• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201316013 審決 商標
不服201311574 審決 商標
不服2013650099 審決 商標
不服201316014 審決 商標
不服201311573 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W36
管理番号 1290675 
審判番号 不服2013-19802 
総通号数 177 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-10-11 
確定日 2014-07-30 
事件の表示 商願2012- 37764拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は,「住宅ローンこんしぇるじゅ」の文字を標準文字で表してなり,第36類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として,平成24年5月13日に登録出願されたものである。
そして,指定役務については,原審における同年11月6日受付の手続補正書により,第36類「資金の借入れに関する助言,資金の借入れに付いての助言に関する情報の提供」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標は,『住宅ローンを利用しようとする者に対して適切な相談・助言を行う者』であることを容易に認識させる『住宅ローンこんしぇるじゅ』の文字を標準文字で表してなるものであるから,これを本願指定役務中『住宅資金の借入れに関する助言』等に使用するときは,前記者による役務の提供であるとしか認識し得ず,単に役務の質を普通に用いられる方法で表してなるにすぎないものと認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,前記役務以外の役務に使用するときは,役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので,同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審においてした審尋
当審において,請求人に対し,平成26年2月25日付けで,別掲のとおりの内容を示した上で,本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものである旨の審尋をし,期間を指定して,これに対する意見を求めた。

第4 審尋に対する請求人の回答の要点
請求人は,前記第3の審尋に対して,要旨次のように意見を述べている。
1 本願商標「住宅ローンこんしぇるじゅ」は,同じ字体,同じ大きさ,同じ間隔で外観上まとまりよく一体的に構成されており,これより生じる「ジュウタクローンコンシェルジュ」の称呼も,無理なく一気に称呼し得るものであるから,その構成文字全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるものであって,本願商標を「住宅ローン」と「こんしぇるじゅ」とに分離観察しなければならない特段の事情もない。
2 本願商標は,「住宅ローンを利用しようとする者に対して適切な相談・助言を行う者」程の意味合いを暗示させる場合がたとえあるとしても,指定役務の質等を直接的かつ具体的に表示したものとして理解されるとはいい難いものであり,むしろ,その構成文字全体をもって一体不可分の一種の造語として認識されるものである。
3 外来語については,片仮名表記するのが普通であって,本願商標の構成中,平仮名表記された「こんしぇるじゅ」の文字は特徴的表現態様に該当するから,本願商標は,「普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」には該当しない。
4 審尋において提示されたインターネット情報については,本願商標「住宅ローンこんしぇるじゅ」の文字の記載もなく,その具体的な意味合いを示す記載もないから,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるとする証拠資料足り得ない。
5 したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は,「住宅ローンこんしぇるじゅ」の文字を標準文字で表してなり,第36類「資金の借入れに関する助言,資金の借入れに付いての助言に関する情報の提供」を指定役務とするものである。
そして,本願商標構成中,「住宅ローン」の文字は,「居住のための用地・住宅の取得・改良を目的とした資金の貸出し」(広辞苑第六版)を意味するものである。
また,「こんしぇるじゅ」は,フランス語「concierge」の表音「コンシェルジュ」を平仮名で表したものであるが,「コンシェルジュ」の語については,「ホテルの接客係。転じて,特定の分野や地域情報などを紹介・案内する人をもいう。」(コンサイスカタカナ語辞典第4版)の意味を有するものであるところ,現在では,ホテルのみならず,観光案内所や駅,百貨店,病院など,多くの業界・企業に,コンシェルジュという制度が広がっており,客が何でも相談できる窓口を設け,それに対して豊富な知識に基づいてそれぞれに合った提案をするようなサービス(以下,このようなサービスを「相談等サービス」という。)や職域を表す語として,一般に理解されるようになっているものである。
さらに,本願指定役務との関係において,住宅ローンに関する助言等を「住宅ローンコンシェルジュ」「住宅ローン・コンシェルジュ」の表示のもとで行っていること及び,ローンに関する助言等を「ローンコンシェルジュ」の表示のもとで行っていることは,別掲の審尋において示した各情報から明らかである。
そうとすると,本願商標構成中の「こんしぇるじゅ」の文字は,上記「コンシェルジュ」を平仮名表記したにすぎないものであるから,本願商標を,その指定役務について使用しても,これに接する取引者,需要者は,「住宅ローンに関する相談等サービス」又は「住宅ローンに関する相談等サービスを提供する者」の意味合いを理解し,本願指定役務の提供にあたり,上記サービスが行われているものと認識するにとどまるというべきであり,自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
してみれば,本願商標は,その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められる。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 請求人の主張について
(1)請求人は,本願商標「住宅ローンこんしぇるじゅ」が,同じ字体,同じ大きさ,同じ間隔で外観上まとまりよく一体的に構成されており,これより生じる「ジュウタクローンコンシェルジュ」の称呼も,無理なく一気に称呼し得るものであるから,その構成文字全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるものであって,本願商標を「住宅ローン」と「こんしぇるじゅ」とに分離観察しなければならない特段の事情もなく,その構成文字全体をもって一体不可分の一種の造語として認識されるものである旨主張する。
しかしながら,「住宅ローンこんしぇるじゅ」の文字に接する取引者,需要者は,これを「住宅ローン」の文字と「こんしぇるじゅ」の文字からなるものと容易に認識することから,本願指定役務について使用しても,それぞれの文字から生じる意味合いにしたがって,「住宅ローンに関する相談等サービス」又は「住宅ローンに関する相談等サービスを提供する者」の意味合いを自然に理解するというべきである。
したがって,本願商標は,外観上,一体不可分に構成されているとしても,上記意味合いを容易に認識させるものであるから,何らの意味合いを生じない造語として認識されるとする請求人の主張は,採用することができない。
(2)請求人は,外来語については,片仮名表記するのが普通であって,本願商標の構成中,平仮名表記された「こんしぇるじゅ」の文字は特徴的表現態様に該当するから,本願商標は,「普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」(商標法第3条第1項第3号)には該当しない旨主張する。
しかしながら,本願指定役務に係る業界のみならず,様々な業界において,片仮名を平仮名で表記することが普通に行われていることは顕著な事実であって,標準文字で表してなる本願商標構成中の「こんしぇるじゅ」の文字と「コンシェルジュ」の文字とは,単に平仮名と片仮名の違いにすぎないものである。
したがって,当該「こんしぇるじゅ」の文字は,特異な表現態様とはいえないものであるから,本願商標は,商標法第3条第1項第3号でいう「普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するものである。
よって,請求人の主張は,採用することができない。

