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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 036
管理番号 1290671 
審判番号 取消2013-300701 
総通号数 177 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-09-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-08-21 
確定日 2014-07-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第3171506号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第3171506号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成4年9月30日に登録出願、第36類「建物の貸借の代理又は媒介,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,土地の貸借の代理又は媒介,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介」を指定役務として、同8年6月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成25年9月5日である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第25号証を提出した。
1 請求の理由
(1)甲第3号証のふくおか経済の2006年(平成18年)2月28日の記事によれば、株式会社ユニカと株式会社コアが合併し、株式会社コアが存続企業となり、不動産賃貸・マンション管理事業、貸金業務を担当する。マンション事業及びシニア事業、不動産活用事業は、株式会社東京ユニカに事業を承継させ、その後、株式会社東京ユニカは、株式会社ユニカに改称、資本金を増資するほか、本社所在地を東京から福岡に移転するとの計画が掲載されており、これらの計画が実行に移され、それに伴い本件商標権についての移転登録申請が認められる。
そこで、登録時の株式会社ユニカと現時点の株式会社ユニカは、住所名称が同一であるものの、別法人であって、現時点では、取締役、監査役各1名のみとなっている(甲4)。
被請求人は、香椎浜3丁目A棟新築工事を株式会社高松組に発注・完成し、2009年(平成21年)6月5日に残額14億円を支払う予定であったが、同年3月に支払いができないこととなり、これが一因となって受注した老舗の建設会社である株式会社高松組は破綻してしまった(甲5)。
被請求人のWEBページをみても、What’s New!は、2009.04.24から内容は更新されておらず、僅かに会社情報のページに「平成24年12月1日現在の内容です。」とあるものの、過去3年はもとより、それ以前の企業活動の掲載もない(甲6)。
したがって、被請求人は、継続して3年以上にわたり、本件商標を指定役務に使用しているとは考えられない。
また、本件商標の登録原簿によれば、登録された専用使用権者、通常使用権者は、存在せず、本件商標の態様が社名を含むことから、関係会社でも黙示の許諾により使用していることは想定し難い。
関連会社の株式会社コアは存続しているようであるが、本件商標の構成態様中のUを三つ重ね合わせ右に傾けた図を「株式会社コア」の左に表示しているのみで、当然ながら本件商標を使用してはいない。
(2)以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録日前3年以上使用されていない。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、債務超過に陥ったので、登記簿上会社が存続しているとしても、実質的な営業をされていない可能性が高いものである。どのような手段で企業の存続を図っているのか全く釈明がない。
被請求人のWEBページのWhat’s new!では、本件審判の請求登録後である2013.10.1に高齢者用の賃貸マンション「アクアヴィラ香椎浜」のホームページをリニューアルしました、との記述がある。しかし、その前の2009.04.24には同じマンションの入居者募集を5月1日から開始、との記述があり、この二つのアクアヴィラ香椎浜をクリックすると1頁目と2頁目となるが、これらは全く同一画面である(甲8)。
