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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W28
審判 全部申立て  登録を維持 W28
管理番号 1291772 
異議申立番号 異議2013-900352 
総通号数 178 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-10-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-10-21 
確定日 2014-09-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第5600779号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5600779号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5600779号商標(以下「本件商標」という。)は、「FLEXLOFT」の欧文字を標準文字により表してなり、平成25年3月22日に登録出願、第28類「ゴルフクラブ,ゴルフクラブヘッド,ゴルフクラブシャフト,ゴルフボール,ゴルフ用手袋,ゴルフクラブグリップ,ゴルフバッグ(車付,車のないもの),ゴルフティー,ゴルフクラブ用ヘッドカバー,グリーンマーカー」を指定商品として、同年7月1日に登録査定、同月19日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同項第15号に該当するから、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第21号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第8号について
ア 申立人名称の略称の著名性について
申立人は、1996年8月8日に設立されており、正式な会社名は、日本名称として「株式会社ロフト」、英語名称として「THE LOFT CO.,LTD」の文字が現在に至るまで、約15年間以上も継続して使用されている(甲第2号証)。
そして、この正式名称は、一般に「ロフト」又は「LoFt(LOFT)」と省略して使用されていることが各種新聞雑誌の記事をみれば明らかである。
また、「LoFt」の英文ロゴは、AIPPI・JAPAN発行の日本有名商標集(2004年発行)に著名商標として掲載されている(甲第3号証の1ないし3)。
さらに、各種新聞・雑誌に多数の販売商品の紹介記事が掲載されているほか、各種雑誌に掲載される各種商品の写真撮影用の貸出し商品として多数の商品が提供されており、毎週発行されるいずれかの雑誌に必ず掲載されているといっても過言でない程、その数が膨大である。
イ 店舗名の略称の著名性について
申立人の経営する雑貨専門店の店舗名称については、その前身である当時の株式会社西武百貨店ロフト事業部により、1987年11月から渋谷で、渋谷「LoFt」又は渋谷「ロフト」の名称による雑貨専門店が開店し、以降、20数年にわたって継続して使用されており、2013年9月現在、全国86店舗(直営店舗76、FC店舗10)で雑貨専門店の営業がなされている(甲第2号証、甲第4号証ないし甲第6号証)。
申立人の営業に係る店舗群は、基本的には、その店舗のある地名に「ロフト」の文字を結合してなり、一般には、単に「ロフト」と称されており、「ロフト」又は「LoFt」と表記されて使用されている。
また、各種雑誌には、「提供:株式会社ロフト」、「提供:ロフト」及び「LoFt」の記載がなされており、毎週発行されるいずれかの雑誌には、必ず掲載されているといっても過言でない程、その数が膨大である。
さらに、近年の新聞掲載事例として、2010年度小売業及び業種別売上ランキングにかかる新聞記事(甲第7号証ないし甲第9号証)には、小売業全体についての売上等を掲載したものであるが、比較的業態が近似している「東急ハンズ」と比較しても高い売上高を挙げていることがみてとれる。
そして、売り場面積が1,000平方メートルを超える大規模な店舗をかかえる都市型雑貨専門店であって、全国に20店舗以上を運営する会社は、申立人と上述の東急ハンズ以外には存在していないため、例えば、コンビニエンスストア、スーパー等の業態であれば別だが、都市型総合雑貨専門店という出店地域がある程度限定される店舗を中心とする業態にあって、全国86店舗という出店数は、相当な数の店舗を保有しているといえる。
また、申立人の運営する「LoFt(ロフト)」は、都市型総合雑貨専門店であるという特性上、取扱い商品を絞った小型店舗を除き、ある程度の収益を見込める人口を抱える都市を中心として出店するという形態を取っている。これらの出店地域を考慮すれば、日本の総人口数のうちの相当数をカバーし得る店舗を運営しているものと考えられる。
したがって、総合雑貨専門店としての「LoFt」又は「ロフト」は、我が国において周知となっている。
すなわち、「LoFt」又は「ロフト」は、いわゆる大都市といわれる人口密集地には、ほぼもれなく出店を行っており、それ以外のある程度の人口を抱える都市においても相当数の出店を行っている(甲第4号証及び甲第11号証)。
甲第13号証は、インターネットに掲載されたニュースの一例であって、九州地方に初出店をした2007年当時のものである。2007年以前には、九州地方には、「ロフト」の店舗の出店はなかったにも関わらず、その知名度の高さから集客に成功している旨が掲載されている。
また、甲第14号証は、インターネットにおける知名度調査に関する記事であって、ここでは、「インテリアショップ」としての知名度調査の結果が公表されているところ、「ロフト」が他の著名な他社店舗と同様、高い知名度を有していることがうかがえる。
これらの事情を考慮すれば、都市型総合雑貨専門店の略称である「ロフト」の名称は、高い知名度を獲得していることは明らかであり、近年においては、小規模な店舗を出店するなど、その出店数を順調に伸ばしている。
かかる事情から、「ロフト」及び「LOFT」の文字は、申立人の経営する雑貨専門店の店舗名称の著名な略称であると容易に認識できる。
ウ 「含む」等について
本件商標は、その構成する文字の中に「LOFT」の文字が含まれている点については、争う余地がない事実である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に規定されている著名な略称である「LOFT」を含んでいるといえる。さらに、本件商標について、申立人から承諾を得た形跡は見受けられない。
エ 判断時について
上述のように「LOFT」の文字の著名性は、本件商標の登録出願以前から今日に至る営業活動及び宣伝広告等の効果であり、その事実は、本件商標の登録出願時及び査定時のいずれにおいても変わるものではない。
オ その他
申立人の店舗を表す語としては、「LoFt」のロゴタイプが使用されるのみでなく、片仮名「ロフト」、通常の字体での英語表記「LOFT」の表示も使用されており、申立人が種々の商品の小売を行う店舗名称に係る周知性は、特殊な態様での使用に限定するものではない(甲第15号証ないし甲第19号証)。
