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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W29
管理番号 1284295 
審判番号 不服2013-10355 
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-05-16 
確定日 2014-01-17 
事件の表示 商願2012-46010拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第29類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成24年5月25日に登録出願され、その後、本願の指定商品については、原審における同年10月25日受付及び当審における同25年5月20日付けの手続補正書により、第29類「香川県小豆島で製造したちりめんじゃこを主とする水産物加工品を含んだオリーブオイルの瓶詰」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、文字部分を強調した単なる付記的な背景図形内に『瀬戸内産』、『ちりめんじゃこ』、『小豆島』、『食べる』、『オリーブ』及び『オイル』の各文字を縦書きに普通に用いられる方法で書してなるところ、調味料の分野において、指定商品の『オリーブオイル』に具材が入った食べるオリーブオイルであることを表す語として『食べるオリーブオイル』の文字が使用されていることに照らせば、これを本願指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は『具材として瀬戸内産のちりめんじゃこを使用した香川県小豆島で製造した食べられるオリーブオイル』であることを認識するにとどまり、単に商品の品質を表示するものと認められることから、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、濃淡のある薄緑色でオリーブを表したものと容易に認識される絵図を配してなる横長長方形と、当該図形が背景となるように、黒色で表してなる「瀬戸内産」及び「ちりめんじゃこ使用」の各文字、濃緑色で表してなる「小豆島」、「オリーブ」及び「オイル」の各文字並びに赤色で表してなる「食べる」の文字を配してなるものである。
ところで、「オリーブオイル」は、オリーブの果実から採取した帯緑黄色の不乾性油であって、食用又は薬用等に用いられるもの(「広辞苑 第六版」、株式会社岩波書店発行)であるところ、近年においては、原審において示した例のほか、別掲2ないし6に示すように、オリーブオイルにほかの食材を加えたものであって、「食べるオリーブオイル」と称する商品が一般に広く製造、販売され、また、そのような商品のラベルには、原材料であるオリーブその他の食材(例えば、唐辛子、にんにく等)の絵図を表すことが一般に広く行われており、かつ、ラベルに表されている文字や絵図等について、看者の注意を惹きやすくするために、その大きさや色彩に変化を加えることも少なからず行われているというのが実情である。
また、「小豆島」は、香川県小豆郡に属する瀬戸内海東部の島(前出「広辞苑 第六版」)であって、我が国におけるオリーブ発祥の地及びオリーブオイル生産量日本一の地として、一般に広く知られているものである(別掲7及び8)。
以上を踏まえれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、本願商標の構成全体をもって、「瀬戸内産のちりめんじゃこを使用してなる(香川県)小豆島産の食べるオリーブオイル」程の意味合いを表したものとして看取、理解するとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、その指定商品との関係において、商品の品質、産地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標について、背景に表したオリーブの木とオリーブの実を図案化して緑色の線で表した図案と、「食べる」という橙色で大きく表示された文字との組合せによる絶妙な組合せの表現により、一般需要者の目から見て十分な出所識別機能を有しているものである旨主張している。
しかしながら、本願商標が、本願の指定商品と同種の商品に係る取引の実情を踏まえれば、取引者、需要者をして、その構成全体をもって、商品の品質、産地を表したものとして認識されるにとどまるものであること、上記(1)において認定、判断したとおりであるから、請求人による上記主張を採用することはできない。
また、請求人は、本願商標を付した商品を3年前から販売しており、各種メディアに取り上げられたことにより、小豆島の食べるオリーブオイルとしての認知度が高まっている旨主張し、その主張を裏付けるものとして、乙第1号証ないし乙第3号証を提出している。
しかしながら、乙第1号証は、2012年1月1日の19時放映のTBS系「JJJ-1グランプリ」において商品が紹介されたとする画面の写しであるところ、その写しには、「今年は絶対これが来る!/香川・食べるオリーブオイル」のテロップとともに、本願商標と同様の文字が配された標章からなるラベルの付された商品(2個)と「香川発/食べる/オリーブオイル/840円」の表示がされた値札様のものが表されているにすぎず、また、乙第2号証は、光文社発行に係る婦人向け雑誌「Mart」(2011年7月号)において注目度No.1として取り上げられたとする記事の写しであるところ、その写しには、「『調味料大好き!』大阪ミセスはこんなメニューを開発中」の見出しの下、「注目度No.1!」及び「小豆島/食べるオリーブオイル」等の記載とともに、本願商標と同様の文字が配された標章からなるラベルの付された商品が紹介されているものの、同じページには、ほかの商品(「無添加青柚子胡椒」と称する商品)も同様に紹介されているものであり、さらに、乙第3号証は、通販サイト「楽天」における「食べるオリーブオイル」商品一覧の写しであるところ、その写しには、別掲2ないし6に示した各商品も含めて、「食べるオリーブオイル」と称する複数の商品が掲載されているにすぎないものであるから、これらの事実をもって、本願商標を付した商品の認知度が高まっているものとは認め難く、ほかに、本願商標が請求人の業務に係る商品であることを表示するものとして、取引者、需要者間において広く認識されるに至っていると認めるに足る事実は見いだせず、よって、請求人による上記主張を採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本願商標


(色彩については原本参照)

