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審決分類 審判 一部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X03
審判 一部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X03
審判 一部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X03
管理番号 1287620 
審判番号 無効2012-890054 
総通号数 174 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-06-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-06-19 
確定日 2014-05-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第5494262号商標の商標登録無効審判事件についてされた平成25年2月1日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成25年(行ケ)第10065号、平成25年12月18日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 登録第5494262号の指定商品中、第3類「化粧品」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第5494262号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成23年11月11日に登録出願、第1類「水,窒素化合物,界面活性剤,化学剤,その他の化学品,人工甘味料」及び第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,アロマオイル,エッセンシャルオイル,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同24年4月23日に登録査定、同年5月18日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が、本件商標の無効の理由に引用する登録商標は、以下の1ないし3のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第5408589号商標(以下「引用商標1」という。)は、「RAFFINE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成22年11月2日に登録出願、「化粧品」を含む第3類、第8類、第21類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同23年4月22日に設定登録されたものである。
2 登録第5411218号商標(以下「引用商標2」という。)は、「RAffINE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成22年8月24日に登録出願、第3類「化粧品,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同23年5月13日に設定登録されたものである。
3 登録第5431315号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲2のとおり、「ff」の文字部分をやや図案化した「RAffINE」の欧文字よりなり、平成23年2月4日に登録出願、「化粧品」を含む第3類、第8類、第21類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年8月12日に設定登録されたものである。
以下、上記登録商標をまとめていうときには「引用各商標」という。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、請求の理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第24号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
(1)本件商標と引用各商標との類似性
ア 本件商標の称呼・観念・外観について
本件商標は、第1段目に「Raffine」のアルファベット文字を横書きし、第2段目に「Style」のアルファベットの文字の横書きと円形図形が配置されている。かかる「Raffine」の文字は、引用各商標と同一の称呼「ラフィネ」が生ずる文字である。第2段目の「Style」の文字は、「スタイル」の称呼が生じ、全体では「ラフィネスタイル」の称呼を生ずる。
本件商標では、外観において、第1段目の「Raffine」の文字部分と第2段目の「Style」の文字部分とが一連一体に構成されているとは言えず、明らかに分離しており、「Raffine」の文字部分のみを独立して認識でき、商標を観察した場合、第1段目の「Raffine」の文字部分が初めに認識される部分と言える。
さらに、第1段目の「Raffine」の文字は「上品な、洗練された」という意味を有する英語又はフランス語の形容詞であり、第2段目「Style」の文字は「スタイル、型、生活様式」等を意味する英語の名詞である。指定商品の中に化粧品を含む本件商標においては、第2段目の「Style」の文字は特別な観念を生じず、第1段目の「Raffine」の文字に、商品に印象を与える特別な観念が生じていると言える。
以上より、本件商標における自他商品識別力が強い要部は、第1段目の「Raffine」の文字部分であると考えられる。
イ 引用各商標の称呼・観念・外観について
引用商標1は「RAFFINE」の、引用商標2は「RAffINE」のアルファベット文字を標準文字で表してなり、また、引用商標3は別掲2に示すとおりの「RAffINE」の文字を書してなるものであり、引用各商標からは、それぞれの文字に照応して「ラフィネ」の称呼を生ずる。また、「RAFFINE」の文字は「上品な、洗練された」という意味を有する英語またはフランス語の形容詞であり、指定商品に対して印象を与える特別な観念が生じている。そして、引用商標1はいずれも大文字で構成されており、引用商標2は「ff」の文字部分が小文字で、残りの文字部分はいずれも大文字で構成され、引用商標3のアルファベット文字は別掲2のとおり「ff」の文字部分が若干図案化され、他の文字部分に比べてやや縦長の構成となっている。
ウ 本件商標と引用各商標の類否