しかも、2009年(平成21年)には、被請求人は、福岡県以外に支店を有しているので国土交通大臣の免許が必要であるにもかかわらず、2009.4.24のアクアヴィラ香椎浜の第2頁目の本件商標を表わした下には、【免許登録】福岡県知事(1)第16819号としている。
(2)乙第2号証の1として、看板の道路占用許可書の写しを提出している。この看板は、建物外壁から道路の上に突き出る形態であるので袖看板と称されるものである。この袖看板や1階と2階の間の欄間看板は、撤去費用より廉価なため経費節減で更新し、存置したとも推測される。
乙第2号証の2の写真で1階のガラスに大きく表示されているのは、甲第9号証に提示する株式会社ハウスフィールド(以下「ハウスフィールド」という。)の登録出願中の商標である。被請求人は、甲第10号証に提示するように8階に移ったようで、看板と指定役務との結び付きがなくなり、現状では、単にビル内に入居している会社名の不自然、かつ、不適切な掲示となっており、指定役務について本件商標を使用しているとはいい得ない。
(3)乙第3号証の一般媒介契約書の表紙には、本件商標と略同一形態の表記がある。
被請求人の関連会社として株式会社コアがあり、代表取締役は、被請求人と同一人であり、WEBページ(甲11)では、事業内容として不動産の仲介業務を掲記しており同じビルの7階に入居している。
また、同じ住所(ビル)で平成21年12月28日に設立されたハウスフィールドが1階から6階に存在する。ハウスフィールドは、同じ住所でマンションの売買や仲介業務もされているようである(乙2の2)。
ハウスフィールドの平成25年9月10日までの社長(原康史氏)は、被請求人の取締役でもあった(甲4)ので、被請求人のおおよその業務を引き継ぐために設立されたものと推測される(甲12)。
してみると、乙第3号証は、被請求人の関連する会社のものを、本件商標の使用を立証するために流用したのではないかとの強い疑いが残る。
そこで、乙第3号証の原本、或いは請求書、領収書等の取引が実際に行なわれたことを明確に示す証拠の提出を求めるものである。
なお、被請求人は、平成22年12月1日に熊本の支店を廃止して、福岡県のみで営業しているにもかかわらず、平成23年2月17日付けの乙第3号証の一般媒介契約書では、福岡県知事の免許証番号ではなく、免許証番号は複数の都道府県に跨り営業する場合に求められる国土交通大臣の免許証番号のままとなっている。
(4)乙第4号証は、封筒関連の資料であり、ここには、本件商標が表わされているが、指定役務との関連が全くないので本件商標の使用というべくもない。
なお、封筒関連資料中の東京支社及び長崎支店は登記簿謄本から存在は確認できなかった。
(5)乙第5号証は、新日本建設株式会社の制作したWEB広告と認められるもので、被請求人が主体的に本件商標を指定役務に使用したものとは認められなく、被請求人が所有権を有しているのか疑問が残る。
(6)乙第6号証には、貸主として株式会社ユニカが表示されているが、本件商標とは違って、「図」を欠くので、本件商標と同一性がなく、本件商標の使用とはいえない。また、スペースを半分に節約するためか、株式会社の表記を上下二段にしている。
被請求人は、アクアヴィラ香椎浜の建設代金の支払い不能により信用を著しく低下させたもので(甲5)、このアクアヴィラ香椎浜の所有権を取得して貸主となった経緯について合理的な説明を求めるものである。
3 口頭審理陳述要領書
(1)「NETIBNEWS 2013.9.26」(甲13)によれば、被請求人の社長の近況が掲載されており、これによれば、「業界に最大の影響を与えたのは(株)ユニカ(福岡市中央区大名)の倒産であろう」との前置きでのインタビューの内容記事である。
被請求人は、福岡市政だより2011.6.15(乙6)でアクアヴィラ香椎浜の貸主として広告しており、所有権を取得したかのようであるが、どのようにして資金調達をして入手できたのか不明である。
また、九州建設が係わった建設途上のB棟については、平成25年10月には解体工事が始まり現在では更地となっている(甲14、甲15)が、九州建設への債務の支払いについてどのような策を講じたのか具体的な説明はない。
被請求人の子会社は、福岡では、被請求人と同じ住所に平成21(2009)年9月に移転した株式会社コア及び同年12月に同住所に設立した株式会社THY(平成22年5月に社名を株式会社ハウスフィールドと変更)と認められ、東京では、東京支社の場所に同年3月に設立したユニカ不動産販売株式会社であり、この会社は、同年7月21日に港区芝に移転し、同25年1月には、株式会社レイシャスコーポレーションと社名変更している(甲16)。
なお、株式会社ユニカ(港区新橋6-17-1:平成15年2月設立の株式会社東京ユニカと同一住所)は、平成18年4月5日に別件商標を同住所で登録出願し同年9月29日に登録を得ている(甲17)。
