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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W12 審判 一部申立て 登録を維持 W12 審判 一部申立て 登録を維持 W12 審判 一部申立て 登録を維持 W12 審判 一部申立て 登録を維持 W12 審判 一部申立て 登録を維持 W12 |
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管理番号 | 1290790 |
異議申立番号 | 異議2014-900020 |
総通号数 | 177 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2014-09-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2014-01-20 |
確定日 | 2014-08-18 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5623981号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5623981号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5623981号商標(以下「本件商標」という。)は、「Hzero」の文字を標準文字で表してなり、平成25年5月29日に登録出願、第1類、第6類、第7類、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品、及び第12類「陸上の乗物用の機械要素,船舶並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」を指定商品として、同年9月13日登録査定、同年10月18日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する、登録第4067471号商標(以下「引用商標」という。)は、「P ZERO」の欧文字を横書きしてなり、平成6年6月28日登録出願、第12類「自動車用タイヤ・車輪・チューブ及びリム、その他の自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車用タイヤ・車輪・チューブ及びリム、その他の二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,航空機用タイヤ・車輪・チューブ及びリム、その他の航空機並びにその部品及び附属品」を指定商品として、同9年10月9日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定商品中、第12類の全指定商品について、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。 1 申立の理由の要約 本件商標は、引用商標に類似し、かつ、指定商品も互いに抵触するものである。また、申立人が永年使用して需要者及び取引者間において周知著名となっている商標と外観において極めて類似するので、本件商標をその指定商品中、第12類の指定商品に使用するときは、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあり、更に引用商標が、広く知られていることを知りながら本件商標の登録にかかる商標登録出願に及んだものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであり、商標法第43条の2第1号により、本件商標の登録は取り消されるべきものである。 2 具体的理由 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、「Hzero」の欧文字を横書きしてなるものであり、一方、引用商標は、「P ZERO」の欧文字を横書きしてなるものである。 そこで、両者の類否につき比較検討してみると、両者は、共にアルファベツト5文字からなる構成であり、その構成において、大文字と小文字の相違はあっても、アルファベットの「Z」、「E」、「R」及び「O」の4文字を共通にする商標であって、唯一相違するのは、語頭に位置する「H」と「P」の文字のみであるから、両者は取引において混同するおそれのある外観上類似の商標といわなければならず、かつ、本件商標と引用商標の指定商品は抵触する。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号について 申立人は、1872年にイタリア国ミラノにおいて創業された「自動車用タイヤ」の製造・販売に係る老舗企業であり、その売上高は、世界第5位であって、世界4大陸に19の工場を持ち、160か国以上で事業を展開している。 そして、引用商標は、1987年のフェラーリF40の純正装着タイヤとしてデビュー以来、申立人の最も重要なブランドであり、その製造・販売に係る商品「自動車用タイヤ」(以下「使用商品」という。) は、世界各国に輸出されている。 申立人は、引用商標を、本件商標の出願日以前より今日に至るまで継続して使用商品に使用し、かつ、インターネット、カタログ、雑誌、店頭等において、多数宣伝広告しており、本件商標の出願日以前から現在においても、引用商標は、申立人の取扱いに係る使用商品を表示する商標として、需要者・取引者間において周知著名となっている。 してみると、申立人の著名な引用商標と外観上類似する本件商標が、その指定商品中、第12類の指定商品に使用された場合、需要者、取引者は、あたかも申立人、または申立人と人的若しくは資本的に何らかの関連のある者の業務に係る商品であると商品の出所について混同を生ずるといわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するといわなければならない。 (3)商標法第4条第1項第19号について 商標権者が、本件商標を、第12類の指定商品に使用するにあたって、申立人の著名な引用商標の人気に便乗しようとの不正の意図があることは明白であり、本件商標は商標法第4条第1項第19号にも該当するといわなければならない。 さらに、申立人の著名な引用商標と外観上類似の商標である本件商標について商標登録を認めることは、商品の出所の混同は避けられず、現実の使用に係る商標に化体した業務上の信用を保護し、もって競争秩序の維持を図る商標法の法目的に反することになる。 なお、本件商標の登録が維持され、第12類の指定商品に使用されるときは、申立人の信用を毀損するとともに、その顧客吸引力を奪い、財産的価値にも損害を与えることとなり、公正なる競争秩序が破壊されるおそれがあるから、商標法及び不正競争防止法の目的に反するものであり、不法行為の一種として許されるべきでない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の規定に該当するといわなければならない。 