• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 036
管理番号 1290672 
審判番号 取消2013-300702 
総通号数 177 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-09-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-08-21 
確定日 2014-07-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第3208900号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第3208900号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成4年9月30日に登録出願、第36類「建物の貸借の代理又は媒介,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,土地の貸借の代理又は媒介,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介」を指定役務として、同8年10月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成25年9月5日である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第20号証を提出した。
1 請求の理由
(1)甲第3号証のふくおか経済の2006年(平成18年)2月28日の記事によれば、株式会社ユニカと株式会社コアが合併し、株式会社コアが存続企業となり、不動産賃貸・マンション管理事業、貸金業務を担当する。マンション事業及びシニア事業、不動産活用事業は、株式会社東京ユニカに事業を承継させ、その後、株式会社東京ユニカは、株式会社ユニカに改称、資本金を増資するほか、本社所在地を東京から福岡に移転するとの計画が掲載されており、これらの計画が実行に移され、それに伴い本件商標権についての移転登録申請が認められる。
そこで、登録時の株式会社ユニカと現時点の株式会社ユニカは、住所名称が同一であるものの、別法人であって、現時点では、取締役、監査役各1名のみとなっている(甲4)。
被請求人は、香椎浜3丁目A棟新築工事を株式会社高松組に発注・完成し、2009年(平成21年)6月5日に残額14億円を支払う予定であったが、同年3月に支払いができないこととなり、これが一因となって受注した老舗の建設会社である株式会社高松組は破綻してしまった(甲5)。
被請求人のWEBページをみても、What’s New!は、2009.04.24から新規のページは存在しないようであり、会社情報のページに「平成24年12月1日現在の内容です。」とあるものの、過去3年はもとより、それ以前の企業活動の掲載もない(甲6)。
したがって、被請求人は、継続して3年以上にわたり、本件商標を指定役務に使用しているとは考えられない。
また、本件商標の登録原簿によれば、登録された専用使用権者、通常使用権者は、存在せず、関連会社の株式会社コアは存続しているようであるが、本件商標を使用してはいない(甲7)。
(2)以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録日前3年以上使用されていない。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、債務超過に陥ったので、登記簿上会社が存続しているとしても、実質的な営業をされていない可能性が高いものである。どのような手段で企業の存続を図っているのか全く釈明がない。
被請求人のWEBページのWhat’s new!では、本件審判の請求登録後である2013.10.1に高齢者用の賃貸マンション「アクアヴィラ香椎浜」のホームページをリニューアルしました、との記述がある。しかし、その前の2009.04.24には同じマンションの入居者募集を5月1日から開始、との記述があり、この二つのアクアヴィラ香椎浜をクリックすると1頁目と2頁目となるが、これらは全く同一画面である(甲13)。
しかも、2009年(平成21年)には、被請求人は、福岡県以外に支店を有しているので国土交通大臣の免許が必要であるにもかかわらず、2009.4.24のアクアヴィラ香椎浜の第2頁目の本件商標を表わした下には、【免許登録】福岡県知事(1)第16819号としている。
(2)乙第2号証の1として、看板の道路占用許可書の写しを提出している。この看板は、建物外壁から道路の上に突き出る形態であるので袖看板と称されるものである。この袖看板は、撤去費用より廉価なため経費節減で更新し、存置したとも推測される。
