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審決分類 審判 全部取消 商53条使用権者の不正使用による取消し 無効としない X35
管理番号 1283311 
審判番号 取消2012-300348 
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-04-25 
確定日 2014-01-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第5368467号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5368467号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「Raffine Style」の欧文字と「ラフィネスタイル」の片仮名とを上下二段に横書きしてなり、平成22年6月9日に登録出願、「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同年11月12日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第53条の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第22号証(枝番号を含む。)を提出している。
1 請求の理由
(1)商標使用者について
被請求人である商標権者(株式会社ボディワークホールディングス)のグループ会社の1つに株式会社ボディワーク(本店所在地:東京都港区白金台2-25-6。以下「ボディワーク社」という。)が存在するところ、両社の代表者は、同一人である(甲第3号証及び甲第4号証)。
こうした事実関係を考慮すると、ボディワーク社は、通常使用権者と認めることが自然である。
(2)使用商標について
ボディワーク社は、ホームページ(http://www.bodywork.co.jp/)において、別掲2のバナー広告を使用し(甲第5号証)、物販サイト(http://www.raffineclub.jp/)(以下「通販サイト」という。)に導いている(甲第6号証)。そして、当該通販サイトでは、本件商標の指定商品「化粧品」の範疇に属する商品の販売を行っている(甲第7号証)。
なお、標章を付したバナー広告を表示する行為が商標法上の使用に該当することは明らかであり、この点は、例えば、名古屋地裁の判決(平成12年(ワ)第366号(甲第8号証-1))や産業財産権法の解説(平成14年改正第3章3(甲第8号証-2))でも示されている。
別掲2のバナー広告は、第1段目に「Raffine」の文字が配置され、第2段目に「Style」の文字及び円形図形が配置され、第3段目に「ラフィネの通販サイト」の文字が配置されている。このように、別掲2のバナー広告は、「Raffine」の文字部分及び「Style」の文字部分を有する点において本件商標と共通しており、本件商標と類似するものである。
(3)化粧品ブランド「RAffINE」の商標権について
請求人は、商標「RAFFINE」(登録第5408589号商標)、商標「RAfflNE」(登録第5411218号商標)及びやや図案化された文字で表された商標「RAffINE」(登録第5431315号商標)を有しており、いずれの権利も、その指定商品中に「化粧品」を含んでいる(甲第9号証ないし甲第14号証)。
(4)化粧品ブランド「RAffINE」の周知性について
請求人は、2012年4月現在、日本全国に17店舗の販売店を展開し(甲第15号証-1)、「RAffINE」を冠した化粧品を販売している。また、インターネット上の自社ホームページの通販サイト(http://www.sinnihonseiyaku.co.jp/)(甲第15号証-2)、Yahoo及び楽天の通販サイトでも製品を販売している(甲第15号証-3)。さらに、製品の宣伝広告も継続的に行っており、全国70局でのテレビ放映や120種類を超える紙媒体の広告を通じて、製品販売の促進を図っている(甲第15号証-4)。
請求人による上記営業努力の結果、化粧品ブランド「RAffINE」製品は売上げを伸ばし、「化粧品マーケティング要覧2011No.1」(株式会社富士経済発行)によると、化粧品モイスチャー分野にて、2008年から2011年にかけて、メーカー別シェアで3位、ブランド別シェアで「RAffINE」ブランドが2位の位置を占めている(甲第15号証-5)。また、楽天の通販サイトにて、複数回にわたって賞を受賞している(甲第15号証-6)。さらに、近年では通販サイトヘのアクセス数が顕著に増加しており、請求人及びそのブランド製品の認知度が更に高まっていることが分かる(甲第15号証-7)。
以上のことから、「RAffINE」は、請求人の販売する化粧品ブランドを表示するものとして、需要者の間に広く認識されている。
(5)化粧品ブランド「RAffINE」と別掲2のバナー広告との類似性について
別掲2のバナー広告は、上記(2)のとおりの構成であり、第1段目の「Raffine」の文字部分と第2段目の「Style」の文字部分とが一連一体に構成されているとはいえず、明らかに分離していることから、当該バナー広告からは、「Raffine」の文字部分のみを独立して認識することができる。
また、第3段目は、「ラフィネ」の文字が「スタイル」の文字を伴わずに使用されている。
そうとすると、化粧品ブランド「RAffINE」と別掲2のバナー広告とは、類似であると考えるのが自然である。
(6)化粧品ブランド「RAffINE」との混同について
商標使用者であるボディワーク社は、平成23年9月29日付け内容証明郵便から、上記(3)に記載の登録商標の存在を知っていたことは明らかである(甲第16号証)。
また、別掲2のバナー広告では、第1段目に「Raffine」の文字のみが独立して配置されており、一般消費者が当該部分のみに着目することは充分に考えられる。
さらに、上記バナー広告の第3段目には「ラフィネの通販サイト」と記載されているところ、「通販サイト」の文字部分がサービスの質を表示するにすぎないことを考慮すると、一般消費者は、「ラフィネ」の文字部分から、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」と関連する商品であるかのように認識し、また、関連する商品であることを期待すると考えるのが自然である。
したがって、商標使用者であるボディワーク社が、登録商標の存在を知りながら、別掲2のバナー広告を使用することによって、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」との間で誤認、混同を生じているというべきである。
