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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900292 審決 商標
異議2013900385 審決 商標
異議2013900374 審決 商標
異議2013900346 審決 商標
異議2013900384 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W3541
管理番号 1288814 
異議申立番号 異議2013-900371 
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-07-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-10-28 
確定日 2014-06-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第5605233号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5605233号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5605233号商標(以下「本件商標」という。)は、「Quartz」の欧文字及び「クォーツ」の片仮名を二段に書してなり、平成25年2月19日に登録出願され、第35類「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供」及び第41類「知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作」を指定役務として、同年7月8日に登録査定、同年8月9日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第1947114号商標(以下「引用商標」という。)は、「QUARTZ」の欧文字を横書きしてなり、昭和59年12月19日に登録出願され、第5類「グリ-ス、潤滑油、その他の工業用油、その他本類に属する商品」を指定商品として、同62年4月30日に設定登録されたものであり、その後、平成9年6月3日及び同19年5月1日に商標権の存続期間の更新登録がされ、同20年8月6日に、指定商品を第4類「工業用ガソリン,モーターオイル,ギヤオイル,衝撃吸収用オイル,車両用グリース,その他の工業用油,工業用油脂,燃料」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証(枝番を含む。)を提出した。
1 申立人及び申立人の商標「QUARTZ」の周知性
(1)申立人は、フランスのパリに本部を置く民間の総合石油エネルギー企業であり、国際石油資本であって、スーパーメジャーと呼ばれる6社の内の一つであり、申立人を中心とするトタルグループのリーディングカンパニーである(甲3及び甲4)。
(2)トタルグループは、世界第5位の石油及び天然ガスの総合的国際的な企業グループであり、世界130か国以上で業務を行なっており、その従業員は、9万7000人を超える。
トタルグループは、多くの石油関連製品を製造し、販売しているが、なかでも、申立人が製造し、申立人のハウスマーク「TOTAL」及びプロダクトマーク「QUARTZ」の下に販売する潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)は、フランスの世界的な自動車メーカーであるプジョー社及びシトロエン社の指定するエンジンオイルであり、「QUARTZ」は、国際的な拡がりを有する潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)であり、トタルグループは世界中でこの商標の販売促進のため極めて大きな努力をしてきている。
我が国においては、東京都港区赤坂4丁目に本店を有するトタル・ルブリカンツ・ジャパン株式会社(以下「トタルジャパン社」という。)が販売している(甲4及び甲3)。同社は、我が国において広く積極的に告知広告をしている。
したがって、「QUARTZ」は、我が国において、申立人が製造し我が国においてトタルジャパン社が販売する潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)として周知である。
(3)「QUARTZ」が申立人の製造する潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)に使用する商標として我が国において周知であることは、以下の事からも明白である。
ア 甲第5号証は、Yahoo!JAPANで「QUARTZ TOTAL」で日本語の頁のみで検索した結果であるが、約369,000ものヒットがあって、そのうちのトップ50件のリストの打ち出しである。
イ 甲第6号証の1ないし9は、上記検索結果中、上位9を打ち出したものである。
「TOTAL」の社標(商標)と「QUARTZ」の商標(プロダクトマーク)を付した潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)が表示され、紹介されている(甲6の4は、記事による紹介)。
ウ 甲第7号証の1ないし48は、トタルジャパン社の2005年から2013年にかけての申立人の「QUARTZ」潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)の自動車愛好家向けの雑誌などへの広告である。
甲第7号証の1、3、4、5、7、11、14、15、17、22、34、35は、「QUARTZ」が、プジョー社及びシトロエン社が推奨(認証)するエンジンオイルであることを示している。
