• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W34
審判 一部申立て  登録を維持 W34
審判 一部申立て  登録を維持 W34
審判 一部申立て  登録を維持 W34
管理番号 1283348 
異議申立番号 異議2013-900076 
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-02-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-03-14 
確定日 2014-01-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5542174号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5542174号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5542174号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成24年7月13日に登録出願、第34類「葉巻たばこ,紙巻たばこ,シガリロ,手巻きたばこ,パイプ用たばこ,かみたばこ,かぎたばこ,丁子入り紙巻きたばこ,たばこ用紙で巻いたフィルター付き或いはフィルターなしのたばこと切断された丁子から成る紙巻きたばこ,経口・無煙・加熱処理・湿気或いは半分湿気のある粉末状のたばこ及びこれらの一人前用パック詰めのたばこ,代用たばこ(医療用のものを除く。),その他のたばこ,紙巻きたばこ用紙,シガレットチューブ,フィルター,たばこ入れの缶,たばこケース及び灰皿,パイプ,たばこ紙巻き器,ライター,その他の喫煙用具,マッチ」を指定商品として、同年11月13日に登録査定、同年12月7日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録第2523496号商標(以下「引用商標」という。)は、「PEARL」の欧文字及び「パール」の片仮名を上下二段に横書きしてなり、平成2年6月15日に登録出願、第27類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同5年4月28日に設定登録されたものであり、その後、2回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、同15年5月7日に第34類「たばこ」に指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由(要点)
1 宮原陽子(以下「申立人A」という。)からの申立て(以下「申立A」という。)
本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、本件商標の指定商品中、「葉巻たばこ,紙巻たばこ,シガリロ,手巻きたばこ,パイプ用たばこ,かみたばこ,かぎたばこ,丁子入り紙巻きたばこ,たばこ用紙で巻いたフィルター付き或いはフィルターなしのたばこと切断された丁子から成る紙巻きたばこ,経口・無煙・加熱処理・湿気或いは半分湿気のある粉末状のたばこ及びこれらの一人前用パック詰めのたばこ,代用たばこ(医療用のものを除く。),その他のたばこ」(以下「申立Aに係る指定商品」という。)についての登録を取り消すとの決定を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第24号証を提出した。
本件商標は、一般的に知られている真珠(パール)の図形の特徴を良く捉えて描かれているから、「パール」の称呼と観念が生じる。
これに対し、引用商標は、真珠(パール)を表す英語である「PEARL」の欧文字とその表音である「パール」の片仮名からなるから、構成する文字に相応して「パール」の称呼が生じ、「真珠(パール)」の観念が生じるものであり、両商標は「パール」の称呼と観念を共通にする類似の商標である。
また、本件商標の指定商品中、申立Aに係る指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。
したがって、本件商標は、申立Aに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