なお、商標権者は、商願2011-55832号に係る拒絶理由通知書(起案日:平成23年12月21日)における引例として、上記(3)の登録商標3件が挙げられた後、上申書(受付日:平成24年1月31日)において、「平成23年12月21日付起案の拒絶理由通知書(発送日:同年12月22日、発送番号:152653)を受領しました。」と述べていることから、当該登録商標の存在を知っていたこととなる(甲第17号証)。
そうとすると、商標権者が、商標使用者に対して「相当の注意」を行わなかったことは明らかである。
2 答弁に対する弁駁
(1)商標使用者について
被請求人は、ボディワーク社が自己の支配下にある子会社であることを明らかにしているから、同社が商標権者から使用許諾を受けた通常使用権者であることは明らかである。
(2)別掲2のバナー広告について
被請求人は、別掲2のバナー広告は商標権者が商標登録(登録第5494262号商標と思料する。)を受けたものである旨主張しているが、当該登録商標は、緑色文字で表されたものであって、「ラフィネの通販サイト」の文字を有しないものであるのに対し、上記バナー広告は、白抜き文字で表されたものであって、「ラフィネの通販サイト」の文字が第3段目に表示されたものである。
そうとすると、別掲2のバナー広告は、上記登録商標とは同一でないことが明らかであるから、商標権者が商標登録を受けたものではないというべきである。
(3)乙第1号証のバナー広告について
被請求人は、乙第1号証のバナー広告は商標権者が商標登録(登録第5364256号商標と思料する。)を受けたものである旨主張しているが、当該登録商標は、緑色文字で表されたものであって、「ラフィネの通販サイト」の文字を有しないものであるのに対し、上記バナー広告は、白抜き文字で表されたものであって、「ラフィネの通販サイト」の文字が第2段目に表示されたものである。
そうとすると、乙第1号証のバナー広告は、上記登録商標とは同一でないことが明らかであるから、商標権者が商標登録を受けたものではないというべきである。
(4)化粧品ブランド「RAffINE」について
ア 化粧品分野においては、個々の製品に付された個別の製品名(ブランド名)よりも、製品群に共通して冠されたブランド名の方が需要者に強い印象を与え、需要者の購買意欲を刺激することは、経験則上、明らかである。そのため、請求人のみならず、化粧品業界の各社は、複数の製品に共通したブランド名を付して製品展開を行い、製品群としてのブランド価値を高めることで顧客獲得を図っている。
なお、「化粧品マーケティング要覧2011No.1」(甲第15号証-5)において、会社名とは異なる名称が付されたブランド名別のシェアが別途掲載されている点からも、ブランド名が需要者に強い印象を与え、業界的にも重要視されていることは明らかである。
そのため、請求人も、自己の販売に係る複数の製品に共通して「RAffINE」のブランドを冠して販売を行っており、「ラフィネパーフェクトワン」(甲第15号証-2及び甲第19号証)に限らず、各種の製品に「RAffINE」のブランドを付して販売を行っている(甲第20号証)。また、Yahoo及び楽天の通販サイトにおいても、「ラフィネパーフェクトワン」以外の製品の販売も当然に行っている(甲第21号証)。
したがって、「『ラフィネパーフェクトワン』の商品名のみであり、『RAffINE』等を付した商品は皆無である」との被請求人による主張は、事実に反するものである。
イ また、共通のブランドを冠した製品群の中に基幹商品が存在することも、経験上、明らかである。そして、こうした基幹商品の販売数量が増加し、需要者に浸透して周知性を獲得することにより、製品群のブランド名も周知性を獲得することも、経験上、明らかである。
そのため、請求人の化粧品ブランドの中で、「ラフィネパーフェクトワン」が基幹商品であったとすると、当該商品の売上げ数の増加に伴って、化粧品ブランド「RAffINE」についても周知性を獲得していくことは、極めて自然な流れである。
なお、被請求人は、新聞全面広告(乙第4号証の1ないし4)において、「ラフィネパーフェクトワン」及び「パーフェクトワン」を高頻度に記載しており、「RAffINE」そのものの使用には当たらない旨主張しているが、新聞全面広告という宣伝媒体の性質上、多数の製品ラインナップを掲載するよりも、売れ行きの良い商品を1つ大きく載せて、単独の製品を需要者にアピールするのは極めて当然のやり方であり、こうした新聞広告でブランド名「RAffINE」ばかりを記載するのは、極めて不自然な広告方法であるといわざるを得ない。また、写真には、商標「RAffINE」が付された商品が掲載されており、乙第4号証の2の写真等は、十分に商標「RAffINE」が単独で認識できる構成となっている。
したがって、請求人が自己の登録商標を商品に使用していないとする被請求人による主張は、失当であり、甲第15号証-1ないし7で示したように、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」は、需要者の間で広く認識されている。
(5)別掲2のバナー広告とブランド「RAffINE」との類否について
ア 被請求人は、登録第5494262号商標の存在を根拠として、化粧品ブランド「RAffINE」との非類似性を主張しているが、上述のとおり、当該登録商標と別掲2のバナー広告とは同一ではなく、また、当該登録商標に係る審査では、当該バナー広告の第3段目にある「ラフィネの通販サイト」の文字が存在していないことが前提であるから、「ラフィネの通販サイト」の文字が存在する状態、すなわち、「ラフィネ」を要部と認定すべき第3段目の文字が存在する状態においては、化粧品ブランド「RAffINE」と類似であることは明らかである。
イ また、被請求人は、「Raffine Style」の文字を一段書きにしようが、二段書きにしようが、看者にとっては、「Raffine Style」の部分がまとまりよく看取され、「Raffine」の文字部分のみに着目することはない旨主張しているが、ボディワーク社が使用するバナー広告は、登録商標そのものではなく、いずれも「ラフィネの通販サイト」の文字が添えられており、この文字部分では、「ラフィネ」の文字が「スタイル」の文字を伴わずに使用されている。
商標を一体的、総合的に観察するならば、上記「ラフィネの通販サイト」の文字部分にも着目した上で、これに触れた看者は、「Raffine」の文字部分が特別な意味を有すると考えるのが自然である。すなわち、上記バナー広告における要部は、「Raffine」の文字部分であり、また、「Raffine Style」の文字が二段書きにされたバナー広告であればなおさら、第1段目の「Raffine」の文字部分が注目される。
