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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900324 審決 商標
異議2013900429 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1290766 
異議申立番号 異議2013-900250 
総通号数 177 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-09-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-07-26 
確定日 2014-07-28 
分離された異議申立 有 
異議申立件数
事件の表示 登録第5576812号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5576812号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5576812号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成24年11月2日に登録出願、第25類「水泳着,水泳帽,寝巻き類,下着,キャミソール,ティーシャツ,スポーツシャツ,運動用ニット製被服,保温用サポーター,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,マフラー耳覆い,運動用特殊衣服(「水上スポーツ用特殊衣服」を除く。),運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く。),和服,浴衣,帯,じゅばん」を指定商品として、同25年3月14日に登録査定、同年4月19日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標が商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第28号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第10号について
(1)株式会社ユニクロ(以下「ユニクロ」という。)は、本件商標の登録出願以前に申立人所有の著名商標及び著作権のあるBrilloパッケージに関して、Brillo及びBrilloパッケージデザイン(別掲2。以下、これらを「Brillo商標」という。)の使用についてのライセンス契約を受け(甲2)、そのライセンスの対象は、Tシャツ及び下着であって、契約期間は、2012年1月1日から同年12月31日とし、必要により1年ごとに更新することができるものである。
(2)ユニクロは、Brillo商標を付したTシャツ及び男性用下着(以下「使用商品」という。)を市場に大量に投入し販売しており、その販売実績は、以下のとおりである。
ア 使用商品を含むチラシを2012年3月24日に33,165,653部、同年4月14日に33,330,733部、同年5月1日に34,109,103部、同年7月28日に31,894,603部をそれぞれ作成し、全国のユニクロショップにおいて配布した(甲3)。
これらのチラシ作成に伴う印刷部数は、伊藤忠紙パルプ株式会社からユニクロにそれぞれ発行された請求書の写しに示されているとおりである(甲4)。
イ ユニクロは、ユニクロオンラインストア商品購入ページにおいて、使用商品を以下のように販売している。
(ア)アンディ・ウォーホル グラフィックT(半袖)A及びDを2012年3月5日から現在まで販売している。
(イ)アンディ・ウォーホル グラフィックステテコDを2012年7月28日から現在まで販売している。
(ウ)アンディ・ウォーホル グラフィックT(半袖)D+Eを2012年8月13日から現在まで販売している。
(エ)アンディ・ウォーホル グラフィックT(半袖)F00・03を2012年3月12日から現在まで販売している。
ウ ユニクロオンラインストアTOPページにおいて、2012年7月28日から同年8月2日まで、使用商品を販売し(甲6)、その1日の平均閲覧数は、約156,000人である。
エ 2012年4月20日に株式会社DNP西日本からユニクロに納入されたUTタブロイド(甲7)は、請求書の写しに示されたとおり、日本で100万部である。
オ ユニクロオンラインストアメールマガジンは、使用商品について、2012年7月28日に150万、同年8月13日に63.8万配信され(甲8)、また、使用商品は、同年3月から現在まで、デジタルマーケティングしてきた(甲9)。
(3)以上のように、ユニクロによる集中的な使用商品の販売により、本件商標の登録出願時には、すでにBrillo商標は、周知・著名性を獲得しており、Brillo商標の継続的使用により登録査定時においても商標としての周知・著名性は維持されていた。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第19号について
Brilloブランドは、公証人により証明された宣誓供述書(甲10)に示されたとおり、100年以上使用され、100周年を記念した出来事は、アメリカ合衆国議会の議事録にも記載されているほど注目に値するものであって(甲11)、THE SHELBY REPORT紙(米国ジョージア州:2012年12月18日)、THE COLUMBUS DISPATCH紙及びTHE MADISON PRESS(米国オハイオ州:2013年10月15日)のそれぞれの新聞において記事として取り上げられるほど著名である(甲15)。また、90か国以上において、235件の登録商標を有し(甲21及び甲22)、アーティスト達が作品の一部としても使用しているほど有名なブランドである。
Brilloブランドは、辞書にも記載されるほど著名であって(甲12)、今日的には、申立人により1900年代初期から現在まで多くのBrilloブランドの商品が販売され、該商品が米国の多くのストアで販売されている(甲13及び甲14)、著名な商標である。
さらに、カーネギー美術館が発刊したBrilloブランドについての雑誌記事(甲24)、ウォールストリートジャーナル誌のウィークエンド版、6月1-2日付紙面より、Brilloボックスの写真(甲25)、グッドハウスキーピングマガジンのBrilloブランドを扱った記事(甲26)、申立人を含む研究資金調達活動を支援しているガン研究財団からのBrilloブランドを含む膨大なダイレクトメール広告(甲27)、米国で販売されている「Made in America:From Levi’s to Barbie to Google」というペーパーバックにおいてBrilloブランドを詳しく取り上げている記事(甲28)がある。
