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審決分類 審判 査定不服 商品(役務)の類否 登録しない X33
管理番号 1284256 
審判番号 不服2012-15178 
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-06 
確定日 2014-01-07 
事件の表示 商願2011- 40271拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「長壽」の文字を毛筆書体で横書きしてなり、第33類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成23年6月10日に商標登録出願されたものである。
その後、指定商品については、原審における平成24年2月14日付けの手続補正書により、第33類「虎骨酒,ぶどう酒,キュラソー,コーヒーを使用したリキュール,カクテル,天然発泡性のぶどう酒,ジン,ラオチュー,パイカル,朝鮮人参を使用した果実酒,柚子を使用した果実酒,ウイスキー,ワインをベースにしたカクテル,薬味酒,アブサン,果実酒,果実のエキス(アルコール分を含む。),アラック酒,アニス(リキュール),アニゼット(リキュール),食卓用ワイン,甘口ワイン,松葉酒,りんご酒,ビタース,ブランデー,保命酒,ウォッカ,ベルモット酒,米を原料とした韓国伝統の濁酒,はちみつ酒,キルシュ,なし酒,発泡性のぶどう酒,発泡性の果実酒,ペパーミントリキュール,ヤマブドウ酒,梅酒,ピケット酒,リキュール,ラム,いちご酒,まむし酒,カオリャンチュー,洋酒,中国酒」と補正された。

第2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第602965号商標(以下「引用商標」という。)は、「長壽」の文字を毛筆書体で縦書きしてなり、昭和36年4月8日に登録出願、第28類「日本酒」を指定商品として、昭和37年12月25日に設定登録され、その後、平成14年10月23日に指定商品を第33類「日本酒」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。

第3 当審の判断
1 商標の類否について
本願商標及び引用商標は、共に毛筆書体の「長壽」の漢字からなるところ、その文字に相応して「チョウジュ」の称呼及び「寿命が長いこと。長生き。長命。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)の観念を生ずるものである。
そうとすれば、本願商標と引用商標は、縦書きと横書きの違いはあるものの、いずれも「長壽」の文字を毛筆体で表してなるものであるから、外観上相紛れるおそれのある類似の商標といえるものであり、さらに「チョウジュ」の称呼及び「寿命が長いこと。長生き。長命。」の観念を同一にするものである。
してみれば、本願商標と引用商標は、「長壽」の文字を共通にするのであって、外観において類似し、称呼及び観念を共通にするものであるから、互いに相紛れるおそれのある類似の商標といえることは明らかである。
2 指定商品の類否について
本願商標の指定商品は、「米を原料とした韓国伝統の濁酒」を含むものであるが、当該濁酒について、請求人は、通常「マッコリ」と称される酒であると説明している。
一方、引用商標の指定商品は「日本酒」であり、「日本酒」は、「濁酒・どぶろく」(以下、まとめて「濁酒」という。)を含むものである。
そこで「マッコリ」と「濁酒」が類似する商品であるか否かについて、以下判断する。
ところで、商標法第4条第1項第11号に規定する指定商品の類否は、取引の実情に照らし、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認混同されるおそれがあるか否かによって判断されるべきである(東京高等裁判所、平成15年《行ケ》第456号参照)。
そこで、上記の点を踏まえて、「マッコリ」及び「濁酒」に類似の商標を使用した場合に、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認混同されるおそれがあるか否かについて検討する。
(1)マッコリと濁酒の製造方法等と品質の共通性について
ア 製造方法等について
出願人の説明及び広辞苑第六版(株式会社岩波書店)によれば、マッコリは、もち米、粳米、麦、小麦粉などを蒸して冷やした後、麹と水を混ぜて、一定の温度で発酵させたものである。
一方、濁酒は、炊いた米に、米こうじや酒粕に残る酵母などを加えて発酵させたものである(ウィキペディア「どぶろく」)。
以上によれば、マッコリと濁酒は、いずれも米を原材料とし、その米を蒸した後、麹を加えて発酵させる点において、その製造方法が共通するものである。
イ 品質(風味、代替性等)について
新聞記事、インターネット情報に、以下の記載がある。
(ア)合資会社浜田屋の製品販売ウェブサイト
「マッコリって何?」の見出しのもと、「マッコリとは韓国で古くから飲まれている伝統酒です。米を主原料に麦麹で醗酵させたお酒です。米と麹による発酵酒という点では味わい的に日本のどぶろくに良く似ています。」との記載がある。