そうとすると、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」と商標権者の使用に係る商標は類似するものであり、出所の混同を生じるおそれがある。
(6)「RAffINE」との混同について
被請求人は、ホームページに化粧品に関する記載がないために、購入者が化粧品に関する商品を連想することはない旨主張しているが、リンク先の通販サイト(甲第6号証)では、現に化粧品の販売を行っており(甲第7号証-1ないし12)、また、化粧品を指定商品に含む商標権(乙第2号証及び乙第3号証)を取得している事実からも、商標権者やそのグループ企業において化粧品についての使用意思があったことは明らかであり、こうした点を考慮すれば、商標権者やそのグループ企業が化粧品を取り扱っていると購入者が考えることは、極めて自然である。
また、被請求人は、通販サイトの店名が「ラフィネ」であるかのように誤認させるものは全く存在しない旨主張しているが、リンク先の通販サイトでは、ウェブサイトの上方の「RaffineStyle」の文字の上に、「疲れを優しく癒すアイテムが見つかる『ラフィネ』限定の通販情報」といった記載がなされており、「ラフィネ」の文字を単独で、しかも、括弧(『 』)で囲むといった強調表示まで行っている事実が存在する(甲第22号証)。
さらに、乙第1号証には、「Topics」の欄に、「Newラフィネ」、「暑い夏はラフィネでスッキリ☆」の記載があり、また、画面右側のリンク貼付部分には、「ラフィネのひみつ」、「ラフィネのフェイスブックページはこちら」等の記載があり、このように「ラフィネ」の文字のみが高頻度に現れた画面構成であれば、「ラフィネ」と何らかの関連を有するウェブサイトであると需要者が認識するのは自然である。
以上のとおり、バナー広告を見た需要者が、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」に関連する通販サイトであると認識するとみるのが自然である。
(7)相当の注意について
ア 別掲2のバナー広告及び乙第1号証に係るバナー広告には、上述したように、「ラフィネの通販サイト」の文字が添えられており、これをもって、商標権者の有する登録商標と社会通念上同一の商標と認識されるものではない。社会通念上同一の商標とは、一般的には、書体のみに変更を加えた場合や、平仮名や片仮名を相互に変換する場合を指すものであり、「ラフィネの通販サイト」のように、全く別の観念を生じさせる文字を付加した場合にまで「社会通念上同一」とみることはできない。
イ 商標法第53条第1項但書に規定する、同条項の適用を免れる場合とは、商標権者が「その事実を知らなかった場合において」、「相当の注意をしていたとき」である。
被請求人が述べるように、請求人の有する登録商標の存在を知った上で、権利に抵触しないように登録第5494262号商標の登録を受けたことは、商標法第53条第1項但書に規定する適用事例に該当するものではない。
また、バナー広告と同一の商標について登録を受けていないことも、「相当の注意をしていない」ということになる。
さらに、商標権者は、バナー広告について、2012年7月の時点では、同年4月に使用していたもの(甲第5号証)とは別異のバナー広告(乙第1号証)を使用している旨主張しているが、商標法第53条第1項は、「混同を生ずるものをしたとき」と規定しており、請求人は、過去の使用事実をもって、本件審判を請求している。
したがって、バナー広告を変更した場合でも、それ以前のバナー広告の使用が他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるものであれば、本件商標の登録は、商標法第53条第1項の規定に基づく取消しの対象となる。
3 まとめ
以上のとおり、通常使用権者であるボディワーク社が、本件商標と類似する商標をバナー広告に使用して、自社のホームページにおいて、化粧品等の販売を行う行為は、請求人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるものであるから、本件商標は、商標法第53条の規定により、全指定役務についての登録が取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番号を含む。)を提出している。
1 商標使用者について
ボディワーク社は、商標権者の支配下にある子会社であり、その管理下において、商標権者の商標を使用している。
2 使用商標について
ボディワーク社は、請求人の指摘するホームページ(http://www.bodywork.co.jp/)において、別掲2のバナー広告を使用し(甲第5号証)、甲第6号証の通販サイトに導いていた。甲第5号証は、その取得日時が記載されていないので作成日が不明であるが、その中の「Topics」の最新日付が「2012/04/12」であることから、その当時のものと思われる。同社は、現時点ではこのバナー広告を使用しておらず、別掲3のバナー広告を使用している(乙第1号証)。
なお、請求人が指摘した4月及び7月の時点のバナー広告で使用している標章は、以下の(1)及び(2)のとおり、商標権者が商標登録を受けたものであり、これらは、本件商標(別掲1)の類似商標である。
(1)登録第5494262号商標(乙第2号証)
ア 商標の構成: 別掲4のとおり
イ 出願日 : 平成23年11月11日
ウ 登録日 : 平成24年5月18日
エ 指定商品 : 化粧品等を含む。
(2)登録第5364256号商標(乙第3号証)
ア 商標の構成: 別掲5のとおり
イ 出願日 : 平成22年6月9日
ウ 登録日 : 平成22年10月29日
エ 指定商品 : 化粧品等を含む。
3 請求人の化粧品ブランド「RAffINE」の周知性について
(1)請求人は、自己の所有する商標「RAFFINE」(登録第5408589号商標)、商標「RAfflNE」(登録第5411218号商標)及びやや図案化された文字で表された商標「RAffINE」(登録第5431315号商標)が、化粧品ブランド「RAffINE」を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている旨主張しているが、その主張を裏付ける証拠は、どこにも見いだせない。
請求人が使用している商標は、「Perfect One/RAffINE」と「ラフィネパーフェクトワン」が主であり、「RAffINE」等が単独で使用されているものはない(甲第15号証-2)。また、Yahoo及び楽天の通販サイトとして提出された甲第15号証-3をみても、「ラフィネパーフェクトワン」の商品名のみであり、「RAffINE」等を付した商品は皆無である。