いずれも、「TOTAL」と「QUARTZ」を表示したエンジンオイルを明瞭に表示している。
エ 「QUARTZ」商標を使用した申立人の潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)は、1985年以来、日本に輸入販売されており、最近4年間の売上高は、以下のとおり大きなものである。
2009年 1億4415万円
2010年 1億7680万円
2011年 2億1294万円
2012年 2億1952万円
「QUARTZ」商標を使用した申立人の潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)は、日本において850もの店で取扱われている(甲8)。
その内訳は、PSAプジョーシトロエンディーラーが150店舗、オートセンター(車両整備(車検・点検)、タイヤ交換、オイル交換、等を行う所)が500店舗、自動車修理工場が200店舗である。
一都道府県当りにすると、約18店舗もの自動車整備場や自動車修理場で取扱われていることになる。
エ 以上のとおり、申立人の引用商標は、潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)に使用する商標として我が国において需要者の間に周知である。
2 本件商標と引用商標との類似性
本件商標は、「Quartz/クォーツ」からなり、その構成態様から、「クォーツ」が「Quartz」の読みであることは明白であり、「Quartz」が本件商標の要部であることは、明白である。
他方、引用商標は、「QUARTZ」よりなる。
そうすると、本件商標は、引用商標と類似する。
また、本件商標は、申立人の潤滑油に使用されている「QUARTZ」とも類似する。
3 本件商標の指定役務と引用商標の指定商品との密接関連性
(1)本件商標の指定役務は、前記第1のとおり、第35類及び第41類に属する役務であって、本件商標の商標権者は、カービューティー・ファクトリーという名称の自動車のコーティング及び修理工場を経営しており、同修理工場では、商標「Quartz」を使用したコーティング剤等を販売し、また、ユーザーに対してアドバイスをしている(甲9)。
したがって、本件商標を使用して商標権者が提供する役務は、本件商標の指定役務中、車のコーティング及びコーティング剤に関するものであり、「自動車コーティング、修理工場の経営の診断の企画又は経営に関する助言,自動車コーティング、修理に関する市場調査,自動車のコーティング剤等の販売に関する情報の提供,自動車コーティング、修理に関する知識の教授,自動車コーティング、修理に関するセミナーの企画・運営又は開催,自動車コーティング、修理に関する電子出版物の提供,自動車のコーティング、修理に関する書籍の製作」である。
(2)他方、引用商標の指定商品は、第4類「工業用ガソリン,モーターオイル,ギヤオイル,衝撃吸収用オイル,車両用グリース,その他の工業用油,工業用油脂,燃料」である。
申立人が製造し、トタルジャパン社が販売する「QUARTZ」商標を使用した「潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)」は、自動車の修理又は整備に使用する商品であり、メーカーや販売店からオートセンターや自動車修理工場に販売され、同所で自動車の修理や整備に使用されるものであり、「潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)」は、「自動車の修理又は整備」と密接に関連し、商標権者が提供する上記役務とも密接に関連するものである。
4 商標法第4条第1項第15号該当性
(1)上述のとおり、本件商標は、引用商標と類似する。
(2)上述のとおり、「潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)」は、「自動車の修理又は整備」と密接に関連するものであって、商標権者は、コーティング剤などの車の修理、整備用の商品を販売しているものである。
(3)加えて、申立人の潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)に使用する引用商標「QUARTZ」は、我が国において周知である。
(4)したがって、本件商標が上記役務に使用されたときは、該役務が申立人又は申立人と経済的に関連する者が提供する役務であるとの誤認混同を生じさせるおそれがある。
(5)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであると主張しているので、以下、判断する。
1 事実認定
申立人の主張及び同人が提出した証拠方法によれば、以下のことが認められる。
(1)申立人は、フランスのパリに本部を置き、スーパーメジャーと呼ばれる6社の内の一つの世界第5位の石油及び天然ガスの総合的なエネルギー企業であって、世界150か国以上に販売拠点を有し、我が国においては、東京都港区赤坂4丁目に本店を置くトタルジャパン社が、申立人の商品を販売している(甲3及び甲4)。
(2)引用商標は、トタルジャパン社により、2005年から2013年にかけて、申立人の商品、潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)(以下、「潤滑油等」という。)について、「Moter Magazine」、「MOTER MAGAZINE MOOK『PEUGEOT 2』」、「PEUGEOT BOOK 2006」、「rally」、「idlers magazine」、「rally GRAFFITY」、「Dramatic Car-magazine Tipo」、「J’s Tipo」、「CAR BOY」、「週間オートスポーツ/AUTO SPORT」。「エヴァ福」、「Car Entertainment Magazine GENROQ(ゲンロク)」、「Motor Fan illustrated」、「F1速報」、「Racing on Motorsport magazine」、「THE 911&PORCHE MAGAZINE」、「2013 SUPER GT 公式ガイドブック」及び「Le Mans 24 Hours2013」など自動車愛好家やモータースポーツファン向けの雑誌などにおいて広告宣伝されている(甲7)。