(http://eemise.com/page028.html)
(イ)ウェブサイト「マッコリの飲み方ナビ」
「JINROマッコリは口に含むと日本酒風味が広がります。これは、たくさんのマッコリに共通する点です。なにせ、日本酒の原料とほぼ同じですからね。」との記載がある。
(http://www.rezmar.com/24_1.html)
(ウ)ウェブサイト「msn産経ニュース」
「【ビジネスの裏側】マッコリに負けるな!! “日韓どぶろく戦” 日本酒『にごり』『発泡』で猛反撃」(2012.8.18 18:00)の見出しのもと、「にごりや発泡性の日本酒が飲まれるようになった背景には約3年前から始まった韓国のにごり酒『マッコリ』ブームがあるという。阪神百貨店の酒類販売担当者によると、マッコリブームが起きた少しあとからにごり酒も売れるようになった。マッコリで『にごり酒』のおいしさを知った女性たちが、日本のにごり酒にも目を向けるようになったようだ」との記載がある。
(http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120818/wec12081818000005-n2.htm)
(エ)有限会社酒匠蔵しばさきのウェブサイト
「東京マッコリ」の商品情報として、「たしかに『マッコリ』と言えば韓国が発祥の地で、韓国では庶民の味として昔から造られている飲み物です。韓流ブームに乗って日本にも上陸した『韓国流どぶろく』です。『どぶろく』『にごり酒』と言えば日本酒蔵でも製造できるお酒です。」との記載がある。(http://ee26.com/matkori.htm)
(オ)末廣酒蔵株式会社のウェブサイト
「春玉の白」の商品情報として、「韓国において古来飲まれてきたにごり酒『マッコリ風清酒』。末廣の技術により、発酵炭酸ガス含有のままお届けします。」との記載がある。
(http://www.sake-suehiro.jp/SHOP/629.html)
(カ)有限会社ニ世古酒造のウェブサイト
「純米マッコリ」の製品情報として、「北海道産米ゆめぴりかを使った純米マッコリを発売いたします」、「商品概要 米・米麹を使い、甘めに造りました」、「甘口・酸味が調和した低アルコールの生どぶろくタイプの商品です」との記載がある。
(http://nisekoshuzo.seesaa.net/article/238381546.html)
(キ)株式会社酒文化研究所のウェブサイト
株式会社酒文化研究所が主催したイベント「TOKYOどぶろくフェスタ2012 (24.1.28)」の標題のもと、「1月28日に開催した本コンテストには、61社から109点のどぶろくとマッコリが出品され、200名の来場者が真剣に評価し、優秀賞22点と大賞2点を選定しました。」との記載がある。
(http://www.sakebunka.co.jp/event/orgEvent/doburoku12/)
(ク)2011年9月16日 山形新聞 朝刊9頁
「県内旬の商品 マッコリ 多彩な味、豊かなコク 日本産、炭酸入りも登場」との見出しで、「佐藤智幸店長の“イチオシ”商品は日本国産の『国産マッコリ ウサギのダンス』(720ミリリットル、780円)。甘味とコクが豊かで、寒くなるこれからの季節にぴったりだという。“同系列”となる日本酒のにごり酒も人気を集めており、米沢市の浜田の『にごり酒 ミルキーホワイト』(900ミリリットル、680円)も注目株だ。」との記載がある。
(ケ)2013年5月22日 西日本新聞朝刊22頁
「佐賀県/佐賀市が清酒購入日本一 総務省2012年家計調査 美肌効果?女性に人気 県酒造組合 イベント開き消費拡大へ」の見出しで、「消費生活アドバイザーの林真実さん(49)=基山町=は『若い女性のなかでは、美肌効果があるといってマッコリ(韓国の濁り酒)がブーム。その影響もあり、同じ米で造る清酒も飲まれ始めたのでは』とみる。」との記載がある。
(コ)以上によれば、マッコリと濁酒は似通った品質(味・風味)の商品であり、需要者も共通する場合が少なくないものと認められる。
(2)製造者等の共通性について、
新聞記事、インターネット情報に、以下の記載がある。
(ア)2012年10月2日 毎日新聞西部夕刊7頁
「和まっこり:女性にじわじわ人気 日本酒消費低迷で新商品続々 人工甘味料なし/原料に米」の見出しで、「韓流ブームに乗って国内市場を拡大した韓国の伝統的な濁り酒『マッコリ』の売り上げが今年に入って落ち着きを見せる一方、日本の酒蔵が造る『和まっこり』が若い女性を中心にじわじわと浸透している。多くの本場マッコリと異なり人工甘味料を使わず、原料に米を使うのが特徴で、新ジャンルも開拓されている。(略)福岡市西区にある明治3年創業の『浜地酒造』は、10年夏の『唐草(からくさ)まっこり』を皮切りに『博多まっこり』『いとしまっこり』を発売。9月も『唐草』のゆず果汁入りや、全国展開を狙う新銘柄『亀まっこり』を続々と売り出している。(略)『ホームランまっこり』(山形・楯(たて)の川酒造)▽『うさぎのダンス』(茨城・吉久保酒造)▽『長崎まっこり』(長崎・杵(き)の川酒造)??など酒造会社が独自のまっこり販売に乗り出す一方、最近はあえて『マッコリ』と名付けずに新ジャンルとして売り込む動きもある。」との記載がある。