2 日本たばこ産業株式会社(以下「申立人B」という。)からの申立て(以下「申立B」という。)
本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するから、本件商標の指定商品中、「葉巻たばこ,紙巻たばこ,シガリロ,手巻きたばこ,パイプ用たばこ,かみたばこ,かぎたばこ,丁子入り紙巻きたばこ,たばこ用紙で巻いたフィルター付き或いはフィルターなしのたばこと切断された丁子から成る紙巻きたばこ,経口・無煙・加熱処理・湿気或いは半分湿気のある粉末状のたばこ及びこれらの一人前用パック詰めのたばこ,代用たばこ(医療用のものを除く。),その他のたばこ」(以下「申立Bに係る指定商品」という。)についての登録を取り消すとの決定を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第12号証(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを記載するときは、枝番号を省略する。ただし、甲第4号証の12は、欠番である。)を提出した。
(1)昨今、香り等の成分を小さなカプセルに入れた柔軟剤等の商品が販売されており、話題を呼んでいるところであるが、たばこ業界においても、メンソールカプセルが入ったたばこが2007年7月から販売され、その売り上げ数を伸ばしている。
メンソールカプセルとは、近年、一部の紙巻きたばこに採用されている新たな材料品であり、一般的に、割れやすい球状のカプセルにミントの香料が入っている。また、メンソールカプセル入りたばことは、フィルター内部にメンソールカプセルを埋め込んだ上で、当該埋め込箇所が外側から分かるようにマークを付したチップペーパーを巻いたたばこフィルターを用いて製造された紙巻きたばこをいい、消費者は、当該マーク部分を指で強くはさむなどして、フィルター内部のメンソールカプセルをつぶすことにより、自分の好みに応じたタイミングでメンソールカプセル内部から発生する香りを楽しむことができるものである。このようなメンソールカプセルの形態及び機能は、たばこ業界各社の広報や広告宣伝のほか、マスコミの報道によっても、たばこ取扱店等の取引者は勿論のこと、たばこの需要者に広く知られているものである。
(2)現在流通している「メンソールカプセル入りたばこ」について
甲第3号証は、2013年2月22日現在において我が国で販売されている「メンソールカプセル入りたばこ」商品の一覧表である。この表からも明らかなように、現在、我が国では、16銘柄の「メンソールカプセル入り商品」が流通しており、その商品がカプセル入りの商品であることを強調するために、球状の図形を配した包装箱を採択していることがわかる。
(3)「メンソールカプセル」について
甲第4号証は、甲第3号証に示す各銘柄のたばことそのメンソールカプセルの写真である。個々の写真の下に付した番号は、甲第2号証(B)(審決注:「甲第3号証」の誤りと認める。)に示す表の項番に対応するが、どの銘柄のたばこも、たばこのフィルターに球状のメンソールカプセルをほぼ同位置に装着していることが確認できる。また、この球状のカプセルは、ミントの香料が入っているため、本件商標のようにミント系を代表する青や緑がかった寒色系のものが多いことがわかる。
さらに、甲第4号証の「8-(1)、(2)、9-(1)、(2)」は、本件商標の商標権者が製造販売する「バージニア エス アイスパール」の写真であるが、たばこの包装箱の蓋と重なる部分に、球状のカプセルの図形を配して「カプセルつぶせば、メンソールアップ!」と、メンソールカプセルの位置や機能も説明されていることがわかる。
(4)「メンソールカプセル入りたばこ」の広告例
甲第6号証は、たばこ業界各社の「メンソールカプセル入りたばこ」の広告の例である。
甲第6号証の1は、「ラーク ハイブリッド ワン 100ボックス」の雑誌広告である。たばこの包装箱に立てかけられたたばこのフィルター部分には、本件商標と同様に青みがかった球状のカプセルが強調して描かれている。さらに、カプセルの部分はカプセルを写実的に描いている。
甲第6号証の2は、「クール マックス ボックス」の雑誌広告である。記号が付された球状のカプセルを握っている絵が大きく描かれており、メンソールカプセルを強調した広告となっている。
甲第6号証の3は、「クール ブースト ボックス」の雑誌広告である。「応募締切 2007年11月30日(金)の記載があるので、2007年の雑誌広告であることがわかる。この広告のカプセルは、写実的に描かれた緑の球状のカプセルに稲妻を配した態様からなるが、メンソールカプセルを強調した広告となっている。
甲第6号証の4は、「クールミックス ボックス」と「クールミックス ボックス」の雑誌広告である。この広告のカプセルは、写実的に描かれた青色の球状のカプセルに記号を配した態様からなるが、メンソールカプセルを強調した広告となっている。
これらの広告例は一例ではあるが、いずれも本件商標のような球状のメンソールカプセルを写実的に表し、メンソールカプセル入りたばこであることを強調した広告となっており、本件商標と色調等が異なるものもあるが、いずれも寒色系で「メンソールカプセル」自体を写実的に表している。
(5)むすび
以上のような状況においては、本件商標に接した「たばこ」の取引者及び需要者は、本件商標の設定登録時において、これがメンソールカプセルであると容易に直感するものであり、本件商標をその指定商品中「カプセル入り」の申立Bに係る指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に「メンソールカプセル入りのたばこ」とその商品の品質を表示したメンソールカプセルの図形と認識するに止まるから、該図形は自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。また、上記以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、申立Bに係る指定商品について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

第4 当審の判断
1 申立Aについて
本件商標は、別掲のとおり、光沢のある青色の球体と思しき図形を表示してなるものである。
ところで、申立人Aは、「本件商標は、一般的に知られている真珠(パール)の図形の特徴を良く捉えて描かれている。」旨を述べているが、真珠の形状は、球状のほか、楕円球状、半球状など様々であって、その色彩も様々である。
また、球体の物体には、真珠のほかにも様々な物体が存在する。
そうとすると、本件商標を申立Aに係る指定商品に使用しても、本件商標に接する取引者、需要者は、直ちに「真珠」を連想、想起することはないものというのが相当である。
さらに、申立Aに係る指定商品との関係において、本件商標を真珠と連想、想起すべき、特段の事情も見いだせない。
してみれば、本件商標からは、「パール」の称呼及び「真珠」の観念が生じることはないものといわなければならない。
そうとすれば、引用商標から「パール」の称呼及び「真珠」の観念が生じ、また、申立Aに係る指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似のものであるとしても、本件商標から「パール」の称呼及び「真珠」の観念が生じることを前提にして、そのうえで、本件商標と引用商標とが称呼及び観念において類似するものとする申立人Aの主張は採用できない。
そして他に、本件商標と引用商標とを類似するものとすべき特段の理由は見いだせない。
したがって、本件商標の指定商品中、申立Aに係る指定商品についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえない。

