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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201319478 審決 商標
不服201319477 審決 商標
不服201310888 審決 商標
不服201322746 審決 商標
不服201313389 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W30
管理番号 1289666 
審判番号 不服2013-16120 
総通号数 176 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-08-21 
確定日 2014-06-16 
事件の表示 商願2012-81729拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「初午いなり」の文字を標準文字で表してなり,第30類「弁当,すし」を指定商品として,平成24年10月10日に登録出願,その後,指定商品については,当審における同26年3月31日受付けの手続補正書により,第30類「いなりずしを含む弁当,いなりずし」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標は,『初午いなり』の文字を標準文字で表してなるところ,本願商標の構成中,『初午』の文字は,『2月の初の午の日。京都の伏見稲荷大社の神が降りた日がこの日であったといい,全国で稲荷社を祭る。』の意味を有するものであり,『いなり』の文字は,『稲荷鮨』の略称である。そして,初午の稲荷神の祭礼日に油揚げやいなり寿司を供え,食べる風習があり,これをもとにした商品の販売促進,地域振興のイベントも企画されている事実が見受けられる。そうすると,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する需要者は,『初午の日に食べるいなり寿司弁当,いなり寿司』の意味合いを認識し,商品の品質,使用の時期を表示するものと認識するにとどまるものと認める。したがって,本願商標は,商品の品質,使用の時期を普通に用いられる方法で表したものであるから,商標法3条1項3号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標が商標法3条1項3号に該当することについて
本願商標は,前記1のとおり,「初午いなり」の文字を標準文字で表してなるところ,該構成中「初午」の文字は,「2月の初の午の日」の意味を有し,「京都の伏見稲荷大社の神が降りた日がこの日であったといい,全国で稲荷社を祭る。」(「広辞苑 第六版」株式会社岩波書店)とされるものであり,「いなり」の文字は,本願商標の指定商品との関係において,「『稲荷鮨』の略」(デジタル大辞泉,http://kotobank.jp/word/%E7%A8%B2%E8%8D%B7?dic=daijisen&oid=01122500)として理解させるものであるから,全体としても「初午の日のいなりずし」程の意味合いを理解させ得るものである。
そして,別掲1のとおり,初午の日にいなりずしが食されており,別掲2のとおり,初午の日に食されるいなりずしが「初午いなり」と称されて宣伝,販売されている事実が見受けられる。
そうすると,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,初午の日に食されるいなりずしであること,初午の日に食されるいなりずし弁当であることを認識するにとどまるというのが相当である。
してみれば,本願商標は,単に商品の使用の時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから,商標法3条1項3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は,広辞苑の「初午」の項にはいなりずしについては言及されておらず,「いなり」の語は多義的であり,また,いなりずしには,様々な形状,中身(具)のものがあるから,本願商標に接する取引者,需要者は,「初午いなり」がどのようないなりずしか,その品質を特定できないこと,「初午」は,特定のわずか一日であるから,生鮮食品であるいなりずしをその日限りで商標を付して製造販売するとは考えられないこと,初午の日にいなりずしを食す習慣は普遍的なものとはいえないことなどから,本願商標は,登録されるべきである旨主張する。
しかしながら,上記(1)で述べたとおり,初午の日にいなりずしを食す風習があり,初午の日に食されるいなりずしを「初午いなり」と表して宣伝,販売されている事実が広く見受けられるから,本願商標は,その指定商品との関係において,初午の日に食されるいなりずしであること,初午の日に食されるいなりずし弁当であることを容易に認識させるものというべきである。
したがって,請求人の上記主張は採用できない。
(3)結語
以上のとおりからすれば,本願商標が商標法3条1項3号に該当するものであるとして,本願を拒絶した原査定は,妥当であって,これを取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
(1)「三井不動産株式会社」に係るウェブサイト(http://www.nihonbashi-tokyo.jp/enjoy/feature/201302/)
「福を呼びこむ 日本橋の節分」の見出しにて,「節分・立春に続く行事として,『初午(はつうま)』もあります。2月最初の午の日を『初午』といい,五穀豊穣を願う祭礼が各地の稲荷神社で執り行われます。神様の遣いである狐の色を連想させる油揚げをお供えすることから,この日には『いなり寿司』が食べられています。」と記載されている。
(2)「笠間観光協会」に係るウェブサイト(http://www.kasama-kankou.jp/upsys_pro/index.php?mode=detail&code=455)
「笠間初午いなり寿司まつり」の見出しにて,「古来より初午の日には,お稲荷さんの使者であるきつねの好物の油揚げやいなり寿司をお供えし五穀豊穣の祈願の慣わしがあったとされている。日本三大稲荷・笠間稲荷神社のある笠間では,新たな食の名物として取り上げている『いなり寿司』をみんなで食べ,食のまちづくりをPRするために,笠間稲荷門前通り商店街協同組合とタイアップしたイベントを行う。」と記載されている。
(3)「株式会社ファミリーマート」に係るウェブサイト(http://www.family.co.jp/company/news_releases/2014/140225_01.pdf)
「3月12日(水)は,“初午の日”/“初午の日”にあわせていなり寿司の新商品2種類を発売!/?願い事の数だけ,いなり寿司を食べよう?」と記載されている。

