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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z0510
管理番号 1284318 
審判番号 取消2013-300041 
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-01-21 
確定日 2014-01-31 
事件の表示 上記当事者間の登録第4339651号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4339651号商標(以下「本件商標」という。)は,「ダイレックス」の片仮名を表してなり,平成10年5月29日に登録出願され,第5類「医療用腕環」及び第10類「医療用機械器具」のほか,第1類ないし第6類,第8類ないし第11類,第14類ないし第34類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同11年12月3日に設定登録され,その後,同21年12月8日に商標権の存続期間の更新登録がなされ,現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成25年2月4日である。

第2 請求人の主張
請求人は,本件商標は,商標法第50条第1項の規定により,その指定商品中,第5類「医療用腕環」及び第10類「医療用機械器具」について,その登録を取り消す,審判費用は,被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,本件審判の請求に係る指定商品について,継続して3年以上,日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないものであるから,その登録は取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
乙第1号証における使用態様を見ると,本件商標が表示されている態様は,チラシの左上のオレンジ色の長方形部分に,「暮らしの心をむすぶダイレックス」,「毎日が!ディスカウント」等の記載とともに表示され,その他には,チラシの最下部に「暮らしの心をむすぶ」,「ディスカウントストアダイレックス」と表示されているのみであって,各商品の写真と価格の表示箇所付近に本件商標が表示されているわけではない。このような使用態様では,本件商標と個別の商品との密接な関連性は認められない。
被請求人が使用を主張する「手首式血圧計」及び「低周波治療器」は,表示された多種類の商品の中に含まれており,「手首式血圧計」及び「低周波治療器」の表示には,商品名の上に,これら商品についての他人の登録商標「OMRON」が示されているため,該商品に使用された商標は,本件商標ではなく,むしろ「OMRON」のみであると考えられる。
これらの事実から,本件商標は,ディスカウントストアの店舗名として使用されており,掲載されている個別の商品について使用されているとはいえず,むしろ,それら商品を扱う小売役務について使用されていると考えるのが自然である。
なお,仮にこのような使用態様を,商品についての商標の使用と認める場合,小売役務の制度を設けた趣旨に反することとなる。小売役務を提供する被請求人が,商標を使用しない個別の商品を指定して権利を保有する必要性もない。
3 口頭審理陳述要領書
乙第1号証における使用態様は,前記2のとおりであり,これらの事実から,本件商標は,飲食料品,ペット用品,文房具,家電等多岐にわたる商品を取り扱うディスカウントストアの店舗名として使用されており,該商標は,掲載されている個別の商品について使用されているとはいえないと思料する。むしろ,それら商品を扱う小売役務について使用されていると考えるのが自然である。
乙第2号証ないし乙第7号証においても,様々な商品を扱うディスカウントストアの店舗名として本件商標が使用されていることが確認できるのみである。
したがって,乙第1号証ないし乙第7号証によっては,被請求人による,本件商標について,商標法上の商標の使用があったとはいえない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第7号証を提出している。
1 答弁の理由
被請求人は,2012年11月28日チラシ(乙1)に,本件商標,「手首式血圧計」の文字とその商品の写真及び「低周波治療器」の文字とその商品の写真を表示して広告している。
したがって,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に我が国においてその請求に係る指定商品中の「血圧計」や「低周波治療器」に,本件商標の使用をしていたものである。
2 口頭審理陳述要領書
(1)乙第1号証は,商標権者による広告物である。商標権者は,商品の販売店舗として「ディスカウントストア ダイレックス」を運営しており,その佐賀店,鳥栖店,唐津店,伊万里店,鹿島店の広告物が乙第1号証である。
(2)乙第2号証は,医薬品販売業許可証であり,商標権者が鳥栖店で医薬品の店舗販売を行うことを佐賀県が許可した書類である。
乙第2号証には,氏名として商標権者である「ダイレックス株式会社」と記載され,店舗の名称として「ダイレックス 鳥栖店」と記載され,その店舗の所在地として鳥栖店の住所が記載され,佐賀県知事の氏名とともに佐賀県知事印が押印されている。
