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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900354 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W01
審判 全部申立て  登録を維持 W01
審判 全部申立て  登録を維持 W01
審判 全部申立て  登録を維持 W01
管理番号 1288839 
異議申立番号 異議2014-900004 
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-07-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-01-04 
確定日 2014-06-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第5619343号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5619343号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5619343号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年3月14日に登録出願、第1類「植物成長調整剤類,肥料」を指定商品として、同年8月6日に登録査定、同年10月4日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも有効に存続しているものである。
(1)登録第4202299号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成6年12月16日に登録出願、第1類「植物育成剤,土壌改良剤」を指定商品として,同10年10月23日に設定登録され、その後、同20年10月14日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第4663504号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成14年6月25日に登録出願、第1類「化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),植物成長調整剤類,肥料,陶磁器用釉薬,高級脂肪酸,非鉄金属,非金属鉱物,写真材料,試験紙,人工甘味料,工業用粉類,原料プラスチック,パルプ」を指定商品として、同15年4月18日に設定登録され、その後、同25年3月19日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という場合がある。)

3 登録異議の申立ての理由(要旨)
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標の構成は、中点「・」で区切った「アブサン」と「EM」とからなり、「アブサン」及び「イーエム」のそれぞれの称呼を生じる。
他方、引用商標1と引用商標2も、それぞれ「EM」の表記が有り、「イーエム」の称呼を生じる。特に、引用商標1は、「イーエム」の称呼のみしか生じないので、称呼的には同一である。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
甲第4号証ないし甲第7号証に記載のように、EMは、その発明者である比嘉照夫が農業用微生物資材として開発し、EMという名称で日本及び世界各国に発表し、認識されて有名にしたもので、国内外において植物調整剤、肥料として広く使用されている。
したがって、上記EMと類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
(3)むすび
本件商標は、上記のとおり、引用商標と類似のものであり、また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。
さらに、本件商標は、著名な商標「EM」とほかの文字とが結合した商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、「アブサン」の片仮名と「EM」の欧文字との間に中黒「・」を配して「アブサン・EM」と一連に横書きしてなるものであるところ、その構成中の「アブサン」の片仮名は、国語辞典において、「ニガヨモギを主な香味料としたリキュール。アルコール分約70%の緑色の洋酒。」程の意味を有する語として、一般に載録されている一方、その構成中の「EM」の欧文字は、特定の意味を有する語として、一般に広く知られているものとは認められない上、欧文字2字からなる標章は、様々な産業分野において、商品の型式や規格等を表すための記号又は符号として、類型的に採択、使用されている実情がある。
そうとすると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「EM」の欧文字部分について、商品の型式や規格等を表すための記号又は符号の一類型として看取、理解することも決して少なくないとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成中の「EM」の欧文字部分が分離、抽出して観察され、これより生じる称呼等をもって取引に資されるとはいい難く、よって、該欧文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るということはできない。
したがって、本件商標は、その構成全体に相応する「アブサンイーエム」の称呼を生じるほか、その構成中の「アブサン」の片仮名部分から「アブサン」の称呼をも生じるものであり、また、該片仮名部分からは、「アブサン」の観念を生じるものといえる。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、別掲2のとおり、緑色の円を基調とする大きさの異なる7個の図形と、該図形のうち、最も大きい図形中に白抜きで「EM」の欧文字を表してなるものであるところ、該図形は、それ自体が特定の事物を表したものとは認められず、また、該欧文字部分は、上記のとおり、それが円形の中に表されていることを併せみても、特定の意味を有する語として、一般に広く知られているものとは認められない。