Brilloブランドは、アートとして、カナダの国立美術館、BBCのMODERN MASTERS、PHILANDELPHIA MUSEUM OF ART、ALLEN MEMORIAL ART及びartbouillonにおいて、Brilloボックスが展示され、また、amazon、ebay、the Warhol:resources and lessons、greg.orgにおいて、Brillo Boxが扱われ、さらに、THE NEW YORK TIMESのThe Opening Pages(2012年12月6日)においてもサンフランシスコモダンアートミュージアムにおけるBrillo Boxについて特筆されている(甲16)。
Brilloブランドは、スチールウールのパッド以外にも衣服、シャツ、ドレス、家具、ペン、コンピュータカバーといった多くの製品に使用されている(甲17)。
Brilloブランドについては、amazonネット販売において、「Beyond the Brillo Box」というペーパーバックが販売されている。
我が国においても、CASIOの電子辞書EX-Wordによれば、「Brillo」は、ランダムハウス英和大辞典第2版(小学館)において、「〈商標〉ブリロ:洗剤を染み込ませた台所用の鉄線たわし」と掲載、また、ジーニアス英和大辞典(大修館書店)において、「〈商標〉ブリロ〈洗剤を含んだ鉄線製のたわし〉」と掲載、リーダーズ英和辞典(第2版)(研究社)においても『[商標]洗剤がついているスティールウール製のたわし』として掲載されている(甲18)。
本件商標の登録は、著名商標「Brillo」を所有する申立人の我が国への参入を阻止するものといわざるを得ない。著名商標Brilloは、造語よりなるものであり、Brilloは、実際に国内においても申立人のライセンシーとしてユニクロがこれまで集中的、大々的にTシャツや男性用下着(ステテコ)に使用されてきたから、世界的に著名なBrilloブランドが被請求人により第25類の衣類等に使用された場合には、申立人の信用、名声、顧客吸引力等が毀損されるおそれがあることは明らかであって、被請求人による本件商標の登録は、「不正の目的」に該当する(甲19)。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
3 商標法第4条第1項第7号について
申立人の所有する「Brilloブランド」がアメリカ合衆国のみならず、国際的にも極めて著名である以上、この商標と同一の本件商標を商標権者が第25類の衣類について商標登録を受けることは、国際信義にも反し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標に該当する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号にも違反して登録されたものである。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第10号該当性について
申立人は、Brillo商標に関して、ユニクロとTシャツ及び下着についてライセンス契約をし、ユニクロにおける使用商品の大量の販売により、Brillo商標は、周知・著名性を獲得したものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する旨主張するので、以下、判断する。
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「Brillo」(「o」の上にアクサン-テギュの記号が付されている。)の欧文字を横書きしてなるところ、該欧文字は、辞書などに載録のない語であると認められる。
そうすると、本件商標は、構成文字に相応して「ブリロ」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)申立人の使用するBrillo商標について
Brillo商標は、別掲2のとおり、主として、上下に赤色の幾何図形を配し、その中央に「Brillo」(「Br」及び「ll」を青で着色し、「i」及び「o」を赤で着色している。)の欧文字を配してなる箱形のデザインからなるところ、該欧文字は、リーダーズ英和辞典」(甲18)に「『商標』ブリロ『洗剤がついているスティールウール製のたわし』」と記載、「WEBSTER’S NEW WORLD」(甲12)に「a compact pad of steel wool ontaining soap,used for scouring pots,pans,etc.」と記載されているものの、一般に知られているということができない。
そうすると、Brillo商標は、構成文字に相応して「ブリロ」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)Brillo商標の周知性
ア 申立人の提出した証拠によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)申立人は、洗剤がついているスティールウール製のたわし(以下「申立人商品」という。)について、2013年で100周年を迎えている旨の新聞記事及び申立人のホームページなどが認められる(甲11及び甲13ないし甲15)。
(イ)Brilloパッケージデザインは、「Brillo Soap Pads Boxes,1964」の表示の下、「Andy Warhol」の紹介及びフィラデルフィアやサンフランシスコの美術館において展示され(甲16)、「AMDY WARHOL」によるデザインであることが認められる。
(ウ)申立人は、ユニクロとのライセンス契約書(甲2)を提出しているが、該契約日及び署名などが見いだせない。
(エ)ユニクロに係る広告をみると、多数の商品の中に「ANDY WARHOL/アンディ・ウォーホル」の表示とともに「ポップアートの巨匠、アンデイ・ウォーホルの作品をプリント」、「アンデイ・ウォーホルの作品をベースにしたデザイン!」、「ポップアーティスト、アンデイ・ウォーホルのオリジナル作品をアレンジしたデザイン」などの記載があり、BrilloパッケージデザインがTシャツの前身頃部分及びステテコの全体の模様として多数付されている(甲3及び甲5)。
