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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服201315595 | 審決 | 商標 |
不服201313365 | 審決 | 商標 |
不服201311517 | 審決 | 商標 |
不服201321557 | 審決 | 商標 |
不服201314069 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W30 審判 全部申立て 登録を維持 W30 |
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管理番号 | 1288833 |
異議申立番号 | 異議2014-900014 |
総通号数 | 175 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2014-07-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2014-01-10 |
確定日 | 2014-06-21 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5622697号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5622697号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5622697号商標(以下「本件商標」という。)は、「味わう苺」の文字を標準文字により表してなり、平成25年5月27日に登録出願され、第30類「苺入り又は苺風味を有する菓子・パン」を指定商品として、同年8月29日に登録査定、同年10月11日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号又は同第6号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。 1 本件商標は、「味わう苺」の文字を標準文字で表してなるところ、これは、「飲食物を口に入れて、その旨味を十分に感じとる。」、「味を楽しむ。」等の意味合いを有する「味わう」の文字と、果物の一つである「苺/イチゴ」を理解させる「苺」の文字とを結合したものであって、その構成全体は、「味ないしはうまみを楽しめる苺」又は「味ないしはうまみを感じられる苺」という程の意味合いを理解させるものと認められる。 2 飲食料品分野の商品には、味が良いことの需要者への訴求のために、例えば、「味の?」、「味わい?」のように、商品名やいわゆるキャッチコピーの一部に「味」の文字を使用したものが少なくないが、「味わう?」の構成に係る文字についても例外ではなく、例えば、次の使用事実が示すように、商品の味が良いという品質の誇称ないしはこれの訴求のために普通に使用されているものと認められる(甲1及び甲2)。 3 また、本件の指定商品である菓子・パン分野の商品には、苺を使用したものが少なくなく、かつ、それらの商品にあっては、その使用をしたことのほか、使用に係る苺の風味や品質等が特に積極的に表示される傾向をみることができる(甲3ないし甲8)。 4 そうとすると、本件商標を構成する「味わう苺」の文字は、その指定商品である「苺入り又は苺風味を有する菓子・パン」との関係においては、商品が「味ないしはうまみを楽しめる又は感じられる苺を使用したもの」、すなわち「味の良い苺を使用したもの」という程の意味合いを理解させるにすぎないものであって、これが、その需要者をして商品の出所表示に係るもの、又は自他商品の識別標識を表示したものと認識・把握されるとは考え難いといわざるを得ない。 5 したがって、本件商標は、これをその指定商品に使用したとしても、需要者、取引者等に、当該商品が味の良い苺を使用したものであるというその品質を認識させるにとどまるとともに、これらの者において何人かの業務に係る商品であるかを認識することができないものというべきであるから、商標法第3条第1項第3号又は同第6号に該当する。 6 ところで、本件商標を構成する「味わう苺」の文字については、商標権者によるもの以外の使用事実は確認することができなかった。 しかしながら、「味わう?」の構成に係る食品分野における使用例や、本件指定商品の分野において苺を使用したものが少なくないことや、それらの商品にあっては、使用に係る苺の風味や品質等が特に積極的に表示される傾向がみられることからすれば、「味わう苺」の文字は、これに接する需要者、取引者に上述したような意味合い、すなわち、商品の具体的な品質を直ちに想起させるものというべきであって、かかる意味合いにおいて使用される可能性が十分にあるものといわざるを得ない。 7 なお、商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が、商標登録の要件を欠くとされているのは、取引に際し、必要適切な表示として、何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でなく、また一般的に使用される標章であって、多くの場合、自他商品識別力を欠くものであることによるものと解される。 この趣旨に照らせば、商標が、取引者・需要者に指定商品に係る品質を表すものとして認識され、使用されている場合はもとより、仮に、指定商品の品質を表すものとして取引者・需要者に使用されていない場合であっても、その商品の品質を表しているものと認識されるものであって、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときには、その商標は、同号に該当すると解するのが相当である。 第3 当審の判断 申立人は、本件商標が商標法第3条第1項第3号又は同第6号に違反して登録されたものであると主張しているので、以下、判断する。 1 商標法第3条第1項第3号該当性について (1)本件商標は、前記したように、「味わう苺」の文字を標準文字で表したものであり、その構成中の「味わう」の語についてみるに、「a)飲食物の味をみる。また、味のよさをたのしむ。