(2)甲第15号証-5(化粧品マーケティング要覧2011No.1)には、化粧品モイスチャー分野において、メーカー別シェアで3位、ブランド別シェアで2位の位置を占めていると主張しているが、その第71頁の[2](いわゆる丸付き数字。以下同様。)には、「ラフィネ(新日本製薬)はオールインワンジェル『同 パーフェクトワン』を基幹商品として・・・」と記載され、また、その第74頁の1行目ないし3行目の[2]には、「新日本製薬は『ラフィネ パーフェクトワン』を基幹商品として・・・」と記載され、さらに、同頁下段の[4]には、「ラフィネ パーフェクトワン(新日本製薬)」と記載されており、当該商品は、「RAffINE」ではなく、「ラフィネパーフェクトワン」が商品名/ブランドであることを示している。
(3)楽天の通販サイトで賞を受けたのは、「RAffINE」ではなく、「ラフィネパーフェクトワン」である(甲第15号証-6)。
請求人自身も、実際に使用しているのは「RAffINE」ではなく、「ラフィネパーフェクトワン」である。最近の新聞全面広告においても使用されているのは、「ラフィネパーフェクトワン」と、むしろそれより高頻度で使用される「パーフェクトワン」である(乙第4号証)。広告の表上側(乙第4号証の1)には、「6年でパーフェクトワン販売数が」、「平成18年5月に販売された『パーフェクトワン』。」と記載されている。
広告の表下側(乙第4号証の2)の中段には「みずみずしい肌に含まれる『コラーゲン』。パーフェクトワンには・・・」と記載されている。広告の裏側も同様である(乙第4号証の3及び4)。
(4)このような広告活動/販売活動によって需要者に広く知られることになるものとすれば、それは「ラフィネパーフェクトワン」であり、むしろ「パーフェクトワン」部分のみといえる。「RAffINE」そのものが周知性を獲得しているというのは、根拠のない主張である。
4 別掲2のバナー広告と請求人の商標「RAffINE」との類否について
別掲2のバナー広告中の二段書きとした「Raffine Style」と円形図形は、上述したように、商標登録を受けたもの(乙第2号証)であって、請求人所有の登録商標である「RAFFINE」(登録第5408589号商標)、「RAffINE」(登録第5411218号商標)及びやや図案化された「RAffINE」(登録第5431315号商標)の存在にもかかわらず登録されたものであり、特許庁の審査においても互いに非類似商標であると認められたからこそ、本件商標は登録されたのである。
常識的に考えても、「Raffine Style」の文字を一段書きにしようが、二段書きにしようが、看者にとっては、「Raffine Sty1e」の部分がまとまりよく看取されることから、「Raffine」の文字部分のみに着目することはないと考えるべきである。商標は、一体的・総合的に観察すべきであり、別掲2のバナー広告中の商標と請求人所有の上記登録商標3件とは非類似であり、出所混同のおそれはない。
5 「RAffINE」との混同について
(1)請求人の主張は、別掲2のバナー広告と請求人所有の上記登録商標3件とが類似することを前提としたものであるが、上述したように、これらは互いに非類似であり、その主張は成り立たない。
請求人は、別掲2のバナー広告の3段目に記載されている「ラフィネの通販サイト」について、その「通販サイト」の文字部分がサービスの質を表示するにすぎないことを考慮すると、一般消費者は、「ラフィネ」の文字部分から、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」と関連する商品であるかのように認識し、また、これと関連する商品であることを期待させるのが自然である旨主張している。
しかしながら、このバナー広告を見て化粧品に関する通販サイトであるとすぐに認識できるとすることには疑問があり、また、その通販サイトの名前が「ラフィネ」であるとすることにも疑問がある。甲第5号証(及び乙第1号証)のホームページには、どこにも化粧品に関する記載はなく、たとえ、このホームページに迷い込んだ購入者がいたとしても、化粧品に関する商品を連想させるものはない。
(2)甲第5号証及び乙第1号証は、商標使用者であるボディワーク社のホームページであり、そこに「ハートフルリラクゼーション」と表示されているように、ボディワーク社は、リフレクソロジー、ボディケア、マッサージ等のサービスを行っている。「Raffine/ラフィネ」ブランドは、以下のア及びイのとおり、平成12年から既に商標登録を受け、広く知られたものとなっている。
ア 登録第4434162号商標
(ア)商標の構成: 別掲6のとおり
(イ)登録日 : 平成12年11月17日
(ウ)指定役務 : あん摩・マッサージ及び指圧など。
イ 登録第5291245号商標
(ア)商標の構成: 別掲7のとおり
(イ)登録日 : 平成21年12月25日
(ウ)指定役務 : あん摩・マッサージ及び指圧など。
上記ブランドに係る店舗「ラフィネ」は、全国展開しており、リラクゼーションマッサージの分野では広く知られたものとなっている。このことは、インターネット上で検索すればすぐに分かることであって、上記ホームページに入れば、バナー広告中の「ラフィネの通販サイト」とは、マッサージ・リラクゼーションサロンの「ラフィネ」が行っている通販サイトであるとすぐに認識し、その通販サイト名は、バナー広告中に記載の「Raffine Sty1e」であることを理解するのが自然である。
また、実際に上記バナー広告をクリックして誘導されるのは、甲第6号証に示されるように、別掲5の商標と同一の構成からなる標章及び「ラフィネスタイル」の文字を表題部に掲げた通販サイトであって、その通販サイトの店名が「ラフィネ」であるかのように誤認させるものは全く存在せず、さらに、その通販サイトで販売されていた化粧品(甲第7号証)には、「RAFFINE」等の標章を付したものは皆無である。
(3)以上のように、上記バナー広告中には、請求人の商標「RAffINE」等と類似する商標は存在せず、また、「RAffINE」と関連する商品であるかのように認識させるようなものは存在しない。
6 「相当の注意」について
商標権者は、上記通販サイトを開始するに際して、本件商標を平成22年6月9日に出願し、同年11月12日に登録を受けている。
また、商標権者は、本件商標と同一の構成からなる商標を、「化粧品」を含む第3類に属する商品その他の商品を指定商品とするものについて、平成22年6月9日に出願し、同年10月29日に商標登録第5346255号として、登録を受けており(乙第5号証)、さらに、別掲5のとおりの構成からなる商標を、「化粧品」を含む第3類に属する商品その他の商品を指定商品とするものについて、同年6月9日に出願し、同年10月29日に商標登録第5364256号として、登録を受けている(乙第3号証)。