しかし、港区新橋6-17-1の住所は、平成18年2月16日に、まずは株式会社東京ユニカの本店の福岡への住所変更と同時に支店となり、次に社名変更(平成18年3月31日)により、被請求人の支店となっている(甲18)。
そうすると、甲第17号証の別件商標権は、登記上存在しない住所名称の会社に付与されたもので、現在、この住所には、商標権者の本店、支店の存在を確認することができない。
そこで、乙第3号証として提出された平成23年2月17日の一般媒介契約書の原本、この契約書4に基づき西日本不動産流通機構(西日本レインズ)への登録の事実を示す書類及び被請求人による対象不動産の媒介のための活動(チラシ配布や情報紙への広告等)をしたことを明らかにする証拠書類の提出を求める。
この一般媒介契約書に係る不動産は、甲第19号証の登記簿謄本によれば、平成23年6月29日売買により移転登記がされている。被請求人が媒介業務を行ったのであれば、一般媒介契約書の更新を申し出た書面が存在し、媒介手数料を受け取ったことを確認できる何らかの書類が存在するので、これらの書面の提出も併せて求める。
(2)乙第5号証は、新日本建設株式会社の制作したWEB広告と認められるところ、平成19(2007)年3月9日の竣工時点では、新日本建設株式会社と被請求人の共有に係る物件と推認されるが、2年後の被請求人が2009年債務超過に陥って支払い不能となった後までも所有権を有していたか疑問が残る。
なお、被請求人の社長が代表者であったコミュニティサイト運営、リサーチマーケティング事業をしていた株式会社ジェイ・マーチの全株は、平成19年3月に東京都港区の株式会社ナノ・メディアに譲渡されている(甲20)。
そこで、2011年3月15日時点で被請求人が所有権を有していることを示す資料、マンションの販売契約書及びそれに基づく被請求人への売買代金持分相当の入金に係る資料の提出を求める。
4 上申書
(1)一般媒介契約書(乙3)では、被請求人が契約を締結した形となっているが、時期は不明であるものの、被請求人に雇用されている従業員、専任の宅地建物取引主任者の存在が疑われる(社長のインタビュー:甲13)ので、前記契約書の契約時点で不動産業を営業できる体制が整っていたことを明らかにする書類等を提出すべきである。
(2)乙第5号証の物件は、いつの時点で販売終了したのかは外部からはうかがい知れないが、竣工から7年を経過した2014年3月14日時点でもインターネット広告でアップされている(甲25、乙5)。
また、乙第5号証の最終更新日時点(平成23年3月15日)で販売すべき住戸が存在していたか否かは、売主(販売者)であれば簡単に把握立証が可能なので、被請求人は、存在していたことを立証すべきである。
そうでないと、乙第5号証の平成23年3月15日時点まで、入居可能(平成19年3月9日)となってから4年も経過しているので、販売可能(販売未了)とするのは、確実な証拠が存在しないと疑わしさが残る。
以上述べたとおり、本件商標は、被請求人の提出した証拠によって、本件商標についての使用が認められない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証(枝番を含む。)及び資料第1を提出している。
1 答弁の理由
(1)被請求人は、事務所ビルに立て看板を設置するにあたり、九州地方整備局に届け、許可を得た道路占用許可書の写し(乙2の1)を提示する。
乙第2号証の2には、道路占用の許可を得た立て看板の写真を添付しており、立て看板には、本件商標の「U」を図案化した図形部分及び該図形の下に英文字ロゴ「UNICA」を横書きし、本件商標中の「株式会社ユニカ」の文字を縦書きに大きく表示している。
このように、道路占用許可書、許可を得た立て看板(乙2)には、本件商標が使用されていることから、被請求人が本件商標をその指定役務について継続して使用している。ここで、乙第2号証において使用している役務は、「建物の貸借の代理又は媒介,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介」が該当する。
特に、道路占用許可書の1枚目には、平成24年2月16日に九州地方整備局長に申請し、同年3月30日に道路占有許可を受けたことが確認できるものである。また、乙第2号証の2の3ないし5枚目は、インターネット上にグーグル社が提供していた地図(ストリートビュー)を印刷したものであり、本社(福岡市中央区大名)の立て看板の写真、ビル壁面の写真と共に画像撮影時期2011年12月、2012年1月が表示されている。さらに、乙第2号証の2の4枚目には、本社ビル2階-3階の壁面に本件登録商標が表示されている。画像撮影時期2011年12月と表示されている。