別掲2
(1)2013年3月1日付け日本食糧新聞
「日本惣菜協会,『いなりずしを食べて招福祈願』17日に第2回実施 初午いなりイベントで手応え」の見出しにて,「日本惣菜協会は,新日本スーパーマーケット協会,日本スーパーマーケット協会,日本百貨店協会,日本べんとう振興協会の後援を得て2月9日(土曜日・新暦),3月17日(日曜日・旧暦)の『初午の日』(はつうまのひ)を“いなりずしを食べて招福祈願”イベントとして盛り上げる。同協会では…初午の日に食べる『初午いなり』の普及を呼びかけていた。『初午いなり』は,古くから稲荷神の使いである狐をまつるために供えられてきた『いなり』と『初午の日』を取り上げ,『いなりずしを食べて招福祈願』として,いなり揚げ製造メーカー大手,みすずコーポレーション,松田食品工業,オーケー食品工業の3社協賛によって作成した『初午いなり』のポスター3万枚以上を会員企業を中心に全国に無料配布した。スーパーマーケット,百貨店,CVSの関係団体の後援もあり,中食業界が一丸となって,売場から日本古来の伝統食の継承や地域食材の普及に寄与する全国規模の初イベントとなった。今年は新暦で2月9日,旧暦で3月17日の2回のチャンスがある。」と記載されている。
(2)「株式会社みすずコーポレーション」に係るウェブサイト(http://www.misuzu-co.co.jp/inari/)
「初午に願い事の数だけ『いなり寿司』を食べよう!!」の見出しにて,「立春のあと,最初の午の日に行われる稲荷神社の大祭『初午(はつうま)』。稲荷神社のお使いとされるキツネにお供えする,好物の油揚げを使った『いなり寿司』を一年で最も運気が高まる日といわれるその『初午』に家族全員しあわせな一年が遅れ送れるよう祈りながら食べるのが,『初午いなり』です。」と記載されている。
(3)「株式会社古市庵」に係るウェブサイト(http://www.koichian.com/cms/news.php?cid=269)
「初午の日にいなり寿司を食べましょう」の見出しにて,「初午の日にはいなり寿司を食べるならわしがあります。初午の日にお稲荷さんの使者である狐の好物である,油揚げに寿司を詰め込んだものが奉納されました。これが,のちのいなり寿司となり,これを略して初午いなりと呼んでいます。」と記載され,「初午いなり」の文字といなりずしの詰め合わせの写真が一緒に掲載されている。
(4)「一般社団法人日本惣菜協会」のウェブサイト(http://www.nsouzai-kyoukai.or.jp/assets/files/20140304-i.pdf)
「3月12日(水)は『初午(はつうま)の日』“いなり”を食べて福招く」の見出しにて,「2014年3月12日(水)は稲荷神の誕生日を祝う『初午(はつうま)の日』。古くから,初午の日には油揚げやいなり寿司などを食べ,五穀豊穣を祈願してきました。…一般社団法人日本惣菜協会…を始めとする,全国の食品メーカー,…百貨店,外食店等では,『初午に稲荷を食べて福招く』という販売イベントの準備を進めております。…各企業にて実施されます『初午いなり』の取り組み及び,『初午いなり』販売イベントについてご取材,ご検討賜りますようご案内申しあげます。…初午の日/初午は2月最初の午の日を指し,各地域の稲荷神社では,旧暦・新暦のどちらかで初午祭を開催しています。2014年は,新暦:2月4日(火)/旧暦:3月12日(水)が初午の日となります。」と記載されている。
(5)「JCC株式会社」に係るウェブサイト(http://jcc.jp/news/8131028/)
「JCCテレビすべて テレビ放送全番組をリアルタイムで要約」の見出しにて,「最新のTV情報」「03/13 05:23 (テレビ朝日[グッド!モーニング])」「昨日は稲荷神の誕生日『初午の日』。いなり寿司を食べると福が来るという。浅草では初午いなりの販売イベントが開催。」と記載されている。
(6)「鮨枡食品株式会社」に係るウェブサイト(http://www.sushimasu.co.jp/book/hinamatsuri/hinamatsuri.pdf)
「3月12日の初午の日はお稲荷さんの誕生日(旧暦基準での初午の日になります)/一年で最も運気が高まる日といわれる『初午』に家族の幸せを祈りながら食べるのが『初午いなり』です。お稲荷さんの誕生日に初午いなりを食べよう!」と記載されている。
(7)「株式会社山彦」に係るウェブサイト(http://seisenkan.jugem.jp/?eid=753)
「『初午の日』に初午いなり!」の見出しにて,「2/9 今日は『初午の日』/一年で最も運気が高まるといわれる『初午』に家族全員幸せな一年が送れるよう祈りながら食べるのが『初午いなり』/やまひこ各店では『初午いなり』を展開中です/願いの数だけいなりを…ぜひみなさんで」と記載されている。





審理終結日 2014-04-11 
結審通知日 2014-04-16 
審決日 2014-05-02 
出願番号 商願2012-81729(T2012-81729) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内田 直樹 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 守屋 友宏
梶原 良子
商標の称呼 ハツウマイナリ、ハツウマ 
代理人 須山 佐一 
復代理人 川津 義人 
代理人 南 敦 

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