上述のとおり、本件商標からは、その全体から「ラフィネスタイル」の称呼が生ずるほかに、要部である第1段目の「Raffine」の文字部分から「ラフィネ」の称呼及び「上品な、洗練された」という観念が生ずる。
一方、引用各商標からは、その構成より「ラフィネ」の称呼が生じ、「上品な、洗練された」という観念が生ずるものである。また、本件商標の要部である「Raffine」の文字部分と、引用各商標とでは、アルファベット文字のつづりが同一である。
本件商標の要部において大文字で表記されたのが最初の1文字「R」だけであるのに対し、引用各商標においては、構成7文字のうち、引用商標1では全ての文字が大文字で記載されている点、また、引用商標2及び引用商標3では最初の2文字「RA」と後半3文字「INE」が大文字で表記された点でのみ相違するものである。さらに、引用商標3においては、「ff」の文字部分が若干図案化され、他の文字部分よりもやや縦長に構成されているものの、他の文字部分と合わせて一連一体に構成されていると言える。また、本件商標は緑色の色彩を付されているが、黒い文字で記載された引用各商標との間において、色彩の違いによって外観上の相違を顕著に示すものとは認められない。したがって、本件商標の要部と引用各商標は外観上も相紛らわしいものと言うべきである。
よって、本件商標は、引用各商標と称呼・観念・外観において類似するというべきである。
(2)本件商標と請求人の化粧品ブランド「RAffINE」との類似性
ア 請求人の化粧品ブランド「RAffINE」の称呼・観念について
請求人の化粧品ブランド「RAffINE」からは「ラフィネ」の称呼が生ずる。また「RAffINE」は「上品な、洗練された」という意味を有する英語又はフランス語の形容詞であり、請求人の化粧品ブランドにおける商品に対して特別な観念が生じている。
イ 本件商標と請求人の化粧品ブランド「RAffINE」の類否
本件商標は、上記(1)アのとおり、その全体から「ラフィネスタイル」の称呼が生ずるほかに、要部である第1段目の「Raffine」の文字部分から「ラフィネ」の称呼及び「上品な、洗練された」という観念が生ずる。
一方、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」からは、「ラフィネ」の称呼が生じ、「上品な、洗練された」という観念が生ずるものである。
したがって、本件商標の要部である「Raffine」の文字部分と請求人の化粧品ブランド「RAffINE」は同一の称呼と観念を生ずるものである。
よって、本件商標は、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」と称呼・観念において類似するというべきである。
(3)請求人の化粧品ブランド「RAffINE」の周知性・著名性について
請求人は、2012年4月現在、日本全国に17店舗の販売店を展開し(甲11-1)、「RAffINE」を冠した化粧品を販売している。また、インターネット上の自社ホームページの物販サイト(甲11-2)、Yahoo及び楽天の物販サイトでも製品を販売している(甲11-3)。製品の宣伝広告も継続的に行っており、全国70局でのテレビ放映や120種類を超える紙媒体の広告を通じて製品販売の促進を図っている(甲11-4)。 これら請求人の営業努力の結果、化粧品ブランド「RAffINE」製品は売上を伸ばし、「化粧品マーケティング要覧2011年No.1(株式会社富士経済)」によると、化粧品モイスチャー分野にて、2008年から2011年にかけて、メーカー別シェアで3位、ブランド別シェアで「RAffINE」ブランドが2位の位置を占めている(甲11-5)。また、楽天の物販サイトにて複数回にわたって賞を受賞している(甲11-6)。さらに、近年では物販サイトヘのアクセス数が顕著に増加しており、請求人の会社およびブランド製品の認知度がさらに高まっていることが分かる(甲11-7)。
以上のことから、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」は、請求人の販売する化粧品ブランドを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと考えられる。
(4)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、第1段目に引用各商標と同一の称呼を生ずる文字「Raffine」を含むものであり、「Raffine」の文字部分が本件商標の要部であるため、上記(1)において詳述したとおり、本件商標の称呼・観念・外観は、引用各商標の称呼・観念・外観と類似する。また、本件商標に係る指定商品には「第3類 化粧品,つけづめ,つけまつ毛」が含まれ、引用各商標の指定商品にも「第3類 化粧品,つけづめ,つけまつ毛」が含まれる。
したがって、本件商標に係る指定商品は、引用各商標の指定商品と同一又は類似するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5) 商標法第4条第1項第15号について
ア 商標法第4条第1項第15号の判断基準
本件商標が請求人の化粧品ブランド「RAffINE」の表示との間で出所の混同を生じさせるおそれについて、最高裁判所判決(甲13)が判示する判断基準に沿って検討していく。
イ 本件商標と請求人の化粧品ブランド「RAffINE」の類似性の程度
上記(1)において詳述したとおり、本件商標の要部は第1段目の「Raffine」の文字部分であり、これからは「ラフィネ」の称呼が生じ、「上品な、洗練された」という観念が生ずる。
一方、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」からは、「ラフィネ」の称呼が生じ、「上品な、洗練された」という観念が生ずるものである。
したがって、本件商標の要部である「Raffine」の文字部分と請求人の化粧品ブランド「RAffINE」は同一の称呼と観念を生ずるものである。
よって、本件商標は、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」と類似するというべきである。
ウ 請求人の化粧品ブランド「RAffINE」の周知性・著名性
上記(3)において詳述したとおり、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」は、請求人の販売する化粧品ブランドを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと考えられる。
エ 商品間の関連性、取引者・需要者の共通性
本件商標の指定商品には、第3類「化粧品」が含まれている。一方、請求人は、「RAffINE」を冠する化粧品をブランド展開し、各種商品を店舗やインターネット上の自社ホームページの物販サイトなどで販売している。