乙第2号証の2の写真で1階のガラスに大きく表示されているのは、甲第14号証に提示する株式会社ハウスフィールド(以下「ハウスフィールド」という。)の登録出願中の商標である。被請求人は、甲第15号証に提示するように8階に移ったようで、看板と指定役務との結び付きがなくなり、現状では、単にビル内に入居している会社名の不自然、かつ、不適切な掲示となっており、指定役務について本件商標を使用しているとはいい得ない。
(3)乙第3号証は、封筒関連の資料であり、ここには、本件商標が表わされているが、指定役務との関連が全くないので本件商標の使用というべくもない。
乙第3号証の1の大小の封筒には、二か所に本件商標が付されているが、その他は、社名と本社支社の電話番号とFAX番号のみであり、不動産関連の指定役務を窺うすべもなく、本件商標を指定役務に使用しているとは到底いえない。
乙第3号証の2は、被請求人の封筒を印刷したとする株式会社キャップの取引実績を記した書面であるが、「2006年4月から現在に至るまで取引いただいております。」とするものの、最も新しい納品日でも2年以上前の2011年(平成23年)8月1日である。
乙第3号証の3は、本社と支社の間での書類を郵送したとする使用済み封筒の写しであると被請求人は主張するが、本社支社間での通信は、広告にも取引書類にも該当しないので商標の使用とはいえない。
なお、封筒関連資料中の東京支社及び長崎支店は、登記簿謄本から存在は確認できない。
3 口頭審理陳述要領書
(1)被請求人は、被請求人のホームページ乙第5号証(甲6)をもって商標を使用していると主張、立証しているようであるが、What’s New!は、2009.4.24から更新されておらず、過去3年はもとより、それ以前の企業活動のページも削除されたのか存在しない。
最近の被請求人の近況報告の記事では、社長が方針を次のとおり述べていいる。「社員の働き口の確保に神経を使った。ア せっかくユニカに集まった人材をバラバラにしては損失になる。イ 転職しても同じことだ。同じ会社でチームワークを持って活躍できる場を創出してやろう。ウ そうであれば小会社に全員を転出させて仕事を貰おう。エ 自力で稼ぎきれるまではいろいろなサポートをする必要があろう!!」(甲16)。全員が転出させれば、被請求人の会社はもぬけの殻となるのは必然で、その結果がホームページの更新はなく、審判請求の登録前3年以内の活動の実績の掲載もないと納得できる。
(2)甲第4号証で提出した被請求人の登記簿謄本では、甲第17号証として提出する新橋6丁目17番1号の支店及び乙第3号証の1の大型封筒に印刷されている東京支社(港区芝2丁目31番15号)が何故か掲載されていない。
(3)甲第18号証及び第19号証は、拒絶査定不服審判における商標の類否に関するものであるが、ローマ字と図形を組み合わせた商標に関し、称呼は同一であるものの外観において相違するので非類似との判断が下されている。これらにおける判断をふえんすれば、類似すると認められることはあっても、同一性があるとするには当たらないといえる。
(4)乙6号証で名刺に関する資料を提出しているが、実体の有無とは関係なく作製でき、配布されたかどうか不明であるから、商標を使用しているとするには当たらない。(甲20)
(5)以上のとおり、本件商標は、被請求人の提出した証拠により請求の趣旨に記載した指定役務について、過去継続して3年以上日本国内において使用されていないと認められて然るべきなので、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証(枝番を含む。)を提出している。
1 答弁の理由
(1)被請求人は、事務所ビルに立て看板を設置するにあたり、九州地方整備局に届け、許可を得た道路占用許可書の写し(乙2の1)を提示する。
乙第2号証の2には、道路占用の許可を得た立て看板の写真を添付しており、立て看板には、「U」を図案化した図形部分及び同図形の下に本件商標の英文字ロゴ「UNICA」を横書きし、被請求人の商号「株式会社ユニカ」の文字を縦書きに大きく表示している。
このように、道路占用許可書、許可を得た立て看板(乙2)には、本件商標が使用されていることから、被請求人が本件商標をその指定役務について継続して使用している。ここで、乙第2号証において使用している役務は、「建物の貸借の代理又は媒介,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介」が該当する。
特に、道路占用許可書の1枚目には、平成24年2月16日に九州地方整備局長に申請し、同年3月30日に道路占有許可を受けたことが確認できるものである。また、乙第2号証の2の3ないし5枚目は、インターネット上にグーグル社が提供していた地図(ストリートビュー)を印刷したものであり、本社(福岡市中央区大名)の立て看板の写真、ビル壁面の写真と共に画像撮影時期2011年12月、2012年1月が表示されている。さらに、乙第2号証の2の5枚目には、本社ビル玄関口に「Uの図形」、「UNICA」、「INC」の文字が表示されている。画像撮影時期2011年1月と表示されている。