商標権者所有の上記各商標は、請求人所有の登録商標である登録第5408589号商標、同第5411218号商標及び同第5431315号商標の3件よりも早く出願され、先に登録を受けており、これらが登録を受けた後に、後願である請求人所有の商標3件が登録を受けたということは、取りも直さず、本件商標は、請求人所有の商標とは非類似であることを示している。
このような状況下で、バナー広告の中で、請求人が指摘した「Raffine」と「Style」の文字を二段書きにしたものを使用しつつ、商標の使用態様として権利確保の確認のため、別掲4の構成からなる標章について商標登録出願し、その登録を受けたものである(乙第2号証)。
これらの事実は、商標権者が請求人所有の上記登録商標3件に抵触しないよう相当の注意をしていたことを証するものである。
7 むすび
以上のとおり、商標使用者により使用されたバナー広告は、請求人所有の上記登録商標3件とは非類似であり、出所を誤認・混同させるものではない。さらに、当該登録商標3件は、請求人もこれを使用してはいない状況からみても分かるように、それ自体広く知られたということができないものである。
よって、商標使用者であるボディワーク社による上記バナー広告での使用は、商標法第53条の規定に該当するものではない。

第4 当審の判断
商標法第53条第1項においては、「専用使用権者又は通常使用権者が指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についての登録商標又はこれに類似する商標の使用であって商品の品質若しくは役務の質の誤認又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるものをしたときは、何人も、当該商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。ただし、当該商標権者がその事実を知らなかった場合において、相当の注意をしていたときは、この限りでない。」と規定されているところ、請求人は、商標使用者(ボディワーク社)が請求人に係る登録商標3件(登録第5408589号商標、同第5411218号商標及び同第5431315号商標)の存在を知りながら、別掲2のバナー広告を使用することによって、請求人の化粧品ブランド「RAffINE」との間で誤認・混同を生じているというべきである旨主張するので、商標使用者の該バナー広告での使用行為が上記規定に該当するものであるか否かについて、以下検討する。
1 商標使用者について
被請求人(商標権者)と商標使用者とするボディワーク社とは、「私たちはトータルリラクゼーションカンパニーです。」との記載がされた商標権者に係るウェブサイトにおける「グループ案内」とするウェブページの内容並びに、前者に係る「履歴事項全部証明書」における「目的」欄に、「1 針、灸、あんま、マッサージ、指圧及び柔道整復の治療」、「2 全身美容業」及び「5 化粧品並びに高麗人参・はと麦茶・ロイヤルゼリー等の健康食品の販売」等の記載があり、また、後者に係る「履歴事項全部証明書」における「目的」欄に、「1.ボディケア(マッサージ療法)、フットケア(足底療法)等のリラクゼーション施設の運営、管理」、「2.健康食品及び健康器具の販売」及び「3.化粧品の輸入及び製造・販売」等の記載があることからすれば、両者は、密接な関係にあるグループ会社であるといえる(甲第3号証及び甲第4号証)。
また、被請求人(商標権者)も、ボディワーク社は同人の支配下にある子会社であり、自己の管理下において、商標権者の商標を使用している旨述べている。
してみれば、「ボディワーク社」は、少なくとも本件商標に係る通常使用権者の立場にあるといって差し支えないものである。
2 使用商品及び商標について
(1)甲第5号証は、商標使用者であるボディワーク社のホームページ(http://www.bodywork.co.jp/)とされるもの(全2葉)であって、1葉目の左上方には「BODY WORK」の表示、同じく、右上方には、別掲2のとおりの構成態様からなる標章(緑色の角丸横長長方形内に配された「Raffine」及び「Style」の各文字部分は白抜きで表され、また、円形図形部分は本件商標の構成中の円形図形と同一の配色で表され、さらに、「ラフィネの通販サイト」の文字部分は白抜き様に表された角丸横長長方形内に緑色で表されている。以下「本件バナー広告」という。)の表示があり、これらの表示の下方には、「『ハートフルリラクゼーション』/それが私たちのサービスです。」との記載の下、展開している店舗などを紹介する複数のハート型図形のうちの一として、別掲8のとおりの構成態様からなる「Raffine/ラフィネ」等の表示がされた記載があるほか、「Topics」の欄には、「2012/04/09 店舗 ラフィネ ヴィーナスフォート店open」、「2012/04/02 店舗 ラフィネ イオン那覇SC店open」及び「2012/03/26 店舗 4/9 ラフィネ フェリエ南草津店定休日のお知らせ」等の記載、その右側には「Facebookで『リラクゼーションスペース・ラフィネ/Raffine』を見る」等の記載が認められる。
(2)甲第6号証は、本件バナー広告からジャンプしたリンク先の通販サイト(http://www.raffineclub.jp/SHOP/733456/list.html、http://www.raffineclub.jp/SHOP/826911/list.html及びhttp://www.raffineclub.jp/SHOP/826913/list.html)とされるもの(全4葉)であって、その1葉目及び2葉目の左上隅には「コスメティック&ビューティー ラフィネスタイル」の記載、同じく、3葉目の左上隅には「お風呂グッズ ラフィネスタイル」の記載、同じく、4葉目の左上隅には「アウトドア&スポーツ ラフィネスタイル」の記載があり、また、各葉の右下隅における表示によれば、その1葉目及び2葉目は2012年(平成24年)4月16日に、同じく3葉目及び4葉目は同月17日に、それぞれ紙出力されたものといえる。
また、1葉目、3葉目及び4葉目の上方の表題部には、別掲5に示す商標と同一の構成からなる標章と、その右方に小さく表された「ラフィネスタイル」及び「疲れを優しく癒すアイテムが見つかる」の記載が表示されており、かつ、その下方左側には、別掲8のとおりの構成態様からなる「Raffine/ラフィネ」等の表示がされた記載並びに「ラフィネスタイルカタログ配布中」及び「ラフィネ・ラフィネ姉妹店全店舗でカタログをお配りしております。」の記載とともに、「RaffineStyle」を題号とするカタログ表紙写真等が掲載されている。