(2)被請求人は、依頼者の宅地建物を売買するにあたり、被請求人と依頼者との間で一般媒介契約書を締結しており、その一般媒介契約書の写し(乙3)を提示する。
上記一般媒介契約書の表紙には、本件商標が表示されていることから、被請求人が本件商標をその指定役務について継続して使用している。ここで、乙第3号証において使用している役務は、「建物の売買の代理又は媒介」が該当する。
特に、一般媒介契約書の2枚目には、「平成23年2月17日」の記載があり、依頼者と被請求人の代表者名及び代表者の押印が確認できるものである。
(3)被請求人は、郵便用の封筒に本件商標を印刷したものを使用しており、その封筒の写し(乙4の1)を提示する。
上記した封筒の表側の下側部分には、本件商標、本社住所「福岡市中央区大名」、熊本支社、長崎支店の住所及び電話番号を表示されている。
さらに、本件商標の上部分には、英文字ロゴ「UNICA」を大きく表示して、切手を貼る部分には、3段表記した「福岡中央」の文字、「料金後納郵便」の文字、「UNICA」の英文字ロゴを四角の枠内に表示している。
この封筒は、被請求人が印刷会社に注文して納品されたものを使用しており、この封筒を印刷している「株式会社キャップ(熊本市中央区本山)」の取り引き証明の書類(乙4の2)を提出する。取り引き証明の書類には、被請求人の注文後、納品した封筒の種類、枚数、納品日が記載されており、特に「長3返信用封筒(料金後納有り)」が、2000枚、納品日2011年8月1日の記載があり、この納品日に印刷会社から被請求人に納品されていたことが確認できる。
被請求人は、上記封筒を使用しており、本社と支社との間で書類を郵送するために使用した使用済み封筒の写し(乙4の3)を提出する。使用済み封書には、本社の郵便番号、宛名「株式会社ユニカ(福岡市中央区大名)、住宅流通部」、電話番号が表示され、140円切手に「川越」、「23.1.6」の消印がされ、使用されたことが確認できる。
この使用済みの封書には、本件商標が使用されていることから、被請求人が本件商標をその指定役務について継続して使用していることがわかる。ここで、乙第4号証において使用している役務は、「建物の貸借の代理又は媒介、建物の売買、建物の売買の代理又は媒介、土地の貸借の代理又は媒介、土地の売買、土地の売買の代理又は媒介」が該当する。
(4)被請求人の宣伝活動
被請求人が事業主、売主として販売したマンションを宣伝したインターネット上に掲載したウェブページの写し(乙5)は、最終更新日「2011(平成23)年3月16日」の記載があり、少なくともその日においては被請求人が本件商標を使用して広告・宣伝していたことがわかる。
したがって、被請求人は、2011(平成23)年3月、本件商標をその指定役務について、乙第5号証のインターネット上のウェブページに使用して宣伝活動しており、本件商標をその指定役務について使用していた。
被請求人が貸主としてマンションを宣伝したふくおか市の市政だよりの写し(乙6)は、「2011(平成23)年6月15日」の記載があり、少なくともその日においては被請求人が商標「株式会社ユニカ」を使用して広告・宣伝していたことがわかる。
(5)まとめ
以上のとおり、一部には本件審判の請求の3年以前の使用に係る証拠方法が含まれるが、これは、本件商標がその当時から現在まで継続して使用されているという継続使用の推測を喚起するための証拠方法である。したがって、上記した証拠方法を総合的に検討すれば、本件商標が確実に使用されていたことの立証が十分になされていることが判明する。
2 口頭審理陳述要領書
(1)乙第7号証の1ないし4は、当時本件商標の商標権者であった株式会社ユニカ(平成18年3月31日に株式会社コアに合併し解散(乙7の3)。以下「旧株式会社ユニカ」という。)から、株式会社コアへ本件商標が一般承継された際の移転登録申請書類とその商標登録済通知書である。
当該移転登録は、旧株式会社ユニカが株式コアに合併されたことにより行われた手続きであって、これにより本件商標の商標権者(当時)は、株式会社コアとなった(乙7の4、甲1、乙1)。
(2)乙第8号証の1ないし5は、本件商標の商標権者(当時)となった株式会社コアより、被請求人(株式会社東京ユニカより商号変更した株式会社ユニカ(乙8の3)。以下「現商標権者」という。)へ本件商標が譲渡された際の移転登録申請書類とその商標登録済通知書である。
被請求人は、当該移転手続きにより、本件商標を取得した正当な商標権者である。
(3)現商標権者は、現在も福岡市中央区大名に事務所を構えており(乙2の2、甲10)、宅地建物取引業者免許証番号福岡県知事(1)第16819号をもって業務を行っている(乙9)。