(2)被請求人は、郵便用の封筒に本件商標の英文字ロゴを印刷したものを使用しており、その封筒の写し(乙3の1)を提示する。
上記した封筒の表側の下側部分には、本社住所「福岡市中央区大名」、熊本支社、長崎支店の住所及び電話番号が表示され、これらの上部分には、本件商標の英文字ロゴを大きく表示して、切手を貼る部分には、3段表記した「福岡中央」の文字、「料金後納郵便」の文字、本件商標の英文字ロゴを四角の枠内に表示している。
この封筒は、被請求人が印刷会社に注文して納品されたものを使用しており、この封筒を印刷している「株式会社キャップ(熊本市中央区本山)」の取り引き証明の書類(乙3の2)を提出する。取り引き証明の書類には、被請求人の注文後、納品した封筒の種類、枚数、納品日が記載されており、特に「長3返信用封筒(料金後納有り)」が、2000枚、納品日2011年8月1日の記載があり、この納品日に印刷会社から被請求人に納品されていたことが確認できる。
被請求人は、上記封筒を使用しており、本社と支社との間で書類を郵送するために使用した使用済み封筒の写し(乙3の3)を提出する。使用済み封書には、本社の郵便番号、宛名「株式会社ユニカ(福岡市中央区大名)、住宅流通部」、電話番号が表示され、140円切手に「川越」、「23.1.6」の消印がされ、使用されたことが確認できる。
この使用済みの封書には、本件商標が使用されていることから、被請求人が本件商標をその指定役務について継続して使用していることがわかる。ここで、乙第4号証において使用している役務は、「建物の貸借の代理又は媒介、建物の売買、建物の売買の代理又は媒介、土地の貸借の代理又は媒介、土地の売買、土地の売買の代理又は媒介」が該当する。
2 口頭審理陳述要領書
(1)乙5号証は、被請求人のホームページ内の会社情報を画面印刷したものであり、上部には「UNICA」と「Unison & Career」の上下二段の文字からなる商標がひと際目立つように使用されており、最上部には「コアマンションのユニカ|福岡・熊本で分譲マンションコアマンションシリーズを販売」、その下には「コアマンションのユニカ」と表示され、さらに、会社情報として被請求人の業務内容が「マンション分譲事業 不動産流通事業」と表示され、宅建免許番号や販売供給実績と共に紹介されており、右下にはその印刷日が2013/08/13と印字されている。
(2)本件商標は、「UNICA」の「I」の上部に黒丸を配した態様からなるものであり、「UNICA」の文字をやや図案化して表したものであることが看取される。一方、乙第5号証において使用されている商標は、「UNICA」と「Unison & Career」の上下二段の文字からなるところ、上段「UNICA」の文字は、下段の「Unison & Career」に比べ2倍以上大きく表す構成であり、その表示態様からして上段「UNICA」が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであり、本件商標との社会通念上の同一性の判断は、上段の「UNICA」との間で行われるのが妥当である。
してみれば、本件商標と被請求人の使用に係る商標とは、共に「UNICA」の英文字を配してなるものであり、外観において同一性を有する商標であるので、態様において若干の相違はあるものの、社会通念上同一の商標であると認められる。
(3)乙第6号証の1は、被請求人が使用する名刺であり、乙第6号証の2はその台紙である。被請求人は、キャノンシステムアンドサポート株式会社から該台紙を購入し、自社で役職名、氏名、メールアドレス、会社住所等を印刷の上、該名刺を継続して使用している。
名刺右下の社名「株式会社ユニカ」の上には、免許番号「福岡県知事免許(1)第16819号」及び「社団法人 全国宅地建物取引業保証協会会員」が表示されており、被請求人が不動産業を行っていることが認識できる。
さらに、名刺には本件商標が付されているので、本件商標と指定役務との関係が具体的にわかるものであって、一般的に名刺は、顧客との取引の際に提示することは推認し得るものであるから、被請求人は、本件商標を指定役務に使用しているといえる。
(4)乙6号証の3は、該台紙20箱(1箱100枚入り)を購入した際の請求書であり、右上に印字された請求日2010年02月04日は、本件審判の請求の登録前3年以内ではないが、現在もこの際購入した台紙を継続使用して自社で名刺を印刷しているから、本件審判の登録前3年以内に被請求人が該名刺を使用していることが推認し得る。
3 上申書
本件商標と被請求人の使用に係る商標とが社会通念上同一であるとの判断を補足するため、審決公報を提出する。
4 むすび