3 まとめ
以上のとおりであるから,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(審尋の内容)

本願商標は,「住宅ローンこんしぇるじゅ」の文字を標準文字で表してなり,第36類「資金の借入れに関する助言,資金の借入れに付いての助言に関する情報の提供」を指定役務とするものである。
そして,本願商標構成中,「住宅ローン」の文字は,「居住のための用地・住宅の取得・改良を目的とした資金の貸出し」(広辞苑第六版)を意味するものである。
また,「こんしぇるじゅ」は,フランス語「concierge」の表音「コンシェルジュ」を平仮名で表したものであるが,「コンシェルジュ」の語については,以下の事実が認められる。
(1)「コンシェルジュ」の文字は,「ホテルの接客係。転じて,特定の分野や地域情報などを紹介・案内する人をもいう。」の意味を有するものである。(コンサイスカタカナ語辞典第4版)
(2)「コンシェルジュ(こんしぇるじゅ)」の語の解説として,「顧客一人ひとりに応じたきめ細かいサービスが注目を集め,今ではホテルのみならず,観光案内所や駅,百貨店,病院など,多くの業界・企業に,コンシェルジュという制度が広がっている。」「客が何でも相談できる窓口を設け,それに対して豊富な知識に基づいてそれぞれに合った提案をするようなサービスやその職域に対して,コンシェルジュと称しているようである。」の記載がある。(「コトバンク」に係るウェブページ,http://kotobank.jp/word/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%83%A5?dic=chiezo)
(3)例えば,以下のアないしエのとおり,本願指定役務との関係において,住宅ローンに関する助言等を「住宅ローンコンシェルジュ」「住宅ローン・コンシェルジュ」の表示のもとで行っている事実がある。
ア「スタイルオブ東京株式会社」に係るウェブページ
「住宅ローンコンシェルジュサービス」の項目に「ご利用いただけるサービス」として「何らかの事情でローンが通りにくい方への融資コンサルティング」,「1 ライフプランシミュレーション」の項目に「ローンを組む時には将来のリスクを踏まえた,ライフプラン(人生の資金計画)の変更が必要です。中立的な専門家のライフプラン相談が受けられます。コンシェルジュが夢や希望を叶えるためのお客様のライフプランを提示いたします!」,「2 リフォーム・住宅ローンシミュレーション」の項目に「様々なリフォーム・住宅ローンをシミュレートしてアドバイスいたします!」,「3 リフォーム・住宅ローン同行サポート」の項目に「コンシェルジュが金融機関に同行し,サポートします。書類不備によるお客様の負担を軽減したり,書類記入サポートやローンに関する疑問点にお応えします。」の記載がある。
(http://www.styleoftokyo.net/concierge/)
イ「株式会社日伸建設」に係るウェブページ
「住宅ローン・コンシェルジュサービス」の項目に「その難しい住宅ローン選びをお手伝いする日伸建設のサービスが,住宅ローン・コンシェルジュです。」「銀行間の違い,お客様のメリット・デメリットなどご納得いただけるまでご説明いたします。」「ローンの返済相談。」の記載がある。
(http://www.nisshinkensetsu.net/loan.html)
ウ「住宅ローンコンシェルジュ」に係るウェブページ
「住宅ローン相談」の項目に「変動金利・10年固定等の期間固定金利・フラット35等の全期間固定金利の中から,相談者の考え方・ライフプランに合わせて最適なローンをご提案します。」「セカンドオピニオンとしての相談も可能です。」の記載がある。
(http://fujinomp.com/?page_id=2)
エ「住宅玉手箱 じゅうたま」に係るウェブページ
「無料 住宅ローン相談会開催 7/15(日)」の項目に「住宅ローンコンシェルジュから,無料住宅ローン相談会のご案内 じゅうたま四国(丸島産業主催)からのお知らせ 2013年7月15日(祝)の10時?16時の間,小豆島のイマージュセンターで住宅ローン相談会を開催します。」の記載がある。
(http://www.juutama.com/shikoku/2013/07/715.html)

