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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z11
管理番号 1285519 
審判番号 取消2010-300652 
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-04-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-06-14 
確定日 2014-02-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第4595454号商標の商標登録取消審判事件についてされた平成24年2月13日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成24年(行ケ)第10103号平成24年9月12日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 登録第4595454号商標の指定商品中、「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」については、商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第4595454号商標(以下「本件商標」という。)は、「エコルクス/ECOLUX」の文字を横書きしてなり、平成13年8月24日に登録出願、第11類「電球類及び照明器具」を指定商品として、同14年8月16日に設定登録されたものである。
そして、本件商標は、商標権の一部取消し審判(取消2009-300446)(以下「別件審判」ということがある。)により、その指定商品中、第11類「LEDランプ」については、その登録を取り消す、との審決が同23年5月2日に確定し、その確定の登録が、同年5月26日になされたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成22年6月30日にされている。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第226号証(枝番号を含む。)を提出した(審決注:なお、甲第62号証ないし甲第226号証は、平成24年(行ケ)第10103号事件において知的財産高等裁判所に提出された甲各号証である。)。
1 請求の理由
本件商標の商標登録原簿によれば、専用使用権の登録も、通常使用権の登録もない。
本件商標は、その指定商品の「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」について、継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、当該指定商品については、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 第1弁駁
(1)商標権者が本件商標を使用した商品「センサーライト」は、「LEDランプ」に他ならず、指定商品「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」に属する商品ではない。
(2)被請求人が本件商標を使用している商品「センサーライト」は、乙4の2/2頁の商品仕様によれば、光源としてLED/0.5Wを使用したものである。また、この商品「センサーライト」の領収証である乙第12号証ないし乙第25号証(以下「甲第1号証」「乙第1号証」は、「甲1」「乙1」ということがある。)にも、すべて「乾電池式LEDセンサーライト」との記載がある。
これらの証拠に示されるように、被請求人が使用した商品「センサーライト」は、「LEDを使用した照明器具」である。
ところで、本件商標の取消しを求めた指定商品は、「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」である。ここで、「LEDランプ」とは、以下のとおり、「LEDを使用した照明器具」を意味する。
甲3は、岩波国語辞典第五版第1220頁のコピーであるが、この甲3には、「ランプ」の意味として、「電灯などの灯火の総称」と記載されている。
甲4は、CD版の広辞苑第五版の抜粋であるが、ここにもランプの定義が記載されている。
これらの記載から明らかなように、ランプとは、電灯などの照明器具を意味するものである。したがって、本件指定商品における「LEDランプ」とは、「LEDを光源として使用した照明器具」を意味する。
このことは、甲3及び甲4の辞書の記載にとどまらず、例えば、甲5?27の特許公報を見ても、ランプという用語が照明器具全体を示すことは明らかである。これらの公報の中で甲5?10には、発光体がLEDで全体をランプと称するLEDを使用した照明器具が記載されている。甲11?17ではLEDその他の光源とセンサとを組み合わせた照明器具をランプと称している。甲18?27では、一般的な光源とシェードや筐体などを備えたランプが記載されている。
このように、ランプが照明器具を意味することは、社会通念上明らかなことである。したがって、本件商標の取消しを求めた指定商品である「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」とは、「LEDを光源として使用した照明器具を除く、他の光源(例えば、白熱電球や蛍光灯)を使用した照明器具」を意味するものである。
このような取消しを求めた指定商品について、LEDを光源として使用した照明器具である乙4の商品を商標権者が使用していても、それは、本件商標の取消しを求めた指定商品である「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」についての使用とはいえない。
(3)結論
本件審判請求は、本件商標の指定商品「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」についての取消しを求めるものである。したがって、審判請求書に記載された指定商品についての使用を立証しない限り、本件商標の取消しは免れない。
しかるに、被請求人は、「LEDを使用した照明器具=LEDランプ」についての使用証明を提出するにとどまり、「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」についての使用は何ら立証していない。
3 第2弁駁
(1)社会通念上の商品「LEDランプ」とは
被請求人は、「取引の実情からして社会通念上、商品『LEDランプ』は、電球型LEDランプ、蛍光灯型LEDランプ、LED自体、並びに自動(二輪)車用LEDランプの他、一般的に光源として利用される商品(乙47?52)を指称すると認められ、『LEDを使用した照明器具』全般を指称するとは認められない。」旨主張する。
しかし、この主張は、自己に都合の良い検索結果を提示するものであり、商品「LEDランプ」に関する取引の実情を示すものではない。
すなわち、請求人が商品の販売サイトとして代表的なAmazonを検索した結果、商品「LEDランプ」が「LED発光体を使用した照明器具」に使用されている取引例を多数発見した(甲28?60)。
