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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201315759 審決 商標
不服201317093 審決 商標
不服201321135 審決 商標
平成25行ケ10254審決取消請求事件 判例 商標
不服201315155 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W32
管理番号 1288656 
審判番号 不服2013-9798 
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-05-28 
確定日 2014-05-14 
事件の表示 商願2012-64492拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「日本がんばろう」の文字を標準文字で表してなり、第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」を指定商品として、平成24年8月8日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『日本がんばろう』の文字を標準文字で表してなるところ、『日本がんばろう』とは、平成23年3月11日に発生した東日本大震災からの復興支援を目的とした取り組みに際して、標語として多く用いられているとともに、復興支援に関連した商品の販売やサービスの提供、キャンペーン活動等においてもしばしば用いられているから、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者は、復興支援を目的とした標語を表したものと理解するにとどまり、需要者をして何人かの業務に係る商品であるのかを認識することができないものというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした審尋
当審において、請求人に対し、平成25年11月7日付けで通知した審尋の内容は、要旨次のとおりである。
本願商標は、「日本がんばろう」の文字を標準文字で表してなるところ、その文字構成に照らせば、全体として、「日本に係ることについて忍耐して努力する意思や決意を表す句」であると容易に理解されるものである。
また、困難な状況にある人々を応援するため、「日本」の文字と「がんばろう」の文字とを結合させた語が、例えば別掲の(1)ないし(10)のように、本願の指定商品を取り扱う業界を始め、様々な商品又は役務を取り扱う業界において、広く使用されている実情が認められる。
してみれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、困難な状況にある人々を応援する等の趣旨を込めたその商品の販売促進を図るための一種のキャッチフレーズ又は標語を表したものと看取、認識するにとどまり、何人かの業務に係る商品であるかを認識することができないものというべきである。
したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

4 審尋に対する請求人の回答の要点
請求人は、前記3の審尋に対して、平成25年12月18日受付の回答書において、要旨以下のように述べている。
(1)本願商標と同様の意味内容を示す句からなる商標として、公益財団法人日本オリンピック委員会が所有する商標「がんばれ!ニッポン!」(商標登録第4470504号等)が存在し、それが著名なものとして広く需要者、取引者に認識されていることから、本願商標と同様の意味内容を示す句は、商標たり得るという認識が需要者、取引者には形成されている。
また、キャッチフレーズ又は標語という観点から見ると、「がんばれ」と「がんばろう」、「ニッポン」と「日本」の相違や、語順の相違などは、意味内容に影響を与えないことから、一般需要者等は、商標「がんばれ!ニッポン!」から類推して、「日本がんばれ」「がんばろう日本」「日本がんばろう」といった言葉も商標たり得ると認識すると解するのが素直である。
(2)審尋において示された別掲(1)ないし(10)の事例のうち、「日本がんばろう」についての例は、(6)及び(7)のみであって、(6)はカレンダーの案の名称、(7)は演奏会の名称として識別力がある語句であり、キャッチフレーズ又は標語ということはできないから、「日本がんばろう」の文字がキャッチフレーズ又は標語として使用されている証拠は提示されていないとみなすのが相当である。
また、本願の指定商品と同一又は類似の商品に使用されているのは、別掲(4)及び(9)であるが、いずれも本願商標と語順の異なる「がんばろう日本」の事例であり、(4)は白神山地を水源とする水の名称であるからキャッチフレーズ又は標語ではなく、(9)のみが、本願の指定商品に係る商品に対してキャッチフレーズとして使用されているものである。(9)の一例をもって、本願の指定商品を取り扱う業界において、キャッチフレーズ又は標語として取引上普通に使用されているということはいえない。
(3)以上のことから、本願商標は、キャッチフレーズ又は標語と看取、認識されるものではなく、商標法第3条第1項第6号に該当するものではない。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「日本がんばろう」の文字を標準文字で表してなるところ、その文字構成に照らせば、容易に「日本」の文字と「がんばろう」の文字とを結合してなるものと看取されるものであり、該「がんばろう」の文字は、「どこまでも忍耐して努力する。」の意味を有する「がんばる」の意思や決意を表すものとして一般に使用されているものである。
