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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900079 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1284371 
異議申立番号 異議2013-900261 
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-03-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-08-09 
確定日 2014-01-23 
異議申立件数
事件の表示 登録第5579427号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5579427号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5579427号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲(1)のとおりの構成からなり,平成24年11月16日に登録出願,第3類「化粧品」を指定商品として,平成25年4月3日に登録査定,同年5月2日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5583687号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲(2)のとおりの構成からなり,2011年12月22日に,域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,平成24年3月21日に登録出願,第3類「化粧品」のほか,第3類,第9類,第14類,第18類,第25類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成25年5月24日に設定登録されたものである。

3 登録異議申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標は,外観上相違するが,本件商標から生ずる「キューエムシー」の称呼は,引用商標から生ずる「キューエムシー」の称呼と同一であり,また,本件商標中の「(MC)」から生ずる「エムシー」の称呼は,引用商標中の「Mc」から生ずる「エムシー」の称呼と同一である。
してみると,本件商標と引用商標は類似する商標である。
また,本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品中,第3類に属する化粧品類と同一又は類似の商品である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
デザイナーズブランド業界においては,被服やアクセサリーなどと化粧品の製造販売等は,同一事業者によってされることが多い。引用商標は,被服,かばん類,眼鏡等との関係で,申立人の商標として,イギリスをはじめとするヨーロッパ圏,米国,アジア圏で広く知られており,日本でも広く知られている。
仮に,本件商標が引用商標と非類似であるとしても,引用商標と構成する欧文字が同一であり,また,両商標は,欧文字「MC」が強調されて構成されていることで,全体的な印象が共通し,本件商標がその指定商品について使用されれば,申立人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく,商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものであるから,取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は,別掲(1)のとおり,欧文字及び記号からなる「Q(MC)」と片仮名からなる「キューエムシー」を二段に横書きにしてなるものであるところ,上段の「Q(MC)」の文字及び記号は,同一の書体をもって外観上まとまりよく一体的に表されているばかりでなく,下段の「キューエムシー」の文字が上段部分の読みを特定したと理解されるものであって,該「キューエムシー」の称呼は,冗長というほどのものではなく,よどみなく称呼し得るものである。
そうすると,本件商標は,構成全体をもって,一体不可分の商標を表したと認識されるものであって,その構成中の「(MC)」の部分のみが独立して取引者,需要者に強い印象を与えるものではない。
したがって,本件商標は,その構成文字に相応して,「キューエムシー」の一連の称呼のみを生ずるものであって,特定の観念を有しない造語を表したと理解されるというべきものである。
イ 引用商標
引用商標は,別掲(2)のとおりの構成からなるものであるところ,その構成中の「Mc」を囲む部分は,直ちに欧文字の「Q」,あるいは,特定の具象を表したと理解されるものとは認め難いところである。
そうすると,引用商標に接する取引者,需要者は,読みやすい「Mc」の文字部分を捉えて,これから生ずる「マック」の称呼をもって,商品又は役務の取引に当たる場合が多いとみるのが相当である。
したがって,引用商標は,その構成から,まず生ずる称呼は,「マック」であるということができる。
仮に,引用商標中の「Mc」を囲む部分が欧文字の「Q」を表したと理解される場合があるとしても,以下の理由により,引用商標からは,「キューエムシー」の称呼が生ずるというより,むしろ,「マックキュー」の称呼が生ずる場合があるといわなければならない。
すなわち,後記(2)の認定のとおり,引用商標は,Alexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)が,2006年(平成18年)春夏コレクションにおいて,そのデザインに係る若者向けカジュアルウェアについて表示するものとして立ち上げたブランドであることが認められ,引用商標を付した被服,かばん,靴等は,我が国においても,2011年(平成23年)8月ころから,期間限定の店舗(ポップアップショップ)において販売され,「マックキュー」と称呼されて紹介されていた事実が存在することから,引用商標を知る若者を中心とした一部の需要者の間においては,「マックキュー」との称呼をもって商品の取引に当たる場合もあるというのが相当である。
したがって,引用商標は,その構成から,「マック」の称呼を生ずるほか,「マックキュー」と称呼される場合も少なくないものと認めることができる。また,引用商標は,特段の観念が生ずるものとはいえない。
ウ 本件商標と引用商標との対比
(ア)外観
本件商標は,別掲(1)のとおりの構成からなるものであるのに対し,引用商標は,別掲(2)のとおりの構成からなるものであるから,両商標は,外観上明らかに相違するものである。
(イ)称呼
本件商標から生ずる「キューエムシー」の称呼と引用商標から生ずる「マック」又は「マックキュー」の称呼は,構成する音数が異なるばかりでなく,両称呼において配列された各音の音感,音質等の差異により,それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても,称呼全体の語調,語感が著しく相違したものとなり,称呼上互いに紛れるおそれはないものである。
(ウ)観念
本件商標と引用商標は,いずれも特定の観念を生じない造語を表したと理解されるものであるから,観念上比較することはできない。
(エ)以上によれば,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号には該当しない。