このうち、甲28?42は、「LEDランプ」という表示がそのまま商品名として使用されているものである。
そして、「LEDランプ」という商品名は、「充電式のライト」「スタンド」「懐中電灯」「卓上灯」「防犯ライト」「水槽用ライト」「太陽光発電ライト」など各種のLED発光体を使用した各種の照明器具に対して広汎に使用されている(甲28?42)。
また、「LEDランプ」という言葉に、商品の品質、用途、形状などを組み合わせた「LED○○ランプ」という商品名も、多数存在する(甲43?57)。
甲43?57の商品は、いずれも「LEDランプ」に組み合わされる言葉が商品の品質等を示すことから、「LEDランプ」と一連に表示されていなくとも、「LEDランプ」であることは明らかである。
そして、甲43?57に記載された「LEDランプ」は、いずれも単なる光源ではなく、LED発光体とそれを点灯するための各種器具やシェード、カバー、ケース、アームなどを備えた照明器具である。
以上のとおり、商品「LEDランプ」は、種々の照明器具を示すことが、社会通念上明らかである。
(2)本件商品センサーライトについて
被請求人は、第2回答弁書において、次のように主張する。
光源としての「LEDランプ」ではなく、それ自体が独立して照明の機能を果たす照明器具として構成されているから、「LEDランプを使用した照明器具」として把握・認識されると認められる。
しかし、この主張にも根拠がない。
甲58?59は、本件商品と同じ人体を感知して点灯するセンサーライトであるが、この種のセンサーライトについても、商品名を「LEDランプ」として取引されているのが実情である。
また、甲60は、引出の開閉に従ってライトが点灯するセンサーライトであるが、これにも「LEDランプ」との商品名が記載されている。
このように、「LED発光体を使用した照明器具」であるセンサーライトについても、「LEDランプ」という商品名を付すことも取引の実情であるから、本件センサーライトが「LEDランプ」ではないとの被請求人の主張は誤りである。
(3)被請求人による電球型センサーライトの販売
甲60(審決注:甲61の誤記と認める。以下、請求人の主張に関しては同じ。)のPage 3 of 8に示すように、被請求人は、センサー付エコルクスとしてセンサーライトを販売している。このセンサーライトは、本件商品センサーライトと同様に、「人に反応して自動で点灯」するものであり、電球型LEDランプのような単なる「光源」ではない。
甲60の電球型センサーライトには、人の感知手段、感知手段からの信号を受けてLED発光体を点灯する点灯回路、点灯したLED発光体を一定時間経過後に自動的に消灯するタイマー等の機器が含まれており、「光源」ではなくLED発光体を使用した照明器具である。
このような電球型センサーライトが、本件センサーライトと同じ照明器具であるにもかかわらず、電球型LEDランプと同列に表示され、LED電球として販売されている事実がある。被請求人の主張のように、LEDランプが「光源」のみを意味するのであれば、「光源」であるLED電球の広告に、照明器具であるセンサーライトを含めるはずもない。
被請求人は、第2回答弁書において、「LEDランプ」は光源であり、「LEDランプを使用した照明器具全般」を意味しないと強弁する。
しかし、甲60から分かることは、社会通念上「LEDランプ」とは、電球も含めて「LED発光体を光源として使用した照明器具全般を示す」ものであるから、電球型LEDランプとセンサーライトを同列におくことに、被請求人自身も違和感がなかったという事実である。
このように、被請求人の行為からも、「LEDランプ」は、単なる「光源」だけではなく、センサーライトや電球型LEDランプなどを含むLED発光体を使用した照明器具を示す広い概念であることが分かる。
(4)請求人の行為について
被請求人は、請求人が別件の取消審判において、商品「LEDランプ」のみの取消しを請求したことを、自身の主張の根拠としている。
しかし、別件の取消審判をどのような方針で行うか、また、どの商品についての取消しを求めるかは請求人の自由であり、それによって、本件審判の結論が変わるべくもない。
さらに言えば、「LEDランプ」は、「電球型LED」などの光源はもとより、「LED発光体を使用した照明器具全般」を含むというのが、請求人の一貫した主張であり、また取引の実情でもある。そのような観点に立てば、「LEDランプ」を取消し対象とすれば、電球型LED、蛍光管型LEDはもとより、それらを含む照明器具全般に取消しの効果が及ぶと考えることは当然である。
よって、本件審判に対する請求人の主観的意志云々との、被請求人の主張は採用するまでもない。
(5)結論
以上のとおり、被請求人の主張は根拠のないものであって、依然として被請求人は「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」についての使用を立証していない。
よって、本件商標の登録は、取り消されるべきものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第148号証を提出した。
1 第1答弁
(1)答弁の概要
商標権者である被請求人は、取消しに係る指定商品「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」に関し、その審判の請求の登録の日前3年以内に、日本国内において、本件商標を使用しており、本件商標の登録は、取り消されるべきではない。
(2)証拠の説明
乙1は、被請求人「アイリスオーヤマ株式会社」のホームページである。
乙2は、乙1の「商品情報」の欄の「ガーデン」をクリックすると表示される「ガーデニング|商品情報」のサイトである。
乙3は、乙2の2頁「LINE UP」の「ガーデンライト」をクリックすると表示される「ガーデンライト|アイテムで選ぶ/ガーデン/アイリスプラザ」のサイトである。なお、アイリスプラザは、被請求人の関連会社で(乙1のグループ企業欄参照)、乙1の2頁の「ショッピングサイト」にも掲載されている。この乙3の2頁目の最下段左に「エコルクス センサーライト」の欄があり、商品画像と共に「ECOLUX」及び「エコルクス」の商標が表示されており、「人の動きを検知して自動的に点灯するセンサーライトです。乾電池式で配線が不要なので、どこでも簡単に設置できます。」と説明されている。
乙4は、乙3の「エコルクス センサーライト」欄の「商品詳細」をクリックすると表示される「エコルクス センサーライト G538760F-アイリスプラザ」のサイトである。ここには、乙3の画像を拡大した商品の画像が明瞭に表示されており、「ECOLUX」及び「エコルクス」の商標が表示されている。また、2頁目には、各々商品コード及び商品名として、「G538760 エコルクス センサーライト」、「G538760X ☆お得な3個セット☆エコルクス センサーライト」及び「G538760XY ☆お得な6個セット☆エコルクス センサーライト」が表示され、現在のセール価格も表示されている。
乙5は、乙3、4のショッピングサイトにより販売された商品の2009年の商品別売上履歴一覧表(週)で、被請求人の売上履歴データから、本件商品に相当する部分を出力したものである。これによると、2009年32週から52週にかけて、商品名「ECOLUX]LSL0.5 黒」でコード「538760」の商品が、17個販売された履歴が明らかである。