してみれば、引用商標1は、その構成中の「EM」の欧文字部分から「イーエム」の称呼を生じ得るとはいえるものの、該欧文字部分から特定の観念を生じるとはいえず、また、その構成全体をもって、特定の観念を生じるということもできない。
(イ)引用商標2は、別掲3のとおり、大きく顕著に表してなる「EM」の欧文字と、その左方に、「HIGA」の欧文字と「Health Improving Gaia Accredited」の欧文字とを上下二段に表し、かつ、両欧文字の間に黒色の細線を表してなるものとを配してなるところ、その構成中の「Health Improving Gaia Accredited」の欧文字部分は、ほかの欧文字部分に比して、極めて小さく表されているのみならず、その構成全体をもって、「健康増進のために(大地の女神)ガイアが与えた」程の意味合いを想起させるものであることからすれば、これが、自他商品の識別に当たり、独立して識別標識として機能し得るものとはいい難く、むしろ、看者をして、付記的なものとして認識されるとみるのが相当である。
また、引用商標2の構成中の「EM」の欧文字部分は、上記のとおり、大きく顕著に表されているものの、該欧文字自体は、本件商標におけるのと同様に、取引者、需要者をして、商品の型式や規格等を表すための記号又は符号の一類型として看取、理解されるものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
さらに、引用商標2の構成中の「HIGA」の欧文字部分は、その文字が辞書類に載録された成語とは認められず、また、特定の意味合いを想起させる語として,一般に広く知られたものともいい難い。
してみれば、引用商標2は、その構成中の「HIGA」及び「EM」の各欧文字全体に相応する「ヒガイーエム」の称呼並びに該「HIGA」の欧文字に相応する「ヒガ」の称呼を生じるものであり、特定の観念を生じることのないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とは、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるものであり、その構成中に「EM」の欧文字を有する点は共通するものの、ほかの文字部分や図形の有無等において明らかな差異を有するものであるから、外観上、両商標を見誤るおそれはない。
また、本件商標から生じる「アブサンイーエム」又は「アブサン」の称呼と引用商標1から生じる「イーエム」の称呼及び引用商標2から生じる「ヒガイーエム」又は「ヒガ」の称呼とを比較すると、本件商標と引用商標1との比較及び本件商標と引用商標2との比較のいずれにおいても、その音の構成及び数が少なからず相違するため、それぞれを一連に称呼しても、語調、語感が異なり、互いに聴き誤るおそれはないものである。
さらに、本件商標からは「アブサン」の観念を生じるのに対し、引用商標からは特定の観念を生じることはないから、観念上、両商標が相紛れるおそれはない。
エ 小括
上記のとおり、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人は、「甲第4号証ないし甲第7号証に記載のように、EMは、その発明者である比嘉照夫が農業用微生物資材として開発し、EMという名称で日本及び世界各国に発表し、認識されて有名にしたもので、国内外において植物調整剤、肥料として広く使用されている。」と主張している。
そこで、申立人の提出した甲第4号証ないし甲第7号証を見るに、これらによれば、「EM」が「有用微生物群(Effective Microorganisms)」の略語であって、1982年に琉球大学農学部の比嘉照夫氏が農業分野での土壌改良用として開発した微生物資材の名称であること、「EM」が「EM・1」や「EM・2/EM・3」という商品名で国内の「株式会社EM研究所」1社が製造していること、2013年(平成25年)11月4日にタイの国立ラジャマンガラ工科大学が名桜大学の比嘉教授に名誉博士号を授与したこと、「EM」に係る商品を取り扱う企業が米国、ドイツ及びインドに存在すること、などをうかがい知ることはできるが、例えば、引用商標の使用に係る商品の生産及び販売の数量並びに売上高、該商品を取り扱う店舗の数や営業地域、該商品の広告宣伝の方法、回数及び内容等について具体的に把握することはできない。
その他、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたと認めるに足る事実は見いだせない。
そして、本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、非類似の商標であって、相紛れるおそれのない別異の商標というべきものである。
してみれば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者をして、引用商標を連想、想起することはないというべきであり、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれのある商標と認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標


2 引用商標1(登録第4202299号商標)


(色彩については、原本参照のこと。)

3 引用商標2(登録第4663504号商標)


異議決定日 2014-06-18 
出願番号 商願2013-22264(T2013-22264) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W01)
T 1 651・ 262- Y (W01)
T 1 651・ 261- Y (W01)
T 1 651・ 271- Y (W01)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小川 敏 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 田中 敬規
手塚 義明
登録日 2013-10-04 
登録番号 商標登録第5619343号(T5619343) 
権利者 株式会社東企
商標の称呼 アブサンイイエム、アブサン 
代理人 福島 康文 

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