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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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異議2013900330 | 審決 | 商標 |
異議2013900342 | 審決 | 商標 |
異議2013900203 | 審決 | 商標 |
異議2013900243 | 審決 | 商標 |
異議2013900276 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W10 審判 全部申立て 登録を維持 W10 審判 全部申立て 登録を維持 W10 審判 全部申立て 登録を維持 W10 |
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管理番号 | 1287675 |
異議申立番号 | 異議2013-900146 |
総通号数 | 174 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2014-06-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2013-05-20 |
確定日 | 2014-05-08 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5557576号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5557576号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5557576号商標(以下「本件商標」という。)は、「SonoScape」の欧文字を横書きしてなり、平成24年9月10日に登録出願、第10類「医療用機械器具,超音波治療機械器具,医療用分析装置,手術用機械器具,血液検査器,診断用機械器具,耳鼻咽喉科用機械器具,眼科用機械器具,心電計,内視鏡」を指定商品として、同25年1月30日に登録査定、同年2月25日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第4395022号商標(以下「引用商標1」という。)は、「SONOSITE」の欧文字を標準文字で表してなり、1998年12月30日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成11年6月18日に登録出願、第10類「診断用機械器具,その他の医療用機械器具,家庭用電気マッサージ器,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,氷のう,氷のうつり,綿棒,指サック,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く)」を指定商品として、同12年6月23日に設定登録されたものである。 (2)登録第4745911号商標(以下「引用商標2」という。)は、「SONOSITE TITAN」の欧文字を標準文字で表してなり、2003年1月10日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成15年4月30日に登録出願、第10類「医療用超音波発生及び発射装置,医療用超音波診断装置,その他の医療用機械器具」を指定商品として、同16年2月6日に設定登録されたものである。 以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という。 3 本件登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標の登録を取り消すべきであるとして、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第165号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、欧文字「SonoScape」を横書きに表してなるものであり、他方、引用商標は、それぞれ「SONOSITE」(標準文字)及び「SONOSITE TITAN」(標準文字)であり、いずれの商標も、「SONO」を接頭辞とし、それに続く「S」を共通にする。 かかる共通要素は、取引者、需要者の注意を最も惹く各商標の語頭に位置し、該共通要素が最も需要者等の記憶に留まることは想像に難くない。 よって、本件商標と引用商標とは、外観上、一見して峻別することは容易ではない。 また、本件商標は、辞書等には記載されていない造語と考えられる(甲4及び甲5)。欧文字からなる造語の場合、わが国で最も馴染みのある外国語である英語風に称呼されることが通常であり、本件商標からは、「ソノスケイプ」の称呼が生じる。 他方、引用商標1からは、「ソノサイト」との称呼が生じ、引用商標2からは、「TITAN」が商品の材質を表していると理解することもできるから、「ソノサイト」の称呼が生じる。 いずれの商標も、称呼の識別上最も重要な要素を占める語頭の2音が共通する。簡易・迅速を尊ぶ現実の取引においては、商品に付された商標が省略され、語頭の数文字によって取引に資されることも珍しくない。 そうすると、本件商標及び引用商標は、共に「ソノ」と略称される場面も少なくないと考えるのが相当である。 申立人は、1998年にソノサイト・インコーポレイテッドとして設立され、米国ワシントン州シアトル郊外に本社を有する。申立人は、世界初の携帯型超音波診断装置の開発に成功し、主として携帯型超音波診断装置の開発・製造、マーケティングに従事している。申立人は、1998年7月から商標「SONOSITE」の使用を開始し、日本では、翌1999年からその使用を開始しており、他の国・地域においても広く使用している。申立人は、商標「SONOSITE」について、37の国・地域において登録している(甲6ないし甲44)。 申立人は、商標「SONOSITE」の他、「SONO」を接頭辞とする商標を、世界各地で登録しており又はしていた(甲45ないし甲65)。 また、上記の世界各国における登録例を考慮すると、超音波診断装置を始めとする医療機械器具の分野においては、「SONO」を接頭辞とする商標によって、申立人が想起ないしイメージされることも少なからずあると考えられる。 してみれば、外観において、語頭部分が「SONO」で共通し、また、ともに「ソノ」と略称され得るのみならず、本件商標と引用商標は、イメージ(観念)においても共通点を有するものであり、これらの商標が、互いに類似すると考えるのが相当である。 