乙6は、乙5と同様の2010年の商品別売上履歴一覧表(週)で、これによれば、3週から31週にかけて、商品名「ECOLUX]LSL0.5 黒」でコード「538760」の商品が33個、商品名「ECOLUX]LSL0.5 黒 ×3」でコード「1538760」の商品が10個、商品名[ECOLUX]LSL0.5 黒 ×6」でコード「1881239」の商品が1個、各々販売された履歴が明らかである。
乙7は、乙3、4のショッピングサイトから本件商品を注文し購入した「エコルクス センサーライト注文者リスト」で、被請求人のデータを出力したものである。これによれば、2009年8月4日から翌年7月20日までに、商品コード「G538760」の商品「エコルクス センサーライト」、商品コード「G538760X」の商品「☆お得な3個セット☆エコルクス センサーライト」及び商品コード「G538760XY」の商品「☆お得な6個セット☆エコルクス センサーライト」が、各々注文された事実が明らかである。
乙8は、被請求人の顧客データから特定の顧客の受注一覧表をモニターに表示した「お客様購入履歴」の画面の出力であるが、上から3番目の受注日「2010/04/05 9:39:48」の欄において、受注番号「553504」で商品CD「G538760」の商品名「エコルクス センサーライト」が表示されており、この顧客「笠原」の氏は、乙7の注文番号「553504」、注文日「2010/4/5」、商品コード「G538760」の注文商品「エコルクスセンサーライト」と一致している。
乙9は、被請求人の関連会社である株式会社アイリスプラザが、商品配送を依頼している配送業者から受けた商品の到着原票写しの判取証明で、2010年5月18日出荷日で、東京都立川市高松町所在の豊田氏宛に、アイリスプラザインターネット店から「ECOLUX]LSL0.5黒/ア 4905009759477/(5354575)1個口」が配送され、「5月19日指定」と記載のある右側の受領欄に、豊田氏の自筆と思われる「トヨタ」の署名が為されている。なお、乙7の注文者リストの下から2番目に「豊田」の氏があり、その注文日が、2010/5/14で、商品コード「G538760」の商品「エコルクス センサーライト」が注文された事実が明らかであるが、この乙9は、この注文に対応して商品が配送された事実を示すものである。
乙10は、ホームセンター「ダイシン」への販売実績データで、被請求人の社内データを出力したものであるが、2009年8月7日及び同月11日に商品CD「538760」の商品名「ECOLUX]LSL0.5 黒」が、各々12個ずつ計24個、被請求人の角田工場から、店舗名「ダイシン幸町店」に出荷された事実を示すもので、「相手商品(コード)」として「99759477」及び「相手部門(コード)」として「26」が記載されている。
乙11は、ホームセンター「ダイシン」への売上データで、被請求人の社内データを出力したものであるが、乙10の販売実績データに対応するデータが表示されている。また、この売上データの末尾の方には「相手商品(コード)」として「9759477」及び「相手部門(コード)」として「26」が、各々記載されている。なお、2010年1月21日に1個が工場返品となっており、売上実績は計23個ということになる。
乙12ないし乙25は、ホームセンター「ダイシン」のレジジャーナルデータの出力で、仙台市宮城野区大梶7-5所在のダイシン幸町店が、データとして保管している領収証の控えの出力である。これらの領収証には、いずれもコード「4905009759477(0026)」の商品「乾電池式LEDセンサーライト」が表示されており、単価が1980円であることが明らかである。まず、前記コードの末尾7桁は、乙10、11の「相手商品(コード)」の「9759477」と、また、前記コードの括弧内の末尾2桁は、同号証の「相手部門(コード)」の「26」と、各々いずれも一致している。また、商品単価も、乙11記載の「税込売価」の「1,980」と一致しており、商標「エコルクス」の表示はないが、同一の商品を取り扱ったものであることが明らかである。
次に、乙12ないし乙25の領収証の記載によれば、商品「ECOLUX]LSL0.5 黒」と同一と認められるコード「4905009759477(0026)」の商品「乾電池式LEDセンサーライト」が、2009年8月8日に2点(乙12)及び1点(乙13)、同月9日に各2点ずつ(乙14、15)、同月10日に2点(乙16)、同月16日に1点(乙17)、同月28日に1点(乙18)、同月30日に2点(乙19)、同年9月2日に1点(乙20)、同月5日に1点(乙21)、同年10月21日に1点(乙22)、同月22日に1点(乙23)、同月24日に1点(乙24)及び同月25日に1点(乙25)、各々販売され領収証が発行された事実が明らかであり、その総計19点は、被請求人が同ホームセンターに販売し売り上げた個数23個(乙10、11)の範囲内であることが明らかである。
(3)本件商標の使用の事実の説明
被請求人(乙1)は、商品「センサーライト」に「ECOLUX」及び「エコルクス」の商標を付して広告・宣伝すると共に(乙3、4)、ショッピングサイトにおいて注文を受け付け、現に本件商品を販売している(乙1ないし乙4)。ここで、まず、商標「ECOLUX」は、本件商標中の英字と同一であり、また、商標「エコルクス」は、本件商標中の片仮名と同一であり、これらを二段に併記した態様(乙3、4)は、本件商標と社会通念上同一である。次に、商品「センサーライト」は、「人の動きを検知して自動的に点灯するセンサーライトです。乾電池式で配線が不要なので、どこでも簡単に設置できます。」(乙3)と説明されており、取消しに係る指定商品「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」中の「照明器具」に該当することは明らかである。
したがって、商標権者たる被請求人は、本件商標を本件商品に使用していることは、明白な事実である。
また、被請求人は、本件商標を使用した本件商品を、そのショッピングサイトにより2009年32週から52週にかけて17個(乙5)、2010年3週から31週にかけて33個、3個セットを10個及び6個セットを1個、各々販売している(乙6)。より詳細には、2009年8月4日から同年末日までに、商品「エコルクス センサーライト」17個の注文を受け(乙7)、2010年初日から7月20日までに、商品「エコルクス センサーライト」34個、「3個セット エコルクス センサーライト」10個及び「6個セット エコルクス センサーライト」2個の注文を受けた事実が明らかで(乙7)、これらの内、2010年6月23日以前は、本件審判の予告登録日前であることが明らかである。
なお、乙6売上履歴一覧表の売上個数と比較すると、乙7「エコルクス センサーライト」及び「6個セット エコルクス センサーライト」が、各1個増えているが、これは乙7リストの下から2及び3行目の2010/5/9の6個セットと2010/5/14の1個が、何らかの理由により注文番号との関係で後ろにずれ、乙6データ出力時点で未入力であったためと考えられる。
さらに、予告登録日前の2010年4月5日に、顧客「笠原」氏から本件商品の注文を受け、同月7日に発送予定であった事実も明らかである(乙7、8)。