ここで「化粧品」とは、需要者の嗜好性や使用する体の部位に応じて、多種多様な製品群を含むものではあるが、いずれも「体を清潔にしたり、見た目を美しくしたりする」という目的をもって購入・使用される点で共通している。また、本件商品の指定商品と請求人の販売する化粧品の需要者は、主に女性を中心とする一般消費者であり、需要者が共通するものである。また、これらの販売場所は店舗やインターネット上であり、販売場所の範囲は一致している。
以上の点から、本件商標の指定商品に含まれる化粧品と請求人の業務に係る商品は、極めて密接な関連性を有するものである。
オ 出所混同の有無
上述したとおり、本件商標と請求人の化粧品ブランド「RAffINE」が類似すること、「RAffINE」が請求人の販売する化粧品ブランドを表示するものとして需要者の間に広く認識されていること、本件商標の指定商品に含まれる化粧品と請求人の業務に係る商品が極めて密接な関連性を有するものであることを総合的に勘案すれば、被請求人が本件商標を指定商品「化粧品」に使用した場合、これに接する取引者又は需要者は、請求人の化粧品ブランドを連想し、当該商品があたかも請求人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあると言える。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(6) 商標法第4条第1項第19号について
ア 請求人の化粧品ブランド「RAffINE」の周知性・著名性
上記(3)において詳述したとおり、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」は、本件商標の出願時及び査定時において、請求人の販売する化粧品ブランドを表示するものとして日本国内において、需要者の間に広く認識されているものと考えられる。
よって、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」は、商標法第4条第1項第19号に規定する「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」にあたる。
イ 本件商標と請求人の化粧品ブランド「RAffINE」の類似性の程度
上記(5)イにおいて詳述したとおり、本件商標は、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」と類似するというべきである。
ウ 被請求人の「不正の目的
商標法第4条第1項第19号について、「不正の目的」として具体的に想定されるケースとしては、「日本国内で全国的に著名な商標と同一又は類似の商標について、出所混同のおそれまではなくても出所表示機能を希釈化させたり、その名声を毀損させる目的をもって出願するケース」や、「その他日本国内又は外国で周知な商標について信義則に反する不正の目的で出願するケース」が該当する(甲14)。
ここで、被請求人は、本件商標の出願前である、平成23年9月29日時点において、請求人より内容証明郵便による警告書(以下「警告書」という。)を受領している(甲9)。この警告書には、被請求人が店舗及び通信販売にて販売するジェル状化粧品に「Raffine」の文字を含む商標を付して販売し、当該行為が請求人の引用各商標の権利侵害に該当する旨が記載されている。また、同警告書内にて、該当する商品の販売や宣伝広告の中止についても求めている。この事実を勘案すると、被請求人は、本件商標の出願前から、既に引用各商標の存在を知っていたことは明らかである。また、警告を受けながらも「Raffine」の文字を含む商標を指定商品「化粧品」について出願した経緯を考慮すると、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」が需要者の間に広く認識されている点に着目し、その周知性・著名性に便乗することで不当の利益を得ようとする目的が推認される。さらには、請求人の化粧品ブランドが有する顧客吸引力及び識別力を希釈する目的や、請求人の業務を妨害する目的をもって本件商標を出願した可能性があることも充分に考えられる。
よって、被請求人が本件商標を指定商品「化粧品」について使用することは、商標法第4条第1項第19号に規定する「不正の目的をもって使用するもの」にあたると言うべきである。なお、これら不正の目的が、本件商標の出願時及び査定時に存在していたことは言うまでもない。
エ 上述したとおり、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品の出所を表示するものとして日本国内の需要者の間に広く認識された化粧品ブランド「RAffINE」と称呼及び観念を同一とする類似商標であり、不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(7) 商標法第4条第1項第7号について
ア 「公序良俗を害するおそれがある商標」の解釈
商標法第4条第1項第7号は、公の秩序または善良の風俗を害するおそれのある商標は、商標登録を受けることができない旨規定している。商標出願において出願経過に社会的妥当性を欠く場合、不正の目的をもって出願されたものであることが明らかな場合には、かかる事情が存在するにもかかわらず結果として得られた商標登録を容認することは、商品の流通秩序を含む「公序良俗」を害するおそれがあると判断され、商標法第4条第1項第7号によって排除されるものである。
イ 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性
被請求人は、本件商標の出願日の前日である平成23年11月10日に、自身の行った商願2011-55832に対して特許庁からの刊行物等提出による通知を受領している(甲10)。通知書には、上記出願に対する商標法第4条第1項第11号の拒絶理由の引例として引用各商標が記載されており、後日、同内容の拒絶理由通知がなされた経緯が存在する(甲16)。なお、上記出願の商標は、第1段目が「Nail Raffine」のアルファベット文字を横書きしてなり、第2段目に「ネイルラフィネ」のカタカナ文字で横書きされた構成であり、本件商標と同じく「Raffine」の文字を有している。また指定商品は、第3類「化粧品」を含んでいる。
すなわち、被請求人は引用各商標を引例として、上記出願が拒絶される可能性を認識した上で、その事実を知った翌日である平成23年11月11日に本件商標を出願している。つまり本件商標の出願時には、被請求人が引用各商標の存在を知っていたことは明らかである。