そして,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、同一又は類似する。 してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当することは、明らかである。 (2)商標法第4条第1項第15号について 仮に、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当しないとしても、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は取り消されるべきである。 上述のとおり、申立人は、世界各国・各地において商標「SONOSITE」を医療関連機器について登録しており、さらに、「SONO」を接頭辞とする商標についても多くの国において登録している(甲6)。 申立人は、自己の製品のプロモーションのため、世界各地のトレードショーやトレーニングコースに参加し、その製品を出展している。 例えば、北米では、2012年に、アメリカ合衆国において114のトレードショーやトレーニングコースに、そしてカナダでは51のトレードショーに参加している。その他の国においても、日本において57のトレードショー等に参加し、中国では28、インドでは19、オーストラリア/ニュージーランドにおいて20のトレードショー等に参加している(甲66)。また、ヨーロッパでは、17の国際的なトレードショー等において、また各国においても、イギリスで15、イタリアで6、ドイツで6、フランスで25、スペインで8のトレードショー等に参加している。 申立人の総収入(revenue)は、2000年32百万ドル(約31.2億円)、2001年約46百万ドル(約44.8億円)、2002年約73百万ドル(約71.2億円)、2003年約85百万ドル(約82.9億円)、2004年約116百万ドル(約113.1億円)、2005年約147万ドル(約143.3億円)、2006年約171百万ドル(約166.7億円)、2007年約205百万ドル(約199.9億円)、2008年約244百万ドル(237.9億円)、2009年約227百万ドル(約221.4億円)、2010年約275百万ドル(約268.2億円)、2011年約306百万ドル(約298.4億円)、2012年約298百万ドル(約290.6億円)、2013年(1月-6月)約126百万ドル(約122.9億円)である(甲67)。 日本においても、申立人は、現在、40の代理店を有しており(甲68)、年間の売上は、2007年約1312百万円、2008年約1293百万円、2009年約1481百万円、2010年約1468百万円、2011年約1467百万円であった。また、申立人は、日本で、2008年約3.7百万円、2009年約8.5百万円、2010年約5.2百万円、2011年約5.2百万円を宣伝広告に費やし、種々の印刷物でその製品が紹介されている(甲69ないし甲74)。 日本以外でも、申立人は、自らの製品について継続的に宣伝・広告活動を行っており(甲75ないし甲165)、その「SONOSITE」ブランドは、医療機械器具、特に超音波を用いた機器の需要者等の間で広く知られている。申立人は、NBA(北米のプロバスケットボールリーグ)の推奨プロバイダー(preferred provider)として、同リーグに超音波医療機器を供給している。また、申立人は、NFL(ナショナルフットボールリーグ)に所属するシアトル・シーホークスの推奨プロバイダーである。NBA及びNFLは、ともに4大プロスポーツとして人気を博しており、同リーグないし同リーグに所属するプロチームに推奨プロバイダーとして指定されている申立人は、日本の内外を問わず、その名を広く知られている。 また、上記(1)で述べたとおり、申立人は、世界各国において「SONO」を接頭辞とする商標を、数多く登録・使用しており、医療機械器具、特に超音波診断装置の分野においては、語頭に「SONO」が位置するブランドは、申立人のブランドとして認識、理解される傾向が高い。 そうすると、申立人が所有する「SONOSITE」を始めとする、「SONO」ブランド同様、「SONO」を接頭辞とする本件商標に、医療機械器具の分野における取引者、需要者が接した場合、本件商標が、恰も申立人のプランドであるかの如く誤認され、当該製品の出所について混同が生ずるおそれを否定することはできない。 実際に、申立人及び商標権者が共に出展した、2012年3月20日から4月1日に開催された米国超音波医学会議の場で、同会議に出席していた申立人の販売責任者であるクリスティーン・クイン氏及びクレイグ・ジェンセン氏は、商標権者からの出席者から「数多くの参加者が、申立人のブースだと勘違いして、商標権者のブースに訪れていた。」、「参加者から、『M-Turbo』に関する質問を多く受けた。」(実際には、『M-Turbo』は申立人の製品である)、「(商標権者からの出席者が)日がな一日、申立人のブースと勘違いした参加者に事情を説明し、申立人のブースに誘導した」といった話をされたと証言している。 また、同会議では、商標権者からの出席者が、申立人の高性能で高価な製品を引き合いに出し、自己の製品が如何に安価であるかを謳い、プロモーションを行っていたことを証言している。 上記から理解できることは、「SONO」を接頭辞とするブランドに接する医療機械器具の需要者等は、真っ先に申立人を想起するという事実である。医療機械器具、特に超音波診断装置等は、一般のユーザーが使用するものではなく、医療従事者等、専門的な知識を有する者が主として使用する。すなわち、相当程度高い知識、注意力を有する需要者をして、「SONOSITE」と「SonoScape」が何らかの関連を有するブランドであると誤認せしめるのであるから、一般ユーザーが日常的に使用する医療機器に関しては、さらに商品の出所を混同し、商標権者の製品が、恰も申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の製品であるかの如く誤認し、その出所について混同するおそれが一層高いといわざるを得ない。 しかも、前出の商標権者からの出席者が、申立人のブースと勘違いして訪れた参加者に対して、「(高性能で高価な)申立人の製品に対して、自己の製品が如何に安価であること」を説明し、自己の製品のプロモーションを行うことは、申立人が長年の営業努力により獲得して極めて高い業務上の信用に対してただ乗りをする行為であるといわざるを得ない。 上記事実が、本件商標の出願日である平成24(2012)年9月10日前であることを考慮すると、本件商標の出願時及びその査定時において、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当していたことは明らかであり、よって、本件登録は、取り消されるべきである。 (3)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するものであるから、本件商標の登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標について 本件商標は、「SonoScape」の欧文字を横書きしてなるところ、外観上まとまりよく一体に表されており、これから生じる「ソノスケイプ」の称呼も無理なく一連に称呼できるものである。 また、本件商標の構成中「Sono」の文字部分を抽出し、他人の商標と比較すべき特段の理由は見いだせない。 そうすると、本件商標は、「ソノスケイプ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない一種の造語からなるものというのが相当である。 イ 引用商標について (ア)引用商標1は、「SONOSITE」の欧文字を標準文字で表してなるところ、同書、同大、等間隔でまとまりよく一体に表されており、これから生じる「ソノサイト」の称呼も無理なく一連に称呼できるものである。 また、引用商標1の構成中「SONO」の文字部分を抽出し、他人の商標と比較すべき特段の理由は見いだせない。 そうすると、引用商標1は、「ソノサイト」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない一種の造語からなるものというのが相当である。 (イ)引用商標2は、「SONOSITE TITAN」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「SONOSITE」の文字は、同書、同大、等間隔でまとまりよく一体に表されており、また、「TITAN」の文字は、その指定商品との関係において、「商品がチタン製であること」を表示したものと認識されるにすぎないものであるから、該文字部分からは、商品の出所識別標識としての称呼及び観念は生じない。 してみれば、引用商標2の構成中の「SONOSITE」の文字部分が独立して、商品の出所識別標識としての機能を発揮するというべきである。 また、引用商標2の構成中「SONO」の文字部分を抽出し、他人の商標と比較すべき特段の理由は見いだせない。 そうすると、引用商標2は、「ソノサイト」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない一種の造語からなるものというのが相当である。 ウ 本件商標と引用商標との類否について (ア)本件商標と引用商標の外観について比較すると、両者は語頭の5文字を共通にするものの、文字種及び構成態様を異にするから、十分に区別できるものである。 (イ)本件商標と引用商標から生じる称呼について比較すると、「ソノスケイプ」と「ソノサイト」とは、語頭の「ソノ」の音を共通にするものの、それに続く「スケイプ」と「サイト」は音数が異なり、音構成も明らかに相違するから、それぞれを一連に称呼するときは、語調、語感が異なり、互いに相紛れるおそれはない。 (ウ)本件商標と引用商標から生じる観念について比較すると、両者はともに特定の観念は生じないから、互いに相紛れるおそれはない。 エ 小括 以上よりすれば、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 申立人の商標「SONOSITE」の著名性及び申立人の使用に係る商品について 申立人の提出に係る甲各号証及び申立人の主張によれば、以下の事実が認められる。 (ア)申立人は、世界初の「携帯型超音波診断装置」を開発し、1998年7月から商標「SONOSITE」の使用を開始し、日本では、1999年から使用を開始した。 (イ)申立人は、商標「SONOSITE」のほか、「SONO」を接頭辞とする商標を、世界各地で登録しており又はしていた。 (ウ)申立人は、自社製品のプロモーションのため、世界各地のトレードショー等に参加し、製品を出展しており、2012年日本において、57のトレードショー等に参加している。 (エ)申立人の総収入は、2007年から2012年では、約200億円から約300億円であり、また、日本における40の代理店の売上は、2007年から2011年では、約12億円から約14億円である。 (オ)申立人の日本における宣伝広告費は、2008年から2011年では、約400万円から約900万円である。 以上を総合すると、申立人の商標「SONOSITE」は、「携帯型超音波診断装置」の商標として、該装置の需要者、取引者の間である程度知られていることが伺えるものの、トレードショー等の規模や商標「SONOSITE」を使用した商品の業界におけるシェアなどは明らかでないことから、申立人の業務に係る商標として著名となっているとまではいえないというのが相当である。 イ 本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。 そして、本件商標からは、引用商標の使用の事実を考慮したとしても、引用商標を連想、想起するようなことはなく、両商標は全く別異のものとして認識し把握されるとみるのが相当である。 ウ 小括 以上よりすれば、商品「携帯型超音波診断装置」について使用する商標「SONOSITE」は、医療用機械器具の分野の取引者、需要者の間である程度知られているとしても、上記(1)のとおり、本件商標と申立人の商標「SONOSITE」とは、類似しない別異の商標であるから、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者が「SONOSITE」を連想、想起することはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2014-04-25 |
出願番号 | 商願2012-73109(T2012-73109) |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W10)
T 1 651・ 263- Y (W10) T 1 651・ 271- Y (W10) T 1 651・ 262- Y (W10) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 蛭川 一治 |
特許庁審判長 |
渡邉 健司 |
特許庁審判官 |
前山 るり子 大森 健司 |
登録日 | 2013-02-15 |
登録番号 | 商標登録第5557576号(T5557576) |
権利者 | ソノスケープ カンパニー リミテッド |
商標の称呼 | ソノスケープ、ソノスケイプ、スケープ |
代理人 | 城山 康文 |
代理人 | 北口 貴大 |
代理人 | 深見 久郎 |
代理人 | 岩瀬 吉和 |
代理人 | 竹内 耕三 |
代理人 | 森田 俊雄 |
代理人 | 向口 浩二 |
代理人 | 永岡 愛 |