さらにまた、予告登録日前の2010年5月18日に本件商品が出荷され、東京都立川市高松町所在の豊田氏に同月19日に配送され、受領された事実も明らかである(乙7、9)。
以上、乙3、4に掲載された商品が、被請求人のショッピングサイトにより、本件審判の予告登録日前から、日本国内において継続して販売されていた事実が明らかであり(乙5ないし乙9)、乙3、4の出力日は、本件審判の予告登録日後であるが、本件審判の予告登録日前から、即ち、遅くとも2009年8月の段階では(乙5、7)、現在と同様の態様で、乙3、4のサイトが提供され、公表されていたと容易に推定できる。
一方、被請求人は、本件商標を付した本件商品をショッピングサイトによりネット販売するのみならず、本件審判の予告登録日前である2009年8月7日及び同月11日に、ホームセンター「ダイシン」に出荷し販売している(乙10、11)。そして、本件商品が、本件審判の予告登録日前に、現にホームセンター「ダイシン」において販売された事実も明らかである(乙12ないし乙25)。
(4)まとめ
以上、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、その請求に係る指定商品「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」に属する商品「センサーライト」に、本件商標の使用をしていることを、被請求人は証明しており、本件商標の登録は取り消されるべきではない。
2 第2答弁
(1)第2答弁の概要
請求人は、弁駁書で、本件審判の請求の登録(平成22年6月28日)(審決注:平成22年6月30日の誤記と認める。)前3年以内に日本国内において、商標権者が、商品「センサーライト」に本件商標「エコルクス/ECOLUX」を使用している点、及び商標権者が本件商標を使用した商品が「照明器具」である点について、争っていない。一方、請求に係る指定商品「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」に属する商品「センサーライト」に本件商標を使用している点に関しては、これを否認し、商品「センサーライト」は、「LEDランプ」に他ならず、指定商品「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」に属する商品ではないと主張する。
しかし、商品「センサーライト」は、「LEDランプ」自体ではなく、「LEDランプを使用した照明器具」というべき商品であり、なお「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」の範ちゅうに属する。社会通念上、また、取引の実情を鑑みても、「LEDランプ」は、請求人が主張する如く広い概念の「LEDを使用した照明器具」全てを指し示すものとは認められず、本件商品は「LEDランプ」の概念には属さない。
(2)請求人の主張について
請求人は、本件商品は、乙4、12ないし乙25に示されるように、LEDを使用した照明器具であると主張するが、その点に関し、被請求人は争わない。
一方、請求人は、「ランプ」は「電灯などの灯火の総称」(甲3)「石油などを燃料とし、これに芯を挿入して火を点じ、照明に用いる器具。特に、石油ランプをいう。電灯。」(甲4)を意味し、ランプとは電灯などの照明器具を意味するから、「LEDランプ」とは「LEDを光源として使用した照明器具」を意味すると主張するが、これは、単に辞書上の意味から形式的に「LEDランプ」の内容を特定しようとするもので、取引の実情を全く考慮せず、妥当ではない。
「ランプ」は「電灯などの灯火の総称」(甲3)とか単に「電灯」(甲4)と説明されるが、ここで「電灯」とは「電力を利用した灯火。特に白熱電球によるものを指す。電気灯。」、「灯火」は「ともしび」、「ともしび」は「ともした火。あかり。ともし。とうか。」、そして、本件商品「センサーライト」の「ライト」は「光。照明。照灯。明かり。」(いずれも乙26)と各々説明され、単に辞書上の意味合いのみから具体的な商品「ランプ」を、就中、技術の進展に件い新たに登場した商品「LEDランプ」の具体的な内容を把握することは、困難である。また、これらの辞書は、「LEDランプ」に関しては直接的に説明していない。その説明が無い以上、辞書上新たな商品「LEDランプ」の内容を特定することは、困難であると同時に、妥当ではない。
次に、請求人は、特許公報(甲5?27)からランプという用語が照明器具全体を示すことは明らかであるとし、発光体がLEDで全体をランプと称するLEDを使用した照明器具が記載された公報(甲5?10)、LEDその他の光源とセンサとを組み合わせた照明器具をランプと称している公報(甲11?17)及び一般的な光源とシェードや筐体等を備えたランプが記載された公報(甲18?27)を掲げるが、これらの公報中で「LEDランプ」自体について記載・説明したものは一件も無い。
請求人は、単に辞書上の意味や特許公報記載の技術用語を以て、商品「LEDランプ」の内容を広範囲に把握している。しかし、現存する商品の標識である商標は、取引の実情から生じる社会通念を無視しては考慮し得ず、商品「LEDランプ」の内容も、取引者・需要者が、それを如何なる商品として把握・認識するかを判断の基礎におくべきであり、一方、本件商品も、取引の実情から社会通念上如何なる概念の商品に該当すると考えられるかを検討すべきであり、その様な取引の実情、社会通念を全く無視した請求人主張は妥当ではない。
ちなみに、商品及び役務の区分第11類には「電球類及び照明用器具」に属する個別の商品として「乗物用発電ランプ」の外、「スポットライト」及び「ダイビング用ライト」があり、さらに「電球類及び照明用器具」に属さない商品として「ガスランプ、石油ランプ」も存在しており、「ランプ」や「ライト」の前に付される修飾語により、「ランプ」も「ライト」も、各々それなりの限定を受けて個別の商品として特定されていると認められる。
またさらに、特許電子図書館の商品・役務名リスト(乙27)によれば、「LEDランプ」の外、異なる概念の商品として「LEDランプを使用した懐中電灯」、「LEDランプを使用した自転車用照明灯」及び「LEDランプを使用した乗物用又は家庭用の読書灯」の外、「LEDを使用した照明装置」や「LED光源を用いた照明器具」等の個別の商品が存在しており、これらが、請求人主張の如く、全て「LEDランプ」の概念に含まれることにはならないと考えられる。
したがって、「取消しに係る商品『LEDランプを除く、電球類及び照明器具』とは、『LEDを光源として使用した照明器具を除く、他の光源(例えば、白熱電球や蛍光灯)を使用した照明器具』を意味し、この様な取消請求に対し、LEDを光源として使用した照明器具である乙4の本件商品に、商標権者が本件商標を使用していても、それは、取消しを求めた指定商品『LEDランプを除く、電球類及び照明器具』についての使用とはいえない」との請求人主張は、失当である。
請求人主張は、要するに「LEDを使用した照明器具=LEDランプ」であるということに帰結するが、「LEDランプ」が「LEDを使用した照明器具」に該当する全ての商品を含む概念であるとは、取引の実情を考慮する限り、到底容認することができない。
(3)商品「LEDランプ」の内容
