーザー数は、世界中で100万人を超え、その関連の書籍は28言語に訳され1500冊を越えること(甲3)、日本では、1988年よりサイバネットシステム株式会社により販売が開始され、2009年7月からは申立人の日本法人に販売代理店業務が移管されたこと、毎年11月から12月に「MATLAB EXPO」が開催され、1日の入場者は2000人を超えること(甲2)、引用商標を付したソフトウェアは、本件商標の登録出願日(平成25年7月2日)前より、コンピュータ関連の雑誌に紹介又は広告がされたこと(甲7?甲12)、また、引用商標は、「MATLAB」と表記されることが多いといえるが、「マトラボ」との片仮名が併記されていることも少なくないこと(甲2、甲4、その他、例えば、「標準パソコン用語事典/最新2009?2010年版」(2009年1月15日、株式会社秀和システム発行))、などを認めることができる。 以上によれば、引用商標は、「マトラボ」と称呼されて、申立人の業務に係る数値解析ソフトウェアを表示するものとして、本件商標の登録出願日(平成25年7月2日)には既に、我が国のコンピュータソフトウェアの分野における取引者、需要者の間には、広く知られていたものと認めることができる。 しかし、前記(2)認定のとおり、本件商標は、引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点についても相紛れるおそれのない非類似の商標である。 してみると、本件商標に接する取引者、需要者が、直ちに引用商標を想起又は連想することはなく、本件商標をその指定商品について使用しても、該商品が申立人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する商標と認めることはできない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項柱書並びに同法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2014-08-25 |
出願番号 | 商願2013-50923(T2013-50923) |
審決分類 |
T
1
651・
18-
Y
(W09)
T 1 651・ 271- Y (W09) T 1 651・ 262- Y (W09) T 1 651・ 261- Y (W09) T 1 651・ 263- Y (W09) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小出 浩子 |
特許庁審判長 |
小林 由美子 |
特許庁審判官 |
渡邉 健司 大森 健司 |
登録日 | 2013-12-06 |
登録番号 | 商標登録第5634816号(T5634816) |
権利者 | 澗口 弘昭 |
商標の称呼 | マックラブ、マックラボ、マック、エムエイシイ、ラブ、ラボ、エルエイビイ |
代理人 | 青木 博通 |
代理人 | 柳生 征男 |
代理人 | 中田 和博 |
代理人 | 中澤 昭彦 |