乙第1号証には,表面左上に「鳥栖店」とその住所が掲載されており,裏面右下部分に医薬品の広告が掲載されている。乙第1号証に掲載の鳥栖店の住所と乙第2号証に記載の鳥栖店の住所が一致する。
これらのことから,商標権者は,乙第2号証に示すように,鳥栖店で医薬品を販売するために佐賀県の許可を得ており,その広告として乙第1号証を配布したといえる。
(3)乙第3号証は,管理医療機器販売業賃貸業届出書である。この乙第3号証は,乙第1号証に掲載の「低周波治療器」などの家庭用電気治療器を含む管理医療機器を鳥栖店で販売等するために佐賀県に提出し,佐賀県庁薬務課で平成22年3月18日に受理されたものである。
乙第3号証には,届出人として商標権者であるダイレックス株式会社の社名・住所が記載され,代表者印が押印されている。また,乙第3号証には,営業所の名称として「ダイレックス鳥栖店」と記載され,営業所の所在地として住所が記載されている。乙第1号証に掲載の鳥栖店の住所と乙第3号証に記載の鳥栖店の住所が一致する。
これらのことから,商標権者は,乙第3号証に示すように,鳥栖店で低周波治療器などの管理医療機器を販売するために佐賀県の許可を得ており,その広告として乙第1号証を配布したといえる。
(4)乙第4号証は,商標権者のホームページに掲載している商標権者の組織図であり,これに示すように,各店舗は営業本部で管轄する直営店であり,商標権者と別個の法人ではない。
商標権者は,商品を販売する店舗として鳥栖店等を直接運営しており,その鳥栖店等の広告として乙第1号証を配布した。
(5)商標権者は,乙第1号証の印刷を福博印刷株式会社に依頼し,印刷された乙第1号証を福博印刷株式会社から株式会社読売西部アイエスに引き渡し,株式会社読売西部アイエスが新聞の折り込みチラシとして配布したものである。
乙第5号証は,福博印刷株式会社が乙第1号証を印刷した際の請求明細書である。
乙第6号証は,福博印刷株式会社が乙第1号証を株式会社読売西部アイエスに納品した際の納品書である。
乙第7号証は,株式会社読売西部アイエスが乙第1号証を配布した際の請求書である。
乙第5号証ないし乙第7号証は,受注No,日付及び数量などが整合している。
以上のことから,商標権者は,福博印刷株式会社に乙第1号証の印刷を依頼し,福博印刷株式会社から株式会社読売西部アイエスに引き渡し,株式会社読売西部アイエスに新聞広告の折り込みチラシとして配布を依頼したものである。
したがって,乙第1号証は,商標権者による広告物に相違ない。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について,被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば,以下の事実が認められる。
(1) 乙第1号証は,チラシ(縮小されたもの,写し)であり,左上には,橙色の地色に,黒で縁取りされた白抜きの「ダイレックス」の片仮名がやや大きく表示され,「○広告の品売り出し日/11月」として,「28日(水)から12月3日(月)」と記載され,該チラシの右下部には,「12.11.28」と記載されている。
そして,該チラシには,「食品・菓子」,「ペット用品」等の商品のほか,「家電」と表示したなかに,「OmROn」及び「手首式血圧計」の文字とその商品写真,並びに,「OmROn」及び「低周波治療器」の文字とその商品写真が掲載され,それぞれの価格が記載されている。
また,該チラシの表及び裏の下部には,橙色の地色に白色で「ディスカウントストア」の文字と,これに続けて黒色で「ダイレックス」の文字が,それぞれ4箇所ずつ表示されている。
該チラシの表の中央上部には,佐賀店,鳥栖店,唐津店,伊万里店及び鹿島店の各電話番号及び所在地が記載されていて,「鳥栖店」には,「佐賀県鳥栖市田代大官町832-2」と記載されている。
(2)乙第3号証は,平成22年3月18日付けの商標権者から,「佐賀県知事」に宛てた,「管理医療機器 販売業 賃貸業 届出書」であり,「営業所の名称」の欄には,「ダイレックス鳥栖店」,「営業所の所在地」の欄には,「佐賀県鳥栖市田代大官町832-2」の記載があり,管理者の氏名及び住所が記載され,「兼営事業の種類」の欄には,「小売販売業」と記載されている。
(3)乙第5号証の2葉目は,「福博印刷株式会社」から「ダイレックス 鳥栖店」に宛てた「御請求明細書(平成24年11月分)」であり,「受注No」の欄の「12013187」について,その「品名」の欄には「レギュラーチラシ」,「納品日」の欄には「2012/11/21」,「折込日」の欄には「2012/11/28」,「数量」の欄には「20,900」と記載されている。
(4)乙第6号証は,「福博印刷株式会社」から「ダイレックス株式会社」に宛てた「レギュラーチラシ納品書(平成24年11月27日・28日)」であり,その2葉目の中程よりやや上段に,「受注No」の欄の「12013187」について,「店名」の欄には「ダイレックス 鳥栖店」,「品名」の欄には「レギュラーチラシ」,「納品日」の欄には「11/21」,「折込日」の欄には「11/28」,「数量」の欄には「20,900」と記載されている。
(5)乙第7号証は,「株式会社読売西部アイエス」から商標権者に宛てた,平成24年11月30日付けの「請求書」であり,その2葉目の中程の,「日付」の欄には「1128」,「摘要」の欄には「鳥栖店」,「総数量」の欄には「20,900」と記載されている。
2 前記1で認定した事実によれば,以下のとおり,判断できる。
商標権者は,その取扱いに係る商品に関する広告チラシの印刷を,福博印刷株式会社に依頼し,株式会社読売西部アイエスに該チラシを納品し,株式会社読売西部アイエスが,要証期間である平成24年(2012年)11月28日に,新聞の折り込みとして頒布したものである。
