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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201316663 審決 商標
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不服20132323 審決 商標
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審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 登録しない W3641
管理番号 1284315 
審判番号 不服2013-18044 
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-09-18 
確定日 2014-01-20 
事件の表示 商願2012- 92836拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は,「宅建士」及び「TAKKENSHI」の文字を上下二段に書してなり,第36類「建物又は土地の管理に関するコンサルティング及び情報の提供,建物及び土地の有効活用に関する企画・指導及び助言,建物又は土地に関する財務の評価,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,インターネットを通じて行うマンションの賃貸に関する情報の提供,建物又は土地の貸与又は売買に関する情報の提供,建物又は土地の情報の提供」及び第41類「資格の認定及び資格の付与,資格検定試験の企画・運営又は実施,資格取得講座における教授,資格取得講座に関する情報の提供,資格取得講座における通信教育,技芸・スポーツ又は知識の教授,資格検定試験受験のための学習講習会の企画・運営又は開催,資格検定試験受験のための学習講習会の企画・運営又は開催に関する情報の提供,セミナーの企画・運営又は開催,資格検定試験の学習用の電子出版物の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」を指定役務として,平成24年11月15日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標は,『宅建士』の文字及び『TAKKENSHI』の欧文字を上下二段に併記してなるところ,一般に『○○士』は,国家等が実施する試験に合格した者が取得できる資格を表示する語として使用されているばかりでなく,国家資格の一つである『宅地建物取引主任者』の試験の際に,『宅建』と略して使用されている事情を考慮すれば,『宅建士』の文字は国家資格と相紛れるおそれがあり,そのようなものを一私人たる出願人が自己の商標として使用することは,需要者をして国家資格を表す名称の一つであるかの如く誤認を生じさせるおそれがあり,ひいては国家資格制度の秩序を乱すおそれがあるものと認める。したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第7号該当性について
(1)本願商標について
本願商標は,「宅建士」及びその読みを欧文字で表した「TAKKENSHI」の文字を上下二段に書してなるものである。
(2)末尾に「士」の文字が付された名称について
本願商標は,上段に「宅建士」の文字を書してなるところ,その構成中の「士」の文字は,「一定の資格・役割をもった者」の意味を有するものであり,その用例として,「弁護士」の記載(広辞苑第六版)がある。
そして,末尾に「士」の文字が付された名称の中で,需要者にとって接する機会が多く,一般に知られているものの多くは,弁護士,栄養士,公認会計士を始め,税理士,建築士,不動産鑑定士,司法書士,行政書士などの国家資格に係るものであり,その状態が古くから続いてきていることは,当審において顕著である。
してみれば,このような事情の下では,需要者は,末尾に「士」の文字が付された名称に接した場合,「一定の国家資格を有する者」を表しているものと理解することが多いというのが相当である。
(3)「宅建士」について
前記(2)のとおりであるから,本願商標の「宅建士」の文字部分は,「宅建」の文字と,「一定の国家資格を有する者」を表す「士」の文字とを結合させたものと理解,把握されるものである。
そして,下記に示すウェブページの記載から,該「宅建」の文字は,「宅地建物取引」の略字として,広く一般に使用されている実情がある。
ア「不動産ジャパン」に係るウェブページ
「ポイント2 宅地建物取引業とは?」の項目に,「宅地建物取引業(=宅建業)とは,(1)自らが行う宅地や建物の売買や交換(2)売買や交換,貸借をするときの代理や媒介を業として行うものをいいます。宅建業は,『宅地建物取引業法』という法律の規制によって,国土交通大臣または都道府県知事の免許を受けた者でなければ営むことができません。」の記載がある。
(http://www.fudousan.or.jp/kiso/buy/takken.html)
イ「建築士の宅建攻略サイト」に係るウェブページ
「宅建業の目的」の項目に,「『宅地建物取引業』とは,世間一般でいうところの不動産業,つまり,不動産の販売や仲介をする仕事のことです。『宅地建物取引業法(宅建業法)』は,この宅建業に関するルールを定めている法律です。」の記載がある。
(http://kenntikutakkenn.web.fc2.com/text/gyouhou/takkenngyou.html)
ウ「宅建業登録代行センター」に係るウェブページ
「不動産業をはじめるには」の項目に,「不動産業をはじめるには,まず免許が必要になります。この免許こそが,宅地建物取引業免許です。通称,宅建業免許といいます。」の記載がある。
(http://www.takkencenter.jp/)
エ「宅建業免許登録ナビ」に係るウェブページ
「当サイトについて」の項目に,「当サイトでは,宅建業(宅地建物取引業)免許の申請手続きについてわかりやすく解説しています。」の記載がある。
(http://navi-takken.com/)
オ「公益社団法人宮城県宅地建物取引業協会」に係るウェブページ
「宅建業免許とは」の項目に,「宅地建物取引業を営もうとする方は,宅地建物取引業法の規定により,知事または国土交通大臣の免許を受けることが必要です。」の記載がある。
(http://www.miyataku.or.jp/nyuukaiannai/about_license/what_license/)
カ「宅建業.com」に係るウェブページ
「宅建業とは?」の項目に,「宅地建物取引業,いわゆる不動産屋さんをはじめる場合,宅建業免許が必要とされています。・・・他人の物件を代理して販売する販売代理店,賃貸代理業者や,他人の物件を媒介する不動産仲介会社は必ず宅建業免許が必要となります。」の記載がある。
(http://宅建業.com/001/)
キ「宅建業免許申請代行・開業支援センター」に係るウェブページ
「宅建業(宅地建物取引業)とは」の項目に,「宅建業(宅地建物取引業)とは,宅地または建物について次に掲げる行為を業として行うものを言います。・・・宅建業(不動産業)を営むためには宅地建物取引業の免許取得が必要になります。」の記載がある。
(http://www.u-takuken.com/archives/140.html)