2 申立Bについて
本件商標は、別掲のとおり、光沢のある青色の球体と思しき図形を表示してなるものである。
そして、申立人Bは、本件商標が自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない証拠として、「メンソールカプセル入りたばこ」の包装箱及び当該たばこの写真(甲第3号証及び甲第4号証)並びに広告例(甲第6号証)を挙げている。
(1)「メンソールカプセル入りたばこ」の包装箱の表示について
甲第3号証のNo.1及び甲第4号証の1の「たばこ」の包装箱に表示された球状の図形の構成態様は、赤色、黄緑色、黄色で表された大きさが異なる多数の球状の図形であることから、本件商標とは外観から受ける印象が全く異なるものである。
甲第3号証のNo.2ないしNo.9及び甲第4号証の2ないし9-2は、商標権者による使用例と認められ、その一部には、本件商標と類似する図形が表示されている。
甲第3号証のNo.10ないしNo.14の「たばこ」の包装箱に表示された球状の図形の構成態様は、放射線状の光線を伴った球状の図形及び2つの交差させた輪の図形を有することから、本件商標とは外観から受ける印象が全く異なるものである。
甲第3号証のNo.15及び甲第4号証の15の「たばこ」の包装箱に表示された球状の図形又は円図形の構成態様は、写真が不明瞭で確認できないものである。
甲第3号証のNo.16及び甲第4号証の16の「たばこ」の包装箱に表示された円図形の構成態様は、円周の上部の一部分を欠いた円弧及び縦線を有することから、本件商標とは外観から受ける印象が全く異なるものである。
甲第4号証の10、11、13及び14の「たばこ」の包装箱に表示された円図形の構成態様は、円周の上部の一部分を欠いた円弧及び縦線を有し、さらに、2つの交差させた輪の図形を有することから、本件商標とは外観から受ける印象が全く異なるものである。
(2)「メンソールカプセル入りたばこ」のフィルター内部に埋め込まれた球状のメンソールカプセルについて
甲第4号証の1ないし11、13ないし16には、それぞれフィルターの一部を切除していない「メンソールカプセル入りたばこ」とフィルターの一部を切除した「メンソールカプセル入りたばこ」が掲載されている。
フィルターの一部を切除した「メンソールカプセル入りたばこ」からは、そのフィルター内部には、球状のメンソールカプセルが埋め込まれていることが確認できるものの、フィルターの一部を切除していない「メンソールカプセル入りたばこ」からは、球状のメンソールカプセルが、外側からは見えず、それが埋め込まれている場所を示す円図形等が表示されていることが認められる。
(3)広告例について
甲第6号証の1は、商標権者による広告例と認められる。
甲第6号証の2及び4の「たばこ」の包装箱に表示された球状の図形の構成態様は、放射線状の光線を伴った球状の図形及び2つの交差させた輪の図形を有することから、本件商標とは外観から受ける印象が全く異なるものである。
甲第6号証の3の球状の図形の構成態様は、稲妻のような線を伴った球状の図形であることから、本件商標とは外観から受ける印象が全く異なるものである。
(4)小括
以上によれば、「メンソールカプセル入りたばこ」の包装箱及び広告には、球状又は円図形を表示することが多いものの、「メンソールカプセル入りたばこ」の包装箱及び広告に表示された球状の図形又は円図形は、たばこ会社毎に相違し、本件商標とは全く異なるものである。
また、「メンソールカプセル入りたばこ」のフィルター内部には、球状のメンソールカプセルが埋め込まれているものの、外側からは見えず、それが埋め込まれている場所を示す円図形等は、たばこ会社毎に相違し、本件商標とは全く異なるものである。
してみれば、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標から、申立人Bの主張のように、申立Bに係る指定商品に使用されるたばこのフィルター内に埋め込まれた球状の「メンソールカプセル」を容易に連想、想起するとはいえないものである。
また、本件商標は、申立Bに係る指定商品そのものの形状や機能等を表示したものでもない。
そうとすれば、本件商標は、これを申立Bに係る指定商品について使用しても、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものといわなければならず、また、申立Bに係る指定商品のいずれについて使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標の指定商品中、申立Bに係る指定商品についての登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものとはいえない。

3 むすび
以上のとおり、本件商標の指定商品中、申立A及び申立Bに係る指定商品についての登録は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第11号及び同第16号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
本件商標 (色彩については原本参照)



異議決定日 2013-12-25 
出願番号 商願2012-56959(T2012-56959) 
審決分類 T 1 652・ 262- Y (W34)
T 1 652・ 263- Y (W34)
T 1 652・ 272- Y (W34)
T 1 652・ 13- Y (W34)
最終処分 維持  
前審関与審査官 浜岸 愛 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 大森 健司
前山 るり子
登録日 2012-12-07 
登録番号 商標登録第5542174号(T5542174) 
権利者 フィリップ モリス ブランズ エスエイアールエル
代理人 渡辺 広己 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