商標法の指定商品の概念について、裁判所は、「商標法にいう指定商品とは、その出願に係る商標を使用するものとして指定した商品であるところ、商標登録出願に当たり、いかなる商品を指定商品とするかは、出願人の意思に委ねられているのであるから、願書に指定商品として記載されたものがどの範囲の商品(商品群)であるかは、第一義的には、願書に指定商品を記載することによって表示された意思の客観的な解釈の問題であるということができる。(中略)もとより、願書に記載された指定商品の解釈は、商標権の効力が指定商品と同一の商品及び類似の商品に及ぶことを考えれば、出願人の主観的意図のみに基づくものであってはならず、商標権の及ぶ商品の範囲を公示するものとして商標公報及び登録原簿に記載された指定商品の記載(表示)を第三者がどのように理解するかという観点からする客観的解釈でなければならない。」と判示している(東京高裁 平成14年(行ケ)第266号 平成15年1月21日判決)。
上記を本件に照らし合わせれば、本件審判で取り消すべき商品として記載された商品「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」がどの範囲の商品であるかは、第一義的には、審判請求書に取り消すべき指定商品を記載することによって表示された意思の客観的な解釈の問題で、請求人の主観的意図のみに基づくものであってはならず、その取り消すべき指定商品の記載(表示)を第三者がどのように理解するかという観点からする客観的解釈でなければならないことになる。
すると、請求人が、先の審判(取消2009-300445)(審決注:「取消2009-300446」の誤記と思われる。)で「LEDランプ」のみに取消請求を行い、後に「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」に本件審判を請求してきたことに鑑みれば、まず「LEDランプ」が如何なる商品であるかを、請求人の意思の客観的な解釈の問題として、その記載を第三者がどの様に理解するかという観点から客観的に解釈しなければならないことになる。
そこで、「LEDランプ」が如何なる商品であるかを第三者がどの様に理解するかという観点から客観的に解釈するために、取引の実情を以下検討する。
ア 請求人が代表者である鳥海工業株式会社のホームページ(乙28)には、「LEDランプ」が各所に記載され、出力上の問題で印字されていない部分があるが、「事業のご案内」の欄には、各々「LEDランプ」、「LED青色防犯灯」及び「風光ハイブリッド発電装置」の項目が表示されている。
また、同社の会社情報のサイト(乙29)、製品情報「LEDランプ」のサイト(乙30)、施工例「LEDランプ」のサイト(乙31)及び商品ラインナップ「LEDランプ」のサイト(乙32)を検討すると、同社が「LEDランプ」と称する商品は、蛍光管型及び電球型のLEDランプに限られており、それ以外の照明器具を「LEDランプ」として製造販売している事実は見当たらない。
さらに、同社自身も、トップページ(乙28)で「LEDランプ」、「LED青色防犯灯」及び「風光ハイブリッド発電装置」(仕様欄に「照明器具 LED」と記載されている。)を並記しており、請求人主張のとおり、「LEDランプ」を「LEDを使用した照明器具」全ての概念を含む広範な意味での商品として取り扱っているとは、到底見受けられない事実が存在している。
イ 一方、代表的な検索エンジンGoogleで「LEDランプ」を検索すると、平成23年2月18日時点で約305万件(乙33)、似たページを除外すると全522件で(乙34)、相当の使用例が存在しており、これらから妥当な取引の実情が見出せると考えられる。そこで、さらに本件審判請求において記載された「LEDランプ」の具体的内容を詳細に検討するために、平成22年9月9日時点で「LEDランプ」を検索した約85万3千件の内、似たページを排除した有効件数中、実際にアクセス件数が多いと認められる1件目ないし100件目(乙35)のサイトで、「LEDランプ」が如何なる商品として掲載され把握されているかを個別に検討すると、以下のとおりである。
(ア)電球型LEDランプとして掲載・把握されているサイト、全52件
50件目(乙98)、73件目(乙121)、74件目(乙122)、87件目(乙135)及び94件目(乙142)は各々の記載内容から、53件目(乙101)は写真から、59件目(乙107)は外形寸法から、62件目(乙110)及び97件目(乙145)は栽培用LEDランプであるが全体の構成から、各々電球型LEDランプと認め得る商品を扱っていると考えられる。また、10件目のサイトは乙号証が無いが、実質的に7件目(乙44)と同一内容である。さらに、42件目(乙90)は、レンズトップタイプのLEDランプであるが、その構成や機能から電球型LEDランプと同一視し、ここに含めた。
(イ)蛍光灯(管)型(形)LEDランプとして掲載されているサイト、全14件
50件目(乙98)、74件目(乙122)及び92件目(乙140)は具体的態様が不明であるが、記載内容から、電球型LEDランプ以外に蛍光灯型LEDランプも取り扱っていると推認し得るものである。
(ウ)LED自体として掲載・把握されているサイト、全18件
36件目(乙84)、63件目(乙111)及び64件目(乙112)は各記事の記載から、59件目(乙107)は外形寸法から、各々LED自体と、87件目(乙135)及び94件目(乙142)は「LEDランプを使った照明器具」等の各記載から、LED自体又は電球型LEDランプと、各々推認できる。また、86件目(乙134)は「LED(ランプ)」で表記が異なるが、機器に組み込まれたLED自体を指称していると認められる。さらに、37件目(乙85)は、チップタイプのLEDランプであるが、その構成や機能から、ここに含めた。
(エ)自動(二輪)車用LEDランプとして掲載されているサイト、全17件
自動車用・二輪自動車用のLEDを用いた照明器具は、ほとんどがLEDランプと称されていると認められるが、自動車用・二輪自動車用以外の用途の照明器具・装置に関しては、その様な事実は認められない。また、これらは、いずれも自動車・自動二輪車の車体取り付け用の部品と認められ、独立して照明器具としての機能を果たすものではない。
(オ)上記以外のものが掲載されているサイト、全9件
4件目(乙39)は、ほとんどが電球型LEDランプ又はLED自体であるが、一部に「満車・空車」の駐車場用表示盤や電飾等も含まれている。しかし、ラインナップ中にはそもそもランプではない「充電器」等も含まれており、「LEDランプ」のタイトルは、「LED電球」ないし「LED蛍光灯」の各項目を括る表示として採択されてはいるが、そこに掲載された個別の商品が果たして全てLEDランプの範ちゅうに属するか否かは、疑問が残る。
8件目(乙45)は、「MITSUBISHI LEDランプ Dot-it SILVER (シルバー)」と称する直径約7センチ弱の照明器具である。同商品は、「商品の説明」欄では「光をてのひらにコンパクトLEDライト」とか「3個のLEDランプで明るさ3段階で調節可能」とも記載されており、「LEDランプ」が、商品全体を指称するのか或いは3個の光源であるLED自体を指称するのか、判然としない。なお、乙35の9件目及び85件目(乙133)は、この8件目と実質的に同一である。また、18件目(乙64)では、同商品が、そのリンク先で「コンパクトLEDライト」(乙66)と記載されており、「LEDランプ」とは表示されていない。
