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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X30
審判 全部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X30
審判 全部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X30
管理番号 1291757 
審判番号 無効2013-680001 
総通号数 178 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-10-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-02-19 
確定日 2014-08-06 
事件の表示 上記当事者間の国際登録第1053405号の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 国際登録第1053405号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第1053405号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、2010年3月24日にDenmarkにおいてした商標登録に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して同年(平成22年)9月23日に国際商標登録出願、同23年7月25日に登録査定、第30類「Cookies,biscuits.」を指定商品として、同23年10月28日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
請求人が、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第693011号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおり、「チボリ」の片仮名を書してなり、昭和39年6月1日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同40年12月16日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成18年1月18日に指定商品を第30類「菓子,パン」とする指定商品の書換登録がされたものであり、現に有効に存続しているものである。
第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証を提出している。
1 請求の利益について
請求人は、本件商標の出願以前に登録となった引用商標を所有している。本件商標と請求人の所有する引用商標は類似し、同一・類似の商品を指定するものである。また、請求人は、平成24年2月28日付けで商標「TIVOLI」を出願しており(商願2012-14307)、その拒絶理由通知書において本件商標が引用されている。
以上より、請求人は、本件審判を請求することについて、法律上の利害関係を有する。
2 無効理由について
本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号、同第15号及び同第16号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効にされるべきものである。
(1)商標法第4条第1項第8号について
本件商標がその構成中に「Tivoli」の語を含む商標である点は争う余地のない事実である。
この「Tivoli」の部分は、請求人である「株式会社ちぼり」の英名表記である「TIVOLI CO.,ltd」の略称と認められる。
「株式会社ちぼり」は、菓子及び食品の製造・販売等を行うメーカーである。特に贈答用アソートクッキーを主力商品とし、40年以上の長きに渡り「株式会社ちぼり」又はその略称である「ちぼり」の語を使用して商品の製造・販売を継続してきている(甲3)。
また、この間、社名の英語表記である「TIVOLI CO.,ltd」及び「TIVOLI」の語についても同様に使用されてきている。例えば、甲第4号証は、昭和60年頃の請求人の会社案内の写しであるが、当該会社案内の記載から、「株式会社ちぼり」の欧文字表記である「TIVOLI CO.,ltd」の語が使用されている事実がわかる。
上記のような長年にわたる事業活動の結果、請求人は、特に「贈答用アソートクッキーメーカー」として、その需要者・取引者に広く知られるに至っているものと認められる。
