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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W33
審判 査定不服 外観類似 登録しない W33
審判 査定不服 観念類似 登録しない W33
管理番号 1285498 
審判番号 不服2013-11973 
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-06-25 
確定日 2014-02-06 
事件の表示 商願2012-75553拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「沢の鶴 茜 10.5」の文字・数字を標準文字で表してなり,第33類「日本酒」を指定商品として,平成24年9月19日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において,本願の拒絶の理由に引用した登録第5388334号商標(以下「引用商標」という。)は,「茜」の文字を標準文字で表してなり,平成22年7月30日に登録出願され,第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として,平成23年2月4日に設定登録され,現に有効に存続するものである。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は,前記1のとおり,「沢の鶴 茜 10.5」の文字(数字)を標準文字で表してなるものであるところ,「沢の鶴」と「茜」,「茜」と「10.5」の間には,それぞれスペースが配されているから,「沢の鶴」,「茜」及び「10.5」の,3つの部分から構成されていると容易に看取されるものといえる。
ア 「10.5」の数字部分について
日本酒の分野において,最近では,低アルコールである日本酒が製造,販売されており,アルコール分を,6,7,8,10といった数字を用いて,その商品が低アルコールであることを表示し,商品が広告されている事実が,例えば以下のとおり見受けられる。
(ア)「菊正宗酒造株式会社」のウェブサイト
「菊正宗から低アルコール日本酒パック『ほろよいパック』新発売」の見出しにて,「菊正宗酒造株式会社…は,低アルコール日本酒パック『ほろよいパック1.8Lおよび900ML』を3月より新発売します。… 菊正宗『ほろよいパック』のアルコール度数は10%。一般的な日本酒やワインに比べて3?5%程度低いので,体の事が気になり出したシニア層や高いアルコール分のお酒に抵抗のある女性・若年層にも受け入れやすく,また,翌日が気になる働き盛りの層にも気楽にお楽しみ頂けます。日本酒の場合,アルコール度数を低くすると,旨みの少ないバランスのくずれた味わいになってしまいますが,菊正宗『ほろよいパック』は,菊正宗がこだわる 生もと造り(きもとづくり)の研究から生まれた『こくみ酵母』と,良質のお米をたっぷり使用することにより,低アルコールながらバランスのとれた深い旨みのある清酒本来の味わいが楽しめる酒質です。」と記載されており,日本酒の容器には,「低アルコール清酒10%」「Alcohol 10%」と表示されている(http://www.kikumasamune.co.jp/news_release/2013/01/%E8%8F%8A%E6%AD%A3%E5%AE%97%E3%81%8B%E3%82%89%E4%BD%8E%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%85%92%E3%83%91%E3%83%83%E3%82%AF-%E3%80%8C%E3%81%BB%E3%82%8D%E3%82%88%E3%81%84/)。
(イ)「マイナビニュース」のウェブサイト
「7%と低アルコールな日本酒『コールド大関』がコク味アップでリニューアル」の見出しにて,「『コールド大関』は,…気軽に飲める低アルコールの日本酒。アルコール度数は,当社上撰(アルコール度数15%)と比べて約半分の7%に。これまでアルコール度数が高いことで平日は敬遠されがちだった日本酒が,『毎日飲める身近なお酒』となった。今回のリニューアルでは,米麹をふんだんに使用した原酒をベースに,コク味たっぷりの原酒をブレンド。アルコール度数は低くても,日本酒本来の豊かな味わいが楽しめる。『コールド大関 エキストラ』は,低アルコールに物足りなさを感じている人向けに,アルコール度数10%で,更に日本酒本来のコクを強めた商品。…『コールド大関スパークリングホワイト』は,さわやかな微発泡タイプのにごり酒。…アルコール度数は6%で,カロリーは同社上撰と比べ30%OFF。」と記載されており,日本酒の缶には,「Alc.6%」「Alc.7%」「Alc.10%」とそれぞれ表示されている(http://news.mynavi.jp/news/2013/03/22/053/)。
(ウ)「花の香酒造株式会社」のウェブサイト
「低アルコール日本酒」の見出しにて,「花の香 701」の商品について「今までにない爽やかな風味が特徴の低アルコール日本酒 アルコール:8度」と,「花の香702スパークリング」の商品について「フルーティで微炭酸の刺激が心地よい低アルコール,スパークリング日本酒 アルコール:8度」と記載されている(http://www.hananoka.co.jp/shop2/nihonshu/lowalc_seishu/)。