11件目(乙46)には、「LEDランプ」、「ラインナップ」及び「LED関連商品」の3項目がある。まず、「LEDランプ」中には「反射型LEDランプ」(乙47)及び「パワーLED光源」(乙48)が、「ラインナップ」中には「可視光LEDボード/赤外線LEDボード」(乙49)、「パワーLEDライン照明」(乙50)、「積層型パワーLED光源」(乙51)及び「パワーLED面照明装置(LEDバックライト照明)」(乙52)が各々有り、いずれも「光源情報 LEDランプ」と冠されている。したがって、この「LEDランプ」は全て光源としての商品と認められる。
一方、「LED関連商品」中の「LED照明器具 LEDioc」(乙53)には、「LED道路灯」等「LED?灯」、「LED投光器」、「LEDブラケット」の外、「LEDアプローチライト」等「LED?ライト」の表示があり、その内「LEDスポットライト」は「センサーライト」と同一視し得る商品である。また、同じく「LED関連商品」中には他に「ソーラーLEDブロック・タイル」(乙54)、「ハイブリッド太陽灯 アイバード」(乙55)及び「情報表示システム」(乙56)もあるが、これらは全て、いずれも光源としての商品ではなく、「LEDランプ」とは称されていない。
38件目(乙86)は、電球型LEDランプ(3灯)を備えた照明器具を「クリップ付きLEDランプ」と称している。
41件目(乙89)は、LEDを光源とする4つのブロックを組み合わせて独自の照明を構成できる照明器具を「LEDランプ」と称している。
68件目(乙116)は、「ペットボトルのキャップがLEDランプに」と記載され、「ボトルキャップランプ」を「LEDランプ」と称している。しかし、これは、商品「ペットボトルの蓋・栓」に、たまたま照明機能が附加されたものと認められ、そもそも「電球類及び照明器具」の範ちゅうに属する商品ではない。
76件目(乙124)は、商品カテゴリー「LEDランプ」の中に、電球型LEDランプの外、懐中電灯も含まれている。
77件目(乙125)は、LEDを組み込んだコースターを「LEDランプ」と称している。しかし、これも68件目(乙116)と同様、商品「コースター(敷き皿)」であり、「電球類及び照明器具」に属する商品ではない。
95件目(乙143)は、「インテリア照明 インテリアLEDランプ」と記載され、乙号証記載のとおりの特殊な形態の商品をLEDランプと称している。なお、この商品は、純粋に「電球類及び照明器具」と言い得るか否か疑問であり、屋内用の置物・装置品的な性格をも有していると認められる。
(カ)内容が特定できないサイト、全5件
2件目(乙37)、19件目(乙67)、39件目(乙87)、45件目(乙93)は、リンク先にだけ当該語句が含まれており、また、23件目(乙71)は栽培用照明であることは明らかであるが、各々具体的態様は特定できない。
なお、上記(ア)ないし(オ)のサイト中には、以下のとおり、「LEDランプ」を特定したり、或いは、他の用語とは明確に区別して表示しているものも存在している。
まず、1件目(乙36)では、「LEDランプとは、発光ダイオードのこと」と説明されているが、「将来的には白熱電球や蛍光灯に代替できるもの」とも記載され、その代替性から、そこに電球型・蛍光灯型LEDランプを含めることは可能である。しかし、それ以外の照明器具を含めて考えることはできない。なお、15件目(乙60)でも「LEDとはLight Emitting Diodes(発光ダイオード)の略で半導体ランプの一種です。」とLED自体である旨が説明されている。
6件目(乙42)では、「LED電球・LEDライト・LEDランプ・LED蛍光管・LED蛍光灯などのLED照明器具を活用したLED照明」と記載され、LEDを冠した「電球・ライト・ランプ・蛍光管・蛍光灯」が書き分けて並記され、それをまとめる概念として「LED照明器具」が用いられており、「LEDランプ」よりも「LED照明器具」が広い概念として認識されていると認められる。また、同サイト「商品情報」(乙43)では「高天井用高輝度LEDランプ」と各種の電球型「LEDランプ」以外の「投光器」、「ダウンライト」、「蛍光灯」及び「防犯灯」等には、「LEDランプ」の名称は用いられていない。
11件目(乙46)では、光源としての装置・器具である「反射型LEDランプ」(乙47)、「パワーLED光源」(乙48)、「可視光LEDボード/赤外線LEDボード」(乙49)、「パワーLEDライン照明」(乙50)、「積層型パワーLED光源」(乙51)及び「パワーLED面照明装置(LEDバックライト照明)」(乙52)は「LEDランプ」と称されている。一方、一般的なLED照明器具(乙53)は、「LED道路灯」等「LED?灯」、「LED投光器」、「LEDブラケット」の外、「LEDアプローチライト」等「LED?ライト」と称されており、「LEDランプ」とは称されていない。
12件目(乙57)では、「LED BOY」までは「LEDランプ」と称されるが、それ以降は「LED光源」、「LEDライティングシステム」及び「LEDデバイス」と称されており、「LEDランプ」とは称されていない。
13件目(乙58)では、「LEDイルミネーション・LEDランプ・LED照明」と明瞭に書き分けて並記されている。
16件目(乙61)では、「LEDランプを採用したライトパネル」及び「光源にLEDランプを採用するライトパネル」と記載され、光源自体のことをLEDランプと称しており、照明器具「ライトパネル」は別な物と理解されている。
81件目(乙129)では、「LEDランプ」と対立或いは並記される概念として「LED照明、LEDライト」等が記載されている。
87件目(乙135)では、「LEDランプを使った照明器具」との記載から「LEDランプ」は、完成品としての照明器具を指称していない。
ウ 以上、「LEDランプ」の定義・説明(乙36、60)や、光源を「LEDランプ」と称し、それを用いた照明器具を「LED照明器具」等とは称するが「LEDランプ」とは称さない事実(乙46ないし乙56、61)、さらに、前記(ア)ないし(エ)の事実から、概ね「光源」として用いられる装置・器具は、「LEDランプ」と称されていると認められ、特に以下光源に相当する商品は、明らかに「LEDランプ」と称されていると認められる。なお、それは、請求人による商品「LEDランプ」の製造販売の事実とも合致している。
まず、「電球型LEDランプ」は、明らかに「LEDランプ」と称されており、被請求人も、「LEDランプ」に関し取消請求された先の審判事件では、この電球型LEDランプについて、使用立証を試みている。同様に、「蛍光灯(管)型(形)LEDランプ」も、「LEDランプ」と称されており、これは、請求人の製造販売に係る商品(乙28ないし乙32)の内容からも明らかである。
次に、「LED」自体も、「LEDランプ」と称されている。
さらに、自動(二輪)車用の照明を扱う業界・取引界では、「自動(二輪)車用LEDランプ」は、ほとんどが「LEDランプ」と称されている。