また、被請求人は本件商標と類似する商標(バナー広告)を使用して本件商標の指定商品に含まれる「化粧品」の販売を行っている。このバナー広告の第3段目には、「ラフィネの通販サイト」と記載され、「通販サイト」の文字部分がサービスの質を表示するにすぎないことを考慮すると、一般消費者は「ラフィネ」の文字部分から、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」と関連する商品であろうと認識し、また、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」と関連する商品であることを期待すると考えるのが自然である。つまり、被請求人による本件商標に類似する商標を指定商品「化粧品」に使用する行為は、請求人の化粧品ブランドとの間で誤認・混同を生じさせるものであり、請求人の化粧品ブランドの顧客を自己の販売する商品に誘導し、利益を上げる目的が推認され、商標の不正使用とも考えられる。
さらに、被請求人による他人の業務に係る商品と誤認・混同を生じさせる行為として以下の2つの事案が挙げられる。
まず1件目の商願2009-58231の事案では、第1段目に「Raffine」のアルファベット文字を横書きにし、第2段目に「ラフィネクラブ」のカタカナ文字及び「Club」のアルファベット文字を筆記体で配置した構成の商標について、指定商品に第3類「化粧品」を含む形で被請求人は商標出願していた。この出願には、商標法第4条第1項第11号の拒絶理由が通知され、被請求人は上申書にて意見書提出の意思を表示し、特許庁からの意見書を提出すべき旨の通知書を受けながらも、最終的には意見書を提出せずに出願について拒絶査定が確定したという経緯が存在する。被請求人は出願中に、同商標を化粧品について使用しており、一連の行為は拒絶査定の確定を引き伸ばす目的があったものと推認される。また、被請求人の商標使用行為はその後も継続し、請求人の引用各商標に基づく警告を受けて初めて、使用を中止した事実が存在する(甲9)。
次に2件目の商願2011-55832の事案は、本項目の冒頭部分と重複するが、同商標出願には、引用各商標を引例とした商標法第4条第1項第11号の拒絶理由が通知され、やはり、被請求人は特許庁に対し上申書にて、意見書提出の意思を表示しており、同商標の化粧品についての使用も現在継続している状況である。同出願に対しては、未だ拒絶査定はなされていないものの、被請求人による化粧品について同商標を使用する行為は、請求人の化粧品ブランドとの間で誤認・混同を生じさせるものというほかない。
以上、2つの事案から、被請求人による商標出願とその後の経過における行為は、商標の不正使用に該当し、他人の業務に係る商品と誤認・混同を生じさせるものであり、公正な競業秩序を乱すものと考えられる。
また、本件商標の出願行為は、商願2011-55832が拒絶された場合にも、「Raffine」の文字を含む本件商標にて代替的に権利を取得しようとするものであり、「Raffine」を含む商標について拒絶から逃れるために出願したものにすぎず、その出願経過に社会的妥当性を欠くものである。上記(6)で述べたように、被請求人は、本件商標の出願時点において、請求人の化粧品ブランドの存在とその周知性・著名性を知っていたことが推認され、本件商標の出願行為は、請求人の商標に化体した社会的な信用及び業務上の信用を充分認識した上で、これを自己の利益に利用するものであって、不正の目的をもって出願されたことが明らかであると考えられる。
したがって、かかる事情が存在するにもかかわらず、本件商標が登録された状態は、商品の流通秩序を含む公序良俗を害するおそれがあるものと言える。
よって、本件商標は、公正な競業秩序に反し、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標」に該当すると考えられ、商標法第4条第1項第7号に該当する。
2 答弁に対する弁駁
(1)商標法第4条第1項第11号違反について
被請求人は答弁書にて、引用各商標は単に「上品な、洗練された」の意味しかなく、本件商標は「上品な、又は洗練された表現、生活様式、暮らし方」を想起させるから、両商標は観念上、非類似であり、本件商標から生ずる称呼は「ラフィネスタイル」であり、称呼上も引用各商標とは非類似であると主張している。
しかしながら、指定商品「化粧品」との関係を考慮した場合、形容詞である「Raffine」の「上品な、洗練された」の意味が与える観念の影響が重要であるから、被請求人が主張する「上品な、又は洗練された表現、生活様式、暮らし方」についても、上記形容詞の部分がなければ特定の観念を生じさせるものとはいえない。名詞である「style」の「表現、生活様式、暮らし方」の意味を強引に組み合わせることで、本件商標が引用各商標とは異なる印象を与えるような主張をもって、両者が観念上、非類似であるということは無理があるものというべきである。また、本件商標の構成を考慮すると、改行されているが故に、一般消費者が第1段目の「Raffine」の文字部分のみに着目することは充分に考えられる。
さらに、被請求人の子会社のホームページにおいて、バナー広告を使用して物販サイトを導き(乙7)、この物販サイトにおいて、「ラフィネ」単体の文字のみが高頻度に現れている画面構成を考慮しても、被請求人が意図的に「ラフィネ」部分のみを独立の出所表示の客体として周知しているものであって、これに従って、一般消費者が「Raffine」の文字部分のみに着目することは充分に考えられる。
以上より、本件商標の要部は第1段目の「Raffine」の文字部分であり、観念・称呼・外観において引用各商標と類似するものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号違反について
被請求人は、答弁書にて、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」自体が需要者の間に広く認識されている証拠は見出せないと主張する。
しかしながら、化粧品分野において、製品群に共通して冠されたブランド名が需要者に強い印象を与え、需要者の購買意欲を刺激することは経験則上明らかであり、化粧品業界の各社は、複数の製品に共通したブランド名を付して製品展開を行い、製品群としてのブランド価値を高めることで顧客獲得を図っており、化粧品マーケティング要覧(甲11-5)において、ブランド名別のシェアが別途掲載されている点からも、ブランド名が需要者に強い印象を与え、業界的にも重要視されていることは明らかである。
請求人も、複数の製品に共通して「RAffINE」なるブランドを冠して販売を行っている(甲11-2、甲19ないし甲21)ところ、共通のブランドを冠した製品群の中に基幹商品が存在すること、基幹商品が需要者に浸透して周知性を獲得することにより、製品群のブランド名も周知性を獲得することは経験上明らかであり、請求人の化粧品ブランド中で「ラフィネパーフェクトワン」が基幹商品であったとすると、当該商品の売り上げ数の増加に伴って、化粧品ブランド「RAffINE」についても周知性を獲得していくことは自然な流れである。