さらに、1葉目及び2葉目には、「商品一覧」の見出しの下、例えば、「ラフィネ骨盤ベルト」、「セルライトマッサージャー」、「寝ながらスキンケア手袋」等の商品とともに、「シャハランメスリ ザ ローション」(甲第7号証-1)、「シャハランメスリ ザ クレンジング」(甲第7号証-2)、「クラッキングナノパック Plosion」(甲第7号証-3)、「アルゴテルム ソワンデマン」(甲第7号証-4)、「EGFマスクDX」(甲第7号証-5)、「ディープスティープ フットクリーム」(甲第7号証-6)、「Nail Tek リニュー(キューティクルオイル)」(甲第7号証-7)、「Nail Tek アドバンスドハイドレーティングクリーム」(甲第7号証-8)、「リニュー&ハイドレーティングクリーム」(甲第7号証-9)、「ビューティーラッシュ」(甲第7号証-10)、「アビーロ ハンド&ネイルクリームOS」(甲第7号証-11)、「ディープスティープ フットポリッシュ」(甲第7号証-12)等の化粧品が掲載されているが、該化粧品については、個別に各メーカーや製品名がそれぞれ表示されていることが認められる。
なお、甲第22号証は、甲第6号証と同様のリンク先の通販サイトとされるものであって、「RaffineStyle」の文字の上に「疲れを優しく癒すアイテムが見つかる『ラフィネ』限定の通販情報」の記載があるとされているが、その表題部に別掲5に示す商標と同一の構成からなる標章の表示があることは認められるものの、該当すると思料される箇所が不鮮明であるため、その記載内容を確認することはできない。
3 指定商品への使用
上記1及び2を勘案すれば、ボディワーク社に係る上記ホームページ(甲第5号証)に表示された本件バナー広告は、同社に係る「RaffineStyle」(ラフィネスタイル)を通販サイト名とするサイトにリンクされ、そのリンク先である「コスメティック&ビューティー ラフィネスタイル」の記載がされたウェブページ(甲第6号証の1葉目及び2葉目)には、上記した「疲れを優しく癒すアイテムが見つかる」との記載のある表示の下に化粧品等の各商品が紹介されているものであるところ、そのバナー広告自体は自己のホームページに表示されているものであって、広告掲載者が広告収入を得るような、いわゆるバナー広告といえるものであるかはさておき(甲第8号証)、少なくとも、当該バナー広告は、本件商標の指定役務に含まれる「化粧品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、その提供のためのリンク用看板としての商標の使用というのが相当である。
なお、本件バナー広告の使用は、「Topics」の欄における「2012/04/09」、「2012/04/02」等の記載から、平成24年4月頃と推認できるものであり、本件審判の請求日との関係において、商標法第53条第3項において準用する同法第52条にいう「5年」を経過していないものである。
4 本件商標と本件バナー広告との類似
本件商標は、前記第1のとおり、「Raffine Style」の欧文字と「ラフィネスタイル」の片仮名とを上下二段に横書きしてなるものであるところ、下段に位置する片仮名は、上段に位置する欧文字の読みを特定するものとして無理なく理解されるものであって、各段を構成する文字の大きさや書体と相まって、外観上、一体的に看取されるものである。
また、上段の欧文字部分を構成する「Raffine」の欧文字は、その語尾の「e」にアクサン記号を付せば「洗練された、洗練された人」等の意味を有する仏単語といえるものであり、同じく、「Style」の欧文字は、「様式、(服・髪などの)型、趣向」等の意味を有する馴染まれた英単語であるとしても、これらを一連に「Raffine Style」と書してなるその構成全体からは、特定の意味合いを想起させることはなく、併せて、その読みを特定する「ラフィネスタイル」も同様に、特定の意味合いを想起させるものとはいえないから、本件商標は、特定の意味を有しない一種の造語を表したものとして認識され、取引に資されるものとみるのが相当である。
他方、本件バナー広告は、上記2(1)のとおり、別掲2に示す構成態様からなる標章であるところ、その構成中の「Raffine」及び「Style」の各文字を上下二段書きしてなる部分は、ともに白抜きで表され、かつ、同じ書体からなるものであって、その構成態様は、外観上、まとまりよく表されたものというのが相当である。そして、上記「Raffine」及び「Style」の各文字を上下二段書きしてなる部分は、ボディワーク社に係る「RaffineStyle」(ラフィネスタイル)の通販サイト名を表示したものとして理解され得るものである。
また、本件バナー広告における「ラフィネの通販サイト」の文字部分は、後掲6(2)のとおり、その構成中の「ラフィネ」の文字部分がボディワーク社に係るボディケアやフットケア等のリラクゼーション施設の店舗名であると容易に看取されるものであることから、その構成全体をもって、「該店舗(ラフィネ)が運営する通販サイト」との意味合いを理解するにとどまるものである。
そうすると、本件商標と本件バナー広告とは、前者においては「Raffine Style」の欧文字とその読みを表した「ラフィネスタイル」の片仮名とを上下二段書きして表す一方、後者においては「Raffine」と「Style」の各文字を上下二段書きして表すものの、その欧文字の綴りをすべて同じくするものであることからすれば、両者は、類似するものということができる。
5 請求人に係る化粧品ブランド「RAffINE」の周知性について
請求人の提出に係る証拠(甲第15号証及び甲第19号証ないし甲第21号証)によれば、以下の事実が認められる。
(1)甲第15号証-1は、2012年4月現在、日本全国に17店舗の販売店を展開しているとして提出された「請求人の販売店舗一覧表」とされるものであって、該一覧表には、店舗名と思しき「ラフィネカラー 福岡パルコ店」、「ラフィネカラー マルヤガーデンズ店」、「ラフィネカラー 仙台パルコ店」等の記載があるほか、各店舗の所在地や電話番号等の記載があるが、該各店舗における化粧品ブランド「RAffINE」の具体的な使用状況、販売方法及び実績等は不明である。
なお、甲第15号証-1において、その記載内容に関する年月を特定し得る記載は見当たらない。
(2)甲第15号証-2は、請求人のホームページ通販サイトとされるもの(全3葉)であって、各葉の右下隅における表示によれば、2012年(平成24年)4月16日に紙出力されたものといえる。
