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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1285645 
異議申立番号 異議2013-900248 
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-04-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-07-26 
確定日 2014-03-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5576291号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5576291号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5576291号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2012年7月16日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成24年10月9日に登録出願され、第9類「電力トランジスター・変圧器を用いてなる電力変換・電圧変換・電力管理・電力供給用の電気回路,電子回路,電力トランジスター,ダイオード,変圧器,インダクター,集積回路,半導体,パッケージに組み込んだ半導体素子,電力変換装置,電圧変換装置,電力管理装置,電力供給装置」を指定商品として、同25年4月19日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の引用する国際登録第1124298号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、2012年1月31日にEuropean Unionにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、同年6月25日に国際商標登録出願され、第9類「Integrated circuit chips; microprocessors; semiconductor devices; semiconductor chips; semiconductor modules; semiconductor substrates; semiconductor inverters; semiconductor drivers; semiconductor sensors; semiconductor transistors.」を指定商品として、平成25年5月31日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由
本件商標は、「COOLiR2GaN」(「2」の数字は、「R」の右上に小さく表示されている。以下、該数字について「2(二乗)」と記載する。)と書してなるところ、これは、引用商標と共通する文字列「COOL」と「GaN」との間に、欧文字2文字と数字の組み合わせ「iR2(二乗)」を挿入しただけの構成からなるものである(甲1)。
本件商標は、挿入した「iR2(二乗)」が、その前後とは異なる独自の意味があることを印象づける目的で、「i」を小文字で表記すると共に、上付き表記の「2(二乗)」を配置しており、大文字表記の「COOL」及び「GaN」と構成上明確に区切る意図があることを認識させる。つまり、本件商標は、「COOL」と「iR2(二乗)」と「GaN」とから構成されたものである。
その内「iR2(二乗)」の「iR」の2文字は、商標権者を表すことが明らかである。商標権者は、「IR」の略称を取引に用いていることが知られており、これは、同人のウェブサイト上の表記により確認できる(甲3)。トップページの左上には、会社のロゴマーク(欧文字「I」と「R」の間にダイオード記号)と共に、「International Rectifier」が表示されており、同ウェブサイトにおいて商標権者は、頻繁に「IR」の略称を用いている。そして、商標権者の製品名は「IR」で始まる。したがって、商標権者は、その略称「IR」をもって需要者、取引者に認識されていると推測できる。
なお、上付き表記の「2(二乗)」は、「第2世代。2つ目の変種。」を意味する一般に良く知られた慣用表現である。
商標の構成中に名称や略称が含まれているとき、その名称や略称部分にはあまり注意は払われず、その他の部分に自他商品識別力を発揮し得る要部が求められる。
本件商標の場合、商標権者を表す「iR2(二乗)」よりは、「COOL」と「GaN」が、自他商品識別力を発揮する要部として機能することが明白である。
したがって、本件商標は、その構成において、商標権者を表していると容易に理解され、そのため注目度合いが一段低い「iR2(二乗)」が相違するにすぎず、要部である「COOL」と「GaN」が、引用商標と一致するので、これと類似の商標であり、その指定商品の需要者、取引者が同一であるから、本件商標がその指定商品について使用されたときは、引用商標を付した商品との間で出所の混同を生ずるおそれが極めて高い。
以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似の商標であり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は商標法第43条の2第1号により取り消しを免れない。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおりの構成からなり、「COOLiR2(二乗)GaN」の欧文字及び数字は、その構成中の「2(二乗)」が半角ほどの大きさで「R」の右上に位置するも、同じ書体、同じ間隔でまとまりよく横書きしてなるから、構成文字に相応して「クーリアツーガン」及び「クーリルツーガン」の称呼を生じ、また、該文字は我が国において特定の読みや意味を有する語として知られているものではないから、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、「COOLGAN」の欧文字を横書きしてなるところ、構成文字に相応して「クールガン」の称呼を生じ、また、該文字は我が国において特定の意味を有する語として知られていないから、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との対比
本件商標の外観と引用商標の外観とを対比すると、両者は、本件商標が10文字であるのに対して引用商標が7文字であって構成文字数が相違し、前部の「COOL」及び後部の「G」「N」の文字部分を共通にするが、中央部において「iR2(二乗)」の文字及び数字の有無並びに後部において「a」と「A」との文字が相違しており、該差異によって、互いに相紛れるおそれはなく十分区別し得るものである。
また、本件商標から生ずる称呼「クーリアツーガン」及び「クーリルツーガン」と引用商標から生ずる称呼「クールガン」とを対比すると、両者は、本件商標がいずれも8音であるのに対して引用商標が5音であって、3音差の構成音において、語頭の「クー」及び語尾の「ガン」の音を共通にするが、中央部において「リアツー」又は「リルツー」と「ル」の音が相違しているから、これらを一連に称呼しても語韻、語調を異にし、互いに相紛れるおそれはなく十分聴別し得るものである。
そして、本件商標と引用商標とは、いずれも観念を生じないから、観念上においては比較することができない。
エ 小括
そうすると、本件商標は、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても類似するものではなく、非類似の商標というべきものである。
(2)申立人の主張について
申立人は、「iR2(二乗)」の「iR」の2文字が本件商標の商標権者の略称であると認識されており、上付き表記の「2(二乗)」は、「第2世代。2つ目の変種。」を意味する一般に良く知られた慣用表現であって、また、商標の構成中に名称や略称が含まれているとき、その名称や略称部分にはあまり注意は払われず、その他の部分に自他商品識別力を発揮し得る要部が求められるから、本件商標の要部である「COOL」と「GaN」が引用商標と一致するので、本件商標と引用商標は類似の商標である旨主張する。
しかしながら、本件商標は、「2(二乗)」の数字を有し、「i」と「a」の文字だけを小文字で表しているものの、構成全体がまとまりよく一体に表されてなるものであり、その構成において比較的中央部に表された「iR」を抽出して商標権者の略称を想起するものとはいえず、構成全体をもって一体不可分のものとして認識されるものというべきである。
したがって、申立人の主張は採用できない。
(3)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標)



異議決定日 2014-02-28 
出願番号 商願2012-81348(T2012-81348) 
審決分類 T 1 651・ 26- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 須田 亮一山田 忠司 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 井出 英一郎
小川 きみえ
登録日 2013-04-19 
登録番号 商標登録第5576291号(T5576291) 
権利者 インターナショナル レクティフィアー コーポレイション
商標の称呼 クールアイアアルニガン、クールアイアアルツーガン、クールアイアアルニ、クールアイアアルツー、クールアイアアル、クーリアツーガン、クーリアニガン、クーリルツーガン、クーリルニガン、クールアイアアル、クーリア、クーリル、ガン、ジイエイエヌ 
代理人 山崎 和香子 
代理人 齋藤 宗也 
代理人 杉村 憲司 
代理人 村松 由布子 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 

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