2 「日本ハム株式会社」のウェブサイトにおいて、2011年8月26日付けニュースリリースとして、「のせれば何でもイタリアン!?/『具だくさんの食べるオリーブオイル 3種のチーズ仕立て』9月1日(木)新発売」の見出しの下、「今年3月にイタリア産オリーブオイルに乾燥たまねぎ、ナッツ、アンチョビ、パルメザンチーズ等の具材を加え、イタリア風の味わい深い『食べるオリーブオイル』を開発し、販売を開始。・・・この『具だくさんの食べるオリーブオイル 3種のチーズ仕立て』は、シリーズ第3弾。チーズの専門ブランド‘ロルフ’を持つ、宝幸ならではのパルメザンチーズ、チェダーチーズ、エダムチーズの3種類のチーズとイタリア産ピュアオリーブオイルを100%使用しています。」の記載とともに、当該商品の画像が掲載されており、そのラベルには「具だくさんの食べるオリーブオイル」(「具だくさん」の文字部分は、ほかの文字に比して小さく表されている。)及び「3種のチーズ仕立て」の文字等のほか、オリーブの葉及びチーズを表したものと容易に認識される絵図が背景的に表されている。また、「姉妹品」の項目には、「具だくさんの食べるオリーブオイル/ブラックオリーブ入り」及び「具だくさんの食べるオリーブオイル/唐辛子&ガーリック入り」と称する各商品の画像が掲載されており、前者のラベルには、「具だくさんの食べるオリーブオイル」(「具だくさん」の文字部分は、ほかの文字に比して小さく緑色で表され、かつ、「食べるオリーブオイル」の文字部分は、赤色で表されている。)及び「ブラックオリーブ入り」の文字等のほか、ブラックオリーブを表したものと容易に認識される絵図が背景的に表されており、また、後者のラベルには、「具だくさんの食べるオリーブオイル」(「具だくさん」の文字部分は、ほかの文字に比して小さく赤色で表され、かつ、「食べるオリーブオイル」の文字部分は、緑色で表されている。)及び「唐辛子&ガーリック入り」の文字等のほか、唐辛子及びガーリック(にんにく)を表したものと容易に認識される絵図が背景的に表されている。
(http://www.nipponham.co.jp/news/2011/20110826/)
3 「にんにくや岡崎商店」のウェブサイトにおいて、「食べるオリーブオイル」の見出しの下、「にんにく日本一の田子町産にんにくといか日本一の八戸産秋獲りスルメイカの胴体のみをぜいたくに使った食べるオリーブオイル!」の記載とともに、当該商品の画像が掲載されており、そのラベルには「田子産にんにく八戸産スルメイカ入り」(「入り」の文字部分は、赤色円図形中にいわゆる抜き文字で表されており、ほかの文字は赤色で表されている。)及び「田子町のにんにくや/岡崎屋/食べるオリーブオイル」(当該文字は、すべて白色で表されており、かつ「田子町のにんにくや」の文字部分は、ほかの文字に比して小さく表されている。)の文字等のほか、オリーブ及びにんにくを表したものと容易に認識される絵図が表されている。
(http://www.e-ninniku.com/homeFiles/45olive.html)
4 「販促大王」のウェブサイトにおいて、「田崎真也監修 食べるオリーブオイル100g(国産品)」の見出しの下、「日本を代表する世界のソムリエ、『田崎真也』氏監修の食べるオリーブオイル。」の記載とともに、当該商品の画像が掲載されており、そのラベルには、「[田崎真也]/食べる/オリーブオイル」(「[田崎真也]」の文字部分は、ほかの文字に比して小さく赤色で表され、ほかの文字は白色で表されている。また、「食べる」の文字部分は、ほかの文字に比して大きく表されている。)の文字等のほか、オリーブを表したものと容易に認識される絵図が表されている。
(http://www.ima-gine.co.jp/products/2573240-50/)
5 「アンブロシア楽天市場店」のウェブサイトにおいて、「食べるオリーブオイル発売開始早々楽天市場ランキング洋風食材部門で堂々ランクイン!」の見出しの下、当該商品の画像が掲載されており、そのラベルには「食べるオリーブオイル辛口」(「辛口」の文字部分は、赤色円図形中にいわゆる抜き文字で表されている。)の文字等のほか、オリーブを表したものと容易に認識される絵図が表されている。
(http://item.rakuten.co.jp/ambrosia/23000049/)
6 「オリーブ園オンラインショップ」のウェブサイトにおいて、「食べるオリーブオイル(ブラックペッパー)」の見出しの下、当該商品の画像が掲載されており、そのラベルには「食べる/オリーブオイル」の文字及び当該文字に比して小さく表された「ブラックペッパー」の文字等のほか、オリーブを表したものと容易に認識される絵図が表されている。
(http://1st-olive.com/SHOP/4904774124237.html)
7 「本場の本物」のウェブサイトにおいて、「小豆島オリーブオイル」の見出しの下、「本物のゆえんと魅力」の項目中に、「日本のオリーブ栽培を独占しているのは、香川県。国内産地は、香川県と岡山県だけで、香川県が約95%を占めており、もちろんオリーブオイル生産量も、常に日本一となっています。オリーブは県花、県木に指定されています。」との記載がある。
(http://www.shokusan.or.jp/honbamon/product/10-syodoshima-oliveoil/index.html)
8 「小豆島町」のウェブサイトにおいて、「小豆島町の概要」の見出しの下、「小豆島町は、日本におけるオリーブ発祥の地として、また、壷井栄の小説を基にした映画『二十四の瞳』の舞台として全国的に知られています。」との記載がある。
(http://www.town.shodoshima.lg.jp/about/outline.html)


審理終結日 2013-10-30 
結審通知日 2013-11-08 
審決日 2013-11-28 
出願番号 商願2012-46010(T2012-46010) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W29)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 冨澤 美加 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 高橋 幸志
田中 敬規
商標の称呼 セトウチサンチリメンジャコシヨーショードシマタベルオリーブオイル、ショードシマタベルオリーブオイル、タベルオリーブオイル、セトウチサンチリメンジャコ、セトウチチリメンジャコ、ショードシマチリメンジャコ、セトウチオリーブオイル、ショードシマオリーブオイル、セトウチオリーブ、ショードシマオリーブ 

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