一方、上記の商品以外、即ち、光源とは直接的に認め難い商品は、取引の実情において社会通念上「LEDランプ」と称されているとは認められない。仮に称されている事実が存在していても、それらは、以下のとおり、散発的な個別の使用例に限られ、むしろ、同種商品を「LED照明器具」(乙53)とか「LEDランプを採用したライトパネル」(乙61)等と、「LEDランプ」とは明確に区別して用いている事実が明らかであり、以下商品を広く一般に全て「LEDランプ」と称する社会的な実態・事実は、熟していない。
まず、「満車・空車」の駐車場用表示盤や電飾等が含まれる「LED電球」ないし「LED蛍光灯」の各項目を、「LEDランプ」のタイトルで括るサイト(乙39)は存在するが、これはたまたまタイトルとして数多くある用語の内「LEDランプ」が採択されたに過ぎないと理解するのが自然であり、そこに含まれる個々の商品が、全て「LEDランプ」に属すると認め得る事実は存在していない。また、同様に「LEDランプ」のカテゴリーで括られた商品群中に「LED(小型)電球」の外、「懐中電灯」を含むサイト(乙124)も、個別の商品には各々「LED懐中電灯」とか「LED強力ライト」と明記されており、それらがいずれも「LEDランプ」に属する商品であるとは、にわかに断じ難い状況である。
次に、「MITSUBISHI LEDランプ Dot-it SILVER(シルバー)」(乙45)は、商品名中に「LEDランプ」を含むが、それが指称するのが、商品全体か3個の光源であるLED自体か判然としない。また、同一商品が、別のサイトでは「コンパクトLEDライト」(乙66)と称されている事実もある。
電球型LEDランプ3灯を備えた「クリップ付きLEDランプ」(乙86)、LEDを光源とする4つのブロックを組み合わせて独自の照明を構成できる「LEDランプ」(乙89)及び「インテリア照明 インテリアLEDランプ」(乙143)は、確かに光源ではなく、全体として照明器具として、即ち「LEDを使用した照明器具」として構成された商品を「LEDランプ」と称していると認められる。しかし、取引の実情(乙28ないし乙148)の全般的な事実に鑑みれば、それらの各商品が社会通念上固定的に「LEDランプ」とのみ称されている事実は認め難く、なお「LEDランプ」には属さない「LEDランプを使用した照明器具」等という概念で把握される可能性も十分に残っている。
なお、「ボトルキャップランプ」(乙116)及びLEDを組み込んだコースター(乙125)は、その用途・機能から、そもそも「電球類及び照明器具」の範ちゅうに属する商品とは認められず、「電球類及び照明器具」の範ちゅうに属する「LEDランプ」の内容を特定するに際しては、参考にならない。
以上、取引の実情から社会通念上、商品「LEDランプ」は、電球型LEDランプ、蛍光灯型LEDランプ、LED自体並びに自動(二輪)車用LEDランプの外、一般的に光源として利用される商品(乙47ないし乙52)を指称すると認められ、「LEDを使用した照明器具」全般を指称するとは認められない。そして、先の審判請求で取消しに係る商品を「LEDランプ」と記載し、本件審判請求において取消しに係る商品を「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」と記載した請求人の客観的な意思の問題として、「LEDランプ」を考慮すれば、請求人は、当初、自身が代表者を務める会社(乙28ないし乙32)の製造販売に係る商品に対応する「LEDランプ」に関して取消しを求め、それでは自己の目的を達成することが困難であることに改めて気付き、追って「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」に関して取消しを求めてきたと考えるのが自然であるから、ここでいう「LEDランプ」とは上記社会通念上の商品「LEDランプ」と考えられ、それを越えて「LEDランプ」の範囲を拡大することは許されない。
(4)本件商品「センサーライト」の概念
本件商品は、被請求人のサイトで「人の動きを検知して自動的に点灯するセンサーライトです。乾電池式で配線が不要なので、どこでも簡単に設置できます。ご家庭の屋外の玄関・門扉・物置・ガレージなどや室内のゲタ箱の上・寝室・納戸・階段などで防犯や明かり取りに最適です。」と説明されており(乙4)、光源としての「LEDランプ」ではなく、それ自体が独立して照明の機能を果たす照明器具として構成されているから、「LEDランプを使用した照明器具」として把握・認識されると認められる。したがって、本件商品が「LEDランプ」自体であり得ない以上、それが「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」の範ちゅうに属することは明らかである。
(5)まとめ
以上、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、その請求に係る指定商品「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」に属する本件商品「センサーライト」に、本件商標「エコルクス」の使用をしていることを、被請求人は証明しており、本件商標の登録は、取り消されるべきではない。

第4 当審の判断
1 本件の争点について
本件商標は、前記第1のとおり、「エコルクス/ECOLUX」の文字を横書きしてなり、その指定商品は、「電球類及び照明器具」であるが、別件審判の審決確定の結果、別件審判の請求の登録日(平成21年4月30日)に、「LEDランプ」について消滅したものとみなされることになる。
前記第2及び第3のとおり、被請求人(商標権者)及び通常使用権者であるアイリスプラザが、平成21年8月4日頃から請求人による本件審判の請求の登録の日(平成22年6月30日)までの間に、本件商標と同一又は社会通念上同一のものというべき「エコルクス」又は「ECOLUX」との標章を、「乾電池式LEDセンサーライト」(以下「本件商品」という。)の包装に付して、日本国内で第三者に対して譲渡したことは、当事者間に争いがなく、被請求人の提出した証拠によれば、これを認めることができる。
他方、被請求人は、これ以外に、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標を本件商標の指定商品について使用したとの事実を何ら主張立証していない。
ところで、本件商品は、防犯等を目的として室内又は室外に設置するために作られた、人の動きを探知して自動的に点灯する乾電池を電源とするセンサーライトであって、LEDを光源とするものである。
そして、本件商品が別件審判の確定審決前の本件商標の指定商品である「電球類及び照明器具」に該当することは、明らかである。
したがって、本件の争点は、本件商品が、別件審判の確定審決の登録(以下「確定審決」という。)により取り消された「LEDランプ」に該当しないといえるか否かである。
2 本件商標の指定商品についての使用の有無について
(1) 「LEDランプ」の意義
ア 本件商品が確定審決により本件商標の指定商品から取り消された「LEDランプ」に該当しないといえるか否かを検討する上で、まず、「LEDランプ」の用語の意義について検討すると、そのうち「LED」との部分は、「発光ダイオード」を意味する英語である「Light Emitting Diode」の頭文字を採用した略語であることが明らかである(甲98)。
しかしながら、「LEDランプ」の用語は、それ自体として、辞書類には掲載されておらず(甲3、4、87)、発光ダイオードを利用する歴史が浅いため国内規格も制定されていないこと(甲129)から、必ずしも厳密な定義がされているものではない。