また、被請求人は、「請求人は、新聞全面広告において『ラフィネパーフェクトワン』及び『パーフェクトワン』を高頻度に使用しており、『RAffINE』そのものは使用していない」旨主張するが、新聞全面広告において、商標「RAffINE」が単独で認識される写真が掲載されている(乙4)から、被請求人の上記主張は事実に反している。
以上より、被請求人の、請求人が自己の登録商標を商品に使用しないとする主張は失当であり、甲第11号証で示したように、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」は需要者の間に広く認識されていると考えるべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号違反について
被請求人は、被請求人が指定商品「化粧品」について有する警告書前の先行商標(登録第5364255号商標(乙1)、登録第5364256号商標(乙2)及び登録第5368467号商標(乙3) 以下これらをまとめて「先行各商標」という。)の存在を根拠として、本件商標は「不正の目的」をもって使用されるものではないと主張する。
しかしながら、警告書前の先行各商標が存在するとしても、商標法第4条第1項第19号の判断は本件商標に対して行うものであり、被請求人自身が、警告書に対する回答書において、商標「RaffineClub/ラフィネクラブ」の使用を中止していることを明らかにしていることからも、被請求人において、請求人の化粧品ブランドの周知性に便乗して不正の利益を得、その顧客吸引力及び識別力を希釈し又は請求人の業務を妨害することなどの不正の目的を有するに至る十分な動機が存在したことが窺えるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第7号違反について
被請求人は、被請求人の商標(バナー広告)の使用は誤認・混同が生ずるものではないから不正使用ではなく、また、ホームページに化粧品に関する記載がないから、購入者が化粧品に関する商標を連想することはない旨主張する。
しかしながら、被請求人は、バナー広告のリンク先の通販サイト(乙7)で化粧品の販売を行っており(甲22)、また、化粧品を指定商品に含む商標権を取得している事実(乙1及び乙2)からも、被請求人が化粧品についての使用意思があったことは明らかであり、こうした点を考慮すると、被請求人が化粧品を取り扱っているものであると購入者が考えることは自然である。バナー広告のリンク先の通販サイトでは、「ラフィネ」なる文言が単独で強調表示をして使用されており、また、「ラフィネ」の文字のみが高頻度に現れる画面構成であるから、「ラフィネ」と何らかの関連を有するウェブサイトであると需要者が認識し、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」に関連する通販サイトと認識すると考えるのが自然である。
さらに、被請求人が、「Raffine」の文字を単独で使用できないことは認めながらも、自身が使用する商標の一部に「Raffine」の文字部分を残した形で出願を行い、商標の使用を継続することは、結果として、請求人の商標に化体した業務上の信用を利用することにつながり、不正の目的をもった出願であることは否定できないと考えられる。
よって、被請求人の本件商標は公正な競業秩序に反するものではないとの主張は失当であり、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中の第3類「化粧品」について、商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第19号及び同第7号に該当するものであるから、商標法46条第1項第1号によりその登録を無効にされるべきである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号違反について
請求人は、本件商標が「Raffine」の文字と「Style」の文字との2段書きであり、「Style」の文字部分は指定商品「化粧品」との関係では特別の観念が生じないから、上段の「Raffine」の文字が商標の要部であり、これが引用各商標と称呼・観念・外観において類似すると主張している。
しかしながら、請求人も指摘するように「Raffine」の文字はフランス語で「上品な。洗練された」の意味を持ち、「Style」の文字は「表現方法、生活様式、暮らし方」などの意味を持つ言葉である。両者が一緒になった「Raffine Style」の文字では、「上品な、または洗練された表現、生活様式、暮らし方」を暗示させるものであり、一定の観念を看者に抱かせるものである。そして、この観念は指定商品「化粧品」についても何ら違和感のない観念である。引用各商標のように単なる「RAFFINE」だけでは、単に「上品な、洗練された」の意味しかないから、指定商品「化粧品」に使用すれば、それは「上品な洗練された化粧品」と看者に観念させるしかないであろう。これに対し、本件商標では指定商品「化粧品」に使用しても、これにより「上品な、または洗練された表現、生活様式、暮らし方」を想起させ、単なる「Raffine」の場合よりも化粧品という商品自体にとどまらず生活全体のスタイルに資するものであるかのような印象を与えるものである。したがって、観念上、非類似であると言うべきである。
このような観念上の非類似と相まって、本件商標は文字部分がたとえ2段書きに書されていても、全体としてまとまりがよく一体的に看取できるものであるから、これから生ずる称呼は「ラフィネスタイル」であり、「Raffine」のみに注目して「ラフィネ」と称呼されることはほとんどないと言うべきである。本件商標は、商取引においては「ラフィネ」と称呼するよりは「ラフィネスタイル」と称呼するのが常識的であり、称呼上も引用各商標とは非類似であり、外観上も、本件商標と引用各商標とは一見して明らかに非類似である。
以上のように、本件商標と引用各商標とは非類似であり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号には該当しないものである。
なお、被請求人は本件商標以外にも先行各商標を所有しており、引用各商標は、いずれも被請求人の先行各商標の後に出願されたものである。そして引用各商標は先行各商標の存在にも拘わらず登録されており、このことは「Raffine Style」と「RAFFINE」とが非類似と判断されたことを示している。もし請求人が主張するように「Style」の文字部分には識別力がないのであれば、引用各商標は先行各商標に類似するものとして拒絶されたはずであるが、「Raffine Style」と一体としたことにより、「RAFFINE」とは異なる観念が生じ、また異なる称呼となったものである。本件商標と先行商標2(乙2)は、一段書きと二段書きの点で異なるが、社会通念上は同一商標ともいうべき商標であり、全体としてまとまりよく一体的に看取されるものであり、そこから生ずる称呼は「ラフィネスタイル」である点には変わりがない。