(エ)「桜顔酒造」のウェブサイト
「低アルコール」の見出しにて,「北国の恋人 500ml 6本セット」の商品について「アルコール分8%の低アルコール清酒。果実酒のようなフルーティーな香りと口当たりは,日本酒とは思えないほど,甘くさわやかなお酒です。日本酒の苦手な方や女性にも喜ばれ,パーティーや記念日など,大勢が集まるシーンにも最適です。」と,「微発泡清酒 北国の恋人 250ml」の商品について「お米から生まれた天然発泡のお酒。アルコール分5%,白麹から生まれるフルーティーな柑橘系果実の味わい。」と記載されている(http://sakuragao.com/?cat=13)。
(オ)「日本名門酒会 公式サイト」のウェブサイト
「グイグイいける純米酒 おすすめ商品」の見出しにて,「日本酒らしい味わいそのままにアルコールを控えた純米酒です。…日本酒ならではの旨さそのままに,アルコール控えめ」と記載され,「飛良泉」の商品について,「【アルコール度数】12度」と,「楽酒」の商品について「【アルコール度数】13度」と記載されている(http://www.meimonshu.jp/modules/xfsection/article.php?articleid=274#gozenshu)。
加えて,「10.5」の数字についても,以下のとおり,日本酒や梅酒などにおいて,アルコール分を表示するものとして使用されている事実が見受けられる。
(カ)「mognavi」のウェブサイト
「タカラ 松竹梅 にごり酒 純米 10.5度 瓶240ml」の見出しにて,日本酒(瓶)が表示されている(http://mognavi.jp/food/355235)。
(キ)2005.2.25 山形新聞
「情報センサー 発泡性にごり純米酒発売」の見出しにて,「県酒類卸(寒河江市)は,東北銘醸(酒田市)と共同開発した発泡性にごり純米酒『初孫 雪恋花(ゆきこいばな)』を新たに発売した。瓶の中で自然発酵し,アルコール度数は10.5%。上品な甘口のため,日本酒が苦手な人も楽しめるという。」と記載されている。
(ク)2006.3.3 FujiSankei Business i.
「京都産にこだわった『黄桜梅酒 京美人300ml』」の見出しにて,「伏見の名水『伏水』で仕込んだ日本酒に京都・山城の『青谷の梅』をつけて作った京都産こだわりの梅酒。焼酎などで作った梅酒と違い日本酒ベースならではのやわらかな味わいが特徴。アルコール度数は日本酒より若干低く10.5度。」と記載されている。
(ケ)2009.10.16 日本食糧新聞
「『葡萄にごり酒』発売(北の誉酒造)」の見出しにて,「商品特徴=リキュール。シリーズ商品。アルコール分10.5%。同社の伝統ある確かな技術で仕込んだにごり酒にブドウ果汁をブレンド。にごり酒のまろやかな口当たりと,ブドウの風味が絶妙な味わいを織り成す新感覚の酒。」と記載されている。
以上の(ア)?(ケ)からすると,本願商標中「10.5」の部分は,本願商標の指定商品との関係において,需要者をしてアルコール分を表示したものと理解させるにすぎないから,自他商品の識別標識としての機能を有さず,出所識別標識としての称呼,観念を生じないというのが相当であり,本願商標のうち自他商品の識別標識として機能する部分は,「沢の鶴 茜」であるものといえる。
イ 「沢の鶴」及び「茜」について
日本酒の分野においては,その蔵元を表す出所表示の部分のみならず,個別の商品に付された標章のみをもって,その商品を広告している例が,以下のとおり見受けられる。
(ア)「黄桜株式会社」のウェブサイト
日本酒の容器に,「黄桜」の文字と「呑 どん」の文字が共に表示されているほか,「呑 どん」の見出しにて,「旨い,なおかつ,飲み飽きない『呑』」「呑 うまさの秘密」と記載されている(http://kizakura.co.jp/ja/can/new_don.html)。
(イ)「白鶴酒造株式会社」のウェブサイト
日本酒の容器に,「白鶴」の文字と「まる」の文字が共に表示されているほか,「まる」の見出しにて,「商品ラインナップ -まる-」「・・・また,料理の後味を洗い流す働きもあり脂っこい料理にもよく合います。すなわち“まる”は,どの料理にも相性のよいお酒といえます。」と記載されている(http://www.hakutsuru.co.jp/maru-club/product/)。
(ウ)「月桂冠株式会社」のウェブサイト
商品の容器に,「月桂冠」の文字と「月 つき」の文字が共に表示されているほか,「つきの広告」「つきのラインナップ」「つきのこだわり 味わい,満ちるまで。」と記載されている(http://www.gekkeikan.co.jp/products/tuki/index.html)。
(エ)「菊正宗酒造株式会社」のウェブサイト
商品の容器に,「菊正宗」の文字と「ほろよい」の文字が共に表示されているほか,「新商品」の見出しにて,「ほろよいパック」「・・・低アルコールながら,日本酒らしい味わいとスッキリとした後味。・・・『うまい低アルコール清酒』で『ほろよい』をお楽しみください。」と記載されている(http://www.kikumasamune.co.jp/products/new/528_horoyoi_300.html)。