b)物事の意味または趣旨を深く考える。玩味する。c)実際に経験して感じとる。体験する。」(広辞苑第六版)、「a)飲食物の味をみる。b)よく感じ、よく考える。c)経験する。体験する。」(日本語大辞典 第一刷)との語意が示されているから、この「味わう」の語は、一概に食物の味が良いことを表す場合に使用される語ということはできないものである。 そして、本件商標は、前記したとおり、「味をみる」や「味のよさを楽しむ」等の意味を有する「味わう」の語と果実である「苺」の語を結合したものであるから、全体として、「味をみる苺」、「味のよさをたのしむ苺」ほどの意味合いを認識、理解させるというのが相当である。 (2)次に、本件商標が、申立人の主張する「うまみを楽しめる又は感じられる苺を使用したもの」、ひいては、「味の良い苺を使用したもの」であることなど、本件商標の指定商品の品質が良く、優れていることをいうものとして使用されている実情があるか否かについて、申立人が提出した甲各号証に基づいて判断する。 ア 甲第1号証は、キューピー株式会社の2012年7月19日付けニュースリリースであり、「介護食のイメージを払拭した新シリーズ」、「『味わう海鮮雑炊』シリーズ、5品で新発売」などの見出しの下、「『味わう海鮮雑炊シリーズ』は従来の市販介護食のイメージを払拭するような、思わず食べてみたくなるメニューとパッケージを採用し、それぞれの魚介と相性の良いだしにこだわって仕上げました。」との記載がある。 イ 甲第2号証は、岩塚製菓株式会社の2013年2月28日付けニュースリリースの写しであり、「野菜の甘みが広がるひとくち揚げせん」、「『味わうひと粒』新発売」との見出しの下、「『味わうひと粒』は、『しっかりとした噛みごたえ』で『野菜のうまみを感じる』ひと口サイズの揚げせんべいです。玉ねぎとにんじんを練りこむことで、野菜の甘さ、香ばしさを感じることができます。」との記載がある。 ウ その他の各甲号証は、苺を使用した商品について、「いちごの濃厚・贅沢なおいしさを味わえる2品が登場」「香り豊かないちごのダブルのおいしさが味わえる」(甲第3号証)、「いちごミルクの優しい味わいが楽しめます」(甲第4号証)、「苺果肉、果肉入り苺ソースを含んだ贅沢な味わいのシュークリーム」(甲第5号証)、「“いちご”の味わいを楽しむことができる商品」「ミルクといちごのまろやかな味わいをお楽しみいただけます」(甲第6号証)、「濃厚な苺の味わいが特長の」(甲第7号証)、「2つの苺味のグミが楽しめる『ピュアラルグミ味わい苺』」(甲第8号証)との記載であって、これらの使用例は、「味わえる」及び「味わい」であり、本件商標とは異にするものである。 エ してみれば、「味わう海鮮雑炊」や「味わうひと粒」の使用例が認められるとしても、該使用例から、商品の味が良いことや優れていることを直接認識させるとはいい難く、むしろ、「・・・思わず食べてみたくなるメニューとパッケージを採用し、それぞれの魚介と相性の良いだしにこだわって仕上げました。」、「『野菜のうまみを感じる』ひと口サイズの揚げせんべいです。玉ねぎとにんじんを練りこむことで、野菜の甘さ、香ばしさを感じることができます。」などの味の良いという具体的な説明文が付されていることから、商品の特色が示唆されているというべきである。 また、本件商標の指定商品は、「苺入り又は苺風味を有する菓子・パン」であるところ、上記使用例から、その指定商品の品質が良く、優れていることを表示するともいい得ない。 (3)以上からすると、本件商標は、「味をみる苺」、「味のよさをたのしむ苺」ほどの意味合いを認識、理解させるにとどまり、申立人が提出した証拠をもってしては、本件商標からは、「味の良い苺を使用したもの」の意味合いは理解させるとはいえず、商品の品質が良く、優れていることをいうものとして使用されているということもできないものである。 このほか、職権をもって調査するも、本件商標を構成する語が、商品の品質、内容を表示するとすべき事実は発見できなかった。 してみれば、本件商標は、商品の品質、内容等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ということはできないものである。 そうであれば、本件商標は、取引に際し必要適切な表示として、何人もその使用を欲するものということはできず、特定人によるその独占使用を認めるのは、公益上適当でないということもできないものである。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。 2 商標法第3条第1項第6号該当性について 商標法第3条第1項第6号は、「前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」と規定されているところ、本件商標を構成する文字は、前記したように、「味をみる苺」、「味のよさをたのしむ苺」ほどの意味合いを認識させるものの、この語が、商品に関する内容を記述的、一般的に説明したり、購入意欲を惹起させるような宣伝文句ということはできず、また、本件商標の指定商品の需要者等において、他人の業務に係る同種商品と識別できるというのが相当である。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。 3 まとめ 以上、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同第6号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2014-06-13 |
出願番号 | 商願2013-39871(T2013-39871) |
審決分類 |
T
1
651・
13-
Y
(W30)
T 1 651・ 16- Y (W30) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 齋藤 貴博、北口 雄基 |
特許庁審判長 |
関根 文昭 |
特許庁審判官 |
酒井 福造 寺光 幸子 |
登録日 | 2013-10-11 |
登録番号 | 商標登録第5622697号(T5622697) |
権利者 | オハヨー乳業株式会社 |
商標の称呼 | アジワウイチゴ、アジワウ |
代理人 | 河野 生吾 |
代理人 | 河野 誠 |