また、一般に、日本語で「ランプ」とは、辞書類によれば、石油を燃料としガラスのほやで周りを覆う洋風の灯火又はその照明器具のほか、電灯などの灯火の総称として使用されている(甲3、甲4、甲87)ところ、「LEDランプ」に限らず「○○ランプ」という場合、「○○」という性質又は用途等を備えた電球類(甲8?11、19、174)に限らず、そのような性質又は用途等を備えた各種の照明器具類を指称することも多い(甲5?7、12?17、20、21、26、27)。
イ 以上を踏まえて、「LEDランプ」の用語の実際の使用例をみると、「LEDランプ」又は「LED○○ランプ」と称する商品は、現在、例えばインターネットを通じた商品売買により広く流通している。
そして、そこでの「LEDランプ」の用語がいかなる商品を指称しているかについての使用例をみると、これらには、例えば、(a)LED電球類(甲91?93、95、97、99?102、104、105、107?113、118、120?126、129?135、137?144、146、149、151、152、155?170、172、173、175、176、178?184、187?189、191?193、196?198、200?202、205、207、209、211、212、215?217)も多い一方で、(b)室内にインテリア等として備置することを目的とした乾電池等を電源とする照明器具(甲28?30、33、34、36、37、39、106、150、177、186、194、204)、(c)防犯等を目的として室内又は室外に設置するために作られた、人の動きを探知して自動的に点灯する乾電池を電源とするセンサーライトであって、LEDを光源とするもの(甲32、58、59)、(d)災害時の使用を想定した多目的懐中電灯であって手回し又は太陽光を電源とするもの(甲35)、(e)USB等から電源を得るいわゆる卓上電気スタンド又は読書灯(甲38、42、147)、(f)熱帯魚水槽用ライト(甲40)、(g)防犯目的で室内又は室外に設置するために防犯カメラの容器を擬態して作られた、人の動きの探知とは無関係に点灯する乾電池を電源とするいわゆるダミー・ドームカメラ(甲41)、(h)引出し内部に設置されて引出し内部を照らす乾電池を電源とする器具(甲60、203)、(i)機械の状態を明らかにする信号機であってLEDを光源とするもの(甲145、195)、(j)交流電源による室内での植物育成用の照明(甲171、206)、(k)具体的な内容を特定せずに、他のLED利用商品の名称とともに列挙されているもの(甲103、119)がある。
また、例えば、請求人が代表取締役を務める会社のホームページにおける「LEDランプ」の用語についてみると、専らLED電球類を指称する使用例(甲91?93、220)のほか、光源としてLEDを使用した防犯灯を指称する使用例(甲218、220、222、223)がある。
ウ 以上に加えて、「LEDランプ」の用語によるインターネット上の記事の検索結果一覧(甲94、96、190、199、215?217)が、「LEDランプ」との上記(a)ないし(k)にみられるような多様な使用例を示していることを併せ考えると、「LEDランプ」の用語は、本件審決が説示するようにLED電球類を指称するものに限定して使用されているものとは認め難く、むしろ、取引者により、現時点において、光源としてLEDを使用した多様な商品又は部材を指称するものとして広く使用されており、それ以上に対象に応じて厳密に使い分けられているものではないばかりか、少なくとも、前記(c)の複数の使用例にみられるように、防犯等を目的として室内又は室外に設置するために作られた、人の動きを探知して自動的に点灯する乾電池を電源とするセンサーライトであって、LEDを光源とするものも指称すると認識されているものと認められる。
そして、発光ダイオード(LED)を利用する歴史が浅いことを併せ考えると、このことは、本件審判の請求の登録前3年間においても同じであったものと推認される。
(2) 使用の有無について
登録商標の指定商品又は指定役務は、第三者との関係で当該登録商標の権利の範囲を確定するものであるから、その用語については取引者による通常の使用法に基づいて客観的に解釈されるべきものである。
そして、前記1のとおり、商標権者である被請求人及び通常使用権者であるアイリスプラザは、平成21年8月4日頃から本件審判の請求の登録の日までの間、本件商標と同一又は社会通念上同一のものというべき「エコルクス」又は「ECOLUX」の標章を、防犯等を目的として室内又は室外に設置するために作られた、人の動きを探知して自動的に点灯する乾電池を電源とするセンサーライトであって、LEDを光源とするものである本件商品の包装に付して、日本国内で第三者に対して譲渡したものである。
しかるところ、前記(1)のとおり、「LEDランプ」の用語は、取引者により、本件審判の請求の登録前3年間において、光源としてLEDを使用した多様な商品又は部材を指称するものとして広く使用されており、それ以上に対象に応じて厳密に使い分けられているものではないばかりか、少なくとも、防犯等を目的として室内又は室外に設置するために作られた、人の動きを探知して自動的に点灯する乾電池を電源とするセンサーライトであって、LEDを光源とするものも指称すると認識されていたものと認められる。
したがって、本件商品は、上記のとおり、確定審決により別件審判の請求の登録の日にその指定商品から消滅したものとみなされる「LEDランプ」に該当するから、同日から本件審判の請求の登録の日までの間において、本件商標の指定商品に該当しない。
そして、被請求人は、上記期間内における本件商品に対する本件商標の使用のほかに、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標を本件商標の指定商品について使用したとの事実を何ら主張立証していない。
以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」について、本件商標を使用していたことを証明していない。
したがって、本件商標は、その指定商品中、「LEDランプを除く、電球類及び照明器具」について、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2013-07-24 
結審通知日 2013-07-29 
審決日 2013-08-09 
出願番号 商願2001-76769(T2001-76769) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z11)
最終処分 成立  
前審関与審査官 瀬戸 俊晶 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 前山 るり子
山田 啓之
登録日 2002-08-16 
登録番号 商標登録第4595454号(T4595454) 
商標の称呼 エコルクス、エコラックス 
代理人 池田 恭子 
代理人 布施 行夫 
代理人 木内 光春 
代理人 ▲たか▼橋 淳 
代理人 大渕 美千栄 

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