(オ)2012年3月26日、同年4月23日、同年5月25日及び同年7月25日付けの伊藤忠紙パルプ株式会社からユニクロに宛てた請求書には、それぞれ3月24日の小計としてB3の部数が23,584,700、B4の部数が9,580,953、同年4月14日の小計としてB2の部数が273,8000、B3の部数が23,346,200、B4の部数が9,710,733、同年5月1日の小計としてB3の部数が24,218,750、B4の部数が9,890,353、同年7月28日の小計としてB3の部数が22,485,650、B4の部数が9,408,953と記載されている(甲4)。
(カ)ユニクロオンラインストアTOPページにおいて、2012年7月28日から同年8月2日まで、使用商品を販売し、その1日の平均閲覧数は、約15.6万人である(甲5ないし甲9)。そして、ユニクロオンラインストアにおいて掲載された使用商品に関して、「この商品について/アンディ・ウォーホルは、20世紀を代表するアメリカのアーティストであり、アートを別の観点から見るという挑戦をしました。彼の文化的遺産は、アンディ・ウォーホル美術財団及びアンディ・ウォーホル美術館に所蔵される彼の芸術作品を通じて生き続けています。この商品のデザインは、彼のオリジナル作品に基づいています。この商品は、視覚的な芸術を助成しているニューヨークの非営利団体、アンディ・ウォーホル美術財団から許諾を受けて製造されています。」と記載されている(甲5及び甲9)。
(キ)世界90か国以上で商標登録を受けているBrillo商標の詳細リスト(甲21)には、各国における登録のほとんどが第3類、第5類及び第21類であって、日本においても、「磨き粉」、「洗浄用研磨剤」及び「せっけん類」など第3類、「殺菌剤,その他の薬剤」など第5類及び第21類「スチールウール製こすり洗いパッド,その他の清掃用具及び洗濯用具」についての登録である(甲22)。
イ 前記アで認定した事実によれば、申立人は、主として米国で2013年で100周年を迎えるほどの長期間において、申立人商品についてBrillo商標を付していることが認められ、Brillo商標は、申立人商品を表すものとして、米国の取引者、需要者の間において、知られていると推認し得るところである。
しかしながら、我が国においては、申立人商品を表すものとして広く知られていることを裏付ける具体的な証拠は提出されていない。そして、申立人商品は、もっぱら台所で使用されるものであって、本件商標の指定商品とは、商品の生産者、流通系統、販売場所等を異にするばかりでなく、商品の品質、原材料、用途等においても著しく異にするものであって、商品の関連性を全く有しないものである。
また、ユニクロは、2012年3月頃から相当程度の広告部数を発行していることが認められるものの、該広告は、我が国における多数あるユニクロ店舗向けの広告であって、その内容もユニクロが取り扱う多数の商品に関する広告といえ、該広告における使用商品は、「ANDY WARHOL」、あるいは「アンディ・ウォーホル」の文字が表示され、掲載されているものであり、また、ユニクロオンラインストアTOPページにおける商品掲載においても「アンディ・ウォーホルのオリジナル作品に基づいている」旨の商品紹介であるから、これら広告の掲載方法をみると、Brillo商標を認識するというよりも、アンディ・ウォーホルによる商品のデザインと看取されるというべきである。
さらに、使用商品は、その商品説明に記載されているとおり、アンディ・ウォーホル美術財団から許諾を受けて製造されているともいえ、アンディ・ウォーホルに係るデザインと認識されるものである。
以上を総合勘案すると、Brillo商標は、使用商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日前より、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(4)小括
以上によれば、ユニクロにおける使用商品に付されているBrillo商標は、本件商標の登録出願時(平成24年11月2日)において、需要者の間に広く認識されている商標とはいえないから、その他の要件について判断するまでもなく、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するとする申立人の主張は、理由がない。
2 商標法第4条第1項第7号及び同項第19号該当性について
本件商標は、前記1(1)のとおり、Brillo商標とは、文字綴りを同一にし、「ブリロ」の称呼を同一にする類似の商標ではあるものの、本件商標の指定商品と申立人商品とは、商品の生産者、流通系統、販売場所等を異にするばかりでなく、商品の品質、原材料、用途等においても著しく異にするものであって、商品の関連性を全く有しないものであって、Brillo商標が我が国において広く知られているとも認められない。
そうとすれば、商標権者が本件商標をBrillo商標に化体した信用、名声などを毀損させるおそれあり、不正の目的をもって使用すると認めるに足る事実は、見いだし得ない。
また、本件商標が、国際信義に反するなど公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とみるべき理由があると認めるに足りる証拠の提出はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同項第7号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標



2 Brillo商標のうちのBrilloパッケージデザイン


(色彩については、甲第3号証及び甲第5号証参照。)

異議決定日 2014-07-18 
出願番号 商願2012-88960(T2012-88960) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W25)
T 1 651・ 22- Y (W25)
T 1 651・ 25- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐藤 淳 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 酒井 福造
寺光 幸子
登録日 2013-04-19 
登録番号 商標登録第5576812号(T5576812) 
権利者 株式会社東京印
商標の称呼 ブリロ 
代理人 三浦 光康 
代理人 福田 秀幸 

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