4 むすび 以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、第12類の指定商品については、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標 本件商標は、「Hzero」の欧文字を標準文字で表してなり、その構成文字は、大文字と小文字の違いはあるものの、同じ書体、同じ間隔をもって表されており、視覚上も一体的に把握できるものであるから、「zero」の文字部分がアラビア数字の「0」に通じ、強い識別力を有しているとはいえないことをも勘案するならば、その構成中の「zero」の文字部分のみが特に強い印象を与えるものではなく、構成全体をもって一体不可分の一種の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが自然である。 また、本件商標全体から生ずると認められる「エイチゼロ」又は「エッチゼロ」の称呼も冗長という程のものでなく、一連によどみなく称呼できるものである。 そうとすれば、本件商標は、「エイチゼロ」又は「エッチゼロ」の一連の称呼のみを生ずるものであり、また、特定の観念を生じないものというべきである。 (2)引用商標 引用商標は、「P ZERO」の欧文字を横書きしてなるものであり、「P」の文字と「Z」の文字との間に一文字分程度の間隔を有するものの、同じ書体、同じ大きさの欧文字をまとまりよく一体に表してなるものであって、「ZERO」の文字部分がアラビア数字の「0」に通じ、強い識別力を有しているとはいえないことをも勘案するならば、その構成中の「ZERO」の文字部分のみが特に強い印象を与えるものではなく、構成全体をもって、一体不可分の一種の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが自然である。 そうとすれば、引用商標は、「ピイゼロ」の一連の称呼のみを生ずるものであり、また、特定の観念は生じないものというべきである。 (3)本件商標と引用商標の対比 本件商標と引用商標の類否について検討するに、両者は、語頭において、「H」と「P」の文字が外観上明確な差異を有するばかりでなく、続く2文字目以降、本件商標は、全て小文字で表され、その全体が標準文字よりなるものであるのに対し、引用商標は、一文字程度の間隔を空けて続く2文字目以降、全て大文字で表され、その全体がゴシック体よりなるものであるから、全体の印象が異なり、両商標を時と処を異にして離隔的に観察した場合においても、十分に区別し得るものというのが相当である。 また、本件商標から生ずる「エイチゼロ」又は「エッチゼロ」の称呼と、引用商標から生ずる「ピイゼロ」の称呼とは、相違する各音の音質の差、音構成の差等により明らかに区別することができるものである。 さらに、本件商標と引用商標は、親しまれた既成の観念を想起し得ないものであって、両商標を観念において比較することもできないから、観念において類似するということはできない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。 したがって、本件商標と引用商標とは、指定商品において同一又は類似の関係にあるとしても、両商標は、混同を生じさせるおそれのない互いに非類似の商標というべきであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。 2 商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号について (1)引用商標の周知・著名性について 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、申立人は、1872年に創業された「自動車用タイヤ」の製造・販売に係る企業であり、引用商標が使用商品に使用されていることが認められるものの、「PIRELLI P ZERO」や「Pゼロ」と表示されているものも含まれており、甲第3号証ないし甲第16号証は、使用商品を紹介するインターネットホームページ、雑誌及び価格表の写し、カタログ等であるところ、これら提出された証拠によっては、引用商標の使用地域、範囲、宣伝広告の期間、手段、規模等や引用商標を使用する商品の売上高、市場占有率等が必ずしも明らかでなく、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の取り扱いに係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されている商標とまでは認めることができないというのが相当である。 (2)商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号の該当性について 引用商標が申立人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者間に広く認識されているものとはいえないことは、上記(1)のとおりである。 そして、本件商標は、上記1の(3)のとおり引用商標に類似するものではなく、両商標の間において、一方から他方を直ちに連想、想起させるとみなければならない共通点も見出せないものであるから、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接した取引者、需要者が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について誤認、混同するおそれはないと認めるのが相当である。 また、本件商標は、引用商標に類似するものでないばかりでなく、商標権者が不正の利益を得る目的、あるいは他人に損害を加える目的など不正の目的をもって使用するものとは判断し得ず、この点を認めるに足りる証拠もない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものではない。 4 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2014-08-08 |
出願番号 | 商願2013-40771(T2013-40771) |
審決分類 |
T
1
652・
271-
Y
(W12)
T 1 652・ 262- Y (W12) T 1 652・ 222- Y (W12) T 1 652・ 261- Y (W12) T 1 652・ 263- Y (W12) T 1 652・ 25- Y (W12) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 津金 純子 |
特許庁審判長 |
林 栄二 |
特許庁審判官 |
梶原 良子 中束 としえ |
登録日 | 2013-10-18 |
登録番号 | 商標登録第5623981号(T5623981) |
権利者 | 株式会社フェローテック |
商標の称呼 | エイチゼロ、エッチゼロ |
代理人 | 名古屋国際特許業務法人 |
代理人 | 柳生 征男 |
代理人 | 森川 正仁 |
代理人 | 青木 博通 |
代理人 | 中田 和博 |