甲第13号証には、現商標権者が倒産した旨の記載があるが、現商標権者が正式な取材を受けることなく掲載された記事であり、そのような事実はないこと、甲第14号証は、個人のブログであることを考慮すると、これらの使用証拠としての信憑性は疑われるものである。
請求人は、現商標権者の資金調達の方法等の説明や各種資料の提出を求めているが、本件商標の使用の有無の判断に特に必要ではなく、また、現商標権者の営業上重要な情報を含むものであるため、回答は差し控える。、
3 上申書
(1)被請求人の会社変遷及び本件商標に係る登録出願、権利化後の権利の承継について、一連の流れをフローチャートで表した資料第1を提出する。
(2)被請求人は、現在、福岡市中央区大名の本店のみが存し(甲4)、宅地建物取引業(乙9)を行っている。平成26年3月31日時点で社員数は、2名(役員を除く。)であり、全員出向者である。
(3)乙第3号証の契約時に、被請求人が指定役務に係る業務を行っていたことを証明する証拠として、平成22年11月30日付けで国土交通省九州地方整備局長より付与された宅地建物取引業者免許証(乙10)を提出する。
乙第10号証が付与された平成22年11月30日時点では、被請求人には、熊本営業所が存在しており(甲4)、当時被請求人が国土交通大臣免許を取得したことは、正当な手続きであり、被請求人の申請に対し免許が付与された事実から、被請求人の提出した申請書類の内容が適切、適法であって、被請求人が宅地建物取引業を行うための条件を満たしていると国土交通大臣により認められたことがわかる。
また、当該免許証の有効期間は、平成22年12月1日から同27年11月30日までであって、乙第3号証の契約日は、平成23年2月17日であるから、当該免許証の有効期間に含まれるから、該契約時に、被請求人が宅地建物取引業、すなわち、指定役務に係る業務を行っていたことは明らかである。
(4)東京支店の廃止については、本店所在地の管轄である福岡法務局と東京支店の管轄である東京法務局へ届け出する必要があり、前者については、手続きを行った(甲4)が、後者については、当時の担当者が手続きを勘違い、若しくは失念したことにより、行っていなかった。
(5)請求人は、上申書で「被請求人は、他人に対して別会社が出願していると誤解させるように仕向けた」と述べているが、被請求人は、そのような意図はなく、また、会社法違反、不動産公正取引協議会連合会との関係、公正競争規約違反等の主張をしているが、本件商標の使用とは無関係である。
(6)以上のことから、本件商標は、被請求人により本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定役務について使用されていたことが明らかである。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について、被請求人の主張、被請求人及び請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第3号証は、平成23年2月17日付けの一般媒介契約書の写しと認められるところ、その1葉目の表紙は、「一般媒介契約書」、「河野 様」の記載及び本件商標と社会通念上同一の図形と「株式会社ユニカ」の文字からなる表示が認められる。同2葉目は、依頼内容を「売却」とした「一般媒介契約書」であり、「甲・依頼者 河野(福岡市中央区大手門)」、「乙・宅地建物取引業者 株式会社ユニカ(福岡市中央区大名)」の記載及び「別表に表示する不動産(目的物件)に関する売買(交換)の媒介を宅地建物取引業者乙に依頼し、乙はこれに承諾します。」と記載されている。
さらに、甲第19号証の登記簿謄本(乙第3号証の対象不動産)によれば、「権利部(甲区)(所有権に関する事項)」の欄には、所有権保存として「平成16年2月15日売買」及び「河野通和」の記載、所有権移転として、「平成23年6月29日売買」及び「佐賀県鳥栖市・・・中尾哲二」の記載がある。
(2)乙第5号証は、最終更新日2011年3月15日とする新日本建設株式会社のホームページと認められるところ、「物件概要」の見出しの下、「エクセレントプレイスドリームマークス(千葉県野田市)」を物件概要(本広告)とし、広告期間を「2011年6月末」である旨、「事業主・売主/新日本建設株式会社 株式会社ユニカ」の記載及び該ホームページの下部に本件商標と社会通念上同一の図形と「株式会社ユニカ」の文字からなる表示がある。
(3)乙第9号証は、平成23年4月1日付けの福岡県知事が被請求人に許可した宅地建物取引業者免許証と認められ、「免許証番号」が「福岡県知事(1)第16819号」の記載、「有効期間」が「平成23年4月2日から平成28年4月1日まで」の記載がある。