1葉目の左上方には、「新日本製薬-化粧品ラフィネシリーズ、ダイエット食品、健康食品、医薬品のオンラインショッピング」の記載とともに、「新日本製薬/ONLINESHOP」の記載があり、「商品カタログ」の項目の冒頭部に、「オールインワン美容液ジェル/ラフィネ パーフェクトワン」と称する商品に関する情報として、該商品の容器(その表面には、「Perfect One」及びやや図案化された「RAffINE」の各文字が表示されている。)の画像と、「朝も夜も洗顔のあとはこれだけ。」、「累計販売数1,400万個」及び「CM放送中」等の文字とからなる掲載がされているほか、その下方の「今月のオススメ商品」の欄には、「ラフィネ パーフェクトワン モイスト」や「ラフィネ ディープ トリートメントマスク」等と称する各商品が掲載され、同じく、「今週の売れ筋ランキング」の欄には、「NO.1 ラフィネ パーフェクトワン」、「NO.2 ラフィネ クリアソープ」等と称する各商品が掲載されている。
(3)甲第15号証-3及び甲第21号証は、いずれもYahoo及び楽天の通販サイトとされるものであって、前者は2012年(平成24年)4月12日に、後者は同年8月17日に、「Yahoo! JAPAN ショッピング」及び「楽天市場」の各サイトにおいて、「新日本製薬」の語について検索をした結果であるところ、前者においては、「ラフィネ パーフェクトワン」及び「ラフィネ パーフェクトワンモイスト」と称する各商品が掲載されており、後者においては、「ラフィネ リフトコラーゲン」、「ラフィネ パーフェクトBB」、「ラフィネ クリアヴェールパウダー」、「ラフィネ アイケアエッセンス」、「ラフィネ リキッド クレンジング」、「ラフィネ ソリッドクレンジング」及び「薬用ラフィネ クリアホワイトエッセンス」と称する各商品が掲載されている。
なお、甲第20号証は、「『RAffINE』ブランド製品の一例」とされるものであって、「薬用ラフィネクリアローション」、「ラフィネシルキーホイップ」、「ラフィネソリッドクレンジング」及び「ラフィネパーフェクトBB」と称する商品について、やや図案化された「RAffINE」の文字が表示された容器の画像が表されている。
(4)甲第15号証-4は、製品の宣伝広告も継続的に行っているとして提出された「請求人の広告媒体一覧表(テレビCMおよび紙媒体)」とされるものであって、2012年1月ないし3月の期間において、化粧品ブランド製品の「テレビCM媒体名一覧」(放送局数:70局)及び「紙媒体広告媒体名一覧」(種類数:122件)とするものが、その放送地域や放送局名、雑誌・新聞名等の記載がある一覧表形式に表されているが、その広告宣伝の方法や回数等の具体的な使用状況は確認できない。
(5)甲第15号証-5は、「化粧品マーケティング要覧2011No.1」を表題とする2011年3月30日に株式会社富士経済が発行したものの抜粋(全9葉)であって、「化粧品市場を構成する主要品目に関して、基礎情報を調査・分析することにより、化粧品市場全体及び主要品目について概観すること」を調査目的とするものである。
4葉目には、調査対象品目中の「スキンケア(9品目)」のうちの「モイスチャー」について、「モイスチャークリーム、ナリシングクリーム、バニシングクリームなどの皮膚への油分や水分を与える化粧料で、化粧液、美容液以外のジェルタイプの製品、オイルも含む」の記載があり、また、6葉目(71頁)には、「4.ブランドシェア」の項目の下、「ブランド(メーカー)」ごとの各「年次」(2008ないし2011(見込))における「販売実績」及び「シェア」の記載がされた一覧表があり、該一覧表の上から2段目には、「ブランド(メーカー)」を「ラフィネ(新日本製薬)」とするものについて、「年次」の「2008」の箇所には、「販売実績」として「6,800百万円」、「シェア」として「7.0%」の記載があり、以下同様に、「2009」の箇所には、「7,500百万円」及び「7.1%」、「2010」の箇所には、「9,000百万円」及び「8.1%」、「2011(見込)」の箇所には、「9,200百万円」及び「7.9%」の記載がある。そして、該一覧表の下方には、「[2]ラフィネ(新日本製薬)はオールインワンジェル『同 パーフェクトワン』を基幹商品としてTVCMやインフォマーシャルの投下を積極的に行っているほか、規模は小さいものの直営店舗『ラフィネカラー』の展開により通販以外でも顧客との接点を設けていることで需要取り込みが進み、実績は拡大推移となった。」の記載がある。
また、7葉目(72頁)には、「5.種類別マーケット動向」の項目の下、「市場規模推移」に係る記載として、「[2]ジェルはオールインワンタイプのアイテムが主力となっており、2010年は『ドクターシーラボ』(ドクターシーラボ)、『ラフィネ』(新日本製薬)などシェア上位の通販メーカーが市場を牽引し、・・・」の記載がある。
さらに、8葉目(74頁)には、「5.種類別マーケット動向」の項目の下、「市場シェア」に係る記載のうちの「ジェル」に係る記載として、「[2]新日本製薬は『ラフィネ パーフェクトワン』を基幹商品として、TVCMやBS放送のインフォマーシャルで訴求することで新規需要の取り込みを進めており、既存顧客に対してはアウトバウンドの強化による囲い込みを進めたことが奏功し、実績は大幅拡大となった。」の記載があり、同じく、「6.価格帯別動向」の項目の下、「[4]3,000?5,000円未満は大手通販メーカーや制度品メーカーの展開するマスブランドの実績が中心となり、2010年は『エリクシール ホワイト』(資生堂)、『DHC薬用Q』シリーズ(ディーエイチシー)等の投入が見られ、『ドクターシーラボ アクアコラーゲンゲル』(ドクターシーラボ)、『ラフィネ パーフェクトワン』(新日本製薬)が引き続き需要を取り込んだことで価格帯実績は大幅拡大となった。」の記載がある。
(6)甲第15号証-6は、「請求人のネット販売における受賞実績」とされるものであって、「<楽天オリジナルコスメ大賞>」の見出しの下、「【2007年年間】全体1位」、「【2008年上半期】全体1位」、「【2008年年間】クリーム部門1位」、「【2009年上半期】クリーム部門1位」、「【2009年年間】クリーム部門1位」及び「【2010上半期】スキンケア部門1位」の各記載とともに、相応するURLの記載があり、また、「<受賞エンブレム>」の見出しの下、「新日本製薬オンライン」、「ラフィネ」及び「パーフェクトワン」が三段書きされたエンブレムが記載されている。
(7)甲第15号証-7は、近年では通販サイトヘのアクセス数が顕著に増加しているとして提出された「請求人のホームページへのアクセス数推移」とされる棒グラフであって、2012年の1月及び2月に、約200万件程度のアクセス数があった旨の表示がされている。