以上のとおり,「宅建」の文字が「宅地建物取引」の略字として広く一般に使用されている実情及び,「士」の文字が「一定の国家資格を有する者」を表すものであることを総合的に考慮すれば,「宅建士」及びその読みを欧文字で表した「TAKKENSHI」の文字を上下二段に書してなる本願商標に接する取引者,需要者は,その構成文字全体から,「宅地建物の取引を行う国家資格を有する者」程の意味合いを認識するものである。
(4)宅地建物取引業に関する国家資格について
宅地建物取引に関して,宅地建物取引業法には,宅地建物取引業者は,その事務所ごとに,宅地建物取引主任者を置かなければならず(第15条),宅地建物取引主任者は,同法に規定された試験に合格し(第16条),都道府県知事の登録を受けなければならない(第18条)旨が規定されている。
したがって,宅地建物取引を行うためには,同法に規定された国家資格が必要であり,「宅地建物取引主任者」は,同法の規定による国家資格と認められるものである。
(5)判断
以上のように,宅地建物取引業に関する国家資格が存在する事実及び,原審において提示した新聞記事情報のとおり,「宅地建物取引主任者」自体を「宅建」と略称する事実があることからすれば,「宅地建物取引」の略字として広く一般に使用されている「宅建」の文字と,「一定の国家資格を有する者」を表す「士」の文字とを結合させた「宅建士」及びその読みを欧文字で表した「TAKKENSHI」の文字を上下二段に書してなる本願商標は,「宅地建物の取引を行う国家資格を有する者」程の意味合いを認識させるものであって,これに接する取引者,需要者は,上記「宅地建物取引主任者」の他に,宅地建物取引業に関する国家資格が存するかの如く誤信する場合があることは否定できないところであるから,本願商標に独占権を付与し,請求人がこれを使用することは,国家資格制度に対する社会的信頼を失わせ,ひいては公の秩序を害するおそれがあるものといわなければならない。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。

2 請求人の主張について
(1)請求人は,「国家資格あるいは国家資格に準ずる公的資格として一般的に挙げられる資格は300程度(そのうち『〇〇士』とつくものは100程度),民間資格として一般的に挙げられる資格は300程度(そのうち『〇〇士』とつくものは40程度)であるから,『〇〇士』に基づいて『国家資格・公的資格』をただちに想起することはなく,単になんらかの資格であることしか想起しない」旨,及び「需要者は,さまざまな民間資格が世の中に認知されている現状において,『宅地建物取引主任者』自体やその業務についても十分に熟知しており,本願商標『宅建士』が国家資格あるいは公的資格と相紛れるおそれはまったくない」旨,主張する。
しかしながら,前記1の認定のとおり,本願商標は,前記ウェブページ及び原審で提示した新聞記事において示されている事実から,「宅地建物の取引を行う国家資格を有する者」程の意味合いを認識させるものであって,これに接する取引者,需要者は,上記「宅地建物取引主任者」の他に,宅地建物取引業に関する国家資格が存するかの如く誤信する場合があるというべきであるから,請求人の主張は採用することができない。
(2)請求人は,登録商標及び過去の審決例を挙げ,「本願商標も同様に登録されるべきである」旨,主張する。
しかしながら,商標法第4条第1項第7号の該当性については,各商標につき,それぞれの構成態様を勘案し,個別具体的に判断されるべきものであって,請求人の挙げる登録商標及び審決例をもって,本件の判断が拘束されるものでもないから,請求人の主張は採用することができない。

3 まとめ
したがって,本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,妥当なものであって,取り消すべき限りでない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-11-27 
結審通知日 2013-11-29 
審決日 2013-12-10 
出願番号 商願2012-92836(T2012-92836) 
審決分類 T 1 8・ 22- Z (W3641)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 木村 一弘 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 谷村 浩幸
田中 亨子
商標の称呼 タッケンシ、タクケンシ、タッケン、タクケン 
代理人 大田 英司 
代理人 西村 弘 
代理人 永田 元昭 
代理人 永田 良昭 

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