例えば、一例をあげれぼ、業界紙等に「アソートクッキーの最大手」「アソートクッキーのトップメーカー」等として取り上げられ(甲5及び甲6)、その他、請求人の関連記事がたびたび取り上げられている(甲7ないし甲10)。
この状況は、本件商標についての優先日、国際登録の日及び国内登録の日においても変わるものではなく、さらに、本件商標の商標権者が請求人の承諾を受けている事実もない。
よって、本件商標は、請求人の英名の著名な略称を含むものであり、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、菓子の包装用容器様の図形中に「Tivoli」「DELICIOUS」「COOKIES」等の文字及び「クッキー」「洋ナシ様の果物」の図形を配した態様からなる。また、当該構成中それぞれの文字の構成部分の字体及び大きさが異なり、「Tivoli」の文字の配置も他の構成部分とは明らかに異なる字体・フォント・色であることから、当該部分より「チボリ」の称呼を生ずる。
なお、本件商標を構成する「Tivoli(TIVOLI)」の語は、「デンマークの公園の名称の一部」、「イタリアのラツィオ州ローマ県にある都市名」、「スロベニアにある公園の名称の一部」、「平成9年まで我が国の倉敷市内に存在した公園の名称の一部」の他、「IBM社のソフトウェアの名称」、「フィリピンの少数民族の名称」等を指す語として使用されている例がみられ、特定の産地・販売地を指す自他商品の識別力が弱い語とは認められない。この点は、本件商標に係る指定商品が「クッキー,ビスケット」となっており、例えば、「イタリア国ラツィオ州ローマ県チボリで生産されたクッキー、イタリア国ラツィオ州ローマ県チボリで生産されたビスケット」のような記載となっていないにも関わらず登録が認められていたという点からも明らかである。
一方で、請求人の所有する引用商標からは、「チボリ」の称呼を生ずる。よって、両者は称呼を共通にする類似の商標である。
また、引用商標は、本件商標の出願以前の、昭和40年12月16日に登録となっており、またその指定商品に本件商標の指定商品「クッキー,ビスケット」と類似する商品である「菓子,パン」を指定するものである。
よって、本件商標は、その出願の日前の請求人の引用商標と類似する商標であって、その引用商標にかかる指定商品と類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
請求人は、商標「ちぼり」を40年以上の長きに渡り使用してきており、また、贈答用アソートクッキーメーカーとして需要者、取引者に広く知られるに至っている。
したがって、当該語のアルファベット表記である「Tivoli」の語を含む本件商標をその指定商品に使用すると、請求人の業務に係る商品又は同人と何らかの関係があるものの業務に係る商品であるかの如くその商品の出所に混同を生ずるおそれがあるといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第16号について
本件商標の態様は、上述のように菓子の包装用容器様の図形中に「Tivoli」「DELICIOUS」「COOKIES」等の文字及び「クッキー」「洋ナシ様の果物」の図形を配した態様からなり、その指定商品は「クッキー,ビスケット」となっている。
そのため、本件商標をその指定商品中、「洋ナシを使用したクッキー、洋ナシを使用したビスケット」以外の指定商品に使用したときには商品の品質に誤認を生ずるおそれがあるといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
第4 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番号を含む。)を提出している。
1 商標法第4条第1項第8号について
「TIVOLI(Tivoli)」なる欧文字が請求人を指称する著名な略称として認知、把握されているかにつき、以下に検討することとする。
甲第3号証に「TIVOLI All rights reserved.」という「TIVOLI」の欧文字に「Co.,ltd.」が加えられていない表示の存在が唯一確認できるものの、他に「TIVOLI」の欧文字が請求人を指称すべく使用されている事例は確認できないことからすると、このような表示の存在のみを以って、「TIVOLI」の欧文字が請求人の主張する「TIVOLI Co.,ltd.」の略称として認知されている、即ち、「TIVOLI」の欧文字に接した公衆が、該文字から請求人の会社名の英文表記「TIVOLI Co.,ltd.」までも想起するとは到底考え難いものである。
また、甲第4号証ないし甲第10号証についてみても、業界紙等で「株式会社ちぼり」や「(株)ちぼり」等の表示がなされている事例は散見できるが、請求人以外の第三者が「TIVOLI」の欧文字を請求人に係る会社名の略称として捉え、かつ請求人を指称するために該欧文字を使用しているという事実は確認できず、故にこのように客観的な証拠を欠く状況においては、仮に請求人が「TIVOLI」なる欧文字を何らかの形で使用していたとしても、該欧文字が請求人の会社名を指し示す略称として、これに接する公衆に客観的に認知・把握されていることはないとするのが極めて妥当と考えられる。
