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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0935384245
審判 全部申立て  登録を維持 W0935384245
管理番号 1289801 
異議申立番号 異議2013-900389 
総通号数 176 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-08-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-11-18 
確定日 2014-07-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第5607923号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5607923号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5607923号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2012年7月24日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成25年1月11日に登録出願、第9類、第35類、第38類、第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成25年8月16日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5598606号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、2012年6月13日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成24年12月13日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成25年7月12日に設定登録され、現在も有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標及び引用商標は、いずれも図案化された「P」の欧文字よりなるものであり、その図案化の態様が近似している。してみると、本件商標と引用商標は、外観上類似するばかりでなく、「ピー」の称呼及び「アルファベットのP」の観念において共通にするものである。また、本件商標の指定商品(第9類)と引用商標の指定商品は、相互に類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、申立人の業務に係る商品「ソーシャルネットワーキング用アプリケーションソフトウェア」を指標するアイコンとして使用され、IT関連業界、特に、ソーシャルネットワーキング用アプリケーションソフトウェアを取り扱う業界においては、著名となっている。
引用商標に類似する本件商標をその指定商品及び指定役務について使用するときは、該商品及び役務が申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかのように、商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、斜め左下から時計回りに、太線で円状輪郭を描き、当該太線を保ちながら真下に至ると円状輪郭内のほぼ中心部にまで進み、該中心部で折り返して、やや左に傾いた縦線を下方に引き、末端部分はやや尖った線で表されており、全体として、柔らかみのある毛筆の一筆書きを表したとの印象を与える図形といえる。
したがって、本件商標は、ローマ字の「P」を図案化した構成よりなるものと理解されるというより、特定の称呼、観念を有しない、いわば抽象的図形を表したと認識されるというのが相当である。
イ 引用商標
引用商標は、前記2のとおり、赤塗りの真円内に、図案化したローマ字「P」を白抜きで、かつ、縦線の末尾部分を左に90度の角度をもって曲げられた構成よりなるものである。
したがって、引用商標は、図形商標を表したと認識されるものであるから、これより特定の称呼、観念は生じないというのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との対比
(ア)外観
本件商標は、前記アのとおり、柔らかみのある毛筆の一筆書きを表したとの印象を与える図形商標であるのに対し、引用商標は、前記イのとおり、赤塗りの真円内に、図案化したローマ字「P」を表してなる図形商標であるから、本件商標と引用商標は、赤塗りの真円図形の有無の差異等を含め、それぞれから受ける全体の印象が大きく異なるものといえる。
そうすると、本件商標と引用商標は、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上互いに紛れるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標と引用商標は、外観において類似する商標ということはできない。
(イ)称呼及び観念
本件商標と引用商標は、いずれも特定の称呼及び観念を生じないものであるから、称呼及び観念については、類似するということができない。
(ウ)したがって、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する商標と認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の著名性について
申立人の提出した甲第3号証ないし甲第17号証を総合すると、申立人は、「ソーシャルネットワーキング用アプリケーションソフトウェア」の製造、販売を行う米国の企業であり、2010年に創業したこと(甲7)、WEBマーケティング研究会「最新Webビジネス-海外編」ウェブサイト(2014年(平成26年)1月27日:甲3)には、「Pathは、FacebookのシニアプラットフォームマネジャーだったDave Morin氏が中心となって、2010年11月にアメリカでリリースされたモバイル専用のSNSです。PCからは利用できず、登録できる友達の数は150人に限定されているなど、機能がシンプルであることが最大の特徴です。」などと記載され、その他のインターネット記事においても、「友達150人限定の少人数SNS『Path』が人気の理由」(甲4)ほか、同趣旨のインターネット記事が掲載され、申立人の提供に係るソーシャルネットワーキングサービス(SNS)は、「Path」の名称で、150人といった少人数の間でコミュニケーションを共有することができることを特徴とするものであること、2012年(平成24年)9月13日現在において、米国、日本、韓国、中国の都市部を中心に、300万人以上のユーザーがいること(甲9)、などを認めることができる。
しかし、申立人の提出した証拠のうち、本件商標の登録出願日(平成25年1月11日(遡及日:2012年(平成24年)7月24日))前に、我が国において、インターネット記事等で掲載されたと認められる証拠は、甲第7号証ないし甲第15号証にすぎず、これらの証拠において、「Path」の表示は使用されているものの、引用商標が使用されているものは、わずかに甲第7号証及び甲第12号証のみであり(甲第16号証及び甲第17号証は、引用商標が表示されているものの、インターネットの掲載日が明らかではない。)、これとても、「Path」の表示と共に使用されているものである。その他、本件商標の登録出願日前に、申立人が引用商標を表示して、その業務に係る「ソーシャルネットワーキング用アプリケーションソフトウェア」について、宣伝広告をした事実を認めるに足りる証拠の提出はない。
そうすると、引用商標は、申立人の業務に係る商品「ソーシャルネットワーキング用アプリケーションソフトウェア」を表示するものとして、本件商標の登録出願時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
イ 加えて、前記(1)認定のとおり、本件商標は、引用商標とは類似するものではなく、別異の商標として認識されるものである。
ウ 以上によれば、本件商標に接する需要者が、直ちに引用商標を想起又は連想することはなく、本件商標をその指定商品及び指定役務について使用しても、該商品及び役務が申立人又はこれと何らかの関係のある者の業務に係る商品及び役務であるかのように、商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないというのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する商標と認めることはできない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)



別掲2(引用商標)


(色彩は原本参照のこと)


異議決定日 2014-07-07 
出願番号 商願2013-1219(T2013-1219) 
審決分類 T 1 651・ 26- Y (W0935384245)
T 1 651・ 271- Y (W0935384245)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大渕 敏雄 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 手塚 義明
寺光 幸子
登録日 2013-08-16 
登録番号 商標登録第5607923号(T5607923) 
権利者 ピンタレスト,インコーポレイテッド
商標の称呼 ピイ 
代理人 田中 克郎 
代理人 小林 浩 
代理人 瀧澤 文 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 鈴木 康仁 
代理人 石田 昌彦 

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