なお,申立人は,本件商標中の「(MC)」及び引用商標中の「Mc」を,それぞれ分離抽出し,これを前提に,両商標は,「エムシー」の称呼を同じくする類似の商標であるとも主張するが,前記認定のとおり,本件商標は,構成全体をもって,一体不可分の造語商標を表したと認識されるものであって,単に「エムシー」の称呼は生じないというべきであるから,上記申立人の主張は前提において誤りがあり,理由がない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の著名性
(ア)申立人の提出した証拠(各項の括弧内に掲記)によれば,以下の事実を認めることができる。
a.Alexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)は,イギリスのファッションデザイナーであり,1991年(平成3年)にデザイナーとしてデビューし,1992年(平成4年)には,「Alexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)」ブランドを立ち上げた。2000年(平成12年)12月に,Alexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)の個人ブランド運営会社の株式の51%をグッチ・グループに売却し,同社は,グッチ・グループの傘下に入った。Alexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)は,2002年(平成14年)に,「Alexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)」ブランドをパリコレクションで発表するなどした後,2006年(平成18年)春夏コレクションにおいて,若者向けカジュアルウェアについて引用商標の使用を開始した。引用商標は,「マックキュー」との読みが付されている(以上,甲5の1?4,13)。
b.我が国における引用商標を付した被服,かばん,靴などの販売は,2010年(平成22年)2月のAlexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)の死亡によりその事業を受け継いだSarah Burton(サラ・バートン)によって,2011年(平成23年)8月2日に,渋谷西武において期間限定の店舗(ポップアップショップ)で行われ,その後,同年8月3日に新宿伊勢丹,福岡岩田屋,同年8月10日,11日に心斎橋大丸,同年10月15日に阪急MEN’S TOKYOにおいて,それぞれ期間限定の店舗(ポップアップショップ)で行われた(甲5の5?8)。
c.しかし一方で,我が国において,引用商標を付した被服,かばん,香水,スカーフ,眼鏡等が,インターネットを介して紹介されたり,通信販売に資されたりした事実は窺えるものの,本件商標の登録出願日(平成24年11月16日)前にインターネット上に掲載されたと明確に確認できるものは極めて少なく(甲5の11,16),本件商標の登録出願日前に掲載されたと確認できるものであったとしても,引用商標が表示されていないものも存在する(甲5の17)。さらに,2013年(平成25年)10月29日の時点において(プリントアウトされた日付:甲5の10),我が国において,Alexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)のデザインに係る商品を取り扱う店舗数は,全国に127店舗が存在することが認められるが,これらの店舗のすべてにおいて,本件商標の登録出願前から引用商標を付した商品が販売されていたかは明らかではない。
また,インターネットテレビを介して,Alexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)に関する特集が組まれた事実(甲6の1?15)や,2006年(平成18年)から2013年(平成25年)の間に,我が国において発行されたファッション雑誌等に,Alexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)及び同人のデザインに係る商品が掲載された事実(甲6の16)は認められるとしても,いずれにおいても,引用商標の掲載数は極めて少ないといえる。
のみならず,提出された証拠は,いずれもAlexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)及び同人のデザインに係る商品に関するものであって,申立人が,本件商標の登録出願前から,Alexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)のデザインに係る商品を取り扱ったと認めるに足りる証拠の提出はないばかりか,引用商標が,本件商標の登録出願前から,申立人の業務に係る商品について使用されていた事実を認めるに足りる証拠の提出もない。
(イ)以上によれば,デザイナーとしてのAlexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)の名前は,本件商標の登録出願前から我が国の取引者ないし若者を中心とした需要者の一部においては,ある程度知られていたことが窺えるとしても,引用商標が,本件商標の登録出願日(平成24年11月16日)及び登録査定日(平成25年4月3日)の時点において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていた商標と認めることは到底できない。
イ 出所の混同
前記アの認定のとおり,引用商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,本件商標の登録出願前から,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていた商標ということはできない。
また,前記(1)の認定のとおり,本件商標は,構成全体をもって一体不可分の造語商標を表したと理解されるものであって,引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点についても,相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
そうとすれば,本件商標に接する取引者,需要者が,引用商標を想起又は連想することはないというべきであるから,本件商標は,これをその指定商品について使用しても,該商品が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれのある商標と認めることはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する商標ということはできない。
(3)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲(1)
本件商標



別掲(2)
引用商標




異議決定日 2014-01-15 
出願番号 商願2012-93238(T2012-93238) 
審決分類 T 1 651・ 26- Y (W03)
T 1 651・ 271- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 津金 純子 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 渡邉 健司
山田 啓之
登録日 2013-05-02 
登録番号 商標登録第5579427号(T5579427) 
権利者 ジェー・ネットワーク インコーポレーテッド
商標の称呼 キューエムシー、キュウエムシイ 
代理人 特許業務法人 松原・村木国際特許事務所 
代理人 田辺 恵基 

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