ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
---|---|---|
不服201316202 | 審決 | 商標 |
不服201312530 | 審決 | 商標 |
不服201316569 | 審決 | 商標 |
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 登録しない W3043 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W3043 審判 査定不服 観念類似 登録しない W3043 |
---|---|
管理番号 | 1284262 |
審判番号 | 不服2013-6080 |
総通号数 | 171 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2014-03-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-04-04 |
確定日 | 2014-01-06 |
事件の表示 | 商願2012-5191拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「ネルプレッソ」の文字を標準文字で表してなり、第30類「コーヒー」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、平成24年1月27日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、登録第2049744号商標、登録第3123593号商標、登録第5288752号商標及び国際登録第1054554号商標と同一又は類似の商標であって、その商標に係る指定商品(指定役務)と同一又は類似の商品(役務)について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本願商標 本願商標は、前記1のとおり、「ネルプレッソ」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、同じ書体及び大きさをもって、等間隔にまとまりよく表されているものであり、また、その構成文字全体から生ずると認められる「ネルプレッソ」の称呼も、よどみなく称呼し得るものである。そして、該文字は、辞書類に載録された成語とは認められず、かつ、特定の意味を有する語として一般に慣れ親しまれたものとも認められないから、特定の観念を有することのない一種の造語として認識されるとみるのが相当である。 そうとすると、本願商標は、その構成文字に相応して、「ネルプレッソ」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を生ずることのないものである。 イ 引用商標 前記2のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標のうち、登録第5288752号商標(以下「引用商標」という。)は、「ネスプレッソ」の文字を標準文字で表してなり、平成20年1月8日に登録出願、第30類「コーヒー,コーヒーエキス,コーヒー飲料製造用調製品,代用コーヒー,代用コーヒーエキス,茶,茶エキス,茶飲料製造用調製品,ココア,ココア飲料製造用調製品,チョコレート,チョコレートを使用した菓子,菓子,砂糖菓子,砂糖,甘味料(天然のもの),焼き菓子,ビスケット」及び第43類「ホテルにおける宿泊施設の提供,カフェテリアにおける飲食物の提供,バーにおける飲食物の提供,レストランにおける飲食物の提供」並びに第9類、第11類、第21類、第35類、第37類、第39類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品又は役務を指定商品又は指定役務として、同21年12月18日に設定登録されたものである。 ところで、本願については、引用商標の商標権者から、平成24年10月15日付け刊行物等提出書をもって、本願商標が商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとする刊行物等が提出されているところ、その内容及び別掲に示す新聞記事やインターネット情報によれば、引用商標の商標権者は、自己のグループ企業を通じて、1986年(昭和61年)に発売した電気式コーヒーメーカー及びカプセル型コーヒーについて、継続して「NESPRESSO(ネスプレッソ)」の商標を使用しており、2011年(平成23年)には、50か国以上の主要都市で270店舗以上の直営店舗(ブティック)を展開するなど、該商標の使用に係る事業は、引用商標の商標権者が展開する各種事業のうち、成長著しいものの一つになっているといえる。そして、我が国においても、1987年(昭和62年)に事業展開を開始し、2001年(平成13年)10月ないし2009年(平成21年)3月までの間に、順次、全国の主要都市にある百貨店内に36店舗(ブティック又はコーナー)を設け(既に終了しているものを含む。)