したがって、「TIVOLI」の語は、請求人の会社名の英名表記である「TIVOLI CO.,ltd.」の略称として認知されていないばかりか、これが本件商標に係る国際商標登録出願の出願日(優先日)及び登録日において著名に至っているとは考え難いことから、本件商標の登録に際して請求人の承諾書等は必要ではなく、故に本件商標が商標法第4条第1項第8号に該当するにも拘らず登録されたものでないことは明らかである。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標は、白色を基調とした包装用容器を模した図形に、「Tivoli」、「DELICIOUS」、「COOKIES」、「DELICIEUX」、「BISCUITS」及び「NO PRESERVATIVES」の欧文字並びに「果物」、「クッキー」等の図形を配して構成されてなる商標である(甲1)。
このような本件商標について、請求人は、本件商標の構成中それぞれの文字の構成部分の字体及び大きさが異なり、「Tivoli」の文字の配置も他の構成部分とは明らかに異なる字体・フォント・色であることから、当該部分より「チボリ」の称呼を生ずる旨を主張している。
しかしながら、本件商標は、その外観から明らかなように、商品パッケージを模した商標であり、包装用容器全体のデザインで商品の出所表示機能を発揮する構成となっており、その構成全体が有する独特の特異性を以って、自他商品の識別標識として看者に印象付けられるものである。
すなわち、その構成に含まれる「Tivoli」の欧文字の部分が独立して看取され、自他商品識別標識としての機能を発揮し得るものではないことから、敢えて商品のパッケージを模した本件商標から「Tivoli」の欧文字のみが抽出され、これに照応する称呼にて本件商標が実際の取引に資されなければならないとする特別の事情はないと考えられるものである。
(2)上述のように、本件商標の構成から判断すると、その全体を以ってのみ認識されるとするのが相当であり、例えその構成中に「Tivoli」の欧文字を含んでいたとしても、商品パッケージを模した本件商標と片仮名のみからなる引用商標とが全体として相紛れるものでないことは明らかである。
まず、商標の類似性の判断基準について触れると、商標の外観、観念又は称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず、したがって、上記3点の内、その1つにおいて類似するものでも、他の2点において著しく相違することその他の取引実情等によって、何ら商品の出所に誤認混同をきたすおそれが認め難いものについては、これを類似商標と解すべきではないとされている(最高裁昭和39年(行ツ)第110号昭和43年2月27日第3小法廷判決)。
このような最高裁判所で判示された基準は、長年に亘って当然に踏襲されており、併存例を確認することができる。
併存事例は、同一又は近似の称呼が生じ得る要素を構成中に含む商標同士の類否判断において、これらの外観又は観念が著しく相違し、商品(又は役務)の出所に誤認混同をきたすおそれは認め難いことから、各事例中のいずれの商標も互いに類似商標と解すべきではないと判断されたことを示すものである。
そして、各事例と本件事案とを異にして解さねばならないとする特段の事由は存在しないばかりか、後述のように引用商標と本件商標中の「Tivoli」の欧文字から生ずる称呼とは類似しないことをも考慮すると、商品パッケージを模した極めて特徴的な態様をもって構成されてなる本件商標と「チボリ」の片仮名を横書きにしてなるに過ぎない引用商標とは外観においても顕著に相違しており、故に本件商標から「Tivoli」の欧文字に照応した称呼が生ずると否とに拘らず、両商標は外観上明確に区別できるものである。
(3)上述の点に鑑みると、本件商標と引用商標とはその外観上の顕著な差異から類似商標と解すべきでないとするのが当然と考えられるが、仮に本件商標より「Tivoli」の欧文字が独立して看取され、該欧文字に照応する称呼を以って本件商標が取引に資されると判断された場合であっても、引用商標とは称呼上相紛れるものでないことは明らかである。
まず、「Tivoli」なる欧文字より生じ得る称呼について検討すると、該欧文字は我が国では何らかの観念を有する単語として認識されてはいないことから、これに接した一般の需要者・取引者にあっては、該欧文字をローマ字読みにしてその称呼を推察すると考えられるものである。そうとすると、「Tivoli」の欧文字からは、請求人の指摘する「チボリ」ではなく、「ティボリ」なる称呼が生ずると捉えるのが一般の社会通念上、至極妥当な判断といい得るものである。