そして,該広告チラシには,「手首式血圧計」及び「低周波治療器」といった商品と写真及びそれら価格が掲載されているから,該広告チラシは,「手首式血圧計」及び「低周波治療器」についての広告と認められるものであり,「手首式血圧計」及び「低周波治療器」は,本件取消請求に係る指定商品中,第10類「医療用機械器具」に含まれる商品と認められる。
また,該広告チラシの左上には,「ダイレックス」と表示されているのであるから,かかる使用は,「手首式血圧計」及び「低周波治療器」についての使用ということができるものであり,該表示は,「ダイレックス」の片仮名からなる本件商標と社会通念上同一のものと認められる。
そうとすると,商標権者は,本件審判の請求の登録前3年以内に,日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品中,第10類「医療用機械器具」に含まれる「手首式血圧計」及び「低周波治療器」に関する広告に,本件商標と社会通念上同一の商標を付して,これを頒布したものと認められる。
3 請求人の主張について
請求人は,本件商標が表示されている態様は,チラシの左上に表示され,各商品の写真と価格の表示箇所付近に本件商標が表示されているわけではないから,本件商標と個別の商品との密接な関連性は認められないものであり,「手首式血圧計」及び「低周波治療器」の商品名表示の上に,これら商品についての他人の登録商標「OMRON」が示されているため,該商品に使用された商標は「ダイレックス」ではなく,むしろ「OMRON」のみであると考えられるから,本件商標は,ディスカウントストアの店舗名として使用されており,掲載されている個別の商品について使用されているとはいえず,むしろ,それら商品を扱う小売役務について使用されていると考えるのが自然である旨,仮にこのような使用態様を,商品についての商標の使用と認める場合,小売役務の制度を設けた趣旨に反することとなる旨主張する。
しかしながら,一つの商標が小売等役務の商標として使用されるとともに,商品についても使用されているということはあり得るのであって,本件商標が,ディスカウントストアの店舗名(小売等役務の商標)として使用されているからといって,商品について使用されていないということはできない。
そして,商品に係る商標が,「業として商品を…譲渡する者」にも与えられるものであり(商標法第2条第1項第1号),商品の製造業者のみならず,小売業者もまた,商品の譲渡等を行うことに変わりはないことに照らすと(同条第3項第2号参照),小売業者としての出所を表示することが,商品の商標としての使用に当たらないということはできない。
そうすると,本件商標は,商標権者が営業する「ディスカウントストア」の店舗名としても使用されているが,商標権者が,「手首式血圧計」及び「低周波治療器」等の商品を掲載した広告チラシに本件商標を表示したことは,業としてこれらの商品を譲渡する小売業者の出所を表示するものとして,本件商標を使用したものとみることができる。
また,商標法第2条第2項は,平成18年の一部改正において,小売及び卸売の業務において行われる役務を商標法上の役務としての保護対象として新たに追加した規定であり,「この役務には,製造小売業や通信販売による小売業によって提供されるサービス活動も含まれる。この結果,小売業者や卸売業者が使用する商標は,従来の商品商標に加え,役務商標としての保護も可能となった。」(「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第19版〕」発明推進協会発行)とされたものであるが,小売等役務の制度の施行前に小売業者等が登録した商品商標は,その指定商品について,小売業者等の出所を表示する商標として使用されていたものである。
そして,小売等役務の制度が導入されたことにより,商品商標に加え,役務商標としての保護も可能となったとしても,小売業者としての出所を表示する商品商標として使用できるものであるから,小売等役務の制度を設けた趣旨に反するということはできない。
よって,請求人の上記主張は,採用することができない。
4 結論
以上のとおり,被請求人は,商標権者が,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品中,第10類「医療用機械器具」に含まれる「血圧計」及び「低周波治療器」に,本件商標の使用をしていることを証明したと認められる。
したがって,本件商標の登録は,その指定商品中,第5類「医療用腕環」及び第10類「医療用機械器具」について,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
審決日 2013-09-24 
出願番号 商願平10-45471 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z0510)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 原田 信彦
田中 亨子
登録日 1999-12-03 
登録番号 商標登録第4339651号(T4339651) 
商標の称呼 ダイレックス 
復代理人 小暮 理恵子 
復代理人 久保 怜子 
代理人 志賀 正武 
代理人 渡邊 隆 
代理人 内野 美洋 

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