、近時においては、東京の表参道や大阪の梅田に直営店舗(ブティック)を設けており、また、少なくとも2003年(平成15年)1月以降、継続的に各種新聞・雑誌に紹介記事が掲載され、かつ、ウェブサイトやテレビにおいても紹介がされたとされている。 以上を踏まえれば、引用商標は、少なくとも「コーヒーメーカー」や「コーヒー」といった商品を取り扱う業界及び「コーヒーの提供」といった役務を提供する業界においては、引用商標の商標権者及びその関連企業の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、相当程度広く認識されているものと認められる。 してみれば、引用商標は、その構成文字に相応して、「ネスプレッソ」の称呼を生ずるものであり、「引用商標の商標権者及びその関連企業の事業に係るネスプレッソと称する商品及び役務」程の意味合いを認識させるものとみるのが相当である。 ウ 本願商標と引用商標との類否について 本願商標と引用商標とは、上記ア及びイのとおり、いずれも片仮名6文字を標準文字をもって表してなるものであり、そのうち、2文字目における「ル」と「ス」以外の「ネ」及び「プレッソ」の各文字を共通にするものであるから、看者をして、相当程度似た印象を受けるものといえる。 また、本願商標から生ずる「ネルプレッソ」の称呼と引用商標から生ずる「ネスプレッソ」の称呼とを比較すると、両称呼は、いずれも6音(促音を含む。)からなるものであって、語頭の「ネ」の音及び3音目以降の「プレッソ」の各音を共通にするものであり、わずかに2音目において、「ル」と「ス」の音の差異を有するにすぎず、さらに、該差異音についてみても、子音を異にするものの、それに伴う母音「u」を同じくするものであって、かつ、その位置するところが、明瞭に発音され得る語頭音「ネ」と響きの強い3音目「プ」との間であることからすれば、容易に聴別し難いものというのが相当であるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、語感、語調が近似し、互いに聴き誤るおそれがあるというべきである。 さらに、本願商標は特定の観念を生ずることのないものであるのに対し、引用商標は「引用商標の商標権者及びその関連企業の事業に係るネスプレッソと称する商品及び役務」程の意味合いを認識させるものであるから、両商標は、観念上、比較することができない。 以上を踏まえれば、本願商標と引用商標とは、外観において、相当程度似た印象を与えるものであり、かつ、称呼においても、互いに聴き誤るおそれがあることに加え、引用商標が、上述のとおり、商品「コーヒー」や役務「コーヒーの提供」に係る業界において、相当程度広く認識されているものであることをも総合勘案すれば、たとえ、両商標が観念において比較することができないものであるとしても、両商標を同一又は類似する商品又は役務に使用した場合、取引者、需要者をして、商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがあるほどに類似するものというべきである。 そして、本願の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務とを比較すると、両者の間に抵触する商品又は役務が含まれることは明らかである。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)請求人の主張について 請求人は、本願商標の構成中の「プレッソ」の文字は本願の指定商品及び指定役務を取り扱う業界において多用されていることから、商標を区別する上でより重要な役目を果たすのは「プレッソ」以外の文字部分にあるとした上で、両商標は非類似である旨主張するが、仮に、請求人が主張するように「プレッソ」の文字部分が多用されているとしても、そのことをもって、直ちに本願商標及び引用商標のそれぞれの構成中にある「プレッソ」の文字部分が、商品又は役務の出所識別標識としての機能を果たし得ないとはいい難く、むしろ、両商標は、それぞれ上記(1)において認定、判断したとおり、その構成全体をもって一連一体の語を表したものとして認識されるとみるのが相当であるから、請求人の上記主張はその前提において失当である。 また、請求人は、「ル」と「ス」の音を差異音とする既登録例を挙げて、本願商標と引用商標とは、称呼上、非類似の商標である旨主張するが、該登録例は、比較対象である称呼において、本件とは別異のものであって、事案を異にするというべきものであるから、該登録例が存することをもって、上記(1)においてした判断が左右されることはない。 したがって、これらの点についての請求人の主張は、採用し得ない。 (3)まとめ 以上を踏まえれば、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであり、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(下線は、当合議体で付加。) (1)2003年12月15日付け「日本食糧新聞」に、「ネスレジャパングループ、新型コーヒーマシン『ネスプレッソ』を積極展開」との見出しの下、「ネスレグループは七〇年に、グルメコーヒー市場のさらなる可能性を予測し、・・・ネスプレッソの開発に着手。