してみれば、本願商標は、「日本に係ることについて忍耐して努力する意思や決意を表す句」であると容易に理解されるというのが相当である。
また、別掲に記載した内容に照らせば、「日本」と「がんばろう」の文字とを組み合わせた句が、本願の指定商品が含まれる食品等の小売りに係る宣伝又は催事において、商品の販売促進のための標語として使用されており、加えて、東日本大震災以降、被災地支援の取組みにおける、本願の指定商品を含む様々な商品の販売や役務の提供に当たり、該句が、日本に係ることについてがんばろう、の意思や決意を表す標語として、一般に広く用いられている実情にある。
以上を総合勘案すれば、「日本」と「がんばろう」の文字とを組み合わせた「日本がんばろう」の文字からなる本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その構成全体から上記意味合いの標語を表したものと看取、理解するにとどまり、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を有するものとは認められず、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標と同様の意味内容を示す句からなる商標「がんばれ!ニッポン!」(商標登録第4470504号等)が存在していることから、一般需要者等は、「日本がんばれ」「がんばろう日本」「日本がんばろう」といった言葉も商標たり得ると認識する旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が、自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、該商標の構成態様や取引の実情等を踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、商標「がんばれ!ニッポン!」は、請求人もいうように、それが著名なものとして広く需要者、取引者に認識されていることによって、識別力を有するものとして登録されたとみるのが自然であり、本願商標をこれと同列に論ずることはできない。
イ 請求人は、別掲の事例のうち、本願商標と同じ「日本がんばろう」の例は2つにとどまり、いずれもキャッチフレーズとはいえず、また、本願商標と語順が相違する「がんばろう日本」の例にしても、本願の指定商品についてキャッチフレーズとして使用されている例は1つしかないから、これをもって、本願商標が、その指定商品を取り扱う業界において、キャッチフレーズとして普通に使用されているとはいえない旨主張する。
しかしながら、別掲の事例は、「日本」の文字と「がんばろう」の文字とを組み合わせた語が、本願の指定商品を含む様々な商品又は役務を取り扱う業界において広く使用されているいくつかの例を示したにすぎないものである。また、「日本がんばろう」と「がんばろう日本」とが、これに接する取引者、需要者の判断において、相違するものとみるべき取引の実情は見当たらない。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、標語の一として認識されるにすぎず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であること、上記(1)のとおりである。
ウ したがって、上記ア及びイのとおり、請求人の主張はいずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)2008年10月19日付け「朝日新聞」(東京朝刊 7頁 1経済)に、「消費刺激 『値下げ』で勝負 スーパー」の見出しの下、「スーパー各社が、食料品や日用品で『一斉値下げ』を前面に打ち出し始めた。・・・ダイエーが18日に始めた『がんばろう日本!とことん価格』キャンペーン。東京都目黒区の碑文谷店では、約4割引きのケチャップやサラダ油が夕方前に売り切れた。」との記載がある。
(2)2011年4月27日付け「日本農業新聞」に、「『がんばろう日本!被災地復興応援フェア』開く/JA東京グループ」の見出しの下、「【東京】JA東京グループは26日、渋谷区のJA東京南新宿ビル前で『がんばろう日本!被災地復興応援フェア』を開いた。風評被害が発生している関東地方の各県の水菜、ホウレンソウ、カブなどの農産物の販売を行い、通行人らに風評被害の払拭と被災地の応援を訴えた。」との記載がある。
(3)2011年5月11日付け「読売新聞」(東京朝刊 30頁)に、「松坂屋で伝統工芸展=静岡」の見出しの下、「・・・全国の工芸品店35店から、職人約30人が集い、出品は数万点に及ぶ。<工芸品で暮らしに彩りを がんばろう日本>をキーワードに、被災地の東北地方からも『南部鉄器』(岩手県)や『会津総桐たんす』(福島県)などが出品される。」との記載がある。
(4)2011年6月15日付け「日本食糧新聞」に、「ヤマダフーズ、『白神の水 がんばろう日本!』発売」の見出しの下、「【東北】納豆メーカーのヤマダフーズ(秋田県美郷町)は5月12日から、『白神の水 がんばろう日本!』を発売している。・・・東日本大震災支援で、売上げの2%を日本赤十字社を通じて震災復興義援金として寄付する。」との記載がある。
(5)2013年8月1日付け「毎日新聞」(地方版/大阪 22頁)に、「堺大魚夜市:掛け声響く/大阪」の見出しの下、「夏の風物詩とされる『堺大魚夜市』が31日、堺市堺区の大浜公園で開かれた。『がんばろう日本!堺から元気!』をテーマに大勢の人出でにぎわった。恒例の『魚セリ』には、20団体が出店。新鮮なタイやタコ、サザエなど海産物が並び、『買うてや、買うてや』と威勢のいい掛け声が響いた。」との記載がある。