そこで、該「ティボリ」なる称呼と引用商標から生じる「チボリ」とを比較すると、これらの称呼は3音という短い音数から構成されてなり、一音一音が明確に発音され、明瞭に聴取されることからすると、語頭音たる「ティ」と「チ」の差異が両称呼全体に及ぼす影響は大きく、故にこれらの称呼を一気一連に称呼した場合、両者が称呼上相紛れることはあり得ないと考えられ、このことは、下記の商標同士の併存が認められていることからも裏付けられるものである。
ア 「チックル」なる商標(登録第4650563号)と「TICKLE/ティックル」なる商標(登録第4724660号)
イ 「CHERRT/チアリー」なる商標(登録第4347326号)と「ティアリー」なる商標(登録第4389398号)
ウ 「TEAM THE BOX」なる商標(登録第4202265号)と「ティームザボックス/TEAMTHEBOX」なる商標(登録第1772358号)
エ 「Chimoto/チモト」なる商標(登録第572736号)と「TIMOT」なる商標(登録第2327852号)
オ 「知慕里」なる商標(登録第1657790号)と「TIVOLI」なる商標(登録第1965615号)
カ 「ちぼり」なる商標(第5481897号)と「TIVOLI」なる商標(登録第1048342号)
上記の事例はいずれも、本件と同様に語頭音たる「チ」及び「ティ」の差異しか有しない商標同士の併存が実際に広く認められている事実を示すものであるが、このような状況から判断すると、仮に本件商標より「Tivoli」の欧文字が独立して看取され、本件商標が「ティボリ」の称呼を以って取引に資されるとされた場合であっても、本件商標と引用商標とは称呼上明確に区別できると考えられるものである。
特に、上記事例中カの「ちぼり」なる商標(乙3の1及び2)は、請求人の所有に係るものであり、当該商標は、本件商標中の「Tivoli」と同一の欧文字からなる商標「TIVOLI」(乙4の1及び2)の存在にも拘らずその登録を認められているものである。したがって、本件商標中の「Tivoli」の文字が独立して看取された結果、本件商標と引用商標とが称呼上類似すると判断されることとなれば、請求人の所有に係る前記商標「ちぼり」(登録第5481897号)もその先願先登録である「TIVOLI」なる商標(登録第1048342号)との関係で当然に無効理由を有することとなり、このような判断は行政処分の平等の原則という観点から妥当でないことは明らかである。
(4)上述の諸点を纏めると、仮に本件商標中の「Tivoli」の欧文字が独立して看取され、該欧文字に照応した称呼を以って本件商標が取引に資されるとした場合であっても、本件商標はそもそも引用商標と同一又は類似ではないことから、本件商標が商標法第4条第1項第11号の規定に該当するにも拘らず登録されたものではないことは明らかである。
3 商標法第4条第1項第15号について
請求人の提出に係る各書証によっては、請求人が「ちぼり」なる商標を何らかの具体的な商品との関係で使用しているという事実は確認できないばかりか、商標「ちぼり」を付した商品の市場占有率、売上高、使用期間、広告地域、広告回数等が全く明示されておらず、故に該商標が請求人の業務に係る商標として広く一般に知られているとする請求人の主張は何ら立証がなされていないと考えられる。
また、請求人にあっては、自己が贈答用アソートクッキーメーカーとして需要者・取引者に広く知られるに至っている旨も述べているが、請求人の提出に係る甲第4号証はその発行日も不明であり、また甲第5号証ないし甲第10号証は、10年以上前に発行されたものであり、このような状況からすると、本件商標に係る国際商標登録出願の出願日(優先日)たる平成22年3月24日及びその登録日の平成23年10月28日において、請求人が贈答用アソートクッキーメーカーとして需要者等に広く知られるに至っていたとは到底考え難く、前記の請求人の主張はその根拠を欠くといわざるを得ない。
なお、請求人は、請求人の業務に係る商標「ちぼり」と本件商標とは類似である旨を主張しているが、前述のように、本件商標は、全体のデザインで商品の出所表示機能を発揮する構成となっており、その構成全体の一種独特の特異性を以って、自他商品の識別標識として看者に印象づけられるものであり、平仮名のみからなる商標「ちぼり」とは、外観上顕著に異なり、十分に識別のできる別異の商標であることは明らかである。
上述の点を総合的に勘案すると、本件商標は、請求人が自己の業務に係ると主張する商標「ちぼり」とは十分に識別できる別異の商標であり、また該商標は請求人の業務に係る商標として広く一般に知られているものでもなく、さらには、請求人が贈答用アソートクッキーメーカーとして需要者等に広く知られるに至っているとする事実は存在しないことから、本件商標をその指定商品に使用した場合であっても、請求人の業務に係る商品又は請求人と何らかの関係があるものの業務に係る商品であるかの如くその商品の出所に混同を生ずるおそれは皆無であり、故に本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に該当するにも拘らず登録されたものでないことは明らかであり、そのような請求人の主張は失当である。