完璧なエスプレッソコーヒーには、最高のコーヒーとマシンが不可欠で、数多くの特許を含め技術開発を進め、完成した。八六年の製品発売以来、毎年三〇%増の成長を達成。〇二年実績で三億五〇〇〇万スイスフランを売上げ、四四三万台を販売した。全世界のエスプレッソポンプ市場の一六%のシェアを保持。三〇ヵ国で展開する中で、スイス、フランス、ドイツでは圧倒的なシェアを占める。日本では八七年に登場し、近年は世界の成長を上回る実績をあげている。」との記載がある。 (2)2007年11月26日付け「日刊工業新聞」(19頁)に、「今、売れてます/東急ハンズ三宮店-エスプレッソメーカー」の見出しの下、「自宅でもカフェのような本格的なコーヒーがいれられます-。東急ハンズ三宮店(神戸市中央区)では、エスプレッソコーヒーを手軽に入れることができるエスプレッソメーカーが人気だ。・・・一番人気はネスレの『ネスプレッソ』。」との記載がある。 (3)2009年3月13日付け「日本食糧新聞」に、「ネスレネスプレッソ、売上げ1000億円のブランドに成長 世界で高い伸び」の見出しの下、「ネスレネスプレッソのロイック・レトレ社長は6日、世界で展開するネスプレッソ事業について『07年実績は前年比40%増と成長している』『売上高1000億円のブランドとなり、ネスレの中でビリオネアグループに入った』と述べた。また、ブティックは117店舗、会員は約450万人と広がっているようだ。」との記載がある。 (4)2010年4月21日付け「日本食糧新聞」に、「ネスレネスプレッソ社、09年売上高22%増『シティズ』導入など奏功」の見出しの下、「ネスレ日本は15日、ネスレグループでコーヒーメーカーの販売などを世界的に行うネスレネスプレッソ社の09年業績を売上高27億7000万スイスフラン(約2390億円、前年比22%増)と好調な実績となったことを発表した。・・・日本国内でネスプレッソを展開するネスレネスプレッソ社(日本)についても、『シティズ』の導入や家庭内消費へのトレンドを背景に、世界での実績と同様に成長した。ネスプレッソ事業は、プレミアムコーヒーの『グラン・クリュ』(カプセルコーヒー)と、機能とデザインを兼ね備えたコーヒーマシン『ネスプレッソクラブ』を核としたカスタマーサービスの3本を事業の柱として50を超える国で展開。ネスレグループの成長戦略分野の一つ『ラグジュアリー・プレミアム製品群』として位置づけられており、2000年以降、平均30%の伸びを持続する。09年にはブティック数が190店舗、ネスプレッソクラブ会員は700万人を突破した。」との記載がある。 (5)2012年11月26日付け「日経産業新聞」(26頁)に、「ネスレネスプレッソ、コーヒーメーカー、表参道に路面店。」の見出しの下、「ネスレネスプレッソ(東京・港)は2013年4月、東京・表参道に開業する施設『オーク表参道』内に自社ブランドの家庭用コーヒーメーカー『ネスプレッソ』を販売する店舗を出す。・・・『ネスプレッソブティック 表参道店』の総店舗面積は約380平方メートル。1階部分でネスプレッソシリーズの機械やカプセル入りの専用コーヒー粉末などを販売する。店内には試飲スペースも設ける。」との記載がある。 (6)「ネスレ」のウェブサイトにおいて、「プレスリリース/阪急うめだ本店ネスプレッソブティック 地下1階にオープン」の見出しの下、「神戸,October 12,2012/・・・ネスレネスプレッソ社について/『NESPRESSO(ネスプレッソ)』が提供するコーヒーは、一般家庭はもちろんのこと、高級レストランやホテル、店舗、オフィスなど、さまざまな場面で人々に愛飲されています。スイスのローザンヌに本社を構え、7,000人超の従業員を擁するネスレネスプレッソ社は、現在50カ国以上で事業を展開するとともに、世界の主要都市で270店舗以上の直営のブティックを展開しています(2011年現在)。2011年の売上高は35億スイスフラン(約3120億円*)を達成、ネスレグループの中でも急速に成長している事業です。*換算レート 2011年年間平均:1スイスフラン=89.2円」との記載がある。 (http://www.nestle.co.jp/media/pressreleases/allpressreleases/20121012) |
審理終結日 | 2013-10-31 |
結審通知日 | 2013-11-07 |
審決日 | 2013-11-20 |
出願番号 | 商願2012-5191(T2012-5191) |
審決分類 |
T
1
8・
263-
Z
(W3043)
T 1 8・ 261- Z (W3043) T 1 8・ 262- Z (W3043) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 冨澤 美加 |
特許庁審判長 |
野口 美代子 |
特許庁審判官 |
田中 敬規 浦辺 淑絵 |
商標の称呼 | ネルプレッソ |
代理人 | 北村 修一郎 |
復代理人 | 太田 誠治 |