(8)以上の認定事実によれば、請求人は、「RAffINE」ないし「ラフィネ」とするシリーズ化粧品の一つとして、容器に「Perfect One」及びやや図案化された「RAffINE」の表示のほか、「ラフィネ パーフェクトワン」や「ラフィネ パーフェクトワンモイスト」等の記載のあるオールインワンタイプのジェルに係るモイスチャー化粧品を製造、販売しており、提出された証拠のみによっては、広告宣伝に係る状況をにわかに把握し難いものではあるが、該商品の業界における販売実績やシェア等からすれば、少なくともエイジングケアやオールインワンタイプのジェルに関心を示す需要者層には、「RAffINE」ないし「ラフィネ」は、請求人に係るシリーズ化粧品を表す商標として相当程度認識されていたものといわなければならない。
6 他人の業務に係る商品との混同について
(1)本件バナー広告の構成中、上下二段書きされた「Raffine」及び「Style」の文字部分は、上記4のとおり、その構成態様が外観上まとまりよく表されたものであって、それ自体はボディワーク社に係る「RaffineStyle」(ラフィネスタイル)の通販サイト名を表示したものと理解させる一体不可分の造語と認識させるものである。
そうすると、たとえ「RAffINE」ないし「ラフィネ」が、上記5(8)のとおり、請求人に係るシリーズ化粧品を表す商標として相当程度認識されていたものであるとしても、本件バナー広告は、インターネット上での通信販売に係るリンク用看板としての使用であり、その構成中、上段に位置する「Raffine」の文字部分のみが強く印象付けられ、これに相応する称呼、観念をもって取引に資されるものとは認め難いものであり、ほかに、該文字部分が強く印象付けられるとみるべき格別の理由も見いだせない。まして、上記2(2)のとおり、本件バナー広告のリンク先である通販サイトにおける各ウェブページで紹介されている化粧品については、個別に各メーカーや製品名などが表示されていることからすれば、該通販サイトにおいて紹介されている化粧品と請求人に係るシリーズ化粧品とを誤認して取引(購入)するということはできない。
したがって、本件バナー広告の構成中、上下二段書きされた「Raffine」及び「Style」の文字部分は、そのバナー広告の使用時期である平成24年4月頃において、本件商標の指定商品中「化粧品」について使用されたということができるとしても、請求人に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれがあったと認めることはできない。
(2)また、本件バナー広告の構成中の白抜き様に表された角丸横長長方形内に緑色で表された「ラフィネの通販サイト」の文字部分は、商標使用者であるボディワーク社に係る「履歴事項全部証明書」(甲第4号証)における「目的」欄に「1.ボディケア(マッサージ療法)、フットケア(足底療法)等のリラクゼーション施設の運営、管理」等の記載があることに加え、同社のホームページ(甲第5号証)には、「『ハートフルリラクゼーション』/それが私たちのサービスです。」との記載の下、展開している店舗等を紹介する複数のハート型図形のうちの一として、別掲8のとおりの構成態様からなる「Raffine/ラフィネ」等の表示がされた記載があるほか、「Topics」の欄には、「2012/04/09 店舗 ラフィネ ヴィーナスフォート店open」、「2012/04/02 店舗 ラフィネ イオン那覇SC店open」及び「2012/03/26 店舗 4/9 ラフィネ フェリエ南草津店定休日のお知らせ」等の記載、その右側には「Facebookで『リラクゼーションスペース・ラフィネ/Raffine』を見る」等の記載があることからすれば、該「ラフィネの通販サイト」の文字部分における「ラフィネ」の片仮名は、ボディワーク社に係るボディケアやフットケア等のリラクゼーション施設の店舗名であると容易に看取され、これに格助詞「の」及び「通販サイト」をつなげてなる「ラフィネの通販サイト」の文字部分は、その構成全体をもって、「該店舗(ラフィネ)が運営する通販サイト」との意味合いを理解するにとどまるものである。
してみれば、「ラフィネの通販サイト」との表示において、その構成中の「ラフィネ」の文字部分を請求人の化粧品ブランド「RAffINE」と関連する商品であるかのように認識し、また、関連する商品であることを期待すると考えるのが自然である旨の請求人の主張は採用できない。
なお、上記店舗名が独立して認識されるとしても、これ自体と本件商標とは、非類似のものであって、本件商標ないしこれに類似する商標の使用ということはできない。
7 まとめ
以上のとおり、ボディワーク社は、本件商標に係る通常使用権者であるとみて差し支えないものであり、また、本件商標と本件バナー広告とが類似し、かつ、該バナー広告のリンク先であるウェブページにおいて、本件商標の指定商品に含まれる商品と同一の商品が掲載されていたことが認められるとしても、該バナー広告の使用については、他人の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。
したがって、ボディワーク社による本件バナー広告の使用によっては、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたということはできないから、本件商標の登録は、商標法第53条第1項の規定により、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本件商標(登録第5368467号商標)


2 本件バナー広告


3 乙第1号証に係るバナー広告


4 登録第5494262号商標


5 登録第5364256号商標


6 登録第4434162号商標


7 登録第5291245号商標


8 甲第5号証及び甲第6号証に係る「Raffine/ラフィネ」等の表示


(上記2ないし5及び8に係る商標等の色彩については、原本参照のこと。)

審理終結日 2012-12-21 
結審通知日 2012-12-26 
審決日 2013-01-09 
出願番号 商願2010-45555(T2010-45555) 
審決分類 T 1 31・ 5- Y (X35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平澤 芳行 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 田中 敬規
酒井 福造
登録日 2010-11-12 
登録番号 商標登録第5368467号(T5368467) 
商標の称呼 ラフィネスタイル、ラフィネ、スタイル 
代理人 山田 文雄 
代理人 新里 浩樹 
代理人 森田 靖之 
代理人 山田 洋資 
代理人 有吉 修一朗 
代理人 田中 雅敏 

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