4 商標法第4条第1項第16号について
本件商標の指定商品の属する菓子業界においては、包装容器(パッケージ)に内容物たる菓子そのものやこれに含まれる食材、原材料等の画像や図案等を表示する手法が一般的に用いられているのは周知の事実であって、このような包装容器をモチーフとした図形について商標登録を受ける例も数多く見受けられるが、これらの商標登録は、商標の図形中に表された食材や原材料を含む商品に指定商品の範囲を厳格に限定した上で登録を認められているとは限らず、このことは、登録例からも窺い知れるものである(乙5の1ないし6)。
登録例について検討すると、これらは商品の包装容器(パッケージ)をモチーフとした図形から構成されてなる商標であるが、その図形中には包装容器で包装して実際に提供される製品(内容物)に加え、他の食材や原材料の図案も表されているものである。
しかしながら、これらの登録商標に係る指定商品はいずれも、「チョコレート」、「キャンディー」、「のど飴」、「菓子及びパン」、「オレンジ果汁入りキャンディ」、「ビスケット」となっており、「果物入りのチョコレート」、「かりん等の果実を原材料とするキャンディー」、「リンゴ等の果実を原材料とするキャンディ」、「栗入りの菓子及びパン」、「野菜エキスを含むオレンジ果汁入りキャンディ」、「チョコレートビスケット」等に限定されていないものである。
このことは、包装容器(パッケージ)をモチーフとする図形からなる商標にあっては、商標の構成中に指定商品に明示されていない(原材料として使用されるであろう)果物等の図形が単に含まれていたとしても、指定商品との関係で不実を表しているとはいえない限り、指定商品の範囲を厳格に限定することまでは要求されないことを意味するに他ならない。
してみれば、本件商標は商標法第4条第1項第16号の規定に該当するにも拘らず登録された商標でないことは明らかであって、このような業界の商慣行や登録例の存在を考慮しない請求人の主張は失当である。
5 結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号、同第15号又は同第16号に該当するにも拘らず登録されたものではなく、故に同法第46条第1項第1号の規定により、その登録が無効にされるものでないことは明らかである。
第5 当審の判断
1 請求の利益について
請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについては、当事者間に争いがなく、当審も、請求人は本件審判の請求人適格を有するものと判断するので、以下、本案に入って審理する。
2 商標法第4条第1項第11号該当について
(1)本件商標について
本件商標は、それほど高さのないまるい円筒形の缶容器の図形を表してなるところ、その缶容器のまるいふたには、果物とクッキーなどが表されており、その上部に、「Tivoli」(「Ti」の「i」は、「・」部分が赤色で表されている。以下同じ。)の欧文字、円形の縁に沿って、「DELICIOUS COOKIES」、「DELICIEUX BISCUITS」及びその他小さく書された文字などが表記されている。また、その缶容器の側面には、上から順に「Tivoli」、「DELICIOUS」、「COOKIES」及び「NO PRESERVATIVES」の文字が表記されている。
そして、本件商標の指定商品の「Cookies,biscuits(クッキー,ビスケット)」との関係においては、上記の文字中の、「COOKIES」、「BISCUITS」、「DELICIOUS」の文字及びこれらが含まれた文字部分については、商品の内容や品質を表示するものとして理解され、識別力がないか極めて弱いものというのが相当である。さらに、「NO PRESERVATIVES」の文字部分は、「防腐剤未使用」程の意味合いを有するものであるから、商品の品質表示として識別力がないものというのが相当である。
また、ふたに表された果物とクッキーなども、クッキーやビスケットの形状や原材料を表したものと理解されるから、これらも、識別力がないか極めて弱いものというのが相当である。
してみると、本件商標において、ふたの上部に太字で、他の文字と関係なく目立つように表された「Tivoli」の文字、及び缶容器の側面の最上部に表記された「Tivoli」の文字が、取引者、需要者に強く印象づけられ、商品の識別標識としての機能を有する要部として認識され、看取されるものというべきである。