この点からも、本件商標と引用各商標とは非類似であり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号には該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号違反について
請求人の主張は、本件商標と引用各商標とが類似することを前提としたものであるが、前述のように、これらは互いに非類似であることが明白であり、このような前提が成立し得ない本件では請求人の主張は成り立たない。
また、請求人は、請求人の所有する化粧品ブランド「RAffINE」が需要者の間に広く認識されていると主張しているが、化粧品ブランド「RAffINE」自体が需要者の間に広く認識されている証拠はどこにも見出せない。
請求人が使用している商標は「Perfect One/RAfflNE」と「ラフィネパーフェクトワン」が主であり、「RAffINE」などが単独で使用されているものはない(甲11-2)。また、Yahoo及び楽天の物販サイト(甲11-3)を見ても、「ラフィネパーフェクトワン」の商品名のみであり、「RAffINE」などを付した商品は皆無である。請求人は、化粧品モイスチャー分野においてメーカー別シェアで3位、ブランド別シェアで2位の位置を占めている(甲11-5)と主張しているが、記載によれば商品は「RAffINE」ではなく、「ラフィネパーフェクトワン」が商品名/ブランドであることを示している。楽天の物販サイトで賞を受けたのは「RAffINE」ではなく、「ラフィネパーフェクトワン」である(甲11-6)。
請求人自身も、実際に使用しているのは「RAffINE」ではなく、「ラフィネパーフェクトワン」である。最近の新聞全面広告においても使用されているのは、「ラフィネパーフェクトワン」と「パーフェクトワン」である(乙4の1?4)。
このような広告活動/販売活動によって需要者に広く知られるようになるものは、「ラフィネパーフェクトワン」であり、むしろ「パーフェクトワン」部分のみといえ、「RAffINE」そのものが周知性を獲得しているというのは根拠のない主張である。
いずれにしても、本件商標と引用各商標とは非類似である以上、本件商標は、請求人の化粧品ブランドであるという「RAffINE」とは取引の場において需要者・取引者が明らかに峻別できるものであり、出所混同のおそれはない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第19号違反について
請求人は、警告書(甲9)から、被請求人は請求人の引用各商標及び化粧品ブランドの存在を知っていたことは明らかであるから、被請求人が本件商標を化粧品に使用する行為は不正の目的をもって使用されるものと推認されると主張している。
被請求人が使用している本件商標並びに先行商標2は、いずれも、請求人の引用各商標とは非類似であり、請求人が化粧品ブランドであるとする「RAffINE」とも非類似の商標である。
なお、商標法第4条第1項第19号の適用には、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」の存在が必要となるが、請求人が主張する化粧品ブランド「RAffINE」自体が需要者の間に広く認識されているという証拠は何ら提出されていないことは先に述べたとおりである。
請求人は、警告書から、被請求人は請求人の引用各商標及び化粧品ブランドの存在を知っていたことは明らかであり、このことをもって被請求人が本件商標を化粧品に使用する行為は不正の目的をもって使用されるものであるとしている。何故、請求人の引用各商標及び化粧品ブランドの存在を知っていたことのみをもって、被請求人が「不正の目的」で本件商標を使用することになるのか、論理の飛躍がある。
被請求人は、引用各商標の出願より前に、先行各商標の登録を受けている。先行商標2は、本件商標と社会通念上同一の商標と言えるものであるが、新たに権利取得の要請があったので本件商標を出願したものであり、なんら「不正の目的」は存在しない。
先行各商標は、警告書が出された日付より1年以上前に出願、登録を受けているものであり、上記警告書から請求人の引用各商標及び化粧品ブランドの存在を知っていたから、本件商標は「不正の目的」をもって使用されるものであるとする推認は、成り立たない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号には該当しない。
4 商標法第4条第1項第7号について
(1)請求人の主張は、本件商標が請求人の引用商標3件及び化粧品ブランド「RAffINE」と類似するものであることを前提とした議論であるが、まずこの前提が成り立たないのはこれまで述べてきたとおりである。
(2)請求人は、本件商標が、被請求人が行った商願2011-55832(商標「Nail Raffine/ネイルラフィネ」 以下、省略する。)に対して特許庁からの平成23年11月10日付けの刊行物等提出による通知(甲10)がなされた翌日に出願されたものであり、通知書に記載された引用各商標の存在を知って本件商標を出願している、と主張している。
刊行物等提出による通知(甲10)は、刊行物等提出書による情報提供があったことのみを通知するものであり、どのような刊行物等が提出されたのかは閲覧請求をしなければ分からない事項である。被請求人が閲覧請求したのは、甲第10号証第1頁に記載の「閲覧請求24.01.23」の日付であり、拒絶理由通知書発送日の平成23年12月22日より後である。
本件商標の出願日が、上記商願2011-55832に対して特許庁からの上記刊行物等提出による通知の翌日というのは、たまたまその「翌日」になったものにすぎない。本件商標は、上記出願の拒絶理由となる引用各商標を知ってから出願したものではない。
もともと、被請求人は、請求人の引用各商標よりも先に出願し登録を受けた先行各商標を所有している。本件商標は先行商標2と社会通念上同一の商標と認識されるものであり、これを商標の使用態様として権利確保の確認のため、本件商標は第3類を含めて出願し登録を受けたものである。ここには何ら不正使用の意図はない。
(3)請求人は、被請求人による本件商標と類似する商標(バナー広告)を化粧品に使用する行為や、過去の別の出願経過から、被請求人は他人の業務に係る商品と誤認・混同を生じさせる商標の不正使用を行っていると考えられ、公正な競業秩序を乱すとも主張している。
