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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない X09
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X09
審判 査定不服 観念類似 登録しない X09
管理番号 1288789 
審判番号 不服2011-650228 
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-12-13 
確定日 2014-03-14 
事件の表示 国際登録第1011909号商標に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「CST」の欧文字を書してなり、第9類「Software.」を指定商品として、2009年4月20日にドイツ連邦共和国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2009年(平成21年)7月20日に国際商標登録出願されものである。
その後、指定商品については、原審における2010年(平成22年)6月24日付け手続補正書により、第9類「Computer software」に補正されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第5414524号商標(以下「引用商標」という。)は、「CST方式」の文字を書してなり、平成20年11月29日に登録出願、第9類「測定機械器具,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,インターネットを介してダウンロードされるコンピュータソフトウエア,インターネットを通じてダウンロード可能な音声及び映像,その他の電子応用機械器具及びその部品,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」を指定商品として、同23年5月27日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本願商標は、「CST」の欧文字を書してなるところ、該文字は、「シーエスティー」の称呼が生じるものであり、特定の語義を有しない造語と認められるものである。
一方、引用商標は、前記2のとおり、「CST方式」の文字を書してなるところ、「CST」と「方式」の文字とは、それぞれの書体の相違から、視覚上において、分離して看取し得るものである。
ところで、その構成中後半の「方式」の文字は、「一定の形式または手続」(広辞苑第6版)を意味する親しまれた語であり、コンピュータソフトウエアとの関係においては、例えば「プログラムを実行させる方法の一つ」を意味する「コンパイラ方式」(平成4年11月25日発行「情報処理用語大事典」253頁)、「CPU内部の制御をマイクロプログラム命令によって制御する方式」を意味する「マイクロプログラム制御方式」(同「情報処理用語大事典」742頁)等のように、当該プログラムの実行や制御等の方式又は方法を表示する際、他の語と結合して、普通に使用されている事実が認められるところである。
さらに、コンピュータ関連又は情報処理分野においては、「方式」の語が、例えば、「アクセス方式」(主記憶装置と入出力装置との間でデータを移動させるための方法:同「情報処理用語大事典」55頁)、「サーバ/クライアント方式」(ウィンドウを一括管理するサーバプロセスと、そのサービスを受けるクライアントプロセスに分離する方式:同「情報処理用語大事典」257頁)及び「分散処理方式」(分散プロセスや分散トランザクションを管理する方式:同「情報処理用語大事典」704頁)等のように、他の語と組み合わせて複合語を形成し、多用されている事実が認められる(同「情報処理用語大事典」1260頁ないし1263頁、和英コンピュータ用語大辞典(第2版)979頁)。
そうとすれば、引用商標は、その構成中「方式」の文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を果たさないか、又はその機能は極めて弱いものとみるのが相当である。
そうすると、引用商標に接する取引者、需要者は、その構成中、前半に位置し、商品の出所識別標識として強く印象付けられる「CST」の文字部分に着目し、当該文字部分をもって取引に資する場合も決して少なくないものというのが相当である。
してみれば、引用商標は、「シーエスティーホウシキ」の一連の称呼を生じるほか、「CST」の文字部分に相応して、単に「シーエスティー」の称呼をも生じるものであり、該文字は、特定の語義を有しない造語と認められるものである。
そこで、本願商標と引用商標とを比較するに、両者は、構成全体として相違するものの、本願商標と引用商標の構成中、要部と認識し得る「CST」の欧文字部分とは、同一の欧文字からなることからすれば、外観上、近似した印象を与えるものである。
また、称呼においては、両者は、「シーエスティー」の称呼を共通にするものであって、観念については、共に特定の語義を有しない「CST」の文字を要部とするものであるから、比較すべくもない。
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、「シーエスティー」の称呼を共通にし、また、外観においても、その構成中の「CST」の欧文字部分において、近似した印象を与えるものであるから、全体として互いに類似の商標というべきである。
また、本願商標の指定商品である「Computer software」は、引用商標の指定商品に含まれる「インターネットを介してダウンロードされるコンピュータソフトウエア,その他の電子応用機械器具及びその部品」に包含される商品である。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「引用商標の『CST方式』は、測定器に使用される技術の名称として採用されたものであり、一体としてのみその意味を伝えることが可能な名前であり、異なる種類の文字であるという単に外形的な理由で、この商標が『CST』と『方式』に分離して看取されるとしたのは、『方式』を含む商標の類否判断においてすべきではない」旨主張する。
確かに引用商標は、請求人提出の資料(第5号証の2)によれば、測定器の技術の名称として使用されている事実が認められる。
しかしながら、引用商標の構成中、後半の「方式」の文字は、主にコンピュータソフトウエア分野において、当該プログラムの実行や制御等の方式又は方法を表示する際、他の語と結合して、普通一般に使用されている事実が認められること前記(1)のとおりである。
そうとすると、仮に、引用商標が「測定器」に係る名称であるとはいえ、本願商標の指定商品である「コンピュータソフトウエア」分野における取引の実情等を考慮すれば、引用商標の構成中、「方式」の文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を果たさないか、又はその機能は極めて弱いものといわなければならない。
してみると、引用商標は、「方式」の文字部分が省略されることも十分に考えられるものであって、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たす「CST」の文字部分が要部として、看者の印象、記憶に強く残るものであり、そこから生じる称呼、観念をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
そうすると、引用商標が、一連一体のものとして識別力を有することを前提とする請求人の主張は採用することができない。
イ 請求人は、「○○方式」という「方式」を含む商標の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張するが、いずれの登録例も、商標の構成態様及び指定商品等において、本願とは事案を異にするものであるから、本願商標と引用商標との類否判断において、参考とすることはできない。
(3)結論
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-11-20 
結審通知日 2012-11-30 
審決日 2012-12-12 
国際登録番号 1011909 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (X09)
T 1 8・ 262- Z (X09)
T 1 8・ 261- Z (X09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小出 浩子山田 和彦 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 井出 英一郎
大橋 良成
商標の称呼 シイエステイ 
代理人 鳥羽 みさを 
代理人 長門 侃二 

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