以上のとおり、本件商標が被請求人により本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標に係る指定役務について使用していることは明らかである。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について、被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第2号証の1は、平成24年3月30日付けの道路占有許可書の写しであり、「平成24年2月16日付で申請のあった占用については、別紙の条件を付して許可する。/九州地方整備局長」の表示及び押印があり、住所は「福岡市中央区大名1-2-23」、氏名は「株式会社ユニカ」と表示され、また、占有の期間として「平成21年4月1日から平成29年3月31日まで5年」と記載されている。
(2)乙第2号証の2は、事務所のビルに設置された看板の写真であり、該看板には、「U」の文字を図案化した図形を表示し、該図形の下に本件商標と同一と認められる「UNICA」(「I」の上部に黒丸を配した態様)の欧文字を横書きし、その下に商標権者の商号である「株式会社ユニカ」の文字を縦書きに大きく表示している。
(3)乙第5号証(審決注:甲6と同一)は、商標権者のホームページから会社概要を2013年8月13日に画面印刷したものであり、「株式会社ユニカ」の表示、さらに、「UNICA」と「Unison & Career」の上下二段の文字が表示され、業務内容として「マンション分譲事業 不動産流通事業」と表示され、宅建免許番号として「福岡県知事(1)第16819号」などが表示されている。
2 前記1で認定した事実から、以下のとおり判断する。
商標権者は、事務所のビルに設置した看板に、本件商標と同一である「UNICA」の文字を使用している(乙2の2)。そして、該看板は、平成24年3月30日付けで九州地方整備局により許可された、看板の占有期間が平成24年4月1日から平成29年3月31日までとする道路占有許可書(乙2の1)により使用されていると推認される。その使用時期は、本件審判の請求の登録前3年以内に含まれるものである。
また、商標権者のホームページを画面印刷した証拠によれば(乙5及び甲6)、最上部に「コアマンションのユニカ|福岡・熊本で分譲マンションコアマンションシリーズを販売」との表示、また、本件商標と社会通念上同一とみられる「UNICA」の表示、さらに、会社情報として、「会社名 株式会社ユニカ」、「業務内容 マンション分譲事業 不動産流通事業」及び「宅建免許番号 福岡県知事(1)16819号」の表示があり、このことから、商標権者は、宅建免許に基づき、本件商標に係る指定役務である「建物の売買」又は「建物の売買の代理又は媒介」などを行っていることが推認される。
そうすると、商標権者は、本件の取消しに係る指定役務について、看板及びホームページに、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を付したものといい得る。
したがって、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件審判の請求に係る指定役務に属する「建物の売買,建物の売買の代理又は媒介」について、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を付したものと認められる。
3 請求人の主張について
請求人は、被請求人のホームページが2009年4月24日から更新されていないことやインターネットにおける記事により、本件審判の請求の登録前3年以内の実質的な営業がされていない可能性が高く、どのような手段で企業の存続を図っているのか全く釈明がない旨述べているが、請求人が提出している履歴事項全部証明書(甲4,甲17)をみるも倒産の事実は見いだせないし、インターネットの一部の記事をもって倒産した証拠とはなり得ないから請求人の主張は認められない。
4 結論
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判の請求に係る指定役務に属する「建物の売買」及び「建物の売買の代理又は媒介」について、本件商標の使用をしていることを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)



審理終結日 2014-05-29 
結審通知日 2014-06-02 
審決日 2014-06-19 
出願番号 商願平4-293547 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (036)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 早川 文宏和田 恵美 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 寺光 幸子
手塚 義明
登録日 1996-10-31 
登録番号 商標登録第3208900号(T3208900) 
商標の称呼 ユニカ 
代理人 特許業務法人銀座マロニエ特許事務所 
代理人 山野 有希子 
代理人 松尾 憲一郎 
代理人 市川 泰央 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