また,例えば,以下のオないしクのとおり,本願指定役務との関係において,ローンに関する助言等を「ローンコンシェルジュ」の表示のもとで行っている事実がある。
オ「西日本シティ銀行」に係るウェブページ
「ローンコンシェルジュのご紹介」の項目に「ローンコンシェルジュとは ご入力いただいた内容からあなたにぴったりなローンをご提案するサービスです。」,「ローン商品一覧」の項目に「住宅ローン 新築・中古・住み替え(セカンドハウスもOK!)」の記載がある。
(http://714919.jp/concierge/index.html)
カ「ポラス株式会社」に係るウェブページ
「ポラスのローンコンシェルジュ」の項目に「”あなたに最適な”ローンをポラスのローンコンシェルジュがご提案します。」「ローンコンシェルジュは購入する物件が決まっていなくても,ご収入や家計の状況等により20行のポラス提携ローンの商品の中から,それぞれのお客様に最適なローン商品やローンを組む際のプランをご提案させていただきます。」「これからお住まい探しを始められる方は是非ポラスのローンコンシェルジュにご相談ください。ポラスのローンコンシェルジュは年間4,000件近いローンを取り扱っており,一人あたりでも500件以上です!」の記載がある。
(http://www.polus.co.jp/loan_plan/concierge/)
キ「ローンコンシェルジュ」に係るウェブページ
「おすすめのカードローンをお探しならローンコンシェルジュへご相談下さい」「当サイトではお客様の目的や状況を踏まえた,おすすめのカードローンを詳しい解説のもとにご案内しております。カードローン選びの際は是非,私たちローンコンシェルジュにご相談くださいませ。」「カードローンをもっとじっくり,様々な角度から比較して借入したいというご相談のために審査基準やメリットなど,より詳しく掘り下げた分かりやすい解説をお届けしております。」の記載がある。
(http://www.tzex.net/)
ク「SBIホールディングス株式会社」に係るウェブページ
「新サイト『myscore』にて,業界初のローンマッチングサービスを開始?個人の信用スコアとローン商品の『マッチ度(適合率)』を算出し,最適な金融機関を提案?」の項目に「当社は,提携金融機関数100社,商品数705件,訪問者数年間630万人を超える国内最大級の金融マーケットプレイス事業を運営しておりますが,それに加えて,新たにローンマッチングサービスを提供することで,自分の信用力により合致する最適な金融機関をより効率的に探し出し,比較することができる,『ローンコンシェルジュ』へと進化を遂げることにより,より一層の顧客サービスの向上に努めてまいります。」の記載がある。
(http://www.sbigroup.co.jp/news/pr/2008/0901_1958.html)

以上の事実からすると,「コンシェルジュ」の語は,本来的にはホテル分野で使用されるものであったが,現在では,多くの業界・企業において,客が何でも相談できる窓口を設け,それに対して豊富な知識に基づいてそれぞれに合った提案をするようなサービス(以下,このようなサービスを「相談等サービス」という。)や職域を表す語として,一般に理解されるようになっていることが認められる。
そして,本願指定役務に係る「(住宅)ローン」についても,顧客からの(住宅)ローンに関する相談に対して助言等が行われており,その役務の提供にあたり,「コンシェルジュ」の語が,「相談等サービス」又は「相談等サービスを提供する者」を表すものとして,普通に使用されているものである。
そうとすると,「住宅ローンこんしぇるじゅ」の文字からなる本願商標を,その指定役務について使用しても,これに接する取引者,需要者は,「住宅ローンに関する相談等サービス」又は「住宅ローンに関する相談等サービスを提供する者」の意味合いを理解し,本願指定役務の提供にあたり,上記サービスが行われているものと認識するにとどまるというべきであり,自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
してみれば,標準文字で表してなる本願商標構成中の「こんしぇるじゅ」の文字と「コンシェルジュ」の文字とは,単に平仮名と片仮名の違いにすぎないから,本願商標は,その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められる。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。

審理終結日 2014-05-30 
結審通知日 2014-06-02 
審決日 2014-06-16 
出願番号 商願2012-37764(T2012-37764) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W36)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大森 健司冨澤 美加 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 谷村 浩幸
田中 亨子
商標の称呼 ジュータクローンコンシェルジュ、コンシェルジュ 
代理人 佐藤 富徳 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