請求人は先行商標2に対しても商標法第53条の規定による審判請求を行っており、大旨同様な主張を行っている(取消2012-300347)。乙第6号証及び乙第7号証は、取消2012-300347において請求人が提出した甲第5号証及び甲第6号証の写しである。乙第6号証は、被請求人の支配下にある子会社である株式会社ボディワークのホームページ(http://www.bodywork.co.jp/)であり、乙第6号証のバナー広告を使用し乙第7号証の通販サイトに導いていた。乙第6号証はその取得日時が記載されていないので作成日が不明であるが、その中のTopicsの最新日付が2012/04/12であることからその当時のものと思われる。現時点では、請求人指摘のバナーを使用しておらず、別異のバナーを使用している(乙8)。2012年4月のバナー(乙6)及び同年7月のバナー(乙8)中の本件商標及び先行商標2の部分が引用商標1ないし3と非類似であることはこれまでに述べてきたとおりである。
請求人は、広告バナーの3段目に「ラフィネの通販サイト」と記載され、「通販サイト」の文字部分がサービスの質を表示するにすぎないことを考慮すると、一般消費者は「ラフィネ」の部分から、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」と関連する商品であろうと認識し、また請求人の化粧品ブランド「RAffINE」と関連する商品であることを期待させるのが自然であるとも主張している。
しかしながら、乙第6号証(そして乙8にも)のホームページにはどこにも化粧品に関する記載はなく、たとえこのホームページに迷い込んだ購入者がいたとしても、化粧品に関する商品を連想させるものはない。
乙第6号証及び乙第8号証は被請求人の子会社(株式会社ボディワーク)のホームページのトップページであるが、ここに「ハートフルリラクゼーション」と書いてあるように、商標使用者(株式会社ボディワーク)はリフレクソロジー、ボディケア、マッサージなどのサービスを行っている。「Raffine/ラフィネ」ブランドは平成12年から既に商標登録を受け、広く知られたものとなっている。リフレクソロジー、ボディケア、マッサージなどについての教授も行い、「Raffine/ラフィネ」の他、多くの関連登録商標を親会社である被請求人が所有している。
上記株式会社ボディワークの店舗「ラフィネ」は全国展開しており、リラクゼーションマッサージの分野では広く知られたものとなっている。このことはインターネット上で検索すればすぐに分かる事項である。したがって、このホームページ(乙6及び乙8)に入れば、バナー広告の「ラフィネの通販サイト」とは、マッサージ・リラクゼーションサロンの「ラフィネ」が行っている通販サイトであるとすぐに認識し、その通販サイト名はバナー広告中に記載の「Raffine Style」であることを理解するのが自然である。実際、そのバナー広告をクリックして誘導されるのは、乙第7号証に示されるようにラフィネスタイルの通販サイトである。通販サイトの店名が「ラフィネ」であるかのように誤認させるものは全く存在しない。
請求人の化粧品ブランド「RAffINE」自体に周知性・著名性があるのかどうかについては、先に述べたようにその証拠は提出されていないが、本件商標は少なくとも請求人の化粧品ブランド「RAffINE」に便乗したものではない。被請求人が過去十数年にわたって築いてきた「Raffine」ブランドを通販事業に展開するにあたり、先行登録商標と抵触することのない商標(本件商標などの「Raffine Style」ブランド)を採択したものである。請求人の引用各商標や化粧品ブランドの顧客吸引力及び識別力を希釈し又は請求人の業務を妨害するものではなく、不正目的で使用するものでもない。
(4)請求人は、被請求人の商願2009-58231、商願2011-55832の出願経過についても種々述べているが、本件商標とは両事案とも関係のない事柄である(乙5)。
(5)請求人は、被請求人による本件商標の出願行為は、商願2011-55832が拒絶された場合にも、「Raffine」の文字を含む本件商標にて代替的に権利を取得しようとするものであり、出願経過に社会的妥当性を欠くと主張する。
本件商標が登録されたからといって、請求人の引用各商標や「ら・フィネ/LA・FINE」商標(登録第4753896号)などが存在する以上、被請求人が「Raffine」の文字を単独で使用出来る訳ではない。請求人は、被請求人が代替的に権利を取得すると主張するが、何を代替的に使用出来るのであろうか。本件商標が登録されると、上記出願の「Nail Raffine/ネイルラフィネ」も使用出来るようになるとは必ずしもならない。商標全体として引用各商標と非類似の商標であれば、その使用は正当な使用である。「Raffine」の文字部分のみを使用するというのであれば、これは引用各商標と明らかに類似であるから、もともと代替的な意味はない。請求人の主張は意味不明の主張である。
請求人のように「RAFFINE」などの引用各商標の存在を理由に、たとえ商標全体としてみれば明らかに非類似の商標であっても、「RAFFINE」の文字を有することのみを理由としてこれを排除しようとする行為は、これこそ権利の濫用であり、公正な競業秩序に反するものである。請求人がこのような行為を続けるのであれば、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標」に該当するのは、本件商標ではなく、むしろ請求人の所有する引用各商標である。
いずれにしても、本件商標は、商標法第4条第1項第7号には該当しない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、引用各商標のいずれとも非類似であり、商標法第4条第1項第11号には該当しない。また同法第4条第1項第15号、同第19号及び同第7号のいずれにも該当しない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標の構成
本件商標は、別掲1のとおり、緑色の「Raffine」と「Style」の各文字が二段に表記され(以下「Raffine/Style」という。)、「Style」の右横に、縁部に緑色の「WE LOVE HEARTFUL RELAXATION」の文字が環状に配置され、中央部に緑色の四つ葉状ないし花弁状の模様がある黄緑色の円形図形(以下「四つ葉マーク」という。)が配置されてなるものである。「Raffine/Style」の各文字には同じ字体が使用されており、四つ葉マーク内の「WE LOVE HEARTFUL RELAXATION」の文字に比べると、かなり大きく表記されているため、本件商標のうち、目を惹く部分は「Raffine/Style」と四つ葉マークであり、これらがひとまとまりのものとして取引者及び需要者に認識されるものと認められる。なお、四つ葉マーク内の上記文字自体は、極めて小さく記載されているため、取引者及び需要者が認識することはやや困難である。