以上の(ア)?(エ)からすると,日本酒の分野において,その蔵元を表す出所表示の部分のみならず,個別の商品に付された標章のみが取引に資されることも決して少なくないものといえる。
そうすると,本願商標のうち,自他商品の識別標識として機能する「沢の鶴 茜」の文字部分のうち「沢の鶴」の部分は,商品「日本酒」の蔵元(請求人会社)を表示するものとして,需要者間において認識されている標章と認められるところ,本願商標がその指定商品に使用された場合,これに接する需要者は,「沢の鶴」の文字部分を蔵元(請求人会社)であると捉えた上で,「茜」の文字を,個別の商品に付された標章(いわゆるペットネーム)と認識し,その「茜」の文字部分のみをもって取引することも決して少なくないというのが相当である。
ウ まとめ
上記ア及びイからすると,本願商標は,「茜」の文字部分から生ずる「アカネ」の称呼及び「赤色のやや沈んだ色」(「広辞苑 第六版」株式会社岩波書店)程の観念をも生ずるというべきである。
(2)引用商標について
引用商標は,前記2のとおり,「茜」の文字を標準文字で表してなるものであり,これより「アカネ」の称呼及び「赤色のやや沈んだ色」程の観念を生ずる。
(3)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標を比較すると,両商標は,全体としては外観上の差異を有するが,本願商標のうち独立して取引に資される「茜」の部分が外観において引用商標と同一であり,両商標から生ずる称呼及び観念も,「アカネ」及び「赤色のやや沈んだ色」において共通するから,これらを総合的に勘案すれば,互いに類似の商標というのが相当である。
(4)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について
本願商標及び引用商標の指定商品は,前記1及び2のとおりであるから,本願商標の指定商品は,引用商標の指定商品に包含されるものである。
(5)小括
以上からすれば,本願商標は,引用商標に類似する商標であり,かつ,引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから,商標法4条1項11号に該当する。
(6)請求人の主張について
請求人は,「本願商標は『沢の鶴』という灘五郷を代表するハウスマーク及び『10.5』が含まれており,本願商標と引用商標は『茜』の部分しか同一でないし,日本酒などの酒類については,蔵元(ハウスマーク)を評価して取引,購入が行われている実情もあるから,これらを考慮すれば,本願商標がその指定商品に使用されても,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれはない」旨主張する。
しかしながら,上記(1)で述べたとおり,日本酒の分野において,「10.5」の数字は,アルコール分を表示したものと理解させるにすぎないから,自他商品の識別標識としての機能を有さないし,「沢の鶴」は,商品「日本酒」の蔵元(請求人会社)を表示するものとして,需要者間において認識されている標章と認められるから,本願商標がその指定商品に使用された場合,需要者は,このうち「沢の鶴」の文字部分を,蔵元(請求人会社)であると捉えた上で,「茜」の文字をいわゆるペットネームと認識し,本願商標の構成中「茜」の文字部分のみをもって取引することも決して少なくないというのが相当である。そして,本願商標が,「茜」の部分のみをもって取引に資される場合,本願商標は,引用商標と類似するものであるから,請求人の上記主張は,採用できない。
なお,請求人は,「沢の鶴」などのいわゆるハウスマークの相違によって登録された例があることをもって,本願商標も登録すべきである旨述べるが,請求人が挙げる例は,いずれも,識別力がないか,又は極めて弱い文字とハウスマークとが組み合わされているといえるものであり,本願商標とは,事例を異にするから,これらの登録例があることをもって,本願商標もまた登録されるべきであるということはできない。
(7)結語
以上のとおりであるから,本願商標が商標法4条1項11号に該当するとして本願を拒絶した原審の判断は,妥当であって,原査定を取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-11-29 
結審通知日 2013-12-03 
審決日 2013-12-19 
出願番号 商願2012-75553(T2012-75553) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W33)
T 1 8・ 261- Z (W33)
T 1 8・ 263- Z (W33)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内田 直樹 
特許庁審判長 村上 照美
特許庁審判官 守屋 友宏
梶原 良子
商標の称呼 サワノツルアカネジュッテンゴ、サワノツルアカネジューゴ、サワノツルアカネイチゼロゴ、サワノツルアカネ、サワノツル、アカネジュッテンゴ、アカネジューゴ、アカネイチゼロゴ、アカネ 
代理人 特許業務法人アイミー国際特許事務所 

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