(3)引用商標が使用された潤滑油は、プジョー社及びシトロエン社が推奨(認証)するエンジンオイルである(甲7の1、3、4、5、7、11、14、15、17、22、34、35)。
(4)引用商標が使用された潤滑油は、2009年ないし2012年の間で、約1億4千万円ないし約2億2千万円の売上高があって、日本において約850の店舗で取扱われ、その内訳は、PSAプジョーシトロエンディーラーが150店舗、オートセンター(車両整備(車検・点検)、タイヤ交換、オイル交換、等を行う所)が500店舗、自動車修理工場が200店舗である。それを一都道府県当りにすると、約18店舗もの自動車整備場や自動車修理場で取扱われていることになる旨主張している(甲8及び申立の趣旨)。
2 引用商標の周知度等について
引用商標は、プジョー社やシトロエン社などのヨーロッパ車向けの高性能のエンジンオイルであることが唱われており(甲6)、潤滑油等に関する広告(甲7)が認められるとしても、それらは、主に自動車愛好家やモータースポーツファン向けの雑誌であって、限られた範囲の需要者とみるのが相当であり、自動車の一般の需要者の間において広く広告宣伝されているとは認めることはできないものである。
そして、引用商標が使用された潤滑油の売上高についても、他の同種商品との比較やランキングにおいて上位に位置していることを確認できる証拠の提出はなく、職権をもって調査しても、引用商標が使用された潤滑油の売上高が上位を占めていると推認し得る事実を把握することはできない。
また、引用商標である「QUARTZ」は、「水晶」を意味する一般的な英語であり、その独創性の程度は高いということはできないものである。
さらに、本件商標の指定役務は、自動車愛好家に限定して提供されるものではなく、事業に関するもの又は教育に関するものであって、事業主又は広く老若男女を主な対象として提供されるものである。
なお、申立人は、甲第9号証を示して、商標権者が提供する役務は、本件商標の指定役務中、「車のコーティング及びコーティング剤に関する役務である旨主張するが、コーティング剤に付されている事情のみをもって、コーティング剤に関する役務とはいい難く、また、潤滑油と本件商標の指定役務とが類似するともいい難い。
他方、引用商標が使用されている潤滑油についてみれば、これは、自動車の保守・管理に使用されるものであるが、一般の需要者は、その交換や補充を、自動車のサービスステーションやディーラーに依頼をし、その事業者により、引用商標の商品が使用されることが主であって、一般の需要者が、自家用車の保守・管理のためにプジョー社やシトロエン社などのヨーロッパ車向けの高性能のエンジンオイルを自ら当該商品を購入して使用することは少ないというのが相当である。
そうとすれば、引用商標は、自動車愛好家やモータースポーツファンの間においては一定程度知られているとしても、本件役務の需要者の間にまで、その周知度が及んでいるとはいえないとみるのが相当である。
なお、甲第5号証及び甲第6号証のインターネット情報は、引用商標である「QUARTZ」と、申立人の略称「TOTAL」の語による検索であるから、申立人や引用商標に関する情報のみが検索されるのは当然のことであり、その件数や掲載内容(順位)を根拠に、引用商標の周知著名性をいう申立人の主張は失当というべきである。
3 商標の類似性について
本件商標は、前記第1のとおり、「Quartz」の欧文字及び「クォーツ」の片仮名を二段に書してなるところ、下段の「クォーツ」の片仮名は、上段の読みを特定したものと看取、把握されるものというべきである。
してみれば、本件商標は、その構成文字に相応して「クォーツ」の称呼を生じ、「水晶」の観念は、生じ得るものである。
他方、申立人が使用している引用商標は、「QUARTZ」の欧文字よりなるものであり、該文字に相応して、「クォーツ」の称呼、「水晶」の観念を生じるものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、その構成態様を異にするものとしても、「クォーツ」の称呼及び「水晶」の観念を同一にする類似の商標というべきである。
4 出所の混同のおそれ
以上によれば、本件商標と引用商標は、類似するものの、本件商標の登録出願前において、本件役務の需要者の間において周知著名であったということはできないから、本件商標をその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が、該役務を申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2014-06-06 
出願番号 商願2013-11219(T2013-11219) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W3541)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高橋 謙司 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 寺光 幸子
酒井 福造
登録日 2013-08-09 
登録番号 商標登録第5605233号(T5605233) 
権利者 寺園 馨
商標の称呼 クォーツ、クオーツ 
代理人 佐藤 雅巳 
代理人 古木 睦美 
代理人 ▲高▼山 嘉成 

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