(イ)ウェブサイト「週プレNEWS(2012年4月17日)」
「日本酒醸造元で生産される国産『和っこり』が人気上昇中」の見出しで、「現在脚光を浴びているのが、日本酒の醸造元などが造っている『国産マッコリ』、通称『和(わ)っこり』だ。『ホームランまっこり』(山形・楯の川酒造)、『虎マッコリ』(福島・有賀醸造)、『金魚マッコリ』(秋田・秋田清酒)、『唐草まっこり』(福岡・浜地酒造)などが発売されており、地ビールのように全国に拡大している。」との記載がある。
(http://wpb.shueisha.co.jp/2012/04/17/10930/)
(ウ)有限会社 中居酒店のウェブサイト
「スターマッコリ」の製品情報として、「日本酒メーカーの造るマッコリが入荷しました。」との記載がある。(http://liquorstore-nakai.com/brandy/1261.html)
(エ)楯の川酒造株式会社のウェブサイト
「ホームランまっこり」の製品情報として、「『ホームランまっこり』は食べる新感覚のにごり酒。米どころであり、出羽三山から柔らかな水が流れ伝う山形の日本酒吟醸蔵が手掛けた国産の『マッコリ』。」との記載がある。(http://www.tatenokawa.jp/makkori/)
(オ)有賀醸造合資会社のウェブサイト
「虎マッコリ」の製品情報として、「有賀醸造が蔵元のマッコリです。」との記載がある。
(カ)吉久保酒造株式会社のウェブサイト
「国産マッコリ うさぎのダンス」の製品情報として、「国産米100%使用し、マッコリの醸造方法と、日本酒の伝統の技とで造った、安心安全の国産マッコリです。」との記載がある。
(http://www.ippin.co.jp/jp/items/itm_usagidance.html)
(キ)浜地酒造のウェブサイト
「唐草マッコリ」の製品情報として、「マッコリとはもち米や麦、小麦粉、アワ、ジャガイモ等を原料にして発酵させた日本の『どぶろく』のような韓国のお酒。日本酒蔵である私達が“米、水、こうじ”というシンプルな原材料で本当に美味しいマッコリをつき詰め、純国産『和まっこり』が誕生しました。」との記載がある。
(http://item.rakuten.co.jp/umeshu/karakusa-makkori0720/#karakusa-makkori0720)
(ク)株式会社酒文化研究所のウェブサイト 前記(1)イ(キ)と同じ
株式会社酒文化研究所のウェブサイトが主催したイベント「TOKYOどぶろくフェスタ2012 (24.1.28)」の標題のもと、「1月28日に開催した本コンテストには、61社から109点のどぶろくとマッコリが出品され、200名の来場者が真剣に評価し、優秀賞22点と大賞2点を選定しました。」との記載がある。
(http://www.sakebunka.co.jp/event/orgEvent/doburoku12/)
(ケ)以上によれば、マッコリと濁酒は、その原材料や、製造方法に共通する点があることも相まって、清酒、濁酒を製造する日本酒メーカーにおいてマッコリを製造していることが認められ、また、マッコリと濁酒を同時に扱ってコンテストが行われていることが認められる。
(3)結論
以上のとおり、「マッコリ」と「濁酒」は、原料・製法が似通っており、品質(味・風味)が近いことから、需要者を共通にすること、さらに、製造者を共通にすることも少なくないことが認められる。
そして、前記取引の実情に照らし、「マッコリ」及び「濁酒」に同一又は類似の商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者がこれら商品を同一営業主の製造又は販売に係るものと誤認混同を生ずるおそれがあるというのが相当である。
よって、本願の指定商品「米を原料とした韓国伝統の濁酒」は、少なくとも引用商標の指定商品「日本酒」に含まれる「濁酒」と類似するものである。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標と引用商標は類似の商標であり、その指定商品も類似するものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-08-06 
結審通知日 2013-08-12 
審決日 2013-08-27 
出願番号 商願2011-40271(T2011-40271) 
審決分類 T 1 8・ 264- Z (X33)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤平 良二 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 小川 きみえ
内藤 順子
商標の称呼 チョージュ 
代理人 丹羽 宏之 
代理人 西尾 美良 

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