(2)引用各商標の構成
引用商標1は「RAFFINE」の標準文字からなる商標であり、引用商標2は「RAffINE」の標準文字からなる商標である。引用商標3は、別掲2のとおり「RAffINE」の文字からなる商標であるが、うち「ff」の部分はそれ以外の部分とは異なり、やや図案化された字体によって表記されている。
(3)本件商標と引用各商標の類否について
「Raffine」という語は、フランス語で、「raffine」(「e」にはアクサンテギュ記号が付されている。以下同じ。)が「洗練された、上品な、凝った」などの意味を有する形容詞(角川書店「アポロ仏和辞典」参照)であるが、我が国において一般的に知られた語ではなく、そのため、「Raffine」や「ラフィネ」は、その外観や称呼がかえって取引者や需要者に独特の印象を与えると認められる。
これに対し、「Style」という語は、英語で「やり方、流儀、方式、…流、…式、構え、態度、様子、風采、でき、格好、形、文体、表現法、様式」などの意味を有する名詞(研究社「リーダーズ英和辞典」参照)であり、これを片仮名で表記した「スタイル」が「すがた、風采、恰好、様式、型」(岩波書店「広辞苑」第6版参照)などの意味を有する外来語として広く用いられるなど、我が国においては一般的に知られた語であると認められる。
そして、「Style」の語は、これを特定の商標と組み合わせて、「○○流」や「○○様式」などの意味合いで「○○Style」のように用いられることは周知の事実であり、この場合には、「○○」商標と同じ商品や役務の出所を表示するものとして用いられているものと認められる。
したがって、本件商標に接する取引者及び需要者は、専ら「Raffine」の部分が商品や役務の出所を表示する出所識別標識であり、「Style」の部分には「…流」「…様式」という意味合いがあるにすぎず、それのみでは出所識別標識とはいえないものと認識するのであり、結局、本件商標は、「Raffine」を主たる出所識別標識とする商標と認識されるものと認められる。
なお、本件商標中の四つ葉マークについては、四つ葉マーク自体はありふれた模様であるから出所識別標識としては弱いこと、同マーク内の文字部分は、「Raffine/Style」の文字部分に比べて相当に小さく表記されているものであり、またそもそも「私たちは心からのくつろぎを愛する。」と訳されるものであり、商品や役務の出所を表すのではなく専ら被請求人の企業ないし業務の理念を表しているにすぎないことなどからすると、四つ葉マークは、全体として出所識別機能が弱い図形商標にすぎないものと認めるのが相当である。
そして、本件商標の「Raffine」の部分と引用各商標とを比較すると、外観については、両者は字体や大文字・小文字の使用箇所においては相違するものの、同一のフランス語の単語である「raffine」から採られたもので、同じ綴りであることからすればほぼ同一であるということができ、また、いずれも一般的には、ローマ字読みで「ラフィネ」という称呼が生ずる点で同一である(なお、フランス語の「raffine」の語は、「ラフィネ」と発音される。)。そうすると、「raffine」の語は、我が国において一般的に知られた語ではないことから、必ずしも特段の観念が生ずるとはいえないことを措いても、両者はほぼ同一というべきである。
よって、引用各商標は、本件商標とその出所識別標識となる部分において、外観及び称呼においてほぼ同一であり、全体としても類似するものと認められる。
(4)被請求人の主張について
被請求人は、本件商標の「Raffine/Style」の部分は全体としてまとまりよく配置され、一体的に看取できるし、全体として「上品な、又は洗練された表現、生活様式、暮らし方」を暗示させ、生活全体のスタイルに資するものであるかのような一定の観念を看者に抱かせるのに対し、引用各商標は、「上品な、洗練された」の意味であり、化粧品に使用する場合、看者に「上品な洗練された化粧品」を観念させるものである、などとして、両商標は、観念上、非類似であり、また、本件商標から生ずる称呼は「ラフィネスタイル」であるから、称呼上も非類似である旨主張する。
しかしながら、「Raffine」という語が、我が国において一般的に知られた語ではないためにかえって取引者や需要者に独特の印象を与えることにより、出所識別標識として認識されるのに対して、「Style」という語については、特定の商標と組み合わせて用いられた場合には、「…流」「…様式」という意味合いがあるにすぎないと認識されることが多いと考えられることは上述のとおりである。また、このことは、本件商標のように「○○Style」が一体性のあるものとして表示されていても変わりはない。
したがって、本件商標は、「Raffine/Style」と四つ葉マークからなり、ひとまとまりの商標として認識されるものであるものの、本件商標のうち主たる出所識別機能がある部分は上記(3)のとおり「Raffine」の文字部分であり、本件商標は、この出所識別機能のある標章部分において、引用各商標と外観及び称呼においてほぼ同一である。
(5)小活
以上によれば、本件商標は、引用各商標に類似する商標であり、その指定商品も第3類「化粧品」において同一であるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中の本件審判の請求に係る第3類「化粧品」において、商標法第4条第1項第11号に違反してされたと認められるから、その余の請求人の主張について判断するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、上記「化粧品」について無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標)(色彩は原本参照)


別掲2(引用商標3)



審理終結日 2014-03-11 
結審通知日 2014-03-13 
審決日 2014-03-25 
出願番号 商願2011-81287(T2011-81287) 
審決分類 T 1 12・ 261- Z (X03)
T 1 12・ 263- Z (X03)
T 1 12・ 262- Z (X03)
最終処分 成立 
前審関与審査官 津金 純子 
特許庁審判長 村上 照美
特許庁審判官 守屋 友宏
梶原 良子
登録日 2012-05-18 
登録番号 商標登録第5494262号(T5494262) 
商標の称呼 ラフィネスタイル、ラフィネ、スタイル、ウイラブハートフルリラクゼーション、ラフィン、ラフィーネ、ラフィーヌ、ラファイン 
代理人 田中 雅敏 
代理人 山田 文雄 
代理人 有吉 修一朗 
代理人 森田 靖之 
代理人 新里 浩樹 
代理人 山田 洋資 
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