(6)「TezukaOsamuOfficial」 のウェブサイトにおいて、「ニュース/ミテ☆ミテ/『2012 手塚治虫キャラクターカレンダー』 販売と寄付金のご報告」の見出しの下、「(2012/03/16)/昨年9月から販売させていただきました、『2012 手塚治虫キャラクターカレンダー』の販売と寄付金のご報告をさせていただきます。『日本がんばろう!!』収益の一部を東日本大震災の復旧・復興支援のために寄付するご案内の下、企業、学校、個人の皆様や弊社イベント・ショップにてご購入いただきました。」との記載がある。
(http://tezukaosamu.net/jp/news/n_890.html)
(7)「KANKO!」のウェブサイトにおいて、「ニュースリリース/11年12月05日/あおぞら銀行Presents “Blue Sky Concert 2011 in SENDAI”開催のご報告」の見出しの下、「株式会社KANKO(本社:東京都)は、2011年11月28日、仙台市戦災復興記念館にて開催された、『あおぞら銀行Presents “Blue Sky Concert 2011 in SENDAI”』の企画運営協力を行いました。・・・参考『“こころの復興”プログラム?日本がんばろう演奏会?』について/株式会社KANKOでは、被災された方への支援活動として、『日本フィルハーモニー交響楽団』と提携し、被災地に音楽を届け、共に復興への足掛かりとすることを目的とした『“こころの復興”プログラム?日本がんばろう演奏会?』を実施しております。・・・現在、当プログラムの趣旨にご賛同頂ける企業様へのご支援を募っております。」との記載がある。
(http://www.kanko-sp.co.jp/topics/archives/111201_1352.html)
(8)「News2u.net」のウェブサイトにおいて、「富士桜高原麦酒、地ビールレストラン・シルバンズ『代々木オクトーバーフェスト2011』に出店!/『がんばろう!日本 東日本のゲストビール』として、東北の地ビールも販売!!/富士観光開発株式会社/2011年7月20日」の見出しの下、「東日本大震災で被災された東北・東日本の地ビールメーカーを応援しようと5月に開催された『日比谷オクトーバーフェスト』に続き、今回は、『がんばろう日本・東日本のゲストビール』として、青森県の『シャトーカミヤ八戸』のビールを販売させていただきます。」との記載がある。
(http://www.news2u.net/releases/87764)
(9)「雪印メグミルク」のウェブサイトにおいて、「NEWS RELEASE/2011年(平成23年)11月2日/?期間限定!青森産ふじりんごのおいしさをパックしました?/『青森産ふじりんご』500ml/2011年11月15日(火)全国で期間限定発売!」の見出しの下、「・・・パッケージには、筆文字で商品名と青森をイメージさせる岩木山を配し、りんごの存在を強調することで季節感を表現しました。“がんばろう日本”のキャッチフレーズで日本を応援します。」との記載がある。
(http://www.meg-snow.com/news/2011/pdf/20111102-258.pdf)
(10)「国土交通省 観光庁」のウェブサイトにおいて、「報道・広報/『がんばろう!日本』?官民合同による国内旅行振興キャンペーン第1弾スタート!!?」の見出しの下、「最終更新日:2011年4月21日/・・・これとともに、今般、旅行を通じた被災地域復興支援及びそれ以外の地域への旅行振興を図るべく、観光・交通関係業界と連携して、官民合同による『国内旅行振興キャンペーン』を実施することといたしました。第1弾の取組として、旅行を通じた被災地への直接の支援に資する取組や、風評被害の払しょくにつながる取組等のシンボルとして、『がんばろう!日本』というフレーズとともに、共通のロゴを掲げ、観光・交通関係業界と一丸となって、国内旅行の振興を図ってまいります。」との記載があり、(http://www.mlit.go.jp/kankocho/news05_000091.html)また、同ウェブサイトに、「報道・広報/『がんばろう!日本』ロゴ・キャッチフレーズをご活用下さい!」との見出しの下、「最終更新日:2011年6月13日/国内旅行振興キャンペーンでは、『がんばろう!日本』というロゴ・キャッチフレーズを使用しておりますが、このロゴ・キャッチフレーズについては、7月以降も使用してまいります。引き続き、業界・関係者の皆様のご活用をお願いいたします。・・・対象:[1]観光・旅行を通じて、被災地に対する直接の支援につながる取組(例えば、義援金付ツアーの実施、ボランティアツアーの実施等)/[2]風評被害を受けている主に東日本向け旅行を促進させる取組/[3]その他、全国における国内旅行需要を喚起させる取組/・キャッチフレーズ 『がんばろう!日本』部分については、ご使用者において、適宜フォント・文字サイズについて自由に設定していただいて構いません。」との記載がある。
(http://www.mlit.go.jp/kankocho/topics05_000030.html)


審理終結日 2014-01-29 
結審通知日 2014-02-21 
審決日 2014-03-06 
出願番号 商願2012-64492(T2012-64492) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W32)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 冨澤 美加 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 浦辺 淑絵
原田 信彦
商標の称呼 ニッポンガンバロウ、ニッポンガンバロー、ガンバロウ、ガンバロー 
代理人 磯兼 智生 

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