そして、該「Tivoli」の文字は、「コンサイス外国地名辞典<第3版>」(株式会社三省堂)によれば、「ティボリ(チボリ)Tivoli イタリア中部、ラツィオ州中部、ローマ県中東部の観光・保養都市。」と、その他に「ティボリ(チボリ)Tivoli デンマークの首都コペンハーゲン中心部の遊園地」の記載がある。
そうすると、該語からは、「イタリアの観光・保養都市のティボリ(チボリ)」、あるいは「デンマークのコペンハーゲンにある遊園地のティボリ(チボリ)」程の意味合いを想起し、認識される場合があるものというのが相当である。
してみれば、本件商標は、該「Tivoli」の文字部分に相応して、「ティボリ」又は「チボリ」の称呼を生じ、「イタリアの観光・保養都市のティボリ(チボリ)」、あるいは「デンマークのコペンハーゲンにある遊園地のティボリ(チボリ)」の観念を生じる場合がある。
(2)引用商標について
引用商標は、「チボリ」の文字よりなるところ、上記地名辞典によれば、該「チボリ」の文字は、「Tivoli」の欧文字を片仮名で表記した上記と同じ意味を有する語と認められるものである。
また、該「チボリ」の文字は、「大辞泉(増補・新装版)」(株式会社小学館)によれば、「チボリ(Tivoli)(1)イタリア、ローマの東北東にある町。ローマ時代からの保養地で、二世紀のハドリアヌス帝の別荘や十六世紀のエステ家の別荘などが残る。(2)デンマーク、コペンハーゲンにある公園。」の記載がある。
そうすると、該語からは、「イタリアの観光・保養都市のチボリ」、あるいは「デンマークのコペンハーゲンにある公園(遊園地)のチボリ」程の意味合いを想起し、認識される場合があるものというのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成文字に相応して、「チボリ」の称呼を生じ、「イタリアの観光・保養都市のチボリ」、あるいは「デンマークのコペンハーゲンにある公園(遊園地)のチボリ」の観念を生じる場合がある。
(3)本件商標と引用商標の類否について
ア 外観の対比
本件商標と引用商標とは、図形の有無やその文字の構成に差異を有するものであるから、両者は、外観において類似しないものである。
イ 称呼の対比
本件商標から生ずる「ティボリ」又は「チボリ」の称呼と引用商標から生ずる「チボリ」の称呼とを対比すると、両者は、「チボリ」の称呼において共通するものである。
そして、該「ティボリ」と「チボリ」の称呼においては、ともに3音構成よりなるところ、異なるところは語頭音の「ティ」と「チ」の差異である。
しかしながら、該差異音である「ティ」の音は、「テ」「ィ」と2音に分けることなく「ティ」と一音で発音され、かつ、「チ」と母音(i)を同じくする近似音であるために、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調語感が互いに近似し、これらを互いに聴き誤るおそれがある。また、「チ」と「ティ」は、「チケット」(券)と「ティケット」、「チーム」(組)と「ティーム」、「スチール」(鋼鉄)と「スティール」の如く相互に代替して使われることも少なくない。
そうすると、本件商標と引用商標は、「チボリ」の称呼において共通であり、また、該「ティボリ」と「チボリ」の称呼において類似するものであるから、両商標は、称呼上類似するものである。
ウ 観念の対比
本件商標と引用商標の観念を対比すると、両商標は、ともに「イタリアの観光・保養都市のチボリ」、あるいは「デンマークのコペンハーゲンにある遊園地のチボリ」の観念を共通にするものであるから、両商標は、観念上類似するものである。
エ 商標の類否に係る取引の実情
前記アないしウの外観、称呼及び観念における商標の類似について、その判断を左右するに足りる取引の実情は、本件には見当たらない。
類否判断
本件商標と引用商標とは、構成全体の外観において差異を有する。しかしながら、本件商標の要部である「Tivoli」と引用商標の「チボリ」との対比においては、両文字が欧文字と片仮名の差異があるとしても、商標の使用において、一般に、平仮名、片仮名又はローマ字を相互に変更して使用することがごく普通に行われている実情があり、本件商標に係る指定商品を取り扱う業界において、それと異なる取引の実情があるとも認められないことからすると、本件商標と引用商標の外観上の差異が、称呼及び観念の同一性を凌駕するものとはいえず、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して考慮すれば、外観が相違するとしても、「チボリ」の称呼及び観念を同一にする両者は、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(4)被請求人の主張について