(4)乙第10号証は、平成22年11月30日付けの国土交通省九州地方整備局長が被請求人に許可した宅地建物取引業者免許証と認められ、「免許証番号」が「国土交通大臣(2)第7169号」の記載、「有効期間」が「平成22年12月1日から平成27年11月30日まで」の記載がある。
2 前記1で認定した事実から、以下のとおり判断する。
現商標権者は、宅地建物取引業者免許を有し、本件審判の請求の登録(平成25年9月5日)前3年以内である同23年2月17日に依頼者の河野通和との間で一般媒介契約書(乙3)を締結し、「土地及び建物の売買の媒介」について依頼を受けたと推認できる。該一般媒介契約書の表紙には、本件商標と社会通念上同一の図形と「株式会社ユニカ」の文字からなる表示が付されている。
その後、前記一般媒介契約書に係る不動産は、平成23年6月29日に佐賀県鳥栖市在の中尾哲二に販売されたといい得る。
また、現商標権者は、最終更新日2011(平成23)年3月15日とする新日本建設株式会社のホームページ(乙5)において、マンションの事業主・売主として現商標権者が表示されるとともに、本件商標と社会通念上同一の図形と「株式会社ユニカ」の文字からなる表示がある。
そうすると、現商標権者は、「土地及び建物の売買の媒介」について、平成23年2月17日に取引書類に本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布し、また、「建物の売買」の広告について、平成23年3月15日に電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に役務に関する広告を内容とする情報に本件商標と社会通念上同一の商標を表示したといい得る。
したがって、現商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件審判の請求に係る指定役務中、「土地及び建物の売買の媒介」及び「建物の売買」について、本件商標と社会通念上同一の商標を付したものと認められる。
3 請求人の主張について
請求人は、乙第3号証について、一般媒介契約時点で不動産業を営業できる体制が整っていたことを明らかにする書類を提出するべきである旨主張するが、現登録権者の登記簿謄本において、会社が存続していることが認められ、宅地建物取引業者免許証を受けているものであって、乙第3号証の一般媒介契約書に基づいた取引きがあったと推認できるものであるから、請求人の該主張は、採用することができない。
また、請求人は、宅地建物取引業者免許について、支店を有するか否かについて述べているが、現商標権者は、熊本支店を平成22年12月1日に廃止(甲4)し、そして、本店以外の支店を有する平成22年11月30日には、国土交通大臣からの宅地建物取引業者免許を受け、熊本支店が廃止となった時点の平成23年4月1日付けの福岡県知事が現商標権者に許可した建物取引業者免許番号は、「福岡県知事(1)第16819号」である。
さらに、請求人は、現商標権者が倒産していることを前提に各書類の提出を求めているが、現商標権者において、倒産の事実は見いだせないから、上記のとおり判断する。
4 結論
以上のとおり、被請求人は、商標権者が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判の請求に係る指定役務中、「土地及び建物の売買の媒介」及び「建物の売買」について、本件商標の使用をしていることを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)



審理終結日 2014-05-29 
結審通知日 2014-06-02 
審決日 2014-06-17 
出願番号 商願平4-293546 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (036)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 早川 文宏 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 手塚 義明
寺光 幸子
登録日 1996-06-28 
登録番号 商標登録第3171506号(T3171506) 
商標の称呼 ユニカ 
代理人 特許業務法人銀座マロニエ特許事務所 
代理人 松尾 憲一郎 
代理人 市川 泰央 
代理人 山野 有希子 

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