カ まとめ
以上述べたとおり、本件商標は、申立人の著名な略称又は著名な店舗名を含む商標であり、本件商標の登録出願書類には、申立人の承諾書は提出されていない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、その構成中「LOFT」の部分は、前記(1)イのとおり、申立人の業務(いわゆる小売り)に係る商標として広く一般に知られている(甲第2号証ないし甲第21号証)。
また、本件商標を構成する「FLEX」と「LOFT」の語が必ずしも一連で称呼されるべき理由もない。
よって、本件商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合、申立人と何らかの関係のある者の業務に係る商品又は役務であるかのように、商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 当審の判断
(1)申立人の使用に係る「LOFT」の著名性について
申立人の提出に係る甲第2号証ないし甲第21号証によれば、申立人の経営する雑貨専門の店舗は、1987年11月に渋谷で、「渋谷LoFt」又は「渋谷ロフト」の名称で開店(申立人の前身の株式会社西武百貨店ロフト事業部による)を契機として、その後店舗を拡大し、2013年9月現在、全国86店舗で営業がなされている。その店舗の名称は、おおむねその店舗が所在する地名に「ロフト」の片仮名を結合しており、一般には、「ロフト」と称され、別掲のとおりの構成からなる「LoFt」(以下「使用商標」という。)が使用されている。そして、2010年度小売業売上高ランキングにおける「業種別売上高ランキング」の生活雑貨部門で申立人が2位になったことが認められる。
そうとすると、申立人は、1987年11月から現在に至るまで、使用商標又は「ロフト」の片仮名を同人の経営する雑貨専門店などに付して使用しており、その結果、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る小売等役務を表示するものとして広く認識されていたものと認められる。
(2)本件商標について
本件商標は、前記1のとおり、「FLEXLOFT」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該欧文字は、同じ書体、同じ大きさ、等間隔でまとまりよく表されているものであるから、その構成全体をもって一体不可分のものと認識、把握されるとみるのが相当であり、かかる構成においては、「LOFT」の欧文字部分を抽出して認識されることはないというべきである。
してみれば、本件商標は、特定の観念を生じることのない造語からなるものであって、これを称呼するときは、我が国において親しまれた英語読みにならって、「フレックスロフト」の称呼のみを生じるものである。
(3)使用商標について
使用商標は、別掲のとおり、「LoFt」の欧文字をややデザイン化してなるところ、該欧文字は、「LOFT」の成語を大文字と小文字を組み合わせて表したものと容易に認識させるものであって、「ロフト」の称呼を生じるといえるものの、観念については、使用商標の著名性からすれば、成語の「LOFT」が有する「屋根裏部屋」の観念が生じるというよりは、「ロフト(申立人の略称)」の観念が生じるものとみるべきである。
(4)本件商標と使用商標との類否について
本件商標と使用商標とを比較するに、両商標は、それぞれ前記(2)及び(3)のとおりの構成からなるものであって、外観において明らかに区別し得るものであるから、相紛れるおそれはない。
また、本件商標から生ずる「フレックスロフト」の称呼と使用商標から生ずる「ロフト」の称呼とは、その音構成及び構成音数に明らかな差異を有するものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、称呼上相紛れるおそれはないものというべきである。
さらに、本件商標からは特定の観念を生じないから、本件商標と使用商標とは、観念上相紛れるおそれはないものである。
してみれば、本件商標と使用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(5)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
使用商標は、前記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る小売等役務を表示する商標として、我が国において広く知られていたものと認められる。
しかしながら、本件商標は、前記(4)において認定、判断したとおり、使用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標と認められるものであるから、十分に区別し得るものということができる。
そうとすれば、申立人の使用商標の著名性を考慮しても、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者が該使用商標を想起、連想することはないというのが相当であるから、本件商標は、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第8号該当性について
商標法第4条第1項第8号の「著名な略称を含む」について、「他人の氏名や略称等を『含む』商標に該当するかどうかを判断するに当たっては、単に物理的に『含む』状態をもって足りるとするのではなく、その部分が他人の略称等として客観的に把握され、当該他人を想起・連想させるものであることを要すると解すべきである。」(知財高裁平成21年(行ケ)第10074号平成21年10月20日判決)とされているところ、前記(2)のとおり、本件商標は、外観上一体のものとして把握されるものとみるのが自然であり、本件商標の構成中に埋没、融合した文字列「LOFT」をもって、請求人を想起させるものとは認め難いから、申立人の略称を含む商標であるとすることはできないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(使用商標)



異議決定日 2014-08-25 
出願番号 商願2013-20769(T2013-20769) 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (W28)
T 1 651・ 271- Y (W28)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小田 明 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 手塚 義明
寺光 幸子
登録日 2013-07-19 
登録番号 商標登録第5600779号(T5600779) 
権利者 ナイキ イノヴェイト シーヴィー
商標の称呼 フレックスロフト 
代理人 田畑 浩美 
代理人 宮永 栄 
代理人 西村 雅子 
代理人 涌井 謙一 
代理人 山本 典弘 
代理人 鈴木 正次 
代理人 鈴木 一永 

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