ア 被請求人は、「本件商標は、その外観から明らかなように、商品パッケージを模した商標であり、包装用容器全体のデザインで商品の出所表示機能を発揮する構成となっており、その構成全体が有する独特の特異性を以って、自他商品の識別標識として看者に印象付けられるものである。すなわち、その構成に含まれる『Tivoli』の欧文字の部分が独立して看取され、自他商品識別標識としての機能を発揮し得るものではないことから、敢えて商品のパッケージを模した本件商標から『Tivoli』の欧文字のみが抽出され、これに照応する称呼にて本件商標が実際の取引に資されなければならないとする特別の事情はないと考えられるものである。」旨の主張をしている。
しかしながら、通常、本件商標のような缶容器を模した商標(図形及び文字を含む。以下「パッケージ」という。)には、その商品の出所を表す表示(自他商品の識別標識)のほか、その商品の品質、原材料の表示、商品の見本等の写真などを表示することが一般に行われ、しかも、パッケージ(に記載の内容)は、商品のリニューアル等により変更される場合もあるから、これらのパッケージに接する需要者は、その商品の品質等を表す部分については、一義的には、それに対応する品質を認識するのであって、その構成態様について強く認識するものではなく、また、パッケージ全体を常に正確に把握するものではないから、顕著に表された「Tivoli」の文字部分に着目し、これより生ずる称呼及び観念をもって取引にあたるものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標が包装用容器全体のデザインで商品の出所表示機能を発揮する構成となっており、その構成全体が有する独特の特異性を以って、自他商品の識別標識として看者に印象付けられ、パッケージ商標であるから、敢えて「Tivoli」の欧文字のみを抽出する要部観察はなじまない旨の被請求人の主張は採用することができない。
イ 被請求人は、登録例を挙げた上で、「事例中の『ちぼり』なる商標(乙3の1及び2)は、請求人の所有に係るものであり、当該商標は、本件商標中の『Tivoli』と同一の欧文字からなる商標『TIVOLI』(乙4の1及び2)の存在にも拘らずその登録を認められているものである。したがって、本件商標中の『Tivoli』の文字が独立して看取された結果、本件商標と引用商標とが称呼上類似すると判断されることとなれば、請求人の所有に係る前記商標『ちぼり』(登録第5481897号)もその先願先登録である『TIVOLI』なる商標(登録第1048342号)との関係で当然に無効理由を有することとなり、このような判断は行政処分の平等の原則という観点から妥当でないことは明らかである。」旨の主張をしている。
しかしながら、商標の類否の判断は、過去の審査例等の一部の判断に拘束されることなく、対比する両商標の構成態様及びその指定商品との関係から個別かつ具体的に判断されるべきものである。そして、上記「ちぼり」なる商標についての過去の判断において、商標登録の無効の審判や登録異議の申立ての制度が使用されることなく、併存して登録されているものであって、このように一義的に商標登録された過去の判断が常に適切であるとはいえない場合もあることからすれば、その登録事例に必ず拘束されるものではない。加えて、被請求人の挙示するほとんどの事例は、本件の審理に係る商標とは構成を異にする商標に係る事例であって、本件の審理に影響を与えるものということはできない。
よって、被請求人の主張は採用することができない。
(5)まとめ
してみれば、本件商標と引用商標とは、類似の商標というべきであって、かつ、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その余の請求の理由について判断するまでもなく、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】


審理終結日 2013-07-05 
結審通知日 2013-07-09 
審決日 2013-07-23 
審決分類 T 1 11・ 262- Z (X30)
T 1 11・ 261- Z (X30)
T 1 11・ 263- Z (X30)
最終処分 成立 
前審関与審査官 武谷 逸平杉本 克治 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 谷村 浩幸
田中 亨子
登録日 2010-09-23 
商標の称呼 デリシャスクッキーズデリシュービスキュイチボリ、デリシャスクッキーズデリシュービスケッツチボリ、チボリ、ティボリ、チボリデリシャスクッキーズ、デリシャスクッキーズデリシュービスキュイ、デリシャスクッキーズデリシュービスケッツ、デリシャスクッキーズ、デリシュービスキュイ、デリシュービスケッツ 
代理人 山本 典広 
代理人 馬場 啓子 
代理人 田中 尚文 
代理人 金成 浩子 
代理人 鈴木 正次 
代理人 涌井 謙一 
